微小管って凄まじい機能をたくさん持っていたよ・・・
前回の続きだよ
前回、量子脳理論に関して、元々トンデモ扱いだった自分が、最近の知見含めてよく見て見たら、細胞内のネットワーク構造がまさにAdS(反ド・ジッター空間)として定義できる形になっていて、しかもとんでもない動きを実際の生物の微小管がしている事に今更ながら気づいて驚愕したってお話でしたよ。
一応最初に言っとくと自分はまだ微小管が意識発生に直接影響してるとまでは考えてないんだけど、関係はいろんな意味でありそうというスタンスだ。
今回はまずこの微小管の機能、知ってるようで知らないことが満載なのでまずそれを見て行って、その上でこれがどういう物なのかを考えていこうと思ってる。
まずは基礎から
微小管というものがどういうものかは、ペンローズの量子脳理論の時代からも研究でかなり描像が変わってる事もあるから、最近の学説とかをよく確認した方がいいね。
まずは高校生の生物の範囲。基礎だから退屈な人は飛ばしてください。でもここまでもう教えてるんだね。
続いては、最近の医学での「抗がん剤」で、微小管の伸長を変化させることでがん細胞を死滅させるタイプの抗がん剤だね。
分かると思うけど、これをやったら、全細胞が当然分裂出来なくなるから、だから毛が抜けたりすることになるんだね。
続いては、微小管の働きの一つ、物質輸送に関してだ。特に神経細胞などでは、微小管は細胞の中心で作られた受容体分子などを長い距離、ひょっとしたら1m近くも距離があるような軸索のはじまで運ばないといけない。これは既に拡散では無理なので、実際に運ぶ機構が必要になる。
これ見たらわかるけど、微小管はまさにその「輸送路」として働いていて、その上を何と小さな分子が荷物を後ろにつけながら「歩いて」行くことが分かる。初めて見たとき驚愕したけど、今はもう多数の実験で証明されていて、完全に事実と言っていい。これは厳密な意味で両足、に当たる部分を交互に前に出していくのでまさに二足歩行、と言っていい。単細胞生物の中で既に分子が2足歩行ができてるなんて、どれだけ人間の生物への舐め方が激しい証拠だよね。
基礎的な知識はここまで。
前回の動画を細かく確認しよう
で、前回の動画だけど。
これも40年以上前だけど。実際でもこれぐらい実際に細かく観察してる動画は今でもあまりないからとても貴重なのと、まさに微小管の脅威の世界が広がっている。これを一つ一つ確認しよう。
まず繊毛と鞭毛だけど。これは微小管が直接起源となっているものだ。いわゆる「9+2構造」と言われる精密な分子構造からできている。恐ろしいのは、こういうものは真の意味で混じりけのない、 全原子を正確に並べたナノマシンである ことには注意してください。甘くないぞ。全原子を正確に並べた機械、なんて人間はまだまだちゃんと作れないんだけど、無数にいる池のゾウリムシとかには死ぬほどこういうものがあるって事だ。これも甘く見てる人多いと思う。
いわば細胞の外部駆動機関、動きを作るための一番の基本になる部分だ。もちろん全体がゆっくり動くのと、全体が伸び縮みして動く、いわゆる「アメーバ運動」は別でこれは筋肉にも使われているアクチンがになってる。
でも細胞の「高速な」動きをつかさどる繊毛と鞭毛が微小管からなるという事は確認したい。細胞は 「高速に」動くためにはまさに微小管が必要だ という事だ。「高速な運動」のための繊維、それが微小管だ。高速な動きの変化のためには当然なんだけど、「高速な情報処理」が必要になる。つまり微小管がある事は細胞の「高速な動きを行うために使われていて必須」な事はすぐ理解できるだろう。つまり少なくても、高速な動きとそのための情報はこの微小管でつかさどらないと、他には細胞内には候補は存在しない。
そして、この動画で紹介されている機能では、「太陽虫」でなんと太陽みたいに伸びてる足で獲物を捕らえる!!
で、驚くのは、この足は「微小管の束」で出来てるって事と、微小管の足は獲物を捕らえると「縮んで」獲物を体内に取り込むって事。
しかもこの時どうやって足を縮めるのかというと!筋肉みたいなものもないのに!?なんと微小管の束が「分解されて」縮んで、それで体内に取り込むんだよ。
ってさ。なんだ??これ驚異のシステムだよ!!
