Linux には、ファイルシステム階層標準(FHS: Filesystem Hierarchy Standard) というルールに従ったディレクトリ構造があります。
これにより、どの Linux ディストリビューションでも ほぼ同じディレクトリ構造 になっています。
それぞれのディレクトリの 由来(名前の意味) と 何が入っているか を詳しく解説します!
📌 1. /bin
(Binary)
由来: 「Binary(バイナリ)」の略
何が入ってる?
- 基本的なコマンドが入っているディレクトリ
- システム管理者と一般ユーザーが使う 最低限の実行ファイル(バイナリ)
📌 具体的なコマンド例
/bin/ls # ディレクトリの内容を表示
/bin/cp # ファイルをコピー
/bin/mv # ファイルを移動
/bin/rm # ファイルを削除
/bin/sh # シェル(Bash など)
💡 ポイント:
/bin
にあるコマンドは シングルユーザーモード(トラブル時に最低限の機能だけで起動するモード)でも使える。
📌 2. /dev
(Devices)
由来: 「Devices(デバイス)」の略
何が入ってる?
- デバイスファイル(仮想ファイル)が入っているディレクトリ
- すべてのハードウェア(HDD、USB、マウス、キーボードなど)がファイルとして管理される
📌 具体的なデバイス例
/dev/sda # 最初のHDD(SATAやSSD)
/dev/tty # 端末(コンソール)デバイス
/dev/null # 何でも捨てられるブラックホール
/dev/random # ランダムデータを生成
💡 ポイント:
デバイスは すべてファイルとしてアクセスできる のが Linux の特徴!
📌 3. /etc
(Etcetera または Editable Text Configuration)
由来:
- 「Etcetera(その他)」の略と言われることが多いが、
- 実際には「Editable Text Configuration(編集可能な設定ファイル)」の意味があるとも言われる。
何が入ってる?
- システム全体の設定ファイル
- 各種サービスの設定、ユーザー情報、ネットワーク設定など。
📌 具体的な設定ファイル例
/etc/passwd # ユーザー情報
/etc/shadow # パスワード情報
/etc/fstab # マウント設定(ディスク管理)
/etc/hosts # ホスト名設定
/etc/network/ # ネットワーク設定
💡 ポイント:
/etc
にあるファイルを変更すると システムの挙動が変わる ので、慎重に扱う!
📌 4. /home
(Home)
由来: 「Home(ホーム)」の意味
何が入ってる?
- 各ユーザーの個人データ(ドキュメント、設定、ダウンロードファイルなど)
- ユーザーごとに
/home/ユーザー名
のディレクトリが作られる。
📌 具体的なファイル例
/home/user/ # userさんのホームディレクトリ
/home/alice/ # aliceさんのホームディレクトリ
💡 ポイント:
root
ユーザーのホームディレクトリは/root
にある!(/home/root
ではない)-
/home
は ユーザーの個人データを保存する場所 なので、バックアップの対象にすることが多い。
📌 5. /sbin
(System Binaries)
由来: 「System Binaries(システム用バイナリ)」の略
何が入ってる?
- システム管理に必要なコマンドが入っているディレクトリ
-
root
(管理者)しか使わないコマンドが多い。
📌 具体的なコマンド例
/sbin/shutdown # システムのシャットダウン
/sbin/reboot # システムの再起動
/sbin/ifconfig # ネットワーク設定
/sbin/mount # ディスクをマウント
💡 ポイント:
/bin
は一般ユーザーも使うが、/sbin
のコマンドは 管理者(root)向け!
📌 6. /tmp
(Temporary)
由来: 「Temporary(一時的な)」の意味
何が入ってる?
- 一時ファイルが置かれるディレクトリ
- プログラムが 一時的にデータを保存する場所(再起動すると消える)
📌 具体的なファイル例
/tmp/log123.tmp # 一時的なログファイル
/tmp/sess_abc123 # セッションデータ
💡 ポイント:
-
/tmp
にあるファイルは、システム再起動時に自動的に削除される。
📌 7. /usr
(Unix System Resources)
由来:
- 「User」ではなく 「Unix System Resources(Unix システムリソース)」の略!
- 昔はユーザーのデータを置く場所だったが、今はシステムファイルも含まれる。
何が入ってる?
- システム全体で使うアプリやライブラリが入っている
- ユーザーがインストールするアプリケーションの実行ファイル
📌 サブディレクトリ
/usr/bin/ # 一般ユーザー向けコマンド
/usr/sbin/ # システム管理者向けコマンド
/usr/lib/ # ライブラリ
/usr/share/ # ドキュメントやアイコン
💡 ポイント:
-
/usr/bin
にあるコマンドは/bin
にあるコマンドより追加的なもの。 -
/usr/sbin
は/sbin
と似ているが、追加的な管理コマンドが入っている。
📌 8. /var
(Variable)
由来: 「Variable(変化する)」の意味
何が入ってる?
- システムが生成するログや、一時的なデータが入る
- 変化するデータ(ログファイル、メール、キャッシュなど)を保存
📌 具体的なディレクトリ
/var/log/ # システムログ
/var/tmp/ # 長期間の一時ファイル
/var/spool/ # メールキューや印刷ジョブ
💡 ポイント:
-
/tmp
は再起動時に消えるが、/var/tmp
は消えない。 -
/var/log
には システムの動作ログ が記録されるので、トラブル時に確認する。
📌 まとめ
ディレクトリ | 由来 | 何が入ってる? |
---|---|---|
/bin |
Binary | 基本的なコマンド |
/dev |
Devices | デバイスファイル |
/etc |
Editable Text Configuration | 設定ファイル |
/home |
Home | ユーザーの個人フォルダ |
/sbin |
System Binaries | システム管理用コマンド |
/tmp |
Temporary | 一時ファイル(再起動で消える) |
/usr |
Unix System Resources | システム全体のプログラムやライブラリ |
/var |
Variable | 変化するデータ(ログ、キャッシュなど) |
これで Linux のディレクトリ構造がバッチリ理解できるはず