1.はじめに
どうも、ARIの名古屋支社に勤務している愛知県民こと、
新藏(にいくら)と申します♪
(/・ω・)/
1月といえば冬の風物詩、共通テスト(=センター試験、共通一次)ですね。
そんな共通テストに2025年から「情報」という科目が受験必須になるみたいなので、
国立大学を一般入試で受験する人は全員「情報」を受験するということになります。
私は大学が教育学部だったこともあり、上記のニュースを知り、
「共通テストが
英・数・国・理・歴・公の6教科から
英・数・国・理・歴・公・情の7教科になるのか!」
とかなり驚きました。
以下サイトの下の方から「情報」の試作問題が見られるので確認したのですが、
ITリテラシー等の基礎から、パリティビット、QRコードの仕組み等の発展まで
幅広く出題されているな、と感じました。
また、上記の試作問題より前に作成されたサンプル問題もありますが、
こちらは初期に作られたものということもあり、そこそこ難しいです。
令和7年度大学入学共通テストからの出題教科・科目 「情報」 サンプル問題
そこで今回は「情報」という科目の歴史や背景について、自分なりにまとめてみました!
中高生の子どもがいる方や、受験生の方の参考になれば幸いです。
(*^^)v
ちなみに、私が受験する時は「センター試験」という名前で、
前日の夜は緊張で中々眠れなかったのを覚えています。
2.用語の説明
2.1.共通テストとは
共通テストとは、毎年1月に大学受験をする多くの高校3年生が受けるテストのことで、
2023年時点では以下の科目、配点で実施されています。
科目 | 配点 |
---|---|
英語 | 250 |
数学 | 200 |
国語 | 200 |
理科 | 文系:100、理系:200 |
社会 | 文系:200、理系:100 |
合計 | 950 |
2025年1月の共通テストでは上記に「情報」が配点100点で追加されます。
また、高校までに勉強した基礎的な内容を受験者が理解できているかを判定する
というのが共通テストの目的となります。
大学入学共通テストは、大学に入学を志願する者の高等学校段階における基礎的な学習の達成の程度を判定することを
主たる目的とするものであり、各大学が、それぞれの判断と創意工夫に基づき適切に用いることにより、
大学教育を受けるにふさわしい能力・意欲・適性等を多面的・総合的に評価・判定することに資するものです。
出典:大学入試センター
https://www.dnc.ac.jp/kyotsu/shiken_gaiyou/shikumi_unei.html
共通テストはどの教科も平均点が50点(200点満点の科目は100点)になる難易度
で問題を作成しているようですが、年によって平均点が20点くらい違う科目もあります・・・
ちなみに、センター試験は平均点が60点(200点満点の科目は120点)になる難易度
で作成されていたようです。
3.教科「情報」の歴史と背景
では早速ですが、「情報」という科目の歴史と背景についてまとめてみました!
3.1.高校に教科「情報」が新設され、必修科目となる:2003年
高校に初めて「情報」という科目が追加されたのは2003年です。
「情報A」「情報B」「情報C」の3科目に分かれており、どれか1つを履修する必要がありました。
各科目でどのような内容を学んでいたのかは、次節以降にまとめます。
以下の図を見ると、当時のインターネット普及率は64.3%であり、5年前から比べると+50%となっているため、
2003年前後はインターネットが急速に広まった時代というイメージです。
図:インターネット利用率(個人)の推移 出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238110.html |
当時の情報の授業の目標の中に、
社会の中にはどのような情報・情報技術があるのかを知り、その役割や影響を理解する
というものがあるので、20年前から情報化社会が訪れることが予想されていたようですね。
情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して、
情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに、
社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ、
情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
出典:(1999年3月告示)高等学校学習指導要領 第2章 第10節 情報
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/1320181.htm
20年前から社会の情報化に対応するために、
情報の授業が始まっていたことを改めて知り、驚きました・・・!
