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AWS Ampliy の DataStore を使ったら AppSync のデータアクセスがめちゃくちゃ楽になった

Last updated at Posted at 2019-12-24

概要

AWS Amplify Advent Calendar 2019、23日目は 今年のre:Inventで発表されたAmplifyのDataStoreについてです。本記事ではサンプルコードの実装にReactを用いていますが、基本的な考え方はVueなどの他のフレームワークでも同じです。

想定読者

  • Amplify 使ったことがある
  • AppSync 使ったことがある

Amplify DataStore の概要

まずは簡単に DataStore についておさらいします。DataStore は AWS AppSync に接続するための新たなインターフェースです。DataStore は以下のような特徴を持ちます。

1. クラウドへのデータ同期、及び競合検知

端末のネットワーク状況(オンライン or オフライン)を検知して、端末がオンラインになったら自動的にローカルデータをクラウドに同期し、データの競合をいい感じに解決してくれます。

image.png

2. デベロッパーフレンドリーなインターフェース

デベロッパーフレンドリーなインターフェースでGraphQLに詳しくなくてもAppSyncからデータを操作できます。GraphQLの操作を抽象化した関数を組み合わせることでAppSyncに対してクエリを発行できるようになりました。

スクリーンショット 2019-12-23 18.08.59.png

クラウドへのデータ同期、及び競合検知

DataStoreを用いることで、オフライン時のアプリの開発を簡素化することができます。
DataStoreはローカルストレージとクラウドの両方にデータの書き込みを試みます。端末がオフラインの場合、リクエストを失敗させることなく、ローカルストレージにのみデータ書き込みを行い、オンライン復旧後にクラウドへのデータ同期を行います。オフライン期間にクラウド上のデータとローカルストレージのデータで差分が発生した場合は、データのマージ、データの競合検知を自動的に行います。

そしてこれらの挙動は全て隠蔽されており、開発者はこれらの挙動について、意識をする必要はありません!!

DataStoreでは、データの競合時の動作を以下の3つから選択できるようになっています。

  • Auto Merge (デフォルト)
  • Optimistic Concurrency
  • Custom Lambda
データの競合が起こった時の挙動1(Auto Merge)

データの競合が起こった際の挙動はデフォルトではAutomergeが選択されています。
以下の例ではClienrt A、Client Bがオフライン中に同時にデータの更新を行った場合を想定します。DataStoreは互いの更新内容を確認し、自動でデータをマージしクラウド上のデータと各クライアントのローカルストレージ上のデータに対し更新を行います。

// 元のデータ
{
  id: 'id_001',
  name: 'Andy',
  hobby: [],
  _version: 1,
  _lastChangedAt: 1577001382093,
  _deleted: false
}
// Client A がオフライン中にローカルで変更したデータ
{
  id: 'id_001',
  name: 'Andy',
  hobby: [baseball],  // Client A が hobbyに baseballを追加
  _version: 2,
  _lastChangedAt: 1577001382094,
  _deleted: false
}
// Client B がオフライン中にローカルで変更したデータ
{
  id: 'id_001',
  name: 'Jeff',     // Client B が nameを Jeffに変更
  hobby: [tennis],  // Client B が hobbyに tennisを追加
  _version: 2,
  _lastChangedAt: 1577001382095,
  _deleted: false
}

この場合、Client A と Client Bの更新は矛盾なく実施することができるため、以下のようなデータにマージされます。

{
  id: 'id_001',
  name: 'Jeff',     // Client B の変更が反映
  hobby: [baseball, tennis],  // Client A,B の変更を反映
  _version: 2,
  _lastChangedAt: 1577001382524,
  _deleted: false
}
データの競合が起こった時の挙動2(Optimistic Concurrency)

Optimistic Concurrencyでは、データの競合を検知した際に、単純にクライアントからのリクエストを拒否します。クライアントは、再度、クラウド上のデータを正としてデータの更新処理を行う必要があります。

データの競合が起こった時の挙動3(Custom Lambda)

