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Raspberry Pi 5 + OMV + Tailscaleで自宅外からもアクセスできるNAS構築ガイド

Last updated at Posted at 2025-07-14

自宅にNAS、憧れませんか?

写真や動画、大切なドキュメント…増え続けるデジタルデータを、どこに保存していますか?
PCの内蔵ストレージだけでは心もとなく、クラウドサービスは便利だけど容量やプライバシーが気になる…
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。


「よし、NASを導入しよう!」と思い立っても、市販のNASは高価だったり、設定が複雑で手を出しにくいと感じるかもしれません。
また、外出先から自宅のNASに安全にアクセスしたいけれど、ネットワーク設定やVPNなんて聞くと頭を抱えてしまう…
そんな経験はありませんか?


本記事では、高性能に進化した 「Raspberry Pi 5」 と、直感的な操作が可能なNASソフトウェア 「OpenMediaVault (OMV)」、 そして専門知識なしで安全なリモートアクセスを実現する 「Tailscale」 を組み合わせることで、安価かつセキュアに、NASを構築する方法を徹底解説します。

機材と準備

ハードウェア

メーカー パーツ・アクセサリ名 用途 内容・仕様
公式 Raspberry Pi 5 4GBモデル
Argon Forty ケース 冷却 Argon NEO 5 M.2 NVME
公式 ACアダプター Raspberry Pi 公式(27W・USB PD・Type-C)
シリコンパワー ストレージ ストレージ M.2 SSD 1TB(PCIe Gen4)
SanDisk ストレージ OS書き込み microSDカード 128GB(Ultra)
なんでも ネットワーク 有線LAN(LANケーブル接続)
なんでも 初期セットアップ用 キーボード・ディスプレイ、またはSSH経由
なんでも micro HDMI ディスプレイ接続 Raspberry Piとディスプレイ接続

ソフトウェア

  • Raspberry Pi OS Lite(64bit lite)
  • Open Media Vault 6
  • Tailscale

構築方法

作業の流れ

  1. micro SDカード にOSをインストール
  2. OpenMediaVault のインストール
  3. Tailscale のインストール
  4. OpenMediaVaultTailscale の設定
  5. 動作確認

手順

Raspberry PiにOSをインストールする

1. Raspberry Pi Imager をダウンロード

以下のサイトからRaspberry Pi Imagerのインストーラーをダウンロードします。

2. インストールするパソコンのOSをクリック

スクリーンショット 2025-07-10 11.57.04.png

3. Raspberry Pi Imagerのインストール

ダウンロードしたファイルを実行して Raspberry Pi Imager をインストールします。

4. Raspberry Pi Imager を起動

Raspberry Pi Imagerを起動する前に、Raspberry Piに使用するmicro SDカードをパソコンへ接続しておいてください

スクリーンショット (2).png

5. Raspberry Piデバイス を選択

用意したRaspberry Piと同じものを選択します。今回はRaspberry Pi 5を選択しました。

スクリーンショット (19).png

6. OS を選択

スクリーンショット (20).png

7. Raspberry Pi OS(other) を選択

Raspberry Pi OS Liteをインストールするので、Raspberry Pi OS(other)を選択します。

スクリーンショット (96).png

8. Raspberry Pi OS Lite(64-bit) を選択

スクリーンショット (119).png

9. ストレージ を選択

スクリーンショット (129).png

10. 表示されているmicro SDカードを選択

Raspberry Piに使用する micro SDカード を選択してください。

スクリーンショット (135).png

11. 全て選択し終えたら、 次へ を選択

スクリーンショット (136).png

12. 設定を編集する を選択

Raspberry Piでログインする ユーザ名パスワードSSH などの設定を行います。

スクリーンショット (137).png

13. 一般の設定を編集

ユーザー名とパスワードを入力します。
今回は有線接続をするのでWi-Fiの設定はしなくても大丈夫ですが、一応しておきます。
タイムゾーンとキーボードレイアウトはご自身の環境に合わせて設定を行ってください。
(ユーザー名とSSIDは消しているだけなので、入力していないわけではありません)

スクリーンショット (138).png

14. ssh を有効化

現時点では パスワード認証 を選択していますが、公開鍵認証でSSHログインをしたい場合は公開鍵認証のみを許可する を選択してください。

スクリーンショット (167).png

15. 設定の保存

オプション に関してはそのままで大丈夫なので、一般サービス の設定ができたら保存をします。

スクリーンショット (168).png

16. 設定の完了

設定の編集 ができたので、はい を選択して次に進みます。

スクリーンショット (137).png

17. micro SDカードを初期化

はい を選択するとmicro SDカード 内のデータが全て削除されるため、
削除してはいけないデータがないことをしっかりと確認してから、行ってください。

スクリーンショット (177).png

18. micro SDカード を取り出す

書き込みが正常に終了しました とでたら、OS のインストール完了なのでmicro SDカード を取り出します。

スクリーンショット (178).png

OpenMediaVault をインストール

1. パソコンからRaspberry PiにSSH接続をしてコマンドを実行

Raspberry Pi にSSH接続するパソコンは、普段使用しているもので大丈夫です。
SSH接続ができたらパソコン上でコマンドを実行します。

zsh script.sh
wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/installScript/raw/master/install | sudo bash

