1. はじめに
当記事は全5回(+α)からなる Git入門シリーズ の第2回です。
今回は Windows 10にGitを導入する手順 と Gitコマンドの操作方法 について説明します。
- 1回: 概要
- 2回: 導入手順とGitコマンド
- 3回: データの保存
- 4回: データの活用と便利な操作
- 5回: ブランチ
- 番外編: GitHub
2. 導入手順
Windows 10にGitをインストールするには、公式サイトからWindows用のGitのインストーラーを落としてくるのが一番簡単だと思います。まずはGitの公式サイトに行きましょう。
トップページからダウンロードページに移動します。
このページからWindows用のインストーラーをダウンロードしてください。インストーラーのサイズは大きめなので時間も相応にかかります。
ダウンロードできましたらインストーラーを立ち上げ、セットアップを行ってください。導入作業はインストーラーの指示に従って進めれば、特に困るようなことはありません。ただ、いくつか注意しておいたほうがよい設定箇所があるので、そこだけ紹介します。
2-1. インストールパス
初期設定だと C:\Program Files\Git になっているはずです。Cドライブの直下などに配置したい人は、この設定を見逃さないようにしてください。
2-2. インストールオプション
途中、インストール時に行う処理を選択できる画面が表示されます。ここは好きに設定してもらったらよいのですが、特に気にしないならば標準設定のまま先に進んでもらって大丈夫です。
2-3. 標準のテキストエディタ
標準のテキストエディタの設定は少し注意をしてください。
Gitではテキストエディタを利用する機会があります。詳しくは次回記事にて解説しますが、Gitにデータを保存するときにメッセージを残すことができるのです。その入力にはコマンドライン上から入力する方法と、テキストエディタから入力する方法とがあります。
このとき呼び出させれる設定をインストール時に行う必要があります。初期設定では「Vim」というエディタが設定されているのですが、操作方法が大変特殊なので個人的にはオススメできません。可能であれば他のエディタ――最悪「メモ帳(notepad.exe)」でもよいので別のものを検討してください。
万が一、ここでVimにしても後ほど変更できますので、そこは安心してください。
3. Gitコマンド入門
インストールできましたら、さっそく操作してみましょう。バージョン管理には直接関係のないコマンドを、いくつか紹介しますので試しに実行してみてください。
Gitを操作するには git.exe をシェルから呼び出す必要があります。git.exeの場所はインストールされたディレクトリ直下にある bin というディレクトリのなかです。標準のインストールパスが C:\Program Files\Git なので、Gitインストール時にパスを変更していないならば C:\Program Files\Git\bin\git.exe にあるはずです。
インストール時に同ディレクトリにPathが通っているはずなので、ファイルの場所は意識せずに呼び出せるはずです。
3-1. 文法
git.exeの使い方――Gitコマンドの文法は以下の通りです。
PS C:\Users\AGadget> git [オプション] [コマンド] [コマンドのオプション] [コマンドの引数]
オプションは色々あるのですが、オプション名の前にハイフン記号が1つか2つ付くという共通点があります。また、ハイフン記号が1つのオプションはオプション名が簡易的で、ハイフン記号が2つのオプションはオプション名が丁寧であるという共通点もあります。
4. バージョン情報を確認
インストールされているGitのバージョンを確認するには --versionオプション を使用します。
PS C:\Users\AGadget> git --version
git version 2.27.0.windows.1
5. アップデート
インストールされているGitをアップデートするには update-git-for-windowsコマンド を使用します。
実行すると新バージョンが存在するか確認し、新バージョンがあるならばアップデートするかどうか訪ねてきます。
以下は、インストールされているバージョンが2.27.0で、新たに2.28.0が来ていたときに表示された内容です。
PS C:\Users\AGadget> git update-git-for-windows
Git for Windows 2.27.0.windows.1 (64bit)
Update 2.28.0.windows.1 is available
Download and install Git for Windows 2.28.0 [N/y]?
メッセージが [N/y]? で途切れていますが、これは入力待ちの状態であることを表しています。アップデートするならば y と入力して、Enterキーを押してください。すぐに新バージョンのダウンロードが開始されます。
以下は、アップデートを許可した後に表示された内容です。
PS C:\Users\AGadget> git update-git-for-windows
Git for Windows 2.27.0.windows.1 (64bit)
Update 2.28.0.windows.1 is available
Download and install Git for Windows 2.28.0 [N/y]? y
##################################################################################################################################################################################################################################### 100.0%-
##################################################################################################################################################################################################################################### 100.0%
新バージョンのデータのダウンロードが完了すると、インストーラーが立ち上がりますので、以降はインストーラーの指示に従ってください。
ちなみにアップデートがないときは以下のようなメッセージになります。
PS C:\Users\AGadget> git update-git-for-windows
Git for Windows 2.28.0.windows.1 (64bit)
Up to date
6. ヘルプ
ヘルプを確認したいときは helpコマンド を指定します。
コマンド単体で実行すると、Gitの文法と主要なコマンドが表示されます。
PS C:\Users\AGadget> git help
6-1. 特定のコマンドのヘルプを表示
特定のコマンドの使い方を知りたいときは、helpコマンドの引数に知りたいコマンドを指定してください。
PS C:\Users\AGadget> git help [知りたいコマンド]
PS C:\Users\AGadget> git help init
実行するとコマンドの使い方が書かれたHTMLファイルが開かれます。当コマンドを実行する前に、HTMLファイルの既定のプログラムにブラウザアプリを設定しておいてください。
6-2. 全てのコマンドを表示
全てのコマンドを表示するには --allオプション を指定します。
PS C:\Users\AGadget> git help --all
Gitのコマンドは非常に多いので、コマンド数の多さに比例して、表示されるメッセージもかなり長いものになります。
当コマンドにかぎらず、Gitでは非常に長いメッセージが表示されるとき、特殊な操作状態に移行します。これを便宜上 Vi/Vimモード と呼称します。詳しくは次項にて説明します。
7. Vi/Vimモード
コマンドを実行した結果、非常に長いメッセージが表示されるとき、Gitは特殊な操作モードに移行します。これを便宜上 Vi/Vimモード と呼称することにします。ViおよびVimというテキストエディタに似た操作方法で操作するモードだからです。
Vi/Vimモードの主要な操作を紹介します。
- q: Vi/Vimモードを抜ける
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- z: 大きく下にスクロール
- ↑: 1行上にスクロール
- w: 大きく上にスクロール