はじめに
皆さん、こんにちは!エンジニアのakrです。
近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの働き方や日常生活に大きな変化をもたらしています。その中でも、OpenAIが提供するChatGPTは、その強力な自然言語処理能力で多くの人々を魅了してきました。そして、さらに一歩進んだ機能として登場したのが、今回ご紹介する GPTs(Generative Pre-trained Transformers) です。
GPTsは、プログラミング知識がなくても、特定の目的やタスクに特化したChatGPTのカスタムバージョンを作成できる画期的な機能です。これにより、まるで自分専用のAIアシスタントを作るかのように、特定の情報源を参照させたり、特定の口調で応答させたり、さらには外部ツールと連携させたりすることが可能になります。
「なんか難しそう…」と感じた方もご安心ください。本記事では、GPTsの作成から公開、さらには運用・改善まで、具体的なステップをロードマップ形式で分かりやすく解説していきます。あなたの業務効率化や新しいアイデア創出に役立つGPTsを、ぜひ一緒に作ってみましょう!
1. GPTsとは何か?その可能性を探る
GPTsは、一言で言えば「カスタマイズされたChatGPT」です。通常のChatGPTが汎用的な質問に応答するのに対し、GPTsは特定の目的のために特化して学習・設定されています。
1.1. なぜGPTsが注目されるのか?
GPTsがこれほどまでに注目される理由は、その無限の可能性にあります。
- 専門性の向上: 特定の分野の専門知識を学習させることで、その分野に特化したエキスパートAIを育成できます。例えば、法律専門のGPTs、医療専門のGPTsなどです。
- 業務効率化: 社内FAQ対応、ドキュメント要約、コードレビュー支援など、定型的な業務を自動化・効率化できます。
- 創造性の支援: 物語作成、アイデア出し、デザイン案生成など、クリエイティブな作業のパートナーとして活用できます。
- 外部連携による機能拡張: API連携を通じて、カレンダー予約、情報検索、データ分析など、ChatGPT単体ではできなかった様々なタスクを実行できます。
- ノーコードでの開発: プログラミングの知識がなくても、対話形式でGPTsを構築できるため、誰もがAI開発者になれる時代が到来しました。
1.2. どのようなGPTsが作れるのか?具体例
イメージを掴むために、いくつかのGPTsの具体例を見てみましょう。
- 社内ヘルプデスクGPT: 社内規定やマニュアルを学習させ、従業員からの質問に即座に回答。
- プログラミングコーチGPT: 特定のプログラミング言語(Python, JavaScriptなど)に特化し、コードレビューやデバッグ支援、学習コンテンツ提供。
- 旅行プランナーGPT: ユーザーの好み、予算、期間に合わせて、具体的な旅行プラン(ホテル、観光地、交通手段)を提案し、予約サイトへのリンクも提示。
- ブログ記事ジェネレーターGPT: 指定されたキーワードやテーマに基づき、ブログ記事のアイデア出し、構成案作成、本文のドラフト生成。
- レシピ提案GPT: 自宅にある食材を入力すると、それらを使ったレシピを提案。栄養情報や調理時間も考慮。
- 絵本作家GPT: 子供向けのストーリーアイデアを出し、DALL-E 3と連携して挿絵も生成。
これらはほんの一部です。あなたのアイデア次第で、あらゆるGPTsを作成できる可能性があります。
2. GPTs作成前の重要準備:成功への基盤を築く
GPTsの作成は、料理に例えるなら「レシピと材料の準備」に当たります。ここを疎かにすると、どんなに優れた調理器具(GPT Builder)があっても、美味しい料理はできません。
2.1. GPTsの「目的」と「ターゲットユーザー」を明確にする
「何を作るか」を明確にすることが、最初の、そして最も重要なステップです。
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目的の明確化:
- このGPTsで「何を解決したいのか」?
- 「どのような価値」をユーザーに提供したいのか?
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最終的に「どのような状態」を目指すのか?
具体的に言語化しましょう。 - 例:「新入社員が人事関連の疑問を即座に解決できるようにする(目的)、これにより人事部の問い合わせ対応時間を50%削減する(価値)、最終的に新入社員のオンボーディングをスムーズにする(目指す状態)。」
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ターゲットユーザーの明確化:
- 「誰が」このGPTsを利用するのか? (例:新入社員、ベテランエンジニア、旅行好きの一般人、子育て中の親)
- 彼らは「どのような課題」を抱えているのか?
