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Code for Japan 井戸端会議 [0..100]

Last updated at Posted at 2015-12-24

この記事は Civic Tech Advent Calendar 2015 に参加しています。アドベントカレンダー(Advent calendar)については アドベントカレンダー - Wikipedia「Qiita Advent Calendar 2015」の募集が始まりました - Qiita Blog などをご参考下さい。


2015年12月10日開催をもって Code for Japan 井戸端会議 という活動が100回目の開催を迎えました。そして翌週12月17日開催回を最後にいわゆる発展的解消として現運営体制を解散致しました

今回はこれを記念して (これまでの)Code for Japan 井戸端会議 とは何だったのか、それを振り返ると共にその運営の裏側を整理しておきたいと思います。

Code for Japan 井戸端会議とは

Code for Japan 井戸端会議 とは、毎週木曜日の夜19:00から21:00に用意される「機会」と参加者全員による「活動」そのものによって構成される「場」です。

以下、過去のイベント開催概要より抜粋

内容

Code for Japan 井戸端会議 は Code for Japan に関心がある方が気軽に議論したり相談しあったりする為の場です。
なんといっても井戸端ですのでかたくるしいルールなどは一切ありません。

よくある質問

Code for Japan ってなんですか?

Code for Japan の概要は DoorKeeper内のコミュニティページ をご覧下さい

実際なにやってるんですか?

成り行きまかせが多いですが、実例としては以下の通りです。

  • 事前もしくはその場で提示された議題についての議論
  • なんでも相談
  • Code for Japan に関係する作業をする
  • プログラミングの勉強
  • オープンデータに関する雑談
  • 技術的な相談事をしたい
  • もくもくと作業をする

懇親会などは開催されるのでしょうか?

多くの場合その後に会場近くのお店で適当にお酒を嗜みながら雑談、議論が行なわれます。都合の良い方はぜひご参加下さい。

開催目的と背景

Code for Japan 自体についての説明はここでは割愛しますが、その存在や活動をより広く認知して貰う為の一つの具体的な活動案として上がったアイデアがありました。

「様々な方々と直接対話する機会を設けることが、Code for Japanの理念や活動を理解して貰う機会として有効なのではないか」

そして、当時既に高頻度で継続的に開催されていた 「Code for Japan テクニカルチーム もくもく会」 という活動の参加者を中心に、これを具現化しようという話が持ち上がります。

そこで、まずは想定参加者層等を拡張、より一般的な参加者層を対象とすることも目的に会の名称変更を検討しました。

  • 多くの日本人が名前からその実を連想しやすいこと
  • 名称から連想する内容にさほど解釈のずれが無く誤解を招きづらいこと

といった条件を元に検討した結果、決定した名称です。

「Code for Japan 井戸端会議」

特徴

もちろん会の名称を変更しただけで期待した効果が得られる訳もありません。

その後も継続的な試行を重ねるうちに、徐々に以下のような特徴を備えてきます。

  • テーマ
    • 事前に定義しない
    • 当日の参加者に委ねる
  • 開催地
    • 開催地が毎回異なる
    • 極端な例としては 千葉県千葉市 > 神奈川県横浜市 > 埼玉県さいたま市
  • 会場
    • 同種の会場に限定しない
    • 公共施設(会議室)、ボランティアセンター、企業の会議室、等
  • 参加費用
    • 原則無料、もしくは少額
    • 無料で利用可能なボランティアセンターの利用、少額で利用可能な公共施設、有志による会場提供などにより。
  • 懇親会
    • 毎回開催

これらは全て当初の目的である 様々な方々と直接対話する機会の用意 という一点に対して選択された行動の結果でもあります。

なぜこの様な特徴を備えるようになったのか、それはどのような結果を生んだのか、等々については後述します。

「機会」の用意に徹する運営

map2.png

運営方針

そもそも継続的かつ長期に渡って開催するとこを想定していましたので、常に意識していたこととしては

運営コストの最小化

が挙げられます。これには時間、手間など全てを包含した総合的なコストを意味します。

そもそも Code for Japan 井戸端会議 自体がいわゆる勉強会の類いでもなく、有料のパーティーと言うわけではないという前提がありますので、実はさほどの準備は必要ありません。ですので、最低限必要な対応としては以下の2点となります。

  • 会場の確保
  • 開催概要の告知(と募集)