3.1.1.「情報A」で学ぶ内容
情報Aとは「アナログとデジタルの違いは何か」「インターネットとは何か」「プレゼンテーションソフトとは何か」
等のかなり初歩的な内容を学ぶ科目となります。
インターネットを使う時には以下を気を付けるという内容もあり、
20年前からインターネットリテラシーについて学ばせたいという意思が感じられました。
文章の主語と動詞のつながりを明確にする。
意味が複数になる文を作らない。
相手との物理的な距離などを考えて、発表の際に声の大きさや身ぶりなどを調整する。
参考:Wikibooks_高等学校情報A
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%83%85%E5%A0%B1A
3.1.2.「情報B」で学ぶ内容
情報Bとは「コンピュータが処理を実行するまでの流れ」「コードの処理内容への理解」「データベースとは何か」
等を学ぶ科目であり、難易度は情報Aよりも高そうです。
コードの処理内容への理解については、for文やif文や配列等を学び、
間違ったコードを見てどこが違うのか指摘するという内容もあり、
プログラミングに重点が置かれている印象を受けました。
参考:Wikibooks_高等学校情報B
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%83%85%E5%A0%B1B
3.1.3.「情報C」で学ぶ内容
情報Cとは「情報を文字、画像、音に変換する」「社会で使われている情報システム」
等を学ぶ科目であり、難易度は情報Aと同じくらいと思われます。
情報を文字に変換して、最終的にはプリンタの話になる、
情報を画像に変換して、最終的にはカメラの話になる等の内容があり、
現実世界にどのように情報が活用されているか学ばせたいという意思を感じました。
参考:Wikibooks_高等学校情報C
https://ja.wikibooks.org/wiki/%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%83%85%E5%A0%B1C
余談ですが、代表的な2003年の出来事は以下となります。
・地デジが始まる
・日本郵政公社が発足する
・トリビアの泉が流行る
3.2.「情報」の科目が再編される:2013年
当時は「情報A」「情報B」「情報C」の3科目に分かれていた情報の科目ですが、
2013年に「社会と情報」「情報の科学」という2科目に変更されました。
(1科目の履修が必修という点は同じ)
先ほどの「図:インターネット利用率(個人)の推移」を確認すると
2003年から2013年の10年間でインターネットの普及率は60%から80%になり、
それ以降はほぼ横ばいとなっているため、2013年はインターネットが普及しきった時代というイメージです。
目標は2003年とほとんど同じで、
社会の中にはどのような情報・情報技術があるのかを知り、その役割や影響を理解する
というものとなっています。
情報及び情報技術を活用するための知識と技能を習得させ,
情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,
社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,
社会の情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
出典:(2009年3月告示)高等学校学習指導要領 第2章 第10節 情報
https://erid.nier.go.jp/files/COFS/h20h/chap2-10.htm
2003年と2013年の目標は、本当に少しだけ変更されているので、
気になる方は差分を確認してみてください。
3.2.1.「社会と情報」で学ぶ内容
社会と情報で学ぶこととしては、2003年の情報A+情報Cというイメージで、
基礎的な内容と情報が社会でどのように使われているかという内容になります。
図:教科「情報」について 出典:新学習指導要領における⾼校の情報科 〜改訂の背景と内容〜 https://estat.sci.kagoshima-u.ac.jp/SESJSS/data/edu2018/JCOTS18_D2S5P2_kano.pdf |
3.2.2.「情報の科学」で学ぶ内容
情報の科学で学ぶこととしては、2003年の情報A+情報Bというイメージで、
基礎的な内容とプログラミング的な内容となります。
余談ですが、代表的な2013年の出来事は以下となります。
・インターネット選挙運動が解禁される
