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ジョブカンAdvent Calendar 2024

Day 19

結局、個人で大容量のバックアップをするなら何が「お得」なのか

Last updated at Posted at 2024-12-18

ジョブカン事業部のアドベントカレンダー19日目です。

ジョブカン事業部でセキュリティ関連の業務を担当している @77a5b7 と申します。

今回は、私が趣味で構築を検討しているバックアップ環境について、候補環境をまとめたためご紹介します。

背景

趣味で画像や音声データを多量に扱う関係上、自宅にてファイルサーバを運用しています。

このファイルサーバについて

  • デスクトップPCを利用しているため、耐久性が心配
  • ファイルの読み書きが頻繁に発生するため、HDD等の破損が心配
  • カメラで撮った写真など、一度破損すると復元できないデータなどもあり心配

等の理由から、長期間の保存に耐えうる仕組みを検討、構築運用します。

前提

検討する上での前提条件をまとめます。

  • 現状(2024/12現在)で10TBのデータがある
  • データはオンプレ環境上のファイルサーバ(デスクトップPC)上にある
  • 10年間はシステムを維持する前提とする
  • 年間で2TBずつデータが増える想定とする
    • つまり、10年後には30TBになる
  • データは書き込みがベースであり、緊急時以外は読み込みしない
    • データを読み書きするのは、現状のファイルサーバから行う
  • データはすぐに取り出せる必要はない
  • 機器の破損は常識の範囲で検討する
    • 10年間でデータが完全に喪失する可能性を1%未満とする

つまり、

要件 内容
データ容量 30TB以上
元データ配置 オンプレ
保持期間 10年間
データ方向 緊急時以外、書き込みのみ
取り出し時間 ある程度
完全喪失の可能性 保持期間内で1%未満

を検討する際の検討項目として含めます。

また、下記中の価格は記事記載時の最安値で計算しております。

検討候補

下記、3パターンについて検討します。

  1. HDDにバックアップ
  2. NASにバックアップ
  3. AWSにバックアップ

HDDにバックアップ

まずは、一般的なHDDに対するバックアップについて考えます。
(この項目一番算出が難しい候補でした。)

データ容量

  • 8TBのHDDを4枚購入することで、要件を満たします

元データ配置

  • オンプレのファイルサーバにそのままHDDを接続すれば問題なく運用できそうです

データ方向

  • 特に気にするべき項目はありません

取り出し時間

  • 即時取り出し可能です

完全喪失の可能性

  • これに関しては検討が難しいですが、バックアップ時のみサーバに接続しそれ以外はケース保管であれば、破損の確率は限りなく少ないと考えます
  • 基本的に破損はないと考えるのであれば完全喪失はないですが、HDDが1枚壊れるごとに1/nのデータが完全喪失する可能性があります

その他

  • 運用はいちいちHDDの取り外しがあったり、外したHDDの取り扱いに気を使う必要があったりと面倒が多そうな印象です

価格

物品 単価 個数 金額
western digital社製HDD WD80EAAZ 19,140 4 76,560

総じて、76,560円

NASにバックアップ

次に個人的に大本命のNASへのバックアップについて検討します。

データ容量

  • 後に記載します、「完全喪失の可能性」の観点からRAID構成を検討する場合、下記のパターンにて検討を行いました
HDD枚数 1枚当たりの容量 RAID 利用可能容量
1 30TB - 30TB
3 16TB 5 32TB
4 16TB 6 32TB
6 8TB 6 32TB

元データ配置

  • オンプレのネットワークにそのままNASを接続すれば問題なく運用できそうです

データ方向

  • 特に気にするべき項目はありません

取り出し時間

  • 即時取り出し可能です

完全喪失の可能性

  • これについては、HDDの特性から計算することができます
  • HDDは一般的なNAS用HDDより、下記の仕様で計算しました
    • MTBF: 100万時間
    • 稼働時間: 24時間365日
    • 稼働期間: 10年間

