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◯△□を描いて感じる双方向コミュニケーションの大切さ

Last updated at Posted at 2021-12-19

ごきげんよう、@An_nAです!
この記事はハンズラボ Advent Calendar 2021 20日目の記事です。

依頼されて作成したものをいざ提出してみたら、先方から「イメージと違う...」と言われた経験はありませんか?
嗚呼、なぜこんなことになったのか?
実力が足りなかった? 

いいえ、おそらく足りていなかったのはコミュニケーションではないでしょうか。

このコミュニケーションをテーマに、先日、社内で簡単なワークショップを開催しました。
今回はそのお話をしようと思います。

そこのあなたも、ワークショップに参加している気持ちで読んでみてくださいね。

用意するもの

  • 白紙(コピー用紙やチラシ裏など)
  • ペン

やること

これからわたしが、描いて欲しい図形を口頭で説明します。
参加者のみなさんは、言われた通りに図形を描いてください。
はたして、わたしが思い描いている図形を描くことができるでしょうか?!

定義

ところで、このワークショップでは「接する」という言葉がたくさん出てきます。
最初にこの「接する」の定義をしておきましょう。

qiita1.png

では、実験スタートです!

実験1回目

では、これから言う図形を描いてください。
おっと!質問は一切受け付けませんので悪しからず。

1. 円を描いてください
2. 今描いた円に接する三角形を描いてください
3. 今描いた三角形に接する四角形を描いてください

さて、どんな図形が描けましたか?

1回目の結果

結果はこちら!(展開してみてください)
![図1.png](https://qiita-image-store.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/0/624944/38f68356-043d-e1b8-e8aa-a61b86981938.png)

左側がわたしが描いて欲しかった図形です。
えっ、ちょっと形がいじわるじゃないかって?わたしもそう思います。
が、◯に接する△、△に接する□ではありますよね。嘘はツイテナイ。

そして、右側がワークショップに参加してくれたメンバーが描いた図形たち!

わぁ、バラバラ!と言おうと思ってたのですが、シンクロしてる人たちがいますね?!
でも、わたしが思い描いていた図形とはみんなかなり形が違います。

嗚呼、なぜこんなことになったのか?
実力が足りなかった? 

いいえ、そんなことはありません。
みなさん◯に接する△、△に接する□をきちんと描けていますよね。実力は十分です。
では、足りなかったものはなんでしょう?

実験2回目

では、2回目です!これから言う図形を描いてください。
今回は先ほどと違い、質問を受け付けます。遠慮なくどうぞ!

1. 円を描いてください
 おっと早速質問をいただきました!

 Q:円の大きさはどのくらいですか?
 A:直径が2cmです

2. 今描いた円に接する三角形を描いてください

 Q:三角形は円から見てどの位置にありますか?
 A:円の真下にあります

 Q:円は三角形の辺と頂点のどちらに接していますか?
 A:辺です

 Q:円は三角形の辺のどのあたりに接していますか?
 A:辺の真ん中です

 Q:三角形は傾いていますか?
 A:円に接している辺は水平で、傾いてはいません

 Q:三角形の形は正三角形ですか?
 A:正三角形です

 Q:三角形の大きさはどのくらいですか?
 A:1辺の長さが4cmです

 いっぱい質問が来ましたね!
 この時点での質問はこれで全部のようです。次へ進みましょう。

3. 今描いた三角形に接する四角形を描いてください

 Q:四角形は三角形の辺と頂点のどちらに接していますか?
 A:頂点です

 Q:三角形のどの頂点に接していますか?
 A:右上です

 Q:四角形のどの頂点が三角形に接していますか?
 A:左上です

 Q:四角形は三角形より大きいですか?小さいですか?
 A:大きいです

 Q:四角形は正方形ですか?
 A:正方形です

 Q:四角形は傾いていますか?
 A:傾いてはいません

 さて、質問は出尽くしたようです。
 今回はどんな図形が描けましたか?

2回目の結果

結果はこちら!
![図2.png](https://qiita-image-store.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/0/624944/a8901002-815e-8600-e2c4-e83af975964f.png)

ちょっとだけサイズ感が惜しかったりはしますが、1回目と違ってかなりわたしが考えていた図形と近いと思いませんか?

実験3回目

では、これが最後です。これから言う図形を描いてください。
今回は参加者の中から代表者を一人選びます。
2回目と同じように質問を受けつつ、今度は1つ図形を描くたびに、参加者代表が描いた図形をわたしに見せてもらいます。
わたしは「描いてもらった図形、思ってたのと違うなー」と感じたら、「どこが違うのか」「どうして欲しいのか」を伝えます。

1. 円を描いてください

 Q:円の大きさはどのくらいですか?
 A:直径が3cmです

 ここでわたしは参加者代表に描いてもらった図形を見せてもらいました。
 OKです!次の工程に進みましょう。

2. 今描いた円に接する三角形を描いてください

 Q:三角形は円から見てどの位置にありますか?
 A:円の左側にあります

 Q:円は三角形の辺と頂点のどちらに接していますか?
 A:辺です

 Q:三角形の大きさは円の何倍くらいですか?
 A:1辺の長さが円の直径の3倍です

 Q:三角形は傾いていますか?
 A:底辺が水平で、傾いてはいません

 ここでわたしは参加者代表に描いてもらった図形を再度見せてもらいました。
 あら、ちょっと円と三角形の位置関係が思っていた感じと違います。
 三角形の形も理想的ではありません。

 「三角形の底辺を延長した線とも接するイメージで円の位置を修正してください」
 「三角形は正三角形にしてください」
 とお願いし、参加者代表に図形を修正してもらいました。

 ここでもう一度描いた図形を見せてもらいます。
 うんうん、良い感じ。次の工程に進みましょう!

