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特許審査業務:第IV部に関するざっくり解説
💡そもそも「補正」って何?
特許の書類って、最初に出すときに 完璧でなくてもOK なんです。
でもあとで「ちょっとここ直したい」と思うことがありますよね。
たとえば:
- 間違ってるところがある
- 表現がわかりにくい
- 説明が足りない
そんなときに書類を直すことを「補正(ほせい)」って言います。
📘どういう時に補正できるの?
補正できるタイミングは決まっています。たとえば:
タイミング | できる? |
---|---|
出願した直後 | ✅ OK |
最初の「拒絶理由通知」を受け取ったあと | ✅ OK(期限内なら) |
最後の「拒絶理由通知」のあと | ⚠️ 限られた目的のときだけOK |
不服の審判を出すとき | ✅ OK(同時に出せば) |
⚠️どんな補正でもOKなの?
いいえ、「なんでもアリ」ではありません。以下のようなNG補正があります:
❌ NGな補正(ダメな例)
名前 | ダメな理由 |
---|---|
新しい内容を足す | 最初に出した内容から変わるからズルい |
技術の根本を変える | 審査が振り出しに戻って混乱する |
許されていない目的の補正をする | 決められたルールに違反 |
✅ OKな補正(目的が大事)
特に「最後の拒絶通知」以降に補正する場合は、次の4つだけがOKです:
- いらない請求項を消す(=スリムにする)
- 限定的に直す(=「車」→「赤い車」みたいに、より具体的にする)
- 単純な間違いを直す(=タイプミスや表記ミス)
- わかりにくい表現をわかりやすくする(=誤解がないように説明)
💬たとえばどういうイメージ?
❌ NGな例:「追加してる」
最初は「おにぎりのレシピ」だったのに、補正で「ラーメンの作り方」も書く
→ これは新しい発明を追加してるからダメ!
✅ OKな例:「具体的にしてる」
「おにぎり」→「梅干し入りおにぎり」
→ 最初から梅干しの話は出てたし、内容を詳しくしただけだからOK!
👩⚖️補正がダメだったらどうなるの?
- タイミングによっては「拒絶理由」になる(まだチャンスはある)
- それ以降は「補正が却下される」=その直しは無効!
📝まとめ(ポイント)
覚えておくべきこと | 内容 |
---|---|
補正って? | 出した書類を直すこと |
いつでもできる? | タイミングによって制限あり |
何でも直せる? | 目的や内容によって制限あり |
NG補正は? | 新しい内容を足す、内容の根本を変えるなど |
OKな補正は? | 削除、限定、誤字修正、明確化など |
以下の5つのPDFは、いずれも特許出願における「補正」に関する要件を詳細に解説した資料です。それぞれの内容を簡潔に説明します:
📄【04_0100bm.pdf】第1章 補正の要件(総論)
-
補正とは何か?
出願後、特許請求の範囲や明細書、図面を訂正・修正できる制度。 -
補正の時期的要件
どのタイミングで補正できるか(例:最初の拒絶理由通知の期間内、審判請求と同時など)。 -
補正の実体的要件
どのような補正が許されるか。例えば、新規事項の追加や特別な技術的特徴の変更はNG。 -
拒絶理由 or 却下の違い
補正のタイミングによって、実体的要件を満たさないと「拒絶理由」または「補正却下」となる。
📄【04_0200bm.pdf】第2章 新規事項を追加する補正
-
概要
出願後に新たな技術内容を追加することは禁止(先願主義の観点から)。 -
判断基準
「当初明細書等に記載した事項」内であれば補正OK。明示記載、自明な記載ならOK、それ以外はNG。 -
具体例多数
請求項の記載変更や限定の補正が許されるか否かについて、数値例・除くクレーム・マーカッシュ形式等、豊富な具体例あり。 -
審査官の判断進め方
許容される補正とされない補正を明確に分類し、それに基づき拒絶理由通知や却下決定を行う手順を示す。
📄【04_0300bm.pdf】第3章 発明の特別な技術的特徴を変更する補正
-
概要
特許請求範囲の補正で、特別な技術的特徴が変わるとNG(発明の単一性要件に抵触するため)。 -
判断方法
補正前と補正後の発明が、同じ「一群の発明」として扱えるかどうか(=第37条の単一性要件)で判断。 -
図解・具体例あり
実際の請求項構成の例を用いて、どのような補正がOKか/NGかを説明。
📄【04_0400bm.pdf】第4章 目的外補正
-
補正の「目的」が重要
一定のタイミング(例:最後の拒絶理由通知後)では、補正の目的が厳しく制限される。 -
補正が認められる目的(第17条の2第5項)
- 請求項の削除
- 特許請求範囲の限定的減縮
- 誤記の訂正
- 明瞭でない記載の釈明
-
限定的減縮の場合の追加要件
「独立特許要件(第17条の2第6項)」を満たす必要あり=補正後の発明が独立して特許を受けられるか。 -
補正の審査進行の仕方
審査官の補正内容の認定基準や却下判断のフローを丁寧に整理。
📄【04_9900bm.pdf】関連条文集(特許法・施行規則)
- 第17条の2:補正の時期、範囲、目的に関する中心的条文。
- 第37条:発明の単一性についての要件。
- 第53条、第126条:補正の却下や訂正審判の根拠規定。
- 施行規則 第25条の8:発明の「特別な技術的特徴」や「技術的関係」の定義。