Cursor の Pro 版でサポートされる AI 機能は非常に強力であり、無料版と比較して多くのメリットがあります。しかし、個人開発者や学生など予算に限りがある人にとっては、Pro 版の利用は難しい場合があります。
本記事では、無料で利用できる Gemini, Roo Code, Cody を設定することで、Cursor の無料版で少しでも Pro の使用感に近付ける方法を紹介します。
Cursor の開発持続性の観点からは、Cursor Pro の契約が望ましいことは言うまでもありません。本記事では、必要以上に Pro の契約を回避するように推奨するものではありません。
更新履歴
- 2025/03/13 Gemini 2.0 Flash との相性を踏まえ、Roo Code を推奨
- 2025/03/12 Composer が再編されて Agent になり、無料版でも使えるようになったのを反映
- 2025/01/09 無料枠で使い続けるという趣旨から、コード補完には Cody を推奨
概要
Cursor の無料版でも最低限の基本機能は利用できます。
- AI Chat でのメンション:Codebase (RAG)、Git、ファイル指定
- RAG を構築する手間が不要
- Git 機能は、コミットメッセージを生成するのに便利(特に英語でコミットメッセージを書く場合)
- ファイル内容をブラウザの AI にコピペして質問して、その回答をまたコピペで持って来るような手間が省ける
- [Ctrl]+[K] によるコード生成・修正
無料版で制限される機能はプラグインで代替することで、VS Code に同じプラグインを入れた状態よりも機能は多くなります。特に Codebase は有用です。
制限事項
Cursor の無料版における制限事項と、その代替案です。
- Cursor Tab(自動補完)の無料枠(使い切り 2,000回)を使い切った → Cody で代用(GitHub Copilot ユーザーはそちらの利用も可)
- プレミアムモデルの無料枠(50 回 / 月)を使い切った → Ask は Gemini、Agent/Edit は Roo Code で代用
- Web メンション(Web 検索)は Open AI 以外では利用不可 → 代替手段なし
- Gemini を設定しても、Open AI に対して Gemini の API キーを使おうとしてエラー
小規模モデル
小規模モデルの枠は "gpt-4o-mini or cursor-small" とされていますが、gpt-3.5-turbo
もこの枠で扱われます。gpt-4o-mini
が使えるため、敢えて使う意味はなさそうですが。
Gemini
AI Chat や [Ctrl]+[K] で Cursor の無料枠を使い切っても、Gemini の無料枠を使うことで継続して利用できます。(Agent/Edit を除く)
モデルは Gemini 2.0 Flash を推奨します。無料枠は以下の通りです。
2025 年 3 月 11 日時点
- 1 分あたりのリクエスト数: 15
- 1 日あたりのリクエスト数: 1,500
無料枠での入出力はサービス改善に利用されます。機密情報は渡さないようにご注意ください。
枠は、日本時間で 16 時頃にリセットされるようです。
Geminiの無料枠っていつリセットされてんだろうと思ってたけど、今見たらベンチ評価の続きが始まってたからどうやら16時くらいっぽい。
— うみゆき@AI研究 (@umiyuki_ai) September 8, 2024
Gemini の設定
Google AI Studio に登録して、API キーを取得してください。
Cursor で設定を開きます。
- ファイル → ユーザー設定 → Cursor Settings
- Models
Google API Key を貼って [Verify] をクリックします。
モデル一覧で gemini-2.0-flash
にチェックを付けます。
もしキーを追加するときや、初めて Gemini を使うときにエラーが出た場合、少し時間を置いて再試行してみてください。
Roo Code
Cursor チャットの Agent/Edit はプレミアムモデル専用です。枠を使い切った場合、Roo Code で代用できます。
API キーを登録すれば Gemini 2.0 Flash で利用できます。無料枠の制限に引っ掛かる可能性があるため、Auto-approve はオフにしておいた方が無難です。
Claude で最適に動くように作られているため、Gemini では性能が発揮しきれないようです。ただし Claude での利用は API の従量課金となるため、一般に Cursor の月額料金よりも高額になります。
Cline
Roo Code は Cline のフォークです。その本家 Cline ですが、Gemini での動作に問題があるため、無料枠に拘るのであれば避けた方が無難です。
DeepSeek の無料枠が用意されていますが、混雑していてほとんど使えないようです。
Cody
自動補完(Cursor Tab)は Cody で代用できます。利用にはユーザー登録が必要ですが、基本機能は無料です。
似た名前の拡張機能がたくさんあるため、インストール時に注意してください。
Cursor の自動補完の方が機能は豊富ですが、まったく利用できないよりはずっと良いです。
その他(自動補完)
無料で利用できる自動補完の拡張機能は他にもあります。
- Codeium: GitHub Copilot に似た使用感、無料枠では独自開発の Base Model を提供、自前の API Key は使用不可(開発元は Windsurf というエディタも開発している)
- Gemini Code Assist: Google が提供。自動補完の反応頻度が低いような印象だが、[Ctrl]+[Enter] で明示的に呼び出せる。
- Continue: API Key で LLM を登録、ローカル LLM も使用可能
GitHub Copilot に登録している場合、インストールして利用することも可能です。
- 無料枠は VS Code に限定されるため使用不可
- 学生・教職員や OSS 開発者には免除制度があり、申請して承認されれば無償で使用可能
- [Ctrl]+[I] が Composer と競合するため、要調整。「ファイル → ユーザー設定 → キーボードショートカット」を開き、"Ctrl+I" で検索して、Composer のキーバインドを削除
関連記事
別のシステムでひな形を作成して、細かい修正は Cursor に引き継ぐ方法を紹介します。
同じジャンルの Windsurf エディタの紹介です。
参考
本記事で紹介したツールが体系的に整理して紹介されています。
Cody の紹介記事です。
Codeium の紹介記事です。
Continue の紹介記事です。