実行すると OpenMediaVault のインストールが開始します。
インストール終了まで大体10~20分程度かかります。
(私の場合は10分かからずに終わりました)

インストールが完了すると、自動的にシステムの再起動が行われます。
再起動したらインストール完了です。

インストールの最後に再起動するため、SSH接続が切断されますので、
再起動後に接続し直してください

2. ブラウザで以下のアドレスにアクセス

Raspberry Pi に設定されている IPアドレス を指定してください。

http://<Raspberry PiのIPアドレス>/

3. 言語を変更

画像のように右上に 地球儀 のアイコンがあるので、ここから日本語に言語を変更することができます。

スクリーンショット 2025-07-13 11.21.16.png

4. OpenMediaVaultにログイン

サイトにアクセスすることができたら、ログインをします。
初期ログインはデフォルトで以下のユーザー名とパスワードが設定されています。

  • ユーザー名:admin
  • パスワード:openmediavault

スクリーンショット 2025-07-13 12.11.40.png

この画面が表示されれば、OpenMediaVault のインストールは完了です。

5. 初期パスワードの変更

現状は初期パスワードのままなのでセキュリティ上良くありません。
なので、パスワードの変更を行います。
右上の人のアイコンをクリックすると パスワードの変更 が表示されるので変更しておきましょう。

スクリーンショット 2025-07-13 12.12.50.png

TailScale をインストール

1. パソコンからRaspberry PiにSSH接続をしてコマンドを実行

こちらもOpenMediaVaultのインストール時と同様にSSH接続ができたら
パソコン上でコマンドを実行します。

zsh script.sh
curl -fsSL https://tailscale.com/install.sh | sh

実行をして

Installation complete! Log in to start using Tailscale by running:

sudo tailscale up

と最後に表示されていればインストール完了です。

2. tailscaleにログイン

インストールが完了したら、Tailscaleにログインをします。

zsh script.sh
sudo tailscale up

実行すると以下のようなログイン用のURLが出力されます。

To authenticate, visit:

	https://login.tailscale.com/a/abcdefghijklmnopqrstuvwxyz

ログインが完了すると以下のような出力されます。

To approve your machine, visit (as admin):

	https://login.tailscale.com/admin

Success.

これでTailscaleにRaspberry Piが登録されました。
今後は、NASにアクセスしたいデバイスをTailscaleに登録していくことで、遠隔からも安全にNASに接続することができます。(デバイスを追加するとこんな感じになります。)

スクリーンショット 2025-07-13 12.50.29.png

IPアドレスやバージョンなどの一部は消しています。

3. 起動時にTailscaleへ自動接続する

現時点では、Raspberry Piを起動するたびにTailscaleへ接続し直す必要があるため、起動時に自動接続するよう設定をします。

zsh script.sh
sudo systemctl enable --now tailscaled

OpenMediaVault の設定

NASユーザの設定

1. ユーザーユーザー を選択

スクリーンショット 2025-07-13 14.01.48.png

2. ユーザーの編集

Raspberry Piのユーザー名 を選択して 編集 ボタンを押す。

スクリーンショット 2025-07-13 14.10.34.png

3. パスワードグループ の編集

OpenMediaVaultにログインするパスワードをパスワードパスワードの確認の両方に入力します。

グループ_ssh がなければ追加をします。

スクリーンショット 2025-07-13 14.14.57.png

パスワードグループの編集ができたら右下にある「保存」ボタンを押す。
「保留中の構成変更」で「適用」を押す。

スクリーンショット 2025-07-13 14.27.46.png

はい を選択します。

スクリーンショット 2025-07-13 14.32.23.png

ストレージの設定

1. ストレージファイルシステム を選択

スクリーンショット 2025-07-13 14.38.25.png

2. 「 ファイルシステムを作成し、マウントします。 」 を選択します。

スクリーンショット 2025-07-13 14.41.14.png

3. EXT4 を選択

スクリーンショット 2025-07-13 14.42.52.png

4. デバイスを選択

デバイスを選択しNASストレージとして使用するSSD若しくはHDDを選択する。

スクリーンショット 2025-07-13 16.54.56.png

保存をクリックすると ファイルシステムの作成 という画面が出るので終わるまで待ちます。
END OF LINE と最後に出れば完了です。右下の 閉じる をクリックします。

