たまに見かけるんですが、揺れものリグってどうやるんですか?って質問。
毎回おんなじ様な事答えてるので一回自分の考えをまとめてみます。
もちろん他にも良い方法は沢山あると思うので、お勧めの方法あれば是非ご教授ください
揺れもの の定義
揺れもの 揺れものとありますが、具体的にはどんなものがあるかというと
- 髪の毛
- 上着の裾
- マフラー
- マント
- 脂肪
- 鎖
などなど、色々とあります。
これらの動きを付ける方法ですが、
だれが、どのタイミングで、どうやって動きをつけるのかによって色々と変わってきます。
揺らす方法
凄く雑に分けると
- 手付け
- シミュレーション
の2択になると思います。
手付けに関しては
アニメーターさんが
アニメーション作業時に
キーフレームを設定して動きをつける
訳ですね。
ではシミュレーションに関してはどうでしょうか?
シミュレーションの種類
シミュレーションももう少し細かく分類できます。
リアルタイム
ゲームなどのエンジン上で、動的に揺れる動きをつけてしまうタイプ
この辺は詳しく知らないのですが、
KawaiiPhysics とかよく耳にします。
キャッシュ作成
映像作品フル3D作品や実写映画のVFXなどではDCCツール上で、
完成したアニメーションにあわせて揺れものの物理シミュレーションを行い、
再計算の必要が無いように結果をキャッシュとして保存しレンダリングにまわします。
この場合シミュレーションを行うのは、専門部署 だったり リガー だったりと組織によりますね。
シミュレーションを行うツールは Mayaだったり、Hudiniだったり、マーベラスデザイナーだったり、これも組織によりますね。
リグ組み込み型
おそらくよく見かける質問をしてる方々はこれが主流だと考えてるのかなと。
あらかじめ揺れもの部分にシミュレーションできるセットアップをリグに組み込んでおいて、
アニメーターさんがアニメーション作業中にそれを使って動きをつけられるようにしておく方法ですね。
ものにもよりますが、nHairを使ったものはたまに見かけます。
セットアップの方法については バックボーンスタジオさんのブログでも紹介されてますね。
ただこの手法の場合、動きが確定した際にどうするかが重要になってきます。
確定しても 再現できない or 再現するのに再計算が必要なので時間がかかる だと困る人が多いです。
なので、キャッシュを作成するなりベイクするなりして動きをFIXさせる訳ですが、
これは組織のパイプラインに依存してくるかなと思います。
自分はこの方法嫌いなので、やらないです。
後乗せタイプ
既存のリグに作業シーン内でシミュレーション機構を一時的に被せてシミュレーションを行い、
結果をコントローラーにベイクしてキーフレーム化する というタイプですね。
ツール化されてることが多く、内製ツールだったりフリーのツールだったりします。
Mayaだとフリーのものが幾つかありますね。
例)
Spring Magic in Maya
最近だとプラグインを作成されてる方もいますね。こちらを使用すればnHair使わずにリグに組み込んだり、後のせできますね。
boneDynamicsNode
※完全に偏見なのですが、この手法についてはフル3D作品のアニメーターさんの方が存在を知ってることが多く、アニメ系のアニメーターさんには知られてないのかなぁという印象があります。
※以前似たようなツールを作った時には これは何の役に立つの?手で揺らせばいいじゃん。 って言われたことがあるので、まぁ文化の違いなんだろうなと。
永久になびく
これはシミュレーションではないのですが、
旗・マフラー・マント などで 待機モーションや風がふきつけてるときなど
ずーっとなびき続けている場合には、
スイッチを入れてばなびき続けるようなセットアップをsineデフォーマーやなんやかんやを使ってリグに組むことがあります。
で、結局?
で、結局のところ
作品のテイスト
組織の構造
パイプライン
等々のオプションによって
だれが、どのタイミングで、どうやって動きをつけるべきなのかが決まってくるので、
一概にこの手法が正解なんでことは無いと思います。
ただし、手法の選択肢が複数あることで↑のオプションそのものを変える事ができるので色んな手法を知っていて損はないかなと。