相も変わらずSES系で働いているのですが、この度案件が変わることとなり、引継ぎを行いました。普段あまり引継ぎをされて業務に臨める環境が少ないため、どのような引継ぎをしたら後任者は業務理解が進むのかを考えつつ引継ぎを行ったので、備忘録として書き残そうと思います。
前提条件
前任者
- 基本的に業務を一人で行っていた
- 主な業務は運用設計および構築、それに付随するスクリプト等の管理
- 引継ぎの最中にも業務がある
- 業務に携わる際には前任者不在で、丁寧な引継ぎはされていない
後任者
- 現場には引継ぎ時に赴任(現場の状況をほぼ知らない)
- スキル的にはスクリプトは扱えるが、運用の経験はあまりない
その他
- 引継ぎ期間は1ヶ月
- 基本的にリモートでの引継ぎがメイン
事前準備
引継ぎの方法を考える
今回引継ぎをするにあたって、重要視した点は以下の通りです。
- 作業の内容や構築物、定常業務を概要レベルで資料にまとめて振り返れるようにする
- レクチャーする時間と手を動かす時間、質問をする時間を設ける
- 質問がある際はドキュメントに残す
資料作成
資料は以下のような目次で作成しました。
- システムの概要図
- 業務で使用するシステムの概要及び注意点
- 業務内容ごとにターゲットを絞った概要及び注意点
基本的には、
- システムがどのような目的で存在しているか
- システム間の連携はどうされているか
- 各システムはどういう振る舞いをするか
- どういった業務でシステムを使うか
といった流れを資料で表現したかったため、この構成にしました。業務の説明から入ると、その業務ではこれを使うといった感じになり、システム全体の連携が頭から抜けてしまうことを危惧したため、まずはシステムがどういった目的を持って全体的にはどうなっているのかを説明することに重点を置きました。
引継ぎのプロセスについて
基本的には以下のように引継ぎを実施することを計画しました。
- レクチャーMTG(1時間)
- 自己学習(2時間)
- QA&レクチャーMTG(1時間)
一度教えられたことを実際にコードを触ってみたり資料を確認してもらい、質問があればQ&Aの時間で聞いてもらうというプロセスを取りました。
質問を五月雨式にチャットされるとこちらの業務が進まないこともあり、決まった時間にまとめて聞いてもらうようにしました。基本的に同じ質問が何度来ても答えますが、簡単に質問事項と回答をまとめられるスプレッドシートを作成し、その中で質疑応答を行うことで過去の質問が振り返れるようにしています。
引継ぎ時
引継ぎのプロセス説明
引継ぎでよく忘れられがちですが、前任者は後任者に対して引継ぎをどのように実施するかの説明を全段階でしておくべきだと思います。理由は、後任者が新しい現場で何をしていいのか分からない状況で入ってくるため、まず何をすればいいのかを事前に説明しておいたほうが迷わなくなるからです。
レクチャーMTG
レクチャーのMTGでは以下のような構成で話をしました。
- このレクチャーでどこまで説明するかを明言
- レクチャー内容の概要を説明
- 概要に沿って詳細を説明(場合によっては実演)
最初に何をするのか言っておいたほうが相手のインプットに良いと考え、このような形にしました。1回のレクチャーは1時間以内にし、最初に範囲を話すことで話題がぶれなくて良かったです。
自己学習
個人的には引継ぎで最も重要なのは自己学習の時間だと感じています。理由は、
- 人間は言われただけで物事を完璧に理解できない
- 実際に開発環境等で手を動かすことで、インプットの効率が良くなる
実際に触ってみないと分からないこともありますし、前任者がうっかり資料に入れ忘れていたことや説明し忘れていた事項が質問として出てくることもあります。このプロセスは重要です。
Q&A
質問はスプレッドシートで管理し、画面共有しながら回答しています。回答する際に気を付けたことは、
- 相手の質問を尊重する
- 回答する際には、資料を交えてわかりやすく説明する
- 回答から派生した質問も必ずシートに記載する
相手は現場に入ってきて右も左も分からないので、基礎的な質問が出てくることもありますが、面倒がらずに丁寧に説明する必要があります。ここを怠ると引継ぎの意味がありません。
現状
後任者が入ってきて一週間ですが、この一週間でほぼ全ての内容をレクチャーし終えることができました。正直2週間くらいかかりそうな業務量がありましたが、このプロセスを取ったことでかなりスムーズに引継ぎが行えました。もちろん、後任者の経験や実力が豊富だったことも大きな要因です。優秀な人材には感謝です。
まとめ
普段の引継ぎは資料を作って説明してあとは覚えて!という感じが多いですが、ちゃんとプロセスを組むことでしっかりと理解が進み、より効率的に引継ぎが行えると感じました。
前任者の皆さんには、後任者があとはいい感じにやってくれるだろうと無責任なことは思わず、ちゃんと引継ぎをしてあげてください。