5. ファイルシステムと使用量警告のしきい値の設定

ファイルシステムはおそらく1つしか表示されないと思うので、表示されたものを選択します。
しきい値に関してはデフォルトで設定されている 85%のままで大丈夫だと思います。
私はデフォルトの値のままにしています。
しきい値の選択をしたら右下の保存をクリックします。

スクリーンショット 2025-07-13 17.03.02.png

6. 保留中の構成変更を適用

これも同様に 保留中の構成変更 が出てくるので適用をクリックします。

共有フォルダの作成

1. ストレージ共有フォルダ を選択

スクリーンショット 2025-07-13 17.10.48.png

2. 作成 をクリック

スクリーンショット 2025-07-13 18.27.03.png

作成をクリックしたらこのような画面になります。

スクリーンショット 2025-07-13 18.33.37.png

名前 はお好きなものを入力してください。私は privateNAS と入力しました。
ファイルシステム はおそらく1つだけ選択肢が表示されるので、表示されたものを選択してください。

3. 保存を適用する

右下の保存をクリックしたら、保留中の構成変更を適用をします。
これも同様に 保留中の構成変更 が出てくるので適用をクリックします。

SMBの設定

1. ロケーションの設定

ユーザー設定 を選択します。

スクリーンショット 2025-07-13 18.39.38.png

2. ロケーションの有効化

有効 のチェックボックスをクリックします。
ロケーション 先ほど設定した共有フォルダが表示されるので選択をします。

スクリーンショット 2025-07-13 18.43.25.png

3. 保存を適用する

右下の保存をクリックしたら、保留中の構成変更を適用をします。
これも同様に 保留中の構成変更 が出てくるので適用をクリックします。

SMB/CIFSの設定

1. ワークグループとホームディレクトリの有効化

サービスSMB/CIFS設定 の順でクリックをします。

スクリーンショット 2025-07-13 18.44.32.png

画像と同じように2つのチェックボックスをクリックします。
必要ならワークグループ名も変更してください。
私はデフォルトのまま WORKGROUP にしています。

スクリーンショット 2025-07-13 18.51.42.png

2. 保存を適用する

右下の保存をクリックしたら、保留中の構成変更を適用をします。
これも同様に 保留中の構成変更 が出てくるので適用をクリックします。

共有フォルダの設定

1. サービスSMB/CIFS共有 の順でクリックをします。

スクリーンショット 2025-07-13 18.55.59.png

共有フォルダの項目を選択すると作成した共有フォルダの名前が表示されると思うのでクリックします。

スクリーンショット 2025-07-13 18.59.11.png

2. 保存を適用する

右下の保存をクリックしたら、保留中の構成変更を適用をします。
これも同様に 保留中の構成変更 が出てくるので適用をクリックします。

動作確認

macOSの場合

1. Finderを開いて、右上の 移動サーバー接続をクリックします。

スクリーンショット 2025-07-13 19.07.57.png

2. NASに接続

smb://Raspberry PiのIPアドレス 若しくは TailscaleのIPアドレス

画像のIPアドレスの部分は隠しています。
Raspberry Pi と同一ネットワークの場合は、Raspberry Pi のIPアドレス若しくは Tailscale のIPアドレスのどちらでも問題ありません。
異なるネットワークや遠隔からアクセスする場合は Tailscale のIPアドレスを指定する必要があります。
IPアドレスの入力ができたら右下の 接続 をクリックします。

スクリーンショット 2025-07-13 19.13.42.png

サーバに接続しようとしています。

と出るので、 接続 をクリックします。

スクリーンショット 2025-07-13 19.18.05.png

ユーザの種類登録ユーザ を選択します。
名前パスワードOpenMediaVault で作成した ユーザー名 パスワード を入力をして接続をクリックします。(画像の名前はセキュリティ上消しています。)

スクリーンショット 2025-07-13 19.18.35.png

接続をクリックするとマウントするボリュームの選択画面が出ます。
誰かと共有したい場合は、共有フォルダ をマウントするようにしてください。
自分専用の非公開領域を持ちたい場合は、接続時に入力したユーザー名と同じものをマウントしてください。ただし、OMV設定で「ホームディレクトリ有効化」が必要。
homesは基本的にはマウントしません。

スクリーンショット 2025-07-14 12.45.52.png

これでNASの構築および接続が完了しました。

実際に使用してみた感想

同一ネットワークと遠隔からアクセスして重たいファイルをアップロード・ダウンロードしてみましたが、思っていたよりも快適に使用することができました。RAID構成やバックアップなどはまだのため、データが消えてしまう可能性はありますが、また後で考えてみようと思います。

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