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【半導体】MOSFETの全てを徹底解剖してみる(vol.1)

Last updated at Posted at 2022-12-06

はじめに

 この令和の時代のトレンドにもなっている半導体について正直どんなものか知らない方が多いであろう。私の経験上認識をしていたとしても少し誤った解釈をされている方も少なからずいる。そういった背景から、今回は半導体について全く知らない方、学習はじめたての方に向けて執筆させていただいた。こちら読んだ暁には、半導体の代表的な素子であるトランジスタがどんなものなのか全体像を大まかに理解することができるようになっている。ぜひ最後までノンストップで読んでいただきたい。

 また、こちらは現在大学で集積回路(IC)工学を中心に専攻し、研究室で半導体の設計・開発をおこなっている大学3年生の私が執筆したものである。半導体について深く学習するために様々な文献を引用し、信憑性のある内容の記事にさせていただいている。その中でも誤りや間違った解釈をしたものがあればぜひコメントの方でご教授いただきたい。

それでは順番に読み進めていこう。

ハードウェアとソフトウェア

 

 半導体の理解を深める上でまずはハードウェアとソフトウェア両方の言葉の意味と実例について知っておく必要がある。ハードウェアは、パソコンやモニター、スマホ、キーボードなどのような目にみえる物理的な実体を持った機器のことであり、ソフトウェアは、OSやアプリケーションなどの物理的実体を持たない機器のことである。現代の日常生活で用いられる機器は大半がこのハードウェアとソフトウェア同士が依存する形で正常に使用することが可能となっている。今回説明する半導体はハードウェアの部類にあたる。

半導体

 半導体を正確には「電気抵抗率が極めて低い導体(電気をよく通す)と極めて高い絶縁体(電気が流れにくい)の中間的な抵抗率をもつ物質」と定義されている。
 この電気抵抗率の値は電気の流れやすさを示し、半導体の優れている点として条件によって電気抵抗率を大きく変化させ、電流の流れをコントロールする性質を持っている。生活の中に実は半導体で溢れかえっている。
例)スマホ、テレビ、カメラ、エアコン、洗濯機、パソコン、自動車、電車、ATM、etc....
 材料としてシリコン(Si:ケイ素)が最も多く使われている。その理由としては安価であり抵抗率の制御が容易い、純度を高めることが可能で酸化膜を容易に得られやすいところが挙げられる。

トランジスタ

 MOSFETを知る前にトランジスタというものも理解しておきたい。トランジスタとは、P型半導体とN型半導体の2種類を利用して構成される最も代表的な半導体素子のことである。電気の流れを容易くコントロールできる優れ物であり、電気信号を大きくできる増幅機能と電気の流れを止めるスイッチング的な機能の2つを備えている。

 このトランジスタは主にバイポーラトランジスタと電界効果トランジスタ(FET)の2種類が存在しており、本記事で紹介するMOSFETは後者に分類されているものである。バイポーラトランジスタが最初に発明され、現在では効率的に電流を多く流すことができる電界効果トランジスタの方に需要が集まっている。

 皆さんが日常生活で使用しているであろう電化製品(スマートフォンやパソコン、テレビ、デジタルカメラなど)には当たり前に内蔵されている。ハードウェアを構築するに当たって必要不可欠な存在となっており、半導体不足がしばしニュースになっている理由もご察しいただけたのではないだろうか。

MOSFET

MOSFETとは正式には

金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ

(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)


と呼ばれる。

 半導体のシリコンの表面を酸化させた二酸化シリコン(SiO2)の膜を生成し、金属を電極の役割としてとりつけた構造をとっていることからこの名前が付けられている。動作速度が極めて速く電子デバイス(上述した電化製品)の小型化と動作精度、速度の向上が求められている現代において欠かすことのできないトランジスタとなっている。

制作工程

以下に制作までの簡単な手順を記す。

(1)シリコンウェーハを製造する
(2)酸化膜と窒化膜を成膜する
(3)フォトレジストを塗布する
(4)露光/現像する
(5)エッチングする
(6)レジストを剥離し、洗浄する
(7)絶縁膜を埋め込む
(8)平坦化し、ゲート酸化膜/ゲート電極を形成する
(9)パターン形成する
(10)イオン注入し、層間絶縁膜の形成/平坦化をする
(11)コンタクトホールを形成し、コンタクトを作成する
(12)トレンチ形成をし、金属膜を堆積する
(13)配線を形成する
(14)プローブ検査をする
(15)ダイシング/ダイボンディング/ワイヤーボンディングをする
(16)モールディングをする

以上16工程を踏むことになる。一つ一つの具体的なやり方は別の記事にて紹介をしようと思う。

参考文献

[1]吉本雅彦: 集積回路工学
https://shop.ohmsha.co.jp/shopdetail/000000000482/
[2]柴田直: 半導体デバイス入門 その原理と動作の仕組み
https://honto.jp/netstore/pd-book_26389565.html
[3]高崎和之: 基本からわかる電子回路
https://www.natsume.co.jp/books/14783
[4]Semi journal:半導体解説
https://semi-journal.jp
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