なぜか。レゴみたいな足に獲物がくっついたらそれを検知した上で、微小管の構造を分解してる。
要は、われらが作った機械で、鉄骨の先に獲物がくっついたとしよう。そうしたらそれを「鉄骨が感知して!!?」「鉄骨が先端から溶けて行って!?」「獲物をこっちも持ってくるって事だよ!!」
システム屋さんならこのシステムの恐ろしさがわかるはずだ。どうやって、鉄骨を含む細胞は「獲物を検知して」「検知したら鉄骨を溶かして」「体内に引き入れたのか」
ここでシステム的に必ず必要となるのは、「獲物を検知するセンサー」「検知したら鉄骨を溶かす判断」「鉄骨を即時に溶かす仕組み」だ。「その後溶けた!?鉄骨をまたすぐもとに速やかに戻す!?」という機構も必要だ。
これが全原子は位置の分かってる分子機械で行われている、んだ。単なる管の集まりが!?
センサー、情報処理、そして先端の分解と再生、の機構を持っていなくてはいけない!!!
いやこれはまじめな話。後ろにプロセッサないし。脳ももちろんないんだ。アセンブラも書けないし。線の集合、しかもわずかな分子の集合だけでそんなことはできないよ!!一体どうやるんだ!!?
さあ分かる人は少しは恐ろしくなってきたかな??
このように微小管はそれだけで細胞内で伸びたり縮んだりする。しかもそれはゴムみたいに、ではなく!!解体と再生と繰り返して構造を動的に変化しているという事で、これは細胞内の他の場所でも行われている。これだけで、微小管のまさに驚異の魔法性が明確になっている。
そしてもう少し見て行こう。
そして今度は微小管が細胞神経の長く伸びる繊維、「軸索」を形作っている様子だ。おっと??神経??神経は「微小管が長く伸びて」作ってるという事なのか・・・微小管が伸びて長い軸索を作って、そしてそこに物質を運ぶ。信号の伝達については、実は人間の脳などでは別の仕組みがある。大きく離れた繊維の端からはじを電気的な絶縁(ミエリン鞘)で接続する事で信号の伝達をものすごく大きくしている。これは進化の過程で得られたものだ。だけど、最初の神経細胞はあくまで「微小管から軸索が作られる」事に注意しよう。つまりは。神経細胞を作るのになぜ微小管が使われたのか??たまたまかもしれないが、上で書いたような「センサー」「情報処理」「接続路の物理的延長と短縮」の機能があったから、それをより拡大するために微小管が神経細胞の軸索を作った、とも十分に考えられる、という事だね。つまりは微小管はその成り立ちから、細胞の高速な動き、捕食といった極めて高度な役割をしていたので!神経を作ったのではないか?ともいえるという事だ。だとしたらやはり細胞骨格だけど、筋肉を作っているアクチンとは機能が大きく異なり、まさに、高速な細胞の動き、高度な情報処理に利用されているのが微小管なのかもと思わせるという事だ。
微小管の機能のまとめ
ここで微小管の役割をまとめてみよう。
- 細胞の構造の生成と維持
- 物質の輸送(往復路)
- センシング
- なんらかの情報処理
- 構造の速やかな伸長と短縮
- 神経細胞の軸索の形成
- 細胞分裂
細胞分裂でも遺伝子を引っ張っていくね!!なんとも自分のだよ!って言って大事な情報の金庫を運んでいってる感があるよね・・・
そしてこれらの動作はもう動画で明確で疑う余地というのはない。なんともすごい機能だよ。基本的にはたった2つのタンパクからなる単なる管なんだからね。
もう!!そんなことができるのか・・・・????管のくせに?センサーでプロセッサで伸びたり縮んだり自由??
ありえないだろ!!??
そこで。ふと思い出すのが、こんなことできるのがあったよね・・・
セルオートマトン、自分もよく昔遊びきってた、「Life」(ライフゲーム)だ、
セル・オートマトンとは?
ライフゲームはWikipediaにもあるし。知ってる人も多いだろう。発案者のConway氏はコロナで数年前に亡くなってしまった。コロナ憎し。
元々はライフというぐらいだから、生物の一種のシミュレーションになっていて、超簡単な規則からなるんだけど、極めつくせない、今でも新たなパターンが日々発見され続けている、とんでもなく複雑なシミュレーションだ。セルとは細胞と言ってもいいけど、それらの単純な仕組みで複雑すぎることができる、というのがセルオートマトンと呼ばれるものだ。、
これははまった人も多いとは思うけど、自分でも数十年前にあちこちのマシンでこれを作っていろんなパターンを入れては遊んでたんだけど。自分はこれをまたいろいろ改変したり、超巨大面を作成して遊んだり、いろんなことをしていた。そして、ルールを少し変えながら、そこにノイズをランダムに降らせるようにして、これこそ自然ではないか・・・??とか悦に浸ったりしていたよww
で、Conwayの書籍とか読むとわかるけど、本当にこれは複雑な系で、これで実際にはあらゆるコンピュータロジックも実装できるし、メモリなども実装できるし、プロセッサも作れる。今でもマインクラフトなどで同じような事やってる人も見るけど、単純な仕組みからでもこの系はいわゆる「チューリング完全」な系であり、まさに生きたり死んだりを繰り返す自然のシミュレーションとしても機能できる事がわかっている。
【動画】
だからもともとこの系はこの宇宙の成り立ちと近いもので、宇宙もとても単純な仕組みからあらゆるものが発生したのではないか、みたいに語られることも多い。
まあこれも知ってる人も多いとは思うんだけど。
でもね。微小管の仕組みはまさに「セルオートマトン」ならできそうなことをやってるわけだ。「センサー」「情報処理」「そして構造の拡大や縮小」全部できるからね。
おお、そうか、じゃあ、微小管はセルオートマトンで全部解決だ!!
