CG分野で使われるSpherical Harmonics。自分の数値シミュレーション計算に用いたいと思い調べると、量子化学の講義にたどり着く。
そして関連ビデオを見ていると出てきた数式。
そのビデオの中の積分の結果が自分の導出と異なる。
ビデオの式では以下となっている。
\int{sin(kx)cos(kx)}dx = -\frac{1}{2k}cos^2(kx)
この積分は2通りの方法を試した。
t=sin(kx)を使う編
以下の式を(式1)とする。
\int{sin(kx)cos(kx)}dx
上記の式が与えられた時に思うのは「片方消せばいい」ということ。
cos()を消すには1/cos()をかければいい。
1/cos()を作るには「sin()の微分(=cos())の逆数があればいい」となる。
ということで以下のようにtを定義する。
t = sin(kx)
xで微分して
\frac{dt}{dx} = cos(kx)k
上記をdx=の式に変形する。
dx = \frac{dt}{cos(kx)k}
このdxの式を式1に代入すると
\int{sin(kx)cos(kx)\frac{dt}{cos(kx)k}}
となり
=\int{sin(kx)\frac{dt}{k}}
t=sin(kx)と置いたので
=\int{t\frac{dt}{k}}
でこれはtの積分なのでt^2/2となり
=\frac{1}{k}\frac{t^2}{2}
=\frac{1}{2k}sin^2(kx)
として式が導出された。
が、ビデオの式とは違う。
加法定理を使う編
以下は再度、(式1)。
\int{sin(kx)cos(kx)}dx
この式を見て思い出すのは加法定理
sin(2x) = 2sin(x)cos(x)
式変形して
sin(x)cos(x) = \frac{sin(2x)}{2}
sin(kx)cos(kx) = \frac{sin(2kx)}{2}
この式を式1に代入して
\int{sin(kx)cos(kx)}dx
= \int{\frac{sin(2kx)}{2}}dx
sin()の積分は-cos()、2kxの微分は2kなので
= -\frac{cos(2kx)}{2*2k}
= -\frac{cos(2kx)}{4k}
として導出された。
がビデオの式とは違う。
desmosで比較
自分が導出した2つの式とビデオの式をdemosで可視化した。
https://www.desmos.com/calculator/huzg9fydem
波の位相は合っている。
縦方向が異なるが、これは積分定数が異なる、ということだろうか。
元の式
Wolfram Mathematicaで元の式が導出された。
ビデオの人は自分で導出はしてないのかもしれない。
式が複雑になってくる場合、こういうツールを使うのは普通かと思う。
2つ目の式
Wolfram Mathematicaでsin(kx)cos(kx)の式に+1すると+1の積分以外はこの記事の2つ目の式となった。