以上の前提から各HDDのパターンの故障率は以下の通りです。

HDD枚数 RAID 故障率
1 - 8.39%
3 5 0.0008%
4 6 0.0000676%
6 6 0.000135%

その他

  • 個人的にですが、自宅環境内に大規模なNASを構築するということにロマンを感じております

価格

  • 故障率と各HDDの手に入れやすさから、RAID6の8TB 6枚をピックアップして計算しています
物品 単価 個数 金額
QNAP社製NAS TS-673A 129,980 1 129,980
western digital社製HDD WD80EFPX 32,560 6 195,360

総じて、325,340円

AWSにバックアップ

最後にAWSに対してバックアップを取る方法について検討します。

(実際、この計算を行うために本件について調査をしております)

なお、筆者はインフラ周りには明るくないため、間違いなどがあった場合にはご指摘いただけますと幸いです。

データ容量

  • 従量課金制のため、容量については検討しません
  • ただし、利用するストレージは「Amazon S3 Glacier Deep Archive」を想定しています

記載時点での金額

科目 金額
1GB毎 0.00099 USD

元データ配置

  • オンプレ上のデータをクラウド上にアップする必要があるため、専用の仕組みを検討する必要があります

データ方向

  • Amazon S3 Glacier Deep Archiveは
    • アップロード時にはリクエスト毎の
    • ダウンロード時にはリクエスト毎とデータ容量毎の金額が発生します

記載時点での金額

データ方向 科目 金額
アップロード 1000リクエスト毎 0.05 USD
ダウンロード 1000リクエスト毎 0.025 USD
ダウンロード 1GB毎 0.0025 USD

取り出し時間

  • リクエストからダウンロード可能になるまでに12時間かかります

完全喪失の可能性

  • 安心と信頼のイレブンナイン(99.999999999%)です

その他

  • バックアップ用の機構をファイルサーバ内に構築する必要があります

価格

  • 計算を簡単にするため「10TBから1年で2TBずつ増える」のではなく「10年間20TBのデータを預ける」とします
    (20TBは10年間の預け入れ容量の平均値です)
    また、1ファイル当たりの容量は800MB(0.8GB)とします
  1. ストレージ容量

    項目 計算
    総データ量 20 TB * 1,024 20,480GB
    月額費用 20,480 GB * 0.00099 USD 20.2752 USD
    年間費用 20.2752 USD * 12 カ月 243.3024 USD
    10年間 243.3024 USD * 10 年間 2,433.024 USD
  2. アップロード費用

    項目 計算
    ファイル数 (20 TB * 1,024) / 0.8 GB 25,600 ファイル
    アップロード時の金額 25,600 / 1,000 リクエスト * 0.05 USD 1.28USD
  3. ダウンロード費用

    項目 計算
    ファイル数 (20 TB * 1,024) / 0.8 GB 25,600 ファイル
    ダウンロード時の金額(リクエスト) 25,600 / 1,000 リクエスト * 0.025 USD 0.64 USD
    ダウンロード時の金額(GB) 20 TB * 1,024 * 0.0025 USD 51.2 USD
  4. 全体で計算

    物品 単価 個数 金額
    ストレージ費用 2,433 USD - 2,433 USD
    アップロード費用 1.28 USD - 1.28 USD
    ダウンロード費用(リクエスト) 0.64 USD - 0.64 USD
    ダウンロード費用(GB) 51.2 USD - 51.2 USD

1USD = 153円で計算すると

総じて、380,380円

まとめ

今回の結果をまとめると

  • 金額だけで考えればHDD
  • 安定性と金額のバランスが良いNAS
  • 絶対の安全性を取るならAWS

となるかなと思います。

私は個人的な好みからNASでの構築を今後進めていこうと思います。

皆様はどのバックアップ方法が好みでしょうか。

お知らせ

DONUTSでは、新卒中途を問わず積極的に採用活動を行っています。
我々ジョブカン事業部も、一緒に働くエンジニアを募集しています。気になる方はお気軽に応募してみてください。

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