には・・・残念ながらならないんだよね・・・
それはなぜかと言えば、
微小管では「セルオートマトン」にするための機構がないのでは?という事だ。
ライフゲームにおけるセルオートマトンは実際にはすべての機能が目で追えるし、シミュレーション可能だし、複雑であっても、その動きがすべて追えるものだ。だけど、微小管はこの構造の単純さからは、やはり「情報処理」みたいなことや「伸長と短縮の機構」とかあまり出てこない。
足りない!!!そうこれもシステム設計してればよくわかる。ライフゲームでもいくら何でも糸だけでこの機構を実装する事は出来ないんだ。無理・・・
だからね。そこでもう出さざるを得なくなる宝刀、それが「量子セル・オートマトン」という事なんだよ。だから怪しいというよりは、もうそれしかありえなくない??って話なんだよね。
量子セル・オートマトン
で量子セル・オートマトンなんだけど。
ああ、もはや日本語はなくなったねw
もはや私もよくわかんない、というか、まだまだ研究なんかほとんど手つかずの領域なんだけどね。
少なくても量子コンピュータや、量子機械の作成に関してはこういう技術もまさに今後必須になって行くだろう。
微小管は少なくても、その鋭敏なセンシング能力と、情報処理能力、そしてわずかな刺激での一種での構造の伸長と短縮などから、まさにこの「量子セルオートマトン」でないと動作できないだろう、という予測は十分につく。センサーは量子の敏感特性で可能だし、構造の速やかな変化もまさに量子やその下位次元での実装と思われる液滴のふるまいそのものだからね。
そして、情報処理に関しては、前から話をしている「量子もつれによるAdS空間の発生」はネットワーク構造に直結して作成され、実際にAIの単純なネットワーク構造(例:AE(Auto-Encoder)やU-Net)が、ちゃんと動作して絵まで描けることから、この世界でも動作できる事は明確だ。そしてそれがすなわち意識発生にかかわるのではという事を書いてきた。
という事は。やはり詳細機構はまだまだ不明とはいえるが、この微小管はまさに生体で「量子セルオートマトン」として動作していると考えるしかない。
結論とか言う?
上で書いたように、微小管はその実際の詳細構造と動作からは普通の古典機械では説明は不可能であり、逆に実在の「量子セルオートマトン」としてとらえればこの機構は少なくても大枠では説明がつく、という事が分かる。
まとめると、
- 単純なパーツのみでこれだけ多数の機能を果たすためには系がセル・オートマトンとして動作する事が必要
- 一方、一般的なセル・オートマトンであっても、これだけの機能をこれだけ小さな系では本来的に実現が不可能であるため、この系が量子セル・オートマトンである事は確実
- 量子セル・オートマトンであるとすれば仮定としての機能は説明可能
という事だ。
いやこれじゃわかんない!!という方もいるだろう。でも反証としては、
「古典系の物理でこの動作を説明できますか?」
これに尽きると思う。そしてこれはちゃんとまだ知らないからだろ?みたいな話ではなく、むしろアルゴリズム的な、原理的な不可能性であり、「量子超越性」の議論と同じように、古典処理系ではそもそも全く扱えない事をやってるからで、量子セルオートマトンならやっとその機構が仮定できるという事からだ。そして構造も全原子の位置が構造内で決まっていて、精緻そのものであって、まさに精密な分子機械、ナノマシンなんだ。ちゃんと機能できる量子セルオートマトンが実際にあり得るとすれば、こういうものでしか作成できないはずのものだ。
そして微小管の中心体とつながる構造はまさにAdSとしての構造であり、意識発生もありえなくはないのかもしれない。生物は単細胞の頃からこの微小管によって機敏な動きを獲得したのだし、その中で細胞の張り巡らされたネットワークの構造自体が情報処理を行い、それが情報量に比例した意識のかけら、にはなっているのかもしれない。まさに「一寸の虫にも五分の魂」だ。
ただ自分はそれが直接人の意識となるか、についてはまだ正確には見えない。少なくてもそれがさらに視床などですべて接続していかなければ巨大な一つの意識になるというのは難しいと思っている。なのでペンローズさんの主張はまだつながってない、というが今の結論です。