会場の用意

まずは特定地域での開催が連続しないように配慮しました。
その上で、会場については有志による会議室などの無償提供、可能な限り安価で利用可能な公共施設、有料となってしまいますがコワーキングスペースなどを交互に利用しました。

前者は来場者の交通面での利便性を考慮し、後者はなるべく来場者の費用負担を発生させず学生等の参加を促進したいという思いからですが、いずれも「より多くの方に初参加して貰いたい」という想いから選択した方法となります。

開催告知、管理

Facebook DoorKeeper Google Calendar Meetup

開催概要の告知には複数の手段を併用しました。

当初より Code for Japan では Code for Japan 参加メンバー向けグループ というFacebookグループを運用していた為、当初はグループ主催のイベントとしてイベントを作成することで対応していたのですが、次第に他のツールも利用するようになります。理由の一つとしてはFacebookアカウントを所有していない人もいるだろう、アカウントの作成が井戸端会議への参加の障壁となってはだめだろう、といったところでしょうか。

これは、イベントの参加者募集や参加実績の管理を考えた場合大変な愚策であることは間違い有りませんが、これもやはり前項と同じく「いずれもより多くの方に初参加して貰いたい」から選択した方法となります。
そして、会場によっては事前申し込み無しでの参加を拒否する理由がありませんでしたので、この方針自体さほど問題とはなりませんでした。

タスク管理についても少し触れておきます。

Trello

Trello は比較的シンプルなタスク管理ツールです。運営に際しては会場の準備状況から各サービスへの告知状況などの管理に利用していました。
ボード > リスト > カード というシンプルなデータ構造を中心にしつつも、それぞれのカードに対してチェックリストや期限、担当者の設定などタスクの共有管理としては程よい機能を備えており、デザインもシンプルで分かりやすいのでこの様なツールに不慣れな方にもお薦めです。特にチェックリスト自体を含む既存のカードを複製出来る機能は非常に役に立ちました。

AndroidアプリiOSアプリ も使いやすくてお薦めです :smile:

trello-card.png

運営体制

運営メンバーは前身のもくもく会への参加率も高かった3名を中心に1年程、その後1名増えて2015年12月1日時点では4名により前述の会場用意と関連タスクを処理していました。2人だと100回までは続かなかったかもしれません、最低3人、4人ともなればかなり余裕をもった対応が可能だと思います。

とはいえ一般的な勉強会等に比べれば準備のコストはかなり低く抑えられたと思いますし、だからこそ100回まで淡々と継続することが出来たとも思います。

Code for Japan 井戸端会議 その軌跡

ここで一息、100回の中でも特に印象深い回の紹介、また開催を通じて得られた知見などを幾つか紹介します。

尚、各回の様子をつぶさに記録することはないのですが、各回の様子や話題に上がった情報へのリンクなどは適宜 Facebook上に公開されている各イベント (要ログイン) に掲載されています。

:neckbeard: Code for America 元フェロー [Rob] 旅の途中で井戸端会議に参加

井戸端会議にはたまに外国人の方も参加して下さっていたのですが、 Code for America で2012年にフェローとなっていた Rob Brackett さんが旅の途中に立ち寄ってくれたことがありました。当日はRobさんからフェロー当時の話を伺ったり、その後お好み焼きを食べたりと普段とはちょっと違う内容だったことが強く印象に残っています。

2012 Chicago Fellowship Presentation to Code for Japan from Mr0grog

当日の様子

:beers: 懇親会会場 利便性ランキング :beers:

懇親会で利用させて頂いた店舗を対象とした独自調査に基づくランキングです。寸評と共に。

HUB ちばチャン 力

:beer::beer::beer: 英国風パブ HUB

店舗数の多さと立地の良さで利用回数も圧倒の1位のHUBですがなんと言っても精算がキャッシュオンであることは運営コストの最小化を標榜する井戸端会議運営において圧倒的な支持を得ました。事後精算無しの精算方式は参加者の終電事情にもやさしく井戸端会議には最適です。

:beer::chicken::ship: ちばチャン

2015年以降の利用頻度急上昇のちばチャンはなんと言ってもその低価格が魅力です。唐揚げ60個舟盛り(バカ盛り)をはじめとするバカラインナップは色々な意味で安定感が高く、結果的に注文回数の最小化は低コスト運営の実現に大きく寄与してくれます。

:beer: :muscle: :izakaya_lantern:

