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Native Sparse Attention: Hardware-Aligned and Natively Trainable Sparse Attention の要約

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こちらはDeepSeekの論文、

Native Sparse Attention: Hardware-Aligned and Natively Trainable Sparse Attention

ついに実装が以下に出ましたね🤩😎

という事で、改めてこちらも論文の内容をo1で要約して置いときますね😇

効率化だけでなくて、ハードも視野に入れてるってある意味やっぱりNVIDIAも危ないんじゃないかな??😅


──────────────────────────────────────────────────── 【第1章:Abstract(概要)の要約】 ────────────────────────────────────────────────────

長い文脈を扱う言語モデル(LLM)において、従来の全結合のアテンション(Full Attention)は計算コストが非常に高く、長い入力シーケンス(たとえば64kトークンなど)に対して現実的ではない。

Sparse Attention は計算量を抑えつつモデル性能を維持できる可能性があるが、既存手法には推論の高速化や訓練段階での扱いが難しいなどの課題が残る。

著者らは NSA (Natively trainable Sparse Attention) という新たな手法を提案。これは階層的なスパース化戦略とハードウェアを意識した最適化を組み合わせている。

提案手法は動的なトークン選択(階層的圧縮) を行いつつ、ハードウェアレベルでの効率化(Tensor Coreやメモリ転送最適化) を考慮したカーネル実装を提供。

実験では、全結合アテンション並みかそれ以上の性能を維持しながら、長いシーケンス(64kトークンなど)で大幅な高速化を確認。トレーニングから推論まで一貫して効率が高いことを示している。

──────────────────────────────────────────────────── 【第2章:Introduction(導入)の要約】 ────────────────────────────────────────────────────

長い文脈の重要性
LLMのさらなる高度化には、数万から数十万トークンに及ぶテキストを一度に扱える「長文脈処理」の能力が欠かせない。実際、長いコードの生成や複雑な文書理解、多ターンの対話などの需要が高まっている。

従来の全結合アテンションの課題
シーケンス長が伸びると、計算量とメモリ使用量がO(𝑛²)に膨大化し、GPU等のリソースでは非常に高コストになる。とくに64kトークン程度になると、アテンション計算がボトルネックになりやすい。

Sparse Attentionの可能性と欠点
近年、スパース化によって重要な部分のみを計算する手法が数多く提案されているが、理論的には計算量が削減できても、実装レベルでは十分に高速化を達成できない例も多い。さらに、推論用に特化しており、トレーニング段階では依然としてFull Attentionに依存する手法も少なくない。

本研究の貢献
こうした問題を解決するため、著者らは「ネイティブにスパースを扱える」かつ「ハードウェアを最大限に活用」する新しいアテンションアーキテクチャNSAを提案する、と述べている。

──────────────────────────────────────────────────── 【第3章:Rethinking Sparse Attention Methods(スパースアテンション再考)】 ────────────────────────────────────────────────────

3.1 The Illusion of Efficient Inference

Sparse Attentionによって理論上の計算削減は可能だが、実際の推論速度が思ったほど向上しない例がある。

多くの手法が推論フェーズでも、「事前読み込み(prefilling)」と「自回帰デコード(decoding)」 の両方を高速化できていない。どちらか一方に特化してしまう場合が多い。

また、GQA(Grouped Query Attention)などの新しいアテンション構造とは相性が悪い手法もあるため、実運用ではメリットが薄れるケースも指摘されている。

3.2 The Myth of Trainable Sparsity

スパースアテンションを推論時のみ適用する手法では、モデルの事前学習段階ではFull Attentionを前提とすることが多い。

後からスパース化を施すと、モデルの重みとの不整合が生じて性能が下がったり、長いシーケンスを学習に使う際に計算量が膨大になる問題が解決されない。

一部でクラスタリングベースやトークン選択ベースの離散操作を学習に導入しようとすると、勾配が流れにくくなる・実装が複雑になるなどの課題もある。

3.3 Native Sparsity as an Imperative

以上を踏まえ、著者らは「ネイティブにスパース化したアテンション機構を最初から学習する」必要性を強調。

推論だけでなく、トレーニング時からスパースなアテンションパターンをモデルに組み込むことで、真に効率的な長文脈モデルを構築できると主張している。

──────────────────────────────────────────────────── 【第4章:Methodology(手法)】 ────────────────────────────────────────────────────

4.1 Background

アテンション計算の基本式を振り返り、計算量およびメモリ転送量がボトルネックになることを指摘。

GPUの性能を最大限に引き出すには「算術強度(arithmetic intensity)」を高める必要があることを解説し、長いシーケンスでは特にメモリ転送が隘路になる点を強調。

