2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

PxDTAdvent Calendar 2024

Day 4

トナカイの動き方を思い出す、クリスマスシーズンなので

Last updated at Posted at 2024-12-03

概要

12月はクリスマスシーズンですね。おおよそ温帯に属する日本では、トナカイを見かけることは少ないと思います。とはいえ、サンタクロースとして稼働する可能性もあるので、トナカイはどのような動きをするか、思い出しておきましょう。

トナカイとは

(特に生物の)概要をつかむのに、Wikipediaの記事はとっかかりとしては悪くないと思います。偶蹄目シカ科トナカイ属の種ということなので、馬よりは鹿に近いのでしょうか。分布の項は北極圏周辺とのことで、どうりで日本では見かけません。

さて、生物の分布の状況は実際どうなのか、専門のサイトがあるようなので、そちらでも確認してみます。より細かく分けた種もあるようですが、記事からトナカイと言えば種名はRangifer tarandusのようなので、この種名でGBIF(地球規模生物多様性情報機構)を調べます。

image.png

アメリカ大陸では多少南にも位置しているようですが、おおよそ北極圏周辺ですね。

動物の歩行、馬の例

もっと身近な動物であるところの、馬の場合はどのように動くのでしょうか。それをまとめた記事があるようです。

ざっというと、常歩・速歩・駈歩・襲歩が遅い順での基本的な歩行方法のようです。この後文献を調査するにあたり、必ずしも日本語のものがあるとは限らないので、それぞれの用語を英語でメモしておきます。英語版を確認すると、

日本語 英語
歩法 gait
常歩 walk
速歩 trot
駈歩 canter
襲歩 gallop

のように対応します。

トナカイの歩行

さて、キーワードが拾えたので、文献を探します。Wikipedia記事に記述があれば良さそうですが、あまり詳しくは書いてありませんでした。en版はja版よりもよっぽど詳しいですが、雪や沼で歩行しやすいような蹄になっている、といったくらいの記述でした。

ざっと調べたところ、次が見つかりました。
Li G, Zhang R, Han D, Pang H, Yu G, Cao Q, Wang C, Kong L, Chengjin W, Dong W, Li T, Li J. Forelimb joints contribute to locomotor performance in reindeer (Rangifer tarandus) by maintaining stability and storing energy. PeerJ. 2020 Nov 11;8:e10278. doi: 10.7717/peerj.10278. PMID: 33240627; PMCID: PMC7666566.

飼育しているトナカイを使用し、センサーを付けたデータ収集エリアを歩行するように訓練した(成功した)個体を調査したようです。
image.png

後述の関節の動きを得るために、商用のマーカーレスなモーショントラッキングシステム(Simi Motion 2D/3D)を利用しています。

脱線、動物の関節推定

商用のシステムもありますが、動物をモーショントラッキングするタスクに対してオープンなデータセットもあるようです。

例えばここの、Horse-10はウマの動きとそのアノテーションのデータセットです。(https://huggingface.co/datasets/mwmathis/Horse-30)

PaperWithCodeにリーダーボードもあるので、参考にして自前でモデルをトレーニングしたり、実装例を試したりできそうです。(https://paperswithcode.com/sota/animal-pose-estimation-on-horse-10)
タスクのカテゴリーとしては「Animal Pose Estimation」というのがありました。

論文に戻る

足の運びとスピードから、walk,trot1,trot2に分類しています。
この論文では、関節の動きと地面の反力から、トナカイの持つ運動特性がどのように達成されているか調べています。どうやら、トナカイは他の有蹄類よりも、歩行時の関節角度が安定していて、効率的に歩行時のエネルギーを関節に貯蔵・吸収できているようです。
トナカイの動き方に戻ると、足の運び方のパターンを見るに、馬でいうところの速歩に相当する足運びをして移動するようです。ウマでは、速歩のときに動き始めてから徐々に手首関節の角度が180°前後から閉じていきますが、トナカイの手首関節は、歩行中に角度が一定でした。足関節が柔軟性よりも安定性に寄っていることで、長距離移動により適しているとのこと。つまり動き方としては、馬のような足運び、そして各関節の動きはより少ない、ちょっと固い動き方をする、と言えるでしょう。

結論

トナカイは、

  • 不整地(雪や沼)の移動、かつ長距離移動に特化
  • ウマのような常歩や速歩で移動、関節はウマよりも固い

という動き方をします。

今回は以上です。

2
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?