浦和x大宮という絶妙な関係性を持つ地域で展開している赤いオレンジ居酒屋「力」。地域課題の扱い方に長けているあたり大変勉強になります。

:train: 総移動距離 :bike:

面白そうですが役に立つ情報では無いので却下。

:chart_with_downwards_trend: 参加者統計 :chart_with_upwards_trend:

のべ参加者数、属性、ともにそもそも参加者を厳密に記録していないどころか参加実績すら記録していないので却下。

:pencil: Tips :warning:

井戸端会議運営に利用していたツールの中から誰も触れないようなtipを書いておきます。誰かが触れるような有用な情報は検索サイトで検索すれば出て来ると思います。

:information_source: DoorKeeper ではURLで言語を指定出来るが多用は禁物

DoorKeeper では今回利用したイベント管理ツールの中では唯一複数言語用の文章(日本語/英語)を用意することが出来、利用者は画面下部のリンクをクリックすることで表示言語を変更することが可能です。

しかし、URLのパラメーターとして locale=en, locale=ja のいずれかを付加することで意図的にリンク後の言語設定を変更出来ることが出来ます、実際はユーザー環境の設定を変更してしまう可能性があるため多用は禁物ですが、例えば意図的に英文表記を表示させたいような場合などは便利かもしれません。管理者側がそれぞれの表示を確認するために利用すると良いと思います。(APIでも同様に利用出来ます)

:expressionless: Elegantt はまだまだ扱いづらい

EleganttElegantt : Automatic scheduling tool for Trello の説明は割愛します。

タスクスケジューリング自体が好きな人は間違いなく気になる Elegantt for Trello ですが結構強引に連携している感が強い事もあり、現時点(2015-12-23)では以下のような点に注意が必要です。将来的にはTrello側が何らかの対応を行いもっとスマートな連携が可能になると良いですね。

  • 強引にカードを編集しているのでElegantt用の設定を変更しただけでTrelloのカード自体の更新が更新されたことになる
  • 結果、他サービス連携やAPIを利用している場合無駄に更新扱いとなってしまう

現段階で Elegantt for Trello を利用するような人はまぁこういう結果も覚悟している慣れっ子である可能性が高いとは思いますが、ボードの共同利用者が多い場合影響も大きいので覚悟して利用しましょう :sweat_smile:

100回を超えて

閑話休題

2年以上、100回開催を超えた

「Code for Japan 井戸端会議」の今

経験則(に過ぎないかもしれない)

結果的に特徴ともなった試行錯誤からは多くの経験則が得られました。

  • テーマ(決めない)
    • 参加者間で自由にテーマを設定して議論が出来た
  • 開催地
    • 当然ながら千葉県開催の際は千葉県在住の参加者が大半であり他の方の参加はごくわずか
    • 山手線の東側、例えば銀座で開催した際は職場が近隣にある方の参加が多く、渋谷、新宿方面からの参加者は少ない、逆も然り
    • 日中人口の多い場所に近いほど仕事帰りの参加者数が明らかに多い
  • 開催会場
    • 著名な企業提供の会場や繁華街にある会場とそうで無い会場とでは明らかに参加者層が異なる
  • 参加費用
    • 学生が参加する動機に十分な影響
  • 懇親会
    • いわずもがなコミュニケーションの機会としては効果が高い

尚、これらは同会が毎回東京周辺で開催されていたという事実に強く依拠しています。ある種特殊な条件下での経験則でありますが、それでも強く感じたことは 環境が及ぼす影響力は予想以上に大きい ということです。しかし、このことも Code for Japan、CivicTechといったまだまだ普及段階にある題材を扱っているということがさらに前提にありますので、その普遍性は決して高くないと考えるべきでしょう。

課題

結果的にその開催回数が100回を迎えた Code for Japan 井戸端会議 ではありますが、残念ながら未だに納得の結果となったとは言えない点も多くあります。あくまで運営側の判断によるものではありますが幾つかを記しておきます。

:neckbeard: エンジニアの参加者が少ない

Civic Tech という活動の宿命でもないのでしょうがいわゆる技術志向の勉強会等に比べるとエンジニアの関心は低いのか、それを喚起するだけの力が無かったのか、何とも言えないところはあります。しかし、ここで一般論を持ち出しても仕方がありません。こればかりは試行錯誤を繰り返し活動を継続為る他無いということはおそらく Civic Tech に限らず同様の活動を行っている方々共通の課題だとも思います。

