心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える」のレビュー記事です。
読んだきっかけ
有名な本であるエンジニアリング組織論への招待 ~不確実性に向き合う思考と組織のリファクタリングで心理的安全性がとりあげられていたため興味を持ったので読んでみました。
読み方
全部で5章にわかれています。
- 1章 チームの心理的安全性とは
- 2章 リーダーシップとしての心理的柔軟性
- 3章 行動分析で作る心理的安全性
- 4章 言葉で高める心理的安全性
- 5章 心理的安全性 導入アイデア集
1章->4章->5章と読んでいくか、1章の後2章3章は流し読みで4章5章に行くことをおすすめします。
2章3章は心理学や行動分析的内容で難解だったり、当たり前すぎる内容で文章も長くとっつきにくい内容という印象をうけました。
私は2章3章はあとで2〜3回読んで理解できました。
本書で出てきた用語で重要と思われたもの
章 | 用語 | 意味 |
---|---|---|
はじめに | 心理的安全性 | 組織やチーム全体の成果に向けた、率直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘が、いつでも誰もが気兼ねなく言えること |
プロジェクト・アリストテレス | Googleが2012年に立ち上げたプロジェクトで「効果的なチームは、どのようなチームか」を調査したもの。ここで心理的安全性が取り上げられ世間に広く知られるようになった。 | |
1. 心理的安全性がチームの学習を促進する | チームの心理的安全性が低い | 「チームのために行動しても罰をうける」という不安やリスクのある職場 |
話助挑新 | 日本の心理的安全性 4つの因子 1. 話しやすさ、 2. 助け合い、 3. 挑戦、 4. 新奇歓迎 | |
2. リーダーシップとしての柔軟性 | マインドフル | 「気づきに満ちている」状態、状況を客観的・俯瞰的にみることができる状態 |
創造的絶望 | ありもしない現像(いつかずっとイイ気持ちでいられる)にしがみつくのではなく、地に足をつけ前を向くために諦めること、そして「受け入れ」はじめること | |
3.行動分析で作る心理的安全性 | 好子 | 増えるみかえり |
嫌子 | 減るみかえり (悪いみかえり) | |
プロンプト | 正しい行動が起きる確率を高める、補助的なもの |
本の要約
1章 チームの心理的安全性とは
チームの心理的安全性とは、チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、というチームメンバーに共有される信念のこと。
心理的「非」安全性のチーム
- 「良かれと思って行動しても、罰をうけるかもしれない」と思われること。結果知識の共有も行われなくなる。
- 「それうまくいくの?」など提案に対して懐疑的な対応をすることなど
- 挑戦することがリスクと捉えられる
- 知識の共有がうまくいかない
心理的安全性が高い=チームで自己学習ができる
心理的安全性の高い職場とは「ヌルい職場」ではなく高い基準の仕事ができていることが前提
組織に心理的安全性をもたらすリーダーはあたなです、あなた自身の振り返りと、問題を他人事せず自分ごととして捉えていきましょう。
2章 リーダーシップとしての心理的柔軟性
心理的柔軟性
- 必要な困難に直面し、変えられないものを受け入れる
- 大切なことへ向かい、変えられるものに取り組む
- それら変えられないものと、変えられるものをマインドフルに見分ける
たとえ困難な思考や感情の体験があるとしても、人生の全ての体験にYESと言えるかどうか
「いま、この瞬間」への気付きと集中 ー>マインドフルな状態をつくる (瞑想など)
「物語としての私」から「観察者としての私」へ ー>俯瞰的に自分を見る
3章 行動分析で作る心理的安全性
- きっかけー>行動ー>みかえり フレームワーク
- 心理的「非」安全な組織は、嫌子を用いたマネジメントをする。=>おこられないために仕事をする。
4章 言葉で高める心理的安全性
- 言葉のきっかけー>行動ー>みかえりを意識する
- 部下に支持したときに、「ルールだから」だけでなく「やってよかった」と思える効果、みかえり(褒める)が重要
- 実際にその行動が成果がでるまでの補助としても褒めることは重要
5章 心理的安全性 導入アイデア集
- 理由をつけて感謝を伝える
- そのためには「メンバーを普段からよく見ている」「普段から気にかけている」ことが必要
明日から使えるテクニック
自分の習慣を変えてみよう 自分自身の「やめたい習慣」を行動分析する
(3. 行動分析で作る心理的安全性)より
- ステップ1 やめたい習慣、行動を1つ書き出す
- ステップ2 その行動はどのような時にやるのか(きっかけ)
- ステップ3 その行動のみかえりとはなにか
- ステップ4 行動のきっかけとみかえりを変えることで行動を再デザインする(悪い習慣をなくす)
あなた自身の「大切なこと」を言語化する3ステップ
(4.言葉で高める心理的安全性)より
- ステップ1 あなたの「コア業務」つまり、仕事でいつもやっている重要なことはなんですか?
- ステップ2 その業務にはどんな「大切にしたいこと」や意義・意味を込めることができそうでしょうか?
- ステップ3 あなたの、その業務の影響を受ける人々や社会について、より広く・深くイメージしてみてください。
その人々に、どのような良い影響をもたらすことができそうでしょうか?
機能別チームの大切なことの言語化
(4.言葉で高める心理的安全性)より
チーム・プロジェクトにとって、大切なことを言語化する
リクルート「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」
ソニー「客の欲しがっているものでなく、客のためになるものをつくれ」
グーグル「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみなあとからついてくる」
- ステップ1 あなたの業務をあまり知らない学生さんから質問されたと想像してみてください。
あなたの業務で目覚ましい成果を上げる上で特に大事なことはどんな行動をとることですか? - ステップ2 その行動をとると、どのような意義がありますか?
その意義から考えると、いま・この時代にあって「何をすること」が重要ですか? - ステップ3 素人は、一見「大事」と勘違いをしがちですが、「本当は大事ではない・やるべきでない」ことはなんですか?
5. 心理的安全性導入アイデア集
- 1on1で聞くことは3つ 「よいニュースはなんですか?」「悪いニュースはなんですか?」「いま、不安や不満なことはありますか?」
- 会議の始まりに 「心理的安全性宣言」をする。 どんな意見やアイデアを言ってもよくトラブル報告もしてよくそれを叱る場でなく一緒にどうするか考える場とする
- 日報などみんなが見る報告書に顔文字4パターンでの今日の気分を書いてもらう 「良い😆」「悪い😢」など
感想
マネジメント系の本はだいたい共通する項目が出てくるので何冊かそういう本を読んでいる方であれば「ああ、あのことね」と理解できる部分も多いと思います。
マネジメント系の本の中でも 「心理的安全性」 にフォーカスした本書は、この本が特に主張する、「すでに歴史があり文化ができあがってしまっている組織において変えられない風習」が心理的安全性を阻害する要因になっていると感じているマネージャー、一般社員にとって特に有益だと思います。
一般社員からマネージャーや組織に対して文化を変えていこうとする動きをするというのは難しいと思われますがこの本にやり方も書いてあるのでぜひ読んでみてみてください。
次に深く調べたい事、読みたい本
- 行動分析
- マインドフルネス
- Googleのプロジェクトアリストテレス