・日本がTPP交渉に参加する
・半沢直樹の「倍返し」が流行る
3.3.「情報」の科目が再度再編される:2022年
2022年にはさらに科目が編成され、「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」という2科目に変更され、
情報Ⅰが必修科目、情報Ⅱが選択科目となっています。
2022年4月入学の高校1年生から再編された「情報」の教科が開始されており、
2025年1月の共通テストで「情報」が必修科目となります。
必修科目になった背景については個人的な所感ですが、
・社会・個人からして情報は身近で重要なもの、一歩間違うと危険なものである点
・どの企業も情報技術を使用する時代である点
の2点が大きいと考えています。
目標についても従来と比べると大きく変更されていて、
今までの目標では「理解する」というインプットが目標になっていましたが、
今回は「問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を活用する」というアウトプットも目標になっています。
情報に関する科学的な見方・考え方を働かせ,
情報技術を活用して問題の発見・解決を行う学習活動を通して,
問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用し,
情報社会に主体的に参画するための資質・能力を次のとおり育成することを目指す。(1) 情報と情報技術及びこれらを活用して問題を発見・解決する方法について理解を深め技能を習得するとともに,情報社会と人との関わりについての理解を深めるようにする。
(2) 様々な事象を情報とその結び付きとして捉え,問題の発見・解決に向けて情報と情報技術を適切かつ効果的に活用する力を養う。
(3) 情報と情報技術を適切に活用するとともに,情報社会に主体的に参画する態度を養う。
出典:(2018年3月告示)高等学校学習指導要領 第2章 第10節 情報
https://erid.nier.go.jp/files/COFS/h30h/chap2-10.htm
この辺りのアウトプットも重視する学習は、
国が出している方針の「生きる力」をはぐくむ1歩になると感じました。
「生きる力」についてもどこかで記事にできたらなと思います。
3.3.1.「情報Ⅰ」で学ぶ内容
情報Ⅰで学ぶこととしては、2013年の社会と情報+情報の科学というイメージで、
情報に関する総合的な知識を広く浅く学ぶ内容となります。
その上で得た知識をどのように活用するかも学びます。
3.3.2.「情報Ⅱ」で学ぶ内容
情報Ⅱは情報Ⅰで学んだことの発展的な内容を学びます。
より具体的な内容を知りたい方は、以下のnoteがとても分かりやすいので、一度確認してみてください。
noteには以下の記載もあり、マネジメントのことも学ぶのか・・・!
と驚きました。
情報Ⅱでは、情報システム構築に必要な知識と技能などを学びます。
具体的には、プログラミング工程だけではなく、
プロジェクトマネジメント、テスト手法、システムの評価・改善手法などを学びます。
4.まとめ
では、最後に3章の内容を表でまとめます。
時代の流れとともに変化していく「情報」の教科について、
少しでも理解いただければ幸いです。
年 | 科目 | 必修 | 目標 | 備考 |
---|---|---|---|---|
2003 | 情報A 情報B 情報C |
1科目 | 社会の中にはどのような 情報・情報技術があるのかを知り、 その役割や影響を理解する |
- |
2013 | 社会と情報 情報の科学 |
1科目 | 社会の中にはどのような 情報・情報技術があるのかを知り、 その役割や影響を理解する |
- |
2022 | 情報Ⅰ 情報Ⅱ |
情報Ⅰ | 社会の中にはどのような 情報・情報技術があるのかを知り、 その役割や影響を理解する また、理解した内容を問題の発見・解決 に向けて活用する |
2025年1月 の共通テスト から受験必須 |
5.おわりに
ここまで読んで下さり、ありがとうございます!!!
(^^)
いやはや、色々と調べるのは大変でしたが、珍しく気合を入れて記事を書いてみました。
冒頭のサンプル問題を見ると分かりますが、
「IPアドレス」「2進数」「コードの読む力」が高校3年生レベルの話になるので、
自分自身も学び続けないとな・・・と感じています
また、教育大学時代の友人に聞いてみたところ、
授業を担当できる人が足りない、何を教えたらよいか分からない
等々が現場では課題となっているようなので、この辺りについても何かしら記事を書きたいと考えています!
次回もお楽しみに♪
(:3_ヽ)_