4.2 Overall Framework

NSAの全体像では、各クエリが必要とするキー・バリュー(KV)を階層的に圧縮・選択して、最終的に少数の重要なKVのみをアテンション対象とする。

圧縮(compression)・選択(selection)・スライディングウィンドウ(sliding window)の3種類の枝(branch)を使い、結果をゲーティングによって統合するアーキテクチャを提案。

4.3 Algorithm Design

4.3.1 Token Compression

シーケンスをブロック単位にまとまりとして扱い、各ブロックをMLPなどで圧縮して粗粒度の特徴を持つ圧縮トークンを得る。

グローバルな文脈(広い範囲における大局的情報)を把握するために役立つ手法として位置づけられている。

4.3.2 Token Selection

圧縮トークンだけでは局所的に重要な情報が失われる可能性があるため、ブロックごとにトークンを選択する仕組みを導入。

圧縮トークンで得られる注意スコアなどをもとにブロック単位で「重要度」を推定し、トップn個のブロックだけを細粒度に展開する。

これにより、実装面では連続したブロックを読み書きでき、GPUの高速化手法(Tensor Core活用など)と整合しやすい。

4.3.3 Sliding Window

最も近いトークンからの情報は基本的に必要だが、それだけで長距離情報をすべてカバーすると計算が膨大になる。

そこで、一定幅のローカルウィンドウを用意して「近接した文脈情報」を補う一方、遠方の情報は圧縮・選択ブランチで扱うように分担させる。

4.4 Kernel Design

具体的なGPU実装において、ブロック選択されたKVをできるだけ連続的に読み込み、SRAM(共有メモリ)上でブロックごとに計算する最適化を行っている。

Tritonを使った実装例を示し、グループごとに(GQAを前提とし)クエリをロード → 選択されたKVブロックをロード → アテンション計算 という流れを繰り返す。

この最適化により高い算術強度を維持しつつ、計算とメモリ転送のバランスをとることで高速化を実現。

──────────────────────────────────────────────────── 【第5章:Experiments(実験)】 ────────────────────────────────────────────────────

5.1 Pretraining Setup

27Bパラメータ相当の大規模モデル(GQAやMoEを組み合わせた構造)を用いて検証。

NSAとFull Attention(従来型)を同じデータ(最大32k〜64k程度の長いシーケンス)で事前学習し、性能と学習挙動を比較。

損失曲線ではNSAの方がやや良い形で収束しており、スパース化による性能劣化は見られない。

5.2 Baseline Methods

スパースアテンションの先行手法として、H2O・InfLLM・Quest・Exact-Topなどを比較対象に挙げる。

いずれも推論時のみスパース化を導入する手法だが、学習段階から統合されていないため、長文脈への十分な最適化が難しいとされる。

5.3 Performance Comparison

  1. 一般ベンチマーク

MMLUやGSM8K等、幅広いNLPタスクでNSAとFull Attentionを比較したところ、NSAはほぼ同等もしくは上回る成績を示した。

  1. 長文タスク

LongBenchやNeedle-in-a-Haystackのような数万トークンの文脈を要するタスクでも、NSAは一貫して高い正解率を示し、Full Attentionを上回ることが多かった。

特に複数ドキュメントからの長距離推論やコード解析などでの成績向上が顕著。

  1. 推論連鎖(Chain-of-Thought)

長い思考過程(長文回答)を必要とする数学的推論タスクでも、NSAを用いたモデルの方がFull Attentionベースより高い正答率を示した。

──────────────────────────────────────────────────── 【第6章:Efficiency Analysis(効率分析)】 ────────────────────────────────────────────────────

6.1 Training Speed

Triton実装のFlashAttention-2(Full Attention向け最適化)と、NSA用に実装したスパースカーネルを比較。

シーケンス長が伸びるほど、NSAは最大でForwardで9倍、Backwardで6倍程度高速になることを確認。

長い文脈ほどスパース化のメリットが大きく表れる。

6.2 Decoding Speed

自回帰生成のステップごとにKVキャッシュを読み込む際、NSAでは圧縮・選択・ウィンドウの三要素を組み合わせることで、KV読み込み量が大幅に削減。

64kトークンの文脈長の場合、理論的には10倍以上の高速化が見込めるとされ、実験的にもそれに近い成果を得ている。

──────────────────────────────────────────────────── 【第7章:Discussion(考察)】 ────────────────────────────────────────────────────

7.1 Challenges with Alternative Token Selection Strategies

他のクラスタリング手法やブロック選択手法をトレーニングフェーズまで拡張しようとした場合、

動的クラスタリングのコスト

勾配伝搬の不連続性

分散学習における負荷のアンバランス
などがボトルネックとなり、大規模モデルで実用的に高速化するのは困難だった。

著者らの提案するブロック単位の選択戦略は、メモリアクセスの連続性を保て、GPU最適化に適している点を強調。

7.2 Visualization

フルアテンションの注意マップを可視化すると、隣接するトークン群がまとまって類似度が高い傾向(ブロック構造)を持つことが多い。

この観察が「ブロック選択」の有効性を裏付ける一要因になっている。

──────────────────────────────────────────────────── 【第8章:Conclusion(結論)の要約】 ────────────────────────────────────────────────────