Custom Lambdaでは競合が起こった際に、独自に定義したLambda関数を起動させることができます。Custom Lambdaを用いることで、より柔軟なデータ競合時の処理を実装することが可能です。

データの競合戦略の変更はAmplify CLIから行うことができます。特に指定がなければAuto Mergeを選択するのが良いかと思われます。

スクリーンショット 2019-12-23 20.34.26.png

デベロッパーフレンドリーなインターフェース

DataStoreを用いたAppSyncのデータアクセス方法

先ほども言及したように、DataStoreの登場で、デベロッパーはGraphQLを記述しなくてもAppSync経由でデータストアにアクセスできるようになりました。

例えば、以下のようなスキーマがあった場合に、

enum PostStatus {
  ACTIVE
  INACTIVE
}

type Post @model {
  id: ID!
  title: String!
  rating: Int!
  status: PostStatus!
}

評価(rating)が4以上の投稿を抽出するには以下のように記述することができます。

import { Post } from "./models";

const posts = await DataStore.query(Post, c => c.rating("gt", 4));

第一引数には、取得する対象のデータモデルのClassを指定し、第二引数には取得するデータの検索条件を指定します。
さらに複雑な条件を記述することもできます。たとえば、以下の例では、「ratingが4以上、もしくは、ステータスがACTIVEな投稿」を取得しています。

import { Post } from "./models";
const posts = await DataStore.query(Post, c => c.or(
  c => c.rating("gt", 4).status("eq", PostStatus.ACTIVE)
));

ちなみにこれと同じクエリをGraphQLで発行すると以下のようになります。


const posts = await API.graphql(graphqlOperation(`
  query listPosts {
    listPosts(
      filter: {
        or: {
          rating: {
            gt: 4
          }
          status: {
            eq: ACTIVE
          }
        }
      }
    ) {
      items {
        id
        title
        rating
      }
    }
  }
`));

どうでしょうか。このようにGraphQLに精通していなくてもAppSyncに対しクエリを発行することができます。

静的型付け言語の恩恵

関数でクエリの操作を行えるようになったことで、TypeScriptやKotlin、Swiftといった静的型付け言語の恩恵を受けやすくなります。今まではGraphQLのクエリを文字列で記述していたのに対し、DataStoreでは関数でクエリを組み立てていくため、IDEの補完機能を用いながら実装を行うことができるようになります。
スクリーンショット 2019-12-23 22.58.24.png

Amplify CLI のcodegen というコマンドを実行することで、作成したモデル定義からAppSyncへのデータアクセスの実装に必要なソースコードを自動で生成してくれます。このコマンドを用いることで、静的型付けに必要なコードも自動で出力してくれます。

先ほどのモデルを定義した状態で、codegenコマンドを発行すると、以下のようなコードが出力されます。

import { ModelInit, MutableModel, PersistentModelConstructor } from "@aws-amplify/datastore";

export enum PostStatus {
  ACTIVE = "ACTIVE",
  INACTIVE = "INACTIVE"
}

export declare class Post {
  readonly id: string;
  readonly title: string;
  readonly rating: number;
  readonly status: PostStatus | keyof typeof PostStatus;
  constructor(init: ModelInit<Post>);
  static copyOf(source: Post, mutator: (draft: MutableModel<Post>) => MutableModel<Post> | void): Post;
}

型定義されたClassをimportすることで、先ほどのようにIDEの機能を活用しながら実装を進めることが可能です。

上記のソースはTypeScriptを用いることを前提としています。TypeScriptを用いない場合であってもある程度補完は効きますが、やはりTypeScriptの方が補完は強力です。

スクリーンショット 2019-12-23 22.38.44.png

まとめ

いかがでしょうか。DataStoreを用いればオフライン時のアプリの実装が非常に簡単になります。また、AppSyncへのデータ操作が関数で記述できることにより、非常に効率的に開発を行うことができるようになりました。Amplifyを使って開発をされている方は、是非DataStoreの導入も検討いただけると良いと思います!

おわり

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