PyVOL GUIとは
2019年10月24日、BioRxivにPyMOLプラグインのPyVOLというのを開発したよという論文が投稿されました。
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/816702v1
見た感じ、タンパク質の中の空隙、つまり基質や薬剤などが入りそうな空間を検出してくれるプラグインのようです。ちょっと興味があったのでインストールすることにしてみました。
環境
- macOS 10.14.6 (Mojave)。10.15 (Catalina)では動作しません。
- ターミナルからHomebrewをインストールしてある
- PyMOL 2.3.0以降をインストールしてある(2以降なら大丈夫?)
- macOS/CentOS 7/Ubuntu 18.04へのオープンソース版PyMOLのインストール方法などを参考にしてオープンソース版のPyMOLをインストールしてある
PyVOLのインストール
以下のGitHubにてこのプラグインをメンテナンスしてくれているようです。
https://github.com/schlessingerlab/pyvol/
ここの https://github.com/schlessingerlab/pyvol/blob/master/pyvolgui.zip にプラグインのZIPファイルが置いてあるのでDownloadボタンを押すと、pyvolgui.zip
というファイルがダウンロードされます。これを展開すると、中にはpyvolgui
とpyvol_plugin
というディレクトリの2つがあるのですが、たぶんpyvolgui
だけで動作してくれるように思えます。よって、このディレクトリをPyMOLのプラグインディレクトリにコピーしてあげます。
お使いのmacOSにて、インストーラー版でPyMOLをインストールした場合(Licenseを求められる方)は/Applications/PyMOL.app/Contents/share/pymol/data/startup/
に、Homebrewを使ってOpen-source版をインストールした場合(Licenseがいらない方)には/usr/local/Cellar/pymol/2.3.0/libexec/lib/python3.7/site-packages/pmg_tk/startup
に、それぞれコピーしてあげます。Linuxの場合はpymolがインストールされているディレクトリを見つけてpython3.x/site-packages/pmg_tk/startup
あたりを探ればたどり着けるんじゃないですかね(適当)。
コピーしたら、PyMOLを起動している場合はいったん閉じて改めて起動します。すると、PluginメニューのところにPyVOLが増えているはずです。
追加のプログラムのインストール
インストーラー版
PyVOLを動かすためにはいくつかのライブラリやプログラムを追加でインストールさせてあげる必要があります。上のPyVOLメニューでInstall/Updateのタブを開き、ここの左に表示されているInstall PyVOL
ボタンを押します。
1分くらい待っていると追加プログラムがすべてインストールされ、使用可能な状態になります。
ちなみにmacOS catalinaでは動作しませんでした(Mojaveまでは動作します)。
subprocess.py", line 1522, in _execute_child
raise child_exception_type(errno_num, err_msg, err_filename)
OSError: [Errno 86] Bad CPU type in executable: 'msms'
これはcatalinaになってから32bitのプログラムを切り捨てたことに起因しています。しかも残念なことに`msmsはソースコードが公開されていないみたいなので64bit向けにコンパイルさせてあげられない気がします。合掌。
Open-Source版
Open-source版の場合は、もしかしたら追加のプログラムを手動でインストールする必要があるかもしれません。もしかしたら上と同じやり方で動作させることができるかもしれないので、先にそっちを試してください(雑)。Homebrewでインストールしていた場合、msms exe
を除く他のPythonライブラリは以下の1コマンドでインストールできます。
pip3.7 install bio-pyvol
msms exe
についてですが、これは http://mgltools.scripps.edu/downloads のところからMSMS 2.6.1をダウンロードして解凍すると、中にmsms.MacOSX.2.6.1
が存在しますので、それを利用します(macOS Mojave以前の場合)。これを、/usr/local/bin/msms
として利用できるようにコピーしてあげます。
cp ~/Downloads/msms_MacOSX_2.6.1/msms_MacOSX_2.6.1 /usr/local/bin/msms
この後、Open-source PyMOLを一度再起動してこのInstall/Updateタブを見てみたときに、msms exeのところが/usr/local/bin/msms
と表示されていればOKです(本当は/usr/local/bin
以下はHomebrewでインストールしたもののみにしておきたいところですが……)。
以上でPyVOLが利用可能になります。
簡単な使い方
タンパク質を選択しておいてからPyVOLプラグインのParametersタブのRunボタンを押すだけです。Load Pocketのタブでは描画方法を色々変えることもできます。(詳細はいつか書きます)