はじめに
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@7_inai_
IT技術とは少し異なりますが、この記事では半導体製造業のビジネスモデルとして挙げられる「ファブレス」と「ファウンドリ」について記載します。
ファブレスとファウンドリ
■ファブレス
ファブレスとは、fabrication facility lessの略で、工場を持たない会社 を意味しています。
製品の設計・販売・マーケティング等製造以外の分野に特化し、製造は他の企業に委託します。こうすることで、ファブレス企業は、設備投資や設備維持のための負担とリスクを保有せず に製品を生産することができます。
代表的な企業:Apple、キーエンス、任天堂
■ファウンドリ
ファウンドリ(foundry:鋳造所)とは、他社からの委託を受けての生産 を専門とするメーカーのことです。特に半導体メーカーやファブレス企業からの委託を受けることが多く、様々な企業の製品をまとめて生産するため、生産コストを抑える ことができます。また、生産技術に集中して投資を行えるため、技術の水準が高く、安定した生産を行うこともできます。
代表的な企業:TSMC、Intel
半導体業界との関係性
ファブレスとファウンドリは、主に半導体業界で使用される言葉です。では、なぜ半導体業界ではそのようなビジネスモデルが一般的なのでしょうか?
その理由は、製品の開発サイクルが短く、生産設備の投資に莫大なコストがかかるという半導体業界の特徴に対して、ファウンドリ企業/ファブレス企業による分業が非常に適している
からです。
もう少し詳しく説明します。半導体の製造には特定の専門的技術が必要とされます。そのため、技術者や製造設備を揃えるだけでも、難易度が高く多くのコストが必要となります。また、技術的な進化が早いことから開発サイクルも短くなるので、製造設備を整えることのリスクも非常に大きなものになります。そこで考えられた方法が、ファウンドリ企業とファブレス企業の分業です。ファウンドリ企業は製造に集中することで、技術的にもコスト的にも半導体の製造要件を満たしやすくなり、ファブレス企業は開発/設計に集中することで、製造に関するリスクを抑えて高品質の製品開発を行えます。
終わりに
今回は、ファウンドリとファブレスという「分業」を手段としたビジネスモデルを紹介しましたが、半導体業の他にも様々な業界が「分業」を行っています。
例えば、自動車産業では自動車メーカーが車のデザインや設計を考え、細かな部品は他のサプライヤー企業に委託しています。またIT企業では、ハードウェアの製造とソフトウェアの製造を分けて開発を行うことが多々あります。
このように、「分業」というビジネスモデルは多くの業界で採用されています。最近では「長所を生かす」という文脈の言葉を多くの場面で耳にしますが、ビジネスモデルという概念で見ても「長所を生かした」分業がより進められていくかもしれません。
最後までお付き合いくださりありがとうございました。