Civic Tech のような活動に関心を持つ方としてははやり子育て世代、子育てを終えた世代、逆に学生といった年代の方々が多くおられます。このことは社会人になってから子供を持つまでの間に位置する方々の関心度が比較的低いことの裏返しとも言えます。

:office: 行政側参加者の比率がまだまだ低い

これには井戸端会議自体の開催時間にも問題があったと考えています。行政職員の方々が自発的に開催している勉強会等の開催時間が18時台であることも珍しくありません。また週末の開催事例も多いと思います。

Code for Japan 井戸端会議はその開催日時を 木曜日 19:00~21:00 と固定して開催してきましたが、可能であれば開始時間を18:00に設定するなどしより行政職員の方々が参加しやすいような工夫をすべきだったと考えています。

:clock7: そもそも開催時間が短い可能性

前項の開始時間問題とも関連しますが議論が白熱すれば2時間などあっという間に過ぎ去ってしまいます。井戸端会議では基本的に直後に懇親会を開催していましたが、やはり懇親会と本会では事情がことなります。より長い時間の開催時間とすることでさらに多くの方々が参加しやすいような環境を用意することも出来たかもしれませんし、そもそも集中してなにかを行う場合なども2時間では中途半端となることも考えられます。

会場用意の都合さえ付けば3時間、4時間の開催とし参加者は都合の良い時間に来場出来るような、そんな会場提供が出来れば尚良かったのかもしれません。

「そもそも週末にも開催すれば良かったんじゃ無いの? 」という意見もあるかと思います。

所感

どちらかと言えば風変わりな運営形態の Code for Japan 井戸端会議 ではあったかと思います。もちろんここには書けないような話も善し悪しを含め沢山あります。

ただ、その中でもこれだけは自負しても良いのかなと思うことが1点あります。

各地で開催し続けたことは本当に良かった

会場準備の都合上、首都圏1都3県に留まりましたがそれでも各地で開催し続けたことは本当に良かったと思っています。

Code for Japan や Civic Tech といった活動に関心を持つ様々な世代、立場の方々と議論することが出来たことは本当に有意義でした。 また、Code for つながりではありますが近隣のBrigadesの方々にそれぞれの活動や地域ならではの事情、課題などについて話を伺える機会、自治体職員の方、議員の方等立場のことなる方々と対話する機会、どれもかけがえのない「場」でした。

各地域に根付いた活動を行う上ではやはりある程度決まった場所、日時での活動を継続し続けることがまさに血肉となるでしょう。一方、Code for Japan 井戸端会議はある意味その真逆の活動を継続したわけですが、相応の価値はあったのではないかと思います。

今後の開催予定

冒頭にある通りこれまでの運営体制は2015年12月17日に解散致しました。

そして現時点で次回の Code for Japan 井戸端会議 開催予定はありません。

解散発表の際に表明した宣言文は次の通りです

第一期 Code for Japan 井戸端会議運営 解散宣言

2015年内を以て 現Code for Japan井戸端会議 運営メンバーは解散致します

我々の想い

Code for Japan 井戸端会議(以下井戸端会議)はCode for Japanと市民、行政、他との窓口となるべく定期的にその場を提供するものとして発足した。

今回現運営陣は解散することとなるが、それ自体が井戸端会議の存在を左右するものではない。

最後に体制解散を告知した際の文章より要旨を抜粋し、本記事の終わりとします。

前身のもくもく会開始以降、ほぼ2年間100回にわたって多くの方々にご参加頂き、まことにありがとうございました。

おかげさまで目標のひとつでもあったシビックハックナイトのコンセプトがある程度普及してきたかと思います。しかし一方では新鮮さが失われつつあることも事実です。

そこで、この度一旦活動を休止とさせていただくことにしました。

現在は全国各地のCode forでシビックハックナイトが開催されています。
今後は是非お近くのシビックハックナイトに参加してみて下さい。

シビックハックナイトがない場所ではぜひ自分たちで始めてみてください。

自らの手を動かすということが、シビックハックの本質です。

「Code for Japan 井戸端会議」運営体制変更のお知らせ より抜粋

謝辞

IK-800.jpg

Code for Japan 井戸端会議は参加者の皆さんが居たからこそ、実現できたプロジェクトです。

参加者の皆さん自体が運営チームなのです。

ありがとうございました。

IKP-800.jpg

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