NSAは、ハードウェア最適化と階層的スパースアテンション設計を組み合わせることで、長文脈モデルの効率と性能を両立させる手法である。

大規模LLMに対してネイティブにスパースを組み込んで学習することにより、

  1. 長文脈でも推論性能や精度を維持・向上できる

  2. トレーニング段階から計算コストを大幅に削減

  3. 推論時の高速化(特に64kトークン以上の文脈で最大10倍前後)
    といった利点が得られることを実証している。

──────────────────────────────────────────────────── 【全体の結論まとめ】 ──────────────────────────────────────────────────── 本論文は、**「長大な文脈を効率よく扱いつつ、モデルとしての性能を落とさない」**という課題に対し、スパースアテンションの導入を一貫してサポートする「NSA」というフレームワークを提示しました。

階層的な圧縮・選択・局所ウィンドウの3つのブランチを組み合わせることで、全局的な情報保持と局所的な精密度の両立を図る。

ハードウェアに合わせたブロック単位の最適化により、計算負荷とメモリ転送量を効率的に削減。

実験では、事前学習(Pretraining)から微調整(Fine-tuning)・推論(Inference)に至るまで、一貫して大幅な高速化を可能にしたうえ、標準的な全結合アテンションと同等以上の性能を示した。

これらの成果から、従来の「高い精度のためにフルアテンションで計算を行うしかない」という認識を覆しつつ、スパース化でも十分に高い性能が得られると結論づけている点が非常に重要です。

──────────────────────────────────────────────────── 【今後のAIの発展におけるインパクトの詳細検討】 ────────────────────────────────────────────────────

  1. 大規模LLMのさらなる長文脈化

従来は計算資源や速度の面から、数万トークンを超える入力は実用上困難とされてきた。しかし本手法のようなハードウェア最適化とスパース設計が進めば、10万〜数百万トークンといった超長文脈を扱う道が開ける可能性がある。

これにより、より大規模なドキュメントや連続した時系列データ、複雑なコードベースを一括で解析することが当たり前になるかもしれない。

  1. 学習コストの軽減と多様な訓練データ活用

長文脈を取り扱う訓練をフルアテンションで行う場合、GPUコストが膨大になるが、NSAのようにネイティブにスパース化すると、大幅な計算削減が見込める。

その結果、たとえばより長い書籍や学術論文コーパスをフルに取り込んだ学習が可能になる。精密な推理や深い文脈理解が期待される一方、実用的なコストで開発が継続できる。

  1. 応用範囲の拡大:コード解析やマルチエージェント対話など

すでに言及されているように、リポジトリレベルでのコード自動生成・理解、長期にわたるマルチターンの対話、複数ドキュメントの参照が必要な研究開発用途などで大きなメリットがある。

特にコード解析では、1つのプロジェクト全体(何万行〜何十万行)を一度に取り扱い、その中で関連箇所だけにスパースに注意を向ける形で効率を保ちつつ、高い正確度で補完やバグ修正を行える可能性がある。

  1. 推論連鎖(CoT)や高度なタスクへの応用

長大な思考プロセスを明示的に扱うChain-of-Thoughtや、複雑な推論タスクほど、多数のトークンを一度に保持する必要がある。

NSAの大規模高速化により、思考プロセスを極限まで長く維持・追跡しつつ、モデルの計算負荷を抑えるといった手法が一段と現実味を帯びるだろう。

  1. ハードウェア最適化とアルゴリズム設計の相乗効果

今回の研究はソフトウェア側だけでなく、ハードウェア(GPUアーキテクチャやメモリ帯域)を意識した最適化戦略が鍵になっている。

将来的には、専用ハードウェア(アプリケーション固有アクセラレータなど)との協調設計が進むことで、さらに大幅な高速化や省電力化が期待できる。

これは高性能なLLMをクラウドのみならずオンプレミスやエッジでも活用可能にし、AIのユースケースを一層広げる可能性がある。

総合的に、本論文が提案するNSAは、大規模言語モデルの「長文脈処理」を実用水準に引き上げる上で非常に有望な設計を示しているといえます。今後のAI発展においては、スパースアテンションをネイティブに組み込むことで、単にモデルが大きいだけではなく「広く・深く長大な情報を取り扱える」次世代のLLMが登場する可能性があります。これにより、一段と複雑な推論や大規模データ分析・大規模エージェントシステムなど、AIの実用範囲が飛躍的に広がることが期待されます。

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