はじめに
初めまして、AgVentureLab 山田です。
生成AIの進化とともに、エンジニアの学び方やつながり方にも変化が訪れています。
私たちは今回、JAグループのシステム会社3社が参加する形で、「生成AIを活用したAIエージェントづくり」と「エンジニア同士の交流を促進するネットワーキング企画」 を組み合わせた技術イベントを実施しました。
このイベントには次の2つの目的がありました
- 生成AIの活用方法やエージェントの考え方を体験的に学ぶこと
- 技術的な興味・立場を共有するエンジニア同士が、自然に交流できる場をつくること
本記事ではそのうち、ChatGPTやプロンプトエンジニアリングを使って交流を生み出すネットワーキング企画 にフォーカスして紹介します。
参加型の出し物として実施した「AIステルス検索バトル」と「AI Enigma Challenge」のルールや設計の工夫、参加者の反応などをまとめました。
なお、イベント内で実施したAIエージェント研修については、今後別記事にて公開予定です。そちらもあわせてご覧いただけると嬉しいです。
目次
- どんな人たちが集まったのか
- ChatGPTと生成AIを活用したエンジニアイベントの構成
- 出し物①:ChatGPTで遊ぶプロンプトエンジニアリングバトル
- 出し物②:生成AI×謎解きでつながるエンジニア交流体験
- 出し物企画の設計・運営ノウハウまとめ
- イベントの手応えと参加者の声
- まとめ:エンジニア交流の設計に"生成AI"を加えるという選択肢
どんな人たちが集まったのか
今回のイベントには、JAグループに所属するシステム会社3社のエンジニア職が参加しました。
業務はウォーターフォール型の開発マネジメントから、研究・データサイエンス領域まで多岐にわたっており、立場や課題意識の近い“隣の技術者”たちという雰囲気でした。
一方で、普段は直接的なやり取りが少なく、「もっと自然につながる機会が欲しい」と感じることもありました。
そんな中、「生成AI」をテーマにしたイベントを通じて、技術を媒介にした交流を生み出せないかという思いから、今回の企画が生まれました。
ChatGPTと生成AIを活用したエンジニアイベントの構成
イベントはオフラインで実施し、参加者がリラックスして交流しやすいよう、軽食や飲み物も用意したカジュアルな雰囲気で行いました。
構成は以下の2部構成です。
第1部:生成AI・AIエージェント研修(※別記事で紹介予定)
- ChatGPTや生成AIの基本的な仕組みの理解
- エージェントの構成や思考パターンの理解
- 実際に簡単なAIエージェントを作って試すハンズオン
(※詳細は今後公開予定の別記事で解説予定です)
第2部:ネットワーキング企画(出し物2本立て)
- 企画①:AIステルス検索バトル
- 企画②:AI Enigma Challenge
どちらも参加型のゲーム形式で、「ChatGPTを使いながら、人と自然につながる」ことを狙った構成です。
ルールもシンプルなので、興味があればぜひ自分のチームや勉強会などでも試してみてください。
出し物①:ChatGPTで遊ぶプロンプトエンジニアリングバトル
「AIステルス検索バトル」は、NGワードを避けてChatGPTに“特定のキーワード”を出力させるというプロンプトゲームです。
プロンプトエンジニアリングのセンスと工夫が問われる内容で、自然と参加者の間に会話が生まれます。
ルールの概要
- 出題者から「目標キーワード」と「NGワードの一覧」が与えられる
- プレイヤーはNGワードを使わずにChatGPTにプロンプトを入力し、目標キーワードを出力させる
- 回答の成否は、ChatGPTの返答にキーワードが明示的に含まれているかどうかで判定
実際のお題例
-
お題①:目標キーワード「ディープラーニング」
NGワード:AI
,ニューラルネットワーク
,学習
,パターン認識
,ディープ
,ラーニング
-
お題②:目標キーワード「スマート農業」
NGワード:スマート農業
,センサー
,AI
,技術
,IoT
,農業ロボット
,ドローン
,自動化
,作物
使用モデルと公平性の配慮
有料プランユーザーと無料ユーザーでモデル差が出ないよう、有料ユーザーには「GPT-4o mini」モデルの使用をお願いして調整しました。
この企画の学び・効果
- プロンプト設計の奥深さと難しさを体感できる
- 発想の違いや突破方法が会話のきっかけになる
- ChatGPTを「使う」体験が、交流の中に自然に溶け込む
出し物②:生成AI×謎解きでつながるエンジニア交流体験
「AI Enigma Challenge」は、生成AIを使って暗号を解読し、参加者同士でカードを交換しながらキーワードを集めていく体験型の謎解き企画です。
ゲームの流れ
- QRコード付きの暗号カードを受け取る
- 生成AIや自分の知識で暗号を解読
- キーワードを獲得したら他の人に自己紹介してカード交換
- 全カードを集めたら、共通するワードを推理して答えを出す
暗号の例(共通ワード:カオス)
暗号 | キーワード | 手法 |
---|---|---|
EXWWHUIOB |
Butterfly | シーザー暗号 |
Entropy |
Entropy | HTMLエンコード |
u+46u+72u+61u+63u+74u+61u+6c |
Fractal | UTF-8エンコード |
UGFuZG9yYQ== |
Pandora | Base64エンコード |
laidromirp |
Primordial | パリンドローム |
・・・ ー ・ー・ ・ー ー・ ーー・ ・ |
Strange | モールス信号 |
設計上の工夫
- QRコードで配布 → AIに入力しやすく、誤入力が起きにくい
- 暗号がわからないとキーワードが手に入らない構成 → 会話と協力を促進
- AIの使用OK → 初心者も参加しやすい
出し物企画の設計・運営ノウハウまとめ
成功ポイント ✅
- 参加者全員が「考える+交流する」構成だった
- 謎解き要素とChatGPT活用がうまく結びついた
- 出題や構成にバリエーションがあったことで、飽きずに楽しめた
課題・反省点 ❗️
- 暗号カードの種類が6つあり、同じものを複数回受け取ってしまう人が続出
- 共通ワード推理パートの難易度がやや高く、AIの精度にも依存した
- 出題設計に時間と工夫が必要。特に共通ワード→キーワードの発想が難しかった
イベントの手応えと参加者の声
イベント全体を通して、参加者同士の交流はとても活発で、「自社の人とは違う視点で話せた」「プロンプトが全然違って面白かった」といった声が多くありました。
参加者の反応
- 普段使っているAIの別の使い方に気づけた
- 技術的に盛り上がりながら人とつながれるイベントはありがたい
- 他の場でもこの企画をやってみたい
まとめ:エンジニア交流の設計に“生成AI”を加えるという選択肢
今回のイベントでは、ChatGPTや生成AIを活用することで、エンジニア同士の交流や会話のきっかけが、より自然に・より深く生まれることを実感しました。
この記事で紹介した出し物は、勉強会や技術イベント、チームビルディングの場などでも応用可能です。
ぜひ、「ChatGPTをどう使うか」だけでなく、「ChatGPTを通して誰とつながるか」にも目を向けて、生成AIを活かした場づくりにチャレンジしてみてください。