3. 今描いた三角形に接する四角形を描いてください

 Q:四角形は三角形の辺と頂点のどちらに接していますか?
 A:辺です

 Q:三角形のどの辺に接していますか?
 A:底辺です

 Q:四角形は三角形より大きいですか?小さいですか?
 A:小さいです

 Q:四角形は傾いていますか?
 A:傾いています

 さて、わたしはもう一度参加者代表に描いた図形を見せてもらいました。
 どうやら四角形の形とサイズ感が合っていないようです。
 傾き具合も思っていたのと違いました。

 「四角形は正方形を45度回転させた形です」
 「四角形は一辺を3cmにしてください」
 と修正をお願いしました。

3回目の結果

結果はこちら!
![図3.png](https://qiita-image-store.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/0/624944/8f42c5ca-0ef1-ae79-4d5d-2a7a2d8fee85.png)

じゃーん!
ほぼ一緒ですね!

(えっだいぶ違うじゃないかって?)
(zoomのホワイトボードにフリーハンドで描いてもらったので、描きにくかったのです)
(どうか心の目で見てください)

今回は2回目よりも少し複雑な図形でしたが、よく描けています。

気付き

さて、3回の実験を通して、どんなことを感じましたか?

依頼者→作業者のコミュニケーション(指示)だけではなく、作業者→依頼者のコミュニケーション(質問・確認)も大事なんだな、と感じていただけていたら幸いです。
(ワークショップでは「コミュニケーション量が精度につなげることに気づいた」と言ってくれたメンバーがいて、きちんと意図を汲み取って言語化してもらえたことに主催者としてかなり感動しました)

用語の定義、していますか?

ところで、最初に「接する」という言葉の定義を行なったことを覚えていますか?
なぜ、わざわざこんなことをしたのでしょう?

用語の「意味」を共有しよう

「接する」の定義を事前に関係者間で行わなかった場合、本来はあるはずの前提(他図形と共有するのは一点もしくは一辺)が作業者に伝わりません。前提を知らない作業者は、NG例に挙げたような図形を描くかもしれません。結果として、成果物の図形のバリエーションがかなり豊かになる可能性があります。そしてそれはつまり、わたしが描いて欲しかった図形とズレる可能性が高まる、ということでもあります。

用語の意味を共有することは、時に、作業の前提を共有することと同じです。
コミュニケーションを誰かと取るにあたって「用語の意味を固定して関係者間で共有する」のはとても大切なのですね。

同じものを指すときは同じ用語を使用しよう

「接する」に似ている言葉として「くっついている」なんてものもあります。
でも、今回のワークショップ内では「くっついている」という言葉は一度も使っていません。

今回、「接する」を定義するにあたり、「他図形と共有するのは一点もしくは一辺」と決めました。では、「くっついている」も「他図形と共有するのは一点もしくは一辺」でしょうか?

うーん、そうとは言い切れませんよね。
「くっついている」の定義は行なっていないので、「接する」とまったく同じ意味かどうか判断することができません。それなのに「接すると似たような言葉だから伝わるだろう」と考えて「くっついている」を使ってしまうと、聞いた側は「接するとは別の言葉だから」と思って、思わぬ図形を描いてしまうかもしれません。

せっかく用語の意味を固定して関係者間で共有しても、その用語を使わなかったら意味がないのです。キーとなる用語に関しては、一度「この用語を使用する」と関係者間で決めたらその用語を使いましょう。

まとめ

  • 依頼者に言われたことを作業者が自分の思い込みだけで表現するとズレやすい
  • 依頼者へ作業者側から積極的に質問をすることで、成果物の精度を上げることができる
  • 適宜、依頼者にその時点の実物を見せると、依頼者・作業者間のギャップを埋めやすい(普段からアジャイル開発を行なっている方にはお馴染みかもしれませんね)
  • 用語を定義して、関係者間で言葉による認識のズレが発生しないようにする

(ちなみに、実際の業務では、質問や回答はQA管理表等で管理しましょう)
(後で言った言わないになると大変ですからね)

最後に

「気付きって言っても当たり前のことだなぁ」と思った方もいるかもしれませんが、実際に体感してみると意外に発見があったりします。お題となる図形と描くものさえあれば1対1でもできるお手軽なワークショップですので、身近な方と試してみても面白いと思いますよ!

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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