Cursor の Pro 版でサポートされる AI 機能は非常に強力であり、無料版と比較して多くのメリットがあります。しかし、個人開発者や学生など予算に限りがある人にとっては、Pro 版の利用は難しい場合があります。
本記事では、Cursor の無料版で Gemini や GitHub Copilot を設定することで、Pro の使用感に近付ける方法を紹介します。
Gemini は無料枠があります。(機密情報は不可)
GitHub Copilot は基本的に有料ですが、学生・教職員や OSS 開発者への免除があるため、無料で利用できる場合があります。
概要
単純に VS Code を Cursor の無料版に置き換えた場合、差分としてよく使う機能は以下の通りです。
- AI Chat でのメンション:Codebase (RAG)、Git、ファイル指定
- RAG を別途構築する手間がないのは便利です。
- Git 機能は、コミットメッセージを生成するのに便利です。(特に英語の場合)
- ファイル内容をブラウザにコピペして、回答をコピペで持って来るような手間が省けます。
- [Ctrl]+[K] によるコード生成・修正
これらは GitHub Copilot にも同様の機能がありますが、GitHub Copilot を契約していなくても、Cursor の基本機能として利用可能です。
制限事項
Cursor の無料版における制限事項です。
- AI Chat からの Apply や、Composer は利用できません。
- Web メンション(Web 検索)は Gemini から使用できません。
- Open AI に対して Gemini の API キーを使おうとしてエラーになります。
- Open AI の API キーを登録して GPT 系のモデルを指定すれば使用できますが、費用が発生します。
その他
小規模モデルの枠は "gpt-4o-mini or cursor-small" とされていますが、gpt-3.5-turbo
もこの枠で扱われます。gpt-4o-mini
が使えるため、敢えて使う意味はなさそうですが。
Gemini の設定
AI Chat や [Ctrl]+[K] で Cursor の無料枠を使い切っても、Gemini の無料枠を使うことで機能させられます。
Google AI Studio に登録して、API キーを取得してください。
Cursor で設定を開きます。
- ファイル → ユーザー設定 → Cursor Settings
- Models
Google API Key を貼って [Verify] をクリックすれば、gemini-1.5-flash
が追加されます。
Gemini 1.5 Pro は自動では追加されないため、Add model から手動で gemini-1.5-pro
を追加します。この名前で認識されて、登録した API キーが使用されます。
試験的なバージョンを登録することも可能です。
gemini-1.5-pro-exp-0827
gemini-1.5-flash-exp-0827
たまたまかもしれませんが、キーを追加するときや、初めて Gemini 1.5 Pro を使うときにエラーが出ましたが、少し時間を置いて再試行したら成功しました。そのためエラーが出ても、間違ったと焦らないで、少なくとももう一度試してみてください。
Gemini の無料枠
2024 年 10 月 26 日時点
Gemini 1.5 Flash | Gemini 1.5 Pro | |
---|---|---|
1 分あたりのリクエスト数 | 15 | 2 |
1 分あたりのトークン数 | 100万 | 32,000 |
1 日あたりのリクエスト数 | 1,500 | 50 |
Google サービスの改善に使用されます。 | はい | はい |
無料枠での入出力は学習に利用される可能性があります。機密情報は渡さないようにご注意ください。
枠の制限上、基本的には Gemini 1.5 Flash を利用して、回答が不十分だった時の奥の手として Gemini 1.5 Pro を使うのが無難です。
枠は、日本時間で 16 時頃にリセットされるようです。
Geminiの無料枠っていつリセットされてんだろうと思ってたけど、今見たらベンチ評価の続きが始まってたからどうやら16時くらいっぽい。
— うみゆき@AI研究 (@umiyuki_ai) September 8, 2024
GitHub Copilot
Cursor は VS Code ベースのため、GitHub Copilot も動きます。Cursor 無料版で自動補完の無料枠を使い切っても、GitHub Copilot で代用することが可能です。
ただし [Ctrl]+[I] が Composer と競合するため、調整が必要です。
- ファイル → ユーザー設定 → キーボードショートカット
"Ctrl+I" で検索して、Composer のキーバインドを削除します。
ほぼ同じ機能の [Ctrl]+[K] と両方使えることになります。あまり違いはありませんが、UI は [Ctrl]+[K] の方がやや分かりやすいような気はします。使用感を比較してみることをお勧めします。
まとめ
Gemini や GitHub Copilot でやり繰りすることで、Cursor Pro の使用感に近付けることができました。
GitHub Copilot が無料で利用できる場合、単純に VS Code の代わりに Cursor を利用するだけでも、それなりにメリットはあります。
そうでない場合でも、Cursor Pro と GitHub Copilot では費用に差があるため、少しでも節約するなら、敢えて Cursor の無料版で GitHub Copilot を使用したいケースもあるでしょう。ただし Cursor のフル機能は使えないため、コストパフォーマンス的な観点から、どちらを選ぶかは検討の余地があります。
Cursor の開発持続性の観点からは、GitHub Copilot よりも Cursor Pro の契約が望ましいことは言うまでもありません。本記事では、必要以上に Pro の契約を回避するように推奨するものではありません。