エンジニアとして働いていると、「POC」「Mock」「モノレポ」「プロトタイプ」という用語をよく耳にしますが、それぞれの違いがよくわからない...という方も多いのではないでしょうか?
今回は、これら4つの用語の違いを具体例を交えてわかりやすく解説します!
🔬 POC(Proof of Concept)= 「やってみる実験」
POCとは?
POCは「概念実証」のことで、「このアイデア、本当に実現できるの?」を確かめるための実験です。
具体例で理解しよう
シナリオ:ECサイトにAIチャットボットを導入したい
POCでやること:
- 簡単なチャットUIを作成
- OpenAI APIを使って基本的な質問応答を実装
- 実際に商品について質問できるか検証
- レスポンス速度や精度を測定
目的:「AIチャットボットが実際に使えるかどうか」を証明する
POCの特徴
- ✅ 最小限の機能のみ実装
- ✅ 完成度よりも「できるかどうか」を重視
- ✅ 短期間(1〜2週間程度)で完了
- ✅ 本格開発前の意思決定材料として使用
🎭 Mock(モック)= 「偽物の代役」
Mockとは?
Mockは**テストのときに使う「偽物のコンポーネント」**のことです。本物の代わりに使います。
具体例で理解しよう
// 実際のAPI呼び出しの代わりにMockを使用
const mockUserService = {
getUser: jest.fn().mockResolvedValue({
id: 1,
name: "田中太郎",
email: "tanaka@example.com"
})
};
// テストでは本物のAPIではなくMockを使用
test("ユーザー情報を表示する", async () => {
const user = await mockUserService.getUser(1);
expect(user.name).toBe("田中太郎");
});
Mockが必要な理由
問題:テストのたびに本物のAPIを呼び出すと...
- ⚠️ テストが遅くなる
- ⚠️ 外部サービスに依存してしまう
- ⚠️ 予想外のデータが返ってくる可能性
解決:Mockを使えば...
- ✅ 高速でテストが実行できる
- ✅ 予測可能な結果が得られる
- ✅ 外部サービスの状態に左右されない
🎨 プロトタイプ(Prototype)= 「試作品・ひな形」
プロトタイプとは?
プロトタイプは**最終的な製品の前に作る「試作品」や「ひな形」**のことです。デザインや機能を具体的に確認するために作ります。
具体例で理解しよう
シナリオ:新しいタスク管理アプリを作りたい
プロトタイプでやること:
- Figmaで画面デザインを作成(デザインプロトタイプ)
- 実際にクリックできるモックアップを作成
- ユーザーの操作フローを確認
- デザイナーや企画者と仕様を確認
目的:「ユーザーにとって使いやすいか」を事前に確認する
プロトタイプの種類
1. ペーパープロトタイプ
- 紙に手書きで画面設計
- 最も早く・安く作れる
2. デザインプロトタイプ
- FigmaやSketchで作成
- 見た目を重視
3. 機能プロトタイプ
- 実際に動作する簡易版
- 主要機能のみ実装
POCとプロトタイプの違い
POC:「技術的に実現できるか?」を確認
プロトタイプ:「ユーザーにとって使いやすいか?」を確認
例:音声認識アプリの場合
- POC → 音声認識APIが正常に動作するか検証
- プロトタイプ → ユーザーが直感的に操作できるUI/UXを検証
📦 モノレポ(Monorepo)= 「一つの箱にまとめて管理」
モノレポとは?
モノレポは複数のプロジェクトを一つのリポジトリで管理する方法です。
従来の方法 vs モノレポ
従来の方法(マルチレポ):
my-company/
├── frontend-repo/ ← 別々のリポジトリ
├── backend-repo/ ← 別々のリポジトリ
└── mobile-app-repo/ ← 別々のリポジトリ
モノレポ:
my-company-monorepo/
├── packages/
│ ├── frontend/ ← 同じリポジトリ内
│ ├── backend/ ← 同じリポジトリ内
│ ├── mobile-app/ ← 同じリポジトリ内
│ └── shared/ ← 共通ライブラリも一緒に管理
モノレポのメリット・デメリット
メリット
- ✅ コードの共有が簡単
- ✅ 依存関係の管理が楽
- ✅ 一括でテスト・デプロイができる
- ✅ リファクタリングが楽
デメリット
- ⚠️ リポジトリサイズが大きくなる
- ⚠️ 権限管理が複雑
- ⚠️ ビルド時間が長くなる可能性
🎯 まとめ:4つの違いを一覧で比較
項目 | POC | Mock | モノレポ | プロトタイプ |
---|---|---|---|---|
目的 | 技術的実現可能性の証明 | テスト用の代替実装 | 複数プロジェクトの一元管理 | ユーザビリティ・デザインの検証 |
使用タイミング | 開発前の技術検証 | テスト実行時 | プロジェクト全体の構成 | 開発前の設計段階 |
期間 | 短期間(1〜2週間) | テスト実行中のみ | 長期間(プロジェクト全体) | 短〜中期間(数日〜数週間) |
成果物 | 動作する最小限のプロトタイプ | テスト用の偽オブジェクト | コード管理の仕組み | 試作品・ひな形 |
重視するポイント | 技術的な実現可能性 | テストの信頼性 | 開発効率・保守性 | ユーザビリティ・使いやすさ |
例え | 新料理のレシピ実験 | 映画の代役俳優 | 複数の部署を一つのビルで管理 | 建築の模型・設計図 |
🚀 実際の開発現場での使い方
ケーススタディ:新機能開発の流れ
1. プロトタイプ段階
「新しいUIデザインはユーザーにとって使いやすいかな?」
→ Figmaでデザインプロトタイプを作成してユーザーテスト
2. POC段階
「このUIを実現するための技術は使えるかな?」
→ 実際に動くPOCで技術検証
3. 開発段階
「外部APIの機能をテストしたいな」
→ Mockを使って外部APIをシミュレート
4. プロジェクト管理
「フロントエンド、バックエンド、共通ライブラリを統合したい」
→ モノレポで一元管理
使い分けのポイント
何を検証したいかで選ぶ
- 👤 ユーザー体験 → プロトタイプ
- 🔧 技術の実現可能性 → POC
- 🧪 コードの品質 → Mock
- 📁 プロジェクト管理 → モノレポ
いつ使うかで選ぶ
- 📋 企画・設計段階 → プロトタイプ
- 🔬 技術検証段階 → POC
- 💻 開発・テスト段階 → Mock
- 🏗️ プロジェクト構築段階 → モノレポ
おわりに
POC、Mock、モノレポ、プロトタイプは、それぞれ異なる場面で使われる重要な概念です。
- プロトタイプ = ユーザー目線での「ひな形づくり」
- POC = 技術目線での「お試し実験」
- Mock = テスト時の「代役」
- モノレポ = プロジェクトをまとめる「整理術」
開発の現場でこれらの用語が出てきたときに、「あ、あれのことか!」と理解できるようになれば幸いです!
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