- 彼らは「どのような情報」を求めているのか?
- 彼らの「ITリテラシー」はどの程度か?
目的とターゲットユーザーを深く理解することで、GPTsの機能や振る舞いを最適化できます。
2.2. 必要な「情報」を収集・整理する
GPTsがその目的を達成するために「知っておくべきこと」を準備します。これは「知識ファイル」としてGPTsに与える情報になります。
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情報源の特定:
- 社内情報: 社内規定、FAQ、業務マニュアル、過去の議事録、プロジェクト報告書など。
- 公開情報: 公式ウェブサイトのFAQ、製品ドキュメント、公開されているAPIドキュメント、業界の最新ニュース、専門ブログ記事など。
- 専門知識: 特定の分野に関する専門書、論文、学術資料など。
- 過去のデータ: 顧客からの問い合わせ履歴、チャットログ、メールのやり取りなど、実際の対話データから得られる知見。
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情報の形式と整理:
- OpenAIがサポートするファイル形式(PDF, TXT, CSV, JSONなど)で準備します。
- GPTsが情報を探しやすくするため、ファイル名や内容を整理し、論理的な構成を心がけましょう。
- 重要: 機密情報や個人情報を含むファイルは、安易にアップロードしないように注意してください。アクセス権限や情報漏洩のリスクを十分に考慮する必要があります。
2.3. GPTsの「出力形式」と「振る舞い」を具体的にイメージする
GPTsがユーザーに対してどのような「顔」で、どのような「口調」で、どのような「形式」で応答するかを考えます。
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出力形式の例:
- 簡潔な箇条書き
- 詳細なステップバイステップの手順
- 分かりやすい表形式
- コードスニペットと解説
- 要約と主要ポイントの抽出
- 具体的なアドバイスと次のアクションの提案
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振る舞いの例:
- 常に丁寧語で話すのか、それともフレンドリーな口調か?
- 専門用語を多用するか、それとも平易な言葉で説明するか?
- 質問の意図が不明な場合に、どのように確認するか?
- 特定の情報がない場合に、どのようにその旨を伝えるか?
これらのイメージが明確であればあるほど、後述の「Instructions」の記述が容易になります。
2.4. 外部ツール・API連携の可能性を検討する (Actions)
GPTsの能力を飛躍的に高めるのが、外部ツールやAPIとの連携機能「Actions」です。
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連携を検討するサービスの例:
- 情報検索: 最新ニュースAPI、天気予報API
- データ操作: Google Calendar API(イベント作成)、Trello API(タスク作成)、Notion API(ページ更新)
- 画像・音声生成: Stable Diffusion API、ElevenLabs API
- ECサイト連携: 商品情報検索、在庫確認
- CRM連携: 顧客情報検索、チケット作成
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事前準備:
- 連携したいAPIのドキュメントを確認し、APIエンドポイント、必要なパラメータ、認証方法、レスポンス形式などを把握しておきます。
- 必要であれば、APIキーなどの認証情報を安全に管理する方法を検討しておきましょう。
これらの準備をしっかりと行うことで、後々の開発プロセスがスムーズに進み、より高品質なGPTsを構築できます。
3. いざ、GPTsの作成と設定!GPT Builderを使いこなす
準備が整ったら、いよいよGPTsの作成です。ChatGPTのインターフェースから「GPT Builder」にアクセスして作業を進めます。
3.1. ChatGPT Plusへの加入(必須)
GPTsの作成機能は、ChatGPT Plus以上の有料プランの加入者のみが利用できます。まだ加入していない場合は、この機会にぜひ加入を検討してください。
3.2. GPTs作成画面へのアクセス
ChatGPTにログイン後、左サイドバーにある「Explore」をクリックします。そして、表示される画面で「Create a GPT」を選択します。これで、GPTsの作成画面であるGPT Builderが開きます。
3.3. GPT Builderでの設定:CreateとConfigureを使いこなす
GPT Builderは、主に「Create」と「Configure」という2つのタブで構成されています。この2つを効果的に使い分けることが、効率的なGPTs作成の鍵です。
3.3.1. Createタブ:対話形式で「会話しながら」GPTsを構築する
「Create」タブは、まるでChatGPTと会話するように、GPTsの基本的な設定を進めることができます。GPT Builderが「どのようなGPTを作りたいですか?」と尋ねてくるので、それに答える形で目的や機能、振る舞いを伝えていきます。
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GPT Builderとの対話例:
- 「新入社員