呉高専 Advent Calendar 2018 の11日目です。
今回11日目担当になりました、m木です。
タイトル通り3DCADとか3Dプリンタとかについてお話をしていきたいと思います。
#概要
- まずなんで機械のヤツがココにいんの?
- 3Dデザインと3Dプリンタ
- CADってなんや?
- 3DCADって何ができんの?
- 3Dプリンタってあれでしょ、データ入れたら勝手にモノ作ってくれるやつでしょ
- おわりに
#まずなんで機械のヤツがココにいんの?
タイトルの時点でお察しの方もおられるかと思いますが、m木は機械系の学生です。ここまでのアドベントカレンダーはpythonとかVC#とかの情報系の記事だっただけに場違い感が否めませんが、縁あってこのアドベントカレンダーに参加させてもらうことになりました。ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
#3Dデザインと3Dプリンタ
近年、3Dプリンタが急速に普及してきました。世間一般でも3Dプリンタが知られた存在になってきたように思います。
ということで、今回は3Dプリンタで部品が出来上がるまでの流れを追ってみたいと思います。
#CADってなんや?
工学系の人がモノを設計するときはCADを使います。
CADはcomputer-aided design(こんぴゅーたーえいでっとでざいん)の略称で、直訳するとコンピュータ支援設計のことですが、一般には馴染みが薄い言葉かもしれません。
要するにパソコン上で設計が出来るソフトのことです。
CADには2種類あり、
**2DCAD(2次元CAD)と3DCAD(3次元CAD)**があります。
2DCADは従来の図面を
(従来の製図 [紅の豚/スタジオジブリ])
PC内で作成できるように
(呉高専2年の2DCAD製図課題)
したものです。
今まで製図板の上でやっていたことをPC上で出来るようにしたのですね。
3Dはそれとはまったく異なっていて、PC内部で3Dのモデルを作ることで、製品を表現し、それをもとにして製品の製作を行います。
呉高専の機械科ではSolidWorksという3DCADソフトを使用しています。
#3DCADって何ができんの?
- 3DCADが出来ることは寸法を決めて物体のモデルを作り出すこと
- 作った物体モデルを組み合わせてユニット(ASSY,Assembly)を作ること
主にこの二つが3DCADに出来ることです。
最近ではこれらに加えてCAE(Computer Aided Engineering,こんぴゅーたーえいでっどえんじにありんぐ)という機能で強度シミュレーションや流体シミュレーションができたりします。
(SolidWorksの強度シミュレーション)
そういったシミュレーションが出来るCADをCAE統合3DCADとかって言ったりします。
現在呉高専の機械科で使われている3DCAD,Solidworksはこれに該当しますし、呉高専全体でじわじわ勢力を拡大しているFusion360もある程度CAEの機能を有した3DCADです。
ではこのSolidWorksを使って3Dプリンタ部品を作っていきたいと思います。
今回作るのはこの緑の部品です。
角パイプと角パイプと繋ぐめんどくさい形の部品ですね。
STLというモデルデータを作ります。
これで準備完了です。では3Dプリンタの工程に移りましょう。
#3Dプリンタってあれでしょ、データ入れたら勝手にモノ作ってくれるやつでしょ
残念なことに3Dモデルがあるからといって3Dプリントが出来るわけではありません。
3Dプリンタは加熱したノズルに線形のプラスチック材料を供給して、プラスチックを吐出し、それを積層することでモノを形作ります。そしてその動きはGコードという機械が読み込める指令書によって制御されています。
つまり、今回の部品を作るためのGコードを生成しなければならないわけです。
当然ながら人の手で書ける量ではないのでそれ用のソフトに3Dモデルデータを突っ込んだのがこちら ↓ になります。
で、実際に3Dプリントしたものがこちら ↓ になります。今回はプリントに3時間くらいかかってます。
3Dプリンタ部品に何か下敷きのようなものがくっついていますよね。これはラフトと言って、3Dプリンタでの造形上の都合で生成されるものです。また、奥側の部品に注目してもらうとロの字のくぼみに何か変なパーツがついているように見えます。これはサポート材というもので、これもまた造形上の理由で部品にくっついてきます。
このラフトとサポート材をきれいにはがし、表面についたバリなどをすべて落とすとようやく部品として使用することが出来るようになります。
これで部品完成です!
#おわりに
3Dプリンタはモノづくりに革命を起こしたといわれています。材料を積層するというその特性により今までなしえなかった形状を生成することが出来るようになったからです。だからこそ、ニュースなどではデータさえあればモノがポンッと出来上がる魔法の箱なんていわれることもあります。
実際、今回の部品もその特性の恩恵にあずかったものです。ですが、私はこの魔法の箱という呼び方があまり好きではありません。
3Dプリンタはレンチンするがごとく部品を生み出せる魔法の箱ではなくて、ちょっとめんどくさくて便利で役に立つ機械なんだなって知っていただけたらうれしいです。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。