#1. はじめに
ATLシステムズの田中です。前回は、「az monitor metrics list」をAzure CLIからAzureメトリックを収集するコマンドでご紹介しましたが、json形式で出力されるため、そのままではExcelなどでグラフにすることが困難です。
そこで、jq.exe(ver1.6)というフリーウェアを使い、JSON形式のメトリックをCSV形式へ加工する仕方を紹介します。
対応OS:Linux,MacOSX,FreeBSD,Solaris,Windows
※免責事項(必ず、ご一読ください)
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#2. 概要
JSON形式のメトリックを、jq.exeでCSV形式へ加工します。
#3. 結果
完成したbatファイルは下記です。
cd /d %~dp0
call az login --tenant ドメイン名
call az monitor metrics list --resource "/subscriptions/サブスクリプションのid/resourceGroups/TANA-Test-RG/providers/Microsoft.Web/sites/TestQiitaAppService" --metric AverageMemoryWorkingSet --aggregation maximum average --start-time 2021-06-01T00:00:00+09:00 --end-time 2021-06-30T23:59:59+09:00 --interval PT24H|jq-win64.exe -r ".value[0].timeseries[0].data[]|[.timeStamp,.total]|@csv" > resource_metrics.csv 2>&1
azmetrics2csv.batを実行すると、このbatファイルが配置されている階層に、resource_metrics.csvを出力します。
#4. jqコマンド部分の解説
今回は、**"timeStamp","average","maximum"**を列とするcsvを作成したいので、下記のコマンドとなります。
jsonを出力するコマンド| jq-win64.exe -r ".value[0].timeseries[0].data[]|[.timeStamp,.average,.maximum]|@csv" > resource_metrics.csv 2>&1
^➀ ^^^^^^^^^^➁ ^^➂ ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^➃ ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^➄ ^^➅ ^➆ ^^^^^^^^^^^^^^^^^➇ ^^^^➈
ここで、➀~➈は下記を意味します。
➀|
dosのパイプ演算子。演算子より左のコマンドの出力を、演算子より右のコマンドに流し込む。
➁jq-win64.exe
jq実行ファイル。Windows向け。jsonオブジェクト→csvデータに変換する。下記でダウンロード可能。
リンク:jq is a lightweight and flexible command-line JSON processor.
他のOS(Linux,MacOSX,FreeBSD,Solaris)の場合、以下のリンクからダウンロード可能。
Download jq
➂-r
JSON形式ではなく、生の文字列として出力するオプション。
➃.value[0].timeseries[0].data[]
プロパティの指定。取得する変数を内包するブラケット{}が入っているプロパティを指定する。
➄[.timeStamp,.average,.maximum]
取得する変数の指定する。csvの列にセットされる。
変数名の先頭に、➃の子要素の、という意味の . を付けることを忘れずに!
→➃➄を指定する文法については5.文法を参照。
➅@csv
出力形式の指定。
{
"cost": 86396,
"interval": "1 day, 0:00:00",
"namespace": "Microsoft.Web/sites",
"resourceregion": "japaneast",
"timespan": "2021-05-31T15:00:00Z/2021-06-30T14:59:59Z",
"value": [
{
"resourceGroup": "TANA-Test-RG",
"timeseries": [
{
"data": [ ←➃でここのプロパティを指定する。
{
"average": 0.0,
"count": null,
"maximum": 0.0,
"minimum": null,
"timeStamp": "2021-05-31T15:00:00+00:00",←➄で変数を指定。
"total": null←➄で変数を指定。
},
➆>
リダイレクト演算子。左のコマンドの出力(csvデータ)を、➇に流し込む。
➇resource_metrics.csv
出力ファイル名の指定。
➈2>&1
リダイレクトする範囲の指定。標準出力も標準エラー出力も区別せずにリダイレクトする。
#5. 文法
#4.jqコマンド部分の解説では、data配列の全要素それぞれの"timeStamp"、"average"、"total"を指定する必要があったので、➃➄➅では、以下のようにdataの全要素を指定する必要があります。
".value[0].timeseries[0].data[]|[.timeStamp,.average,.total]|@csv"
疑似コードに読み下すと、「全体要素の子要素(.)のvalueの[0]番目の子要素(.)のtimeseriesの[0]番目の子要素(.)のdata配列全て(data[])を指定しなさい。その各オブジェクト(|[])の子要素(.)のtimeStampとaverageとtotalを取得しなさい。」という指示になります。
注意点は、"value"のような「JSONでオブジェクトの配列が1つ存在する」という場合は、配列であることに変わりはないので、[0]は忘れないでプロパティの後ろに付けてください。
また、**"resourceGroup"**をとりたい場合➃➄➅は下記となります。
".value[0]|[.resourceGroup]|@csv"
疑似コードに読み下すと、**「全体要素の子要素(.)のvalueの[0]番目を指定しなさい。その各オブジェクト(|[])の子要素(.)のresourceGroupを取得しなさい。」**という指示になります。
・・・これで、プロパティ/変数名の指定は、ある程度できるようになりそうですね。(^^)b
jq.exeのオプションを知りたいときは、jq-win64.exe --helpを叩けば教えてくれます。
#7. 最後に一言
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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#8. 参考資料