Terraformは、「手作業でインフラを構築し、壊れたら復元できない」という悪夢から開発者を開放してくれるIac(Infrastructure as Code)ツールです。
本記事では、Terraformがどのように機能するのか、その基本的なアーキテクチャと仕組みをまとめました。
Terraformの概要
2014年にHashiCorp社によって開発されたOSSで、IaCツールの1つです。
IaCの代表的なツールとして、AWS、Azure、GCP、Alibabaなどの主要なクラウドプロバイダーに対応しており、クラウド環境を一貫した方法で、設計・管理できます。
Terraform の設定には、HCL(HashiCorp Configuration Language) というドメイン固有言語(DSL)を使用します。
Terraformの仕組み
実際にTerraformをインストールする前に、「Terraformがどのように機能するのか」、基本的な仕組みを理解しましょう。
基本的なアーキテクチャ
Terraformは主に以下の3つのコンポーネントで構成されています。
1. Core
ユーザーが記述したHCLコードを解析し、リソース間の依存関係を把握してリソースグラフを構築します。オーケストラの指揮者のように、楽譜(設定ファイル)を読み解き、どの楽器がいつ演奏を始め、どのように協調すべきかを判断します。全体の調和と正確なタイミングを確保する重要な役割を果たします。
2. Provider
AWS、Azure、GCPなどの各種サービスとの接続を担当するプラグインです。APIを通じてクラウドサービスとやり取りします。オーケストラの様々な楽器奏者のように、それぞれが特定の楽器(クラウドサービス)を専門とし、指揮者(Core)の指示に従って演奏します。各奏者は自分の楽器に関する深い知識を持ち、演奏技術(API仕様)が変わっても、オーケストラ全体の編成に影響を与えることなく対応できます。
3. State
現在のインフラの状態を記録し、次回の実行時に差分を検出するために使用されます。演奏の録音や楽譜への書き込みのように、これまでどのように演奏されたか(作成されたリソースの状態)を記録し、次の演奏会(次回のTerraformを実行)で参照できるようにします。ある部分をすでに完璧に演奏していれば、その部分を再度練習する必要はなく、変更のあった部分だけを練習すればよいのです。
まとめ
Terraformは、インフラストラクチャを宣言的なコードで定義・管理するためのツールです。Core、Provider、Stateという3つの主要なコンポーネントが連携することで、クラウド環境の一貫した構築と管理を実現します。CoreはHCLコードを解析して依存関係を把握し、Providerは各クラウドサービスとの対話を担い、Stateはリソースの現在状態を記録します。一貫性を保証することにより、Terraformは複雑なマルチクラウド環境においても安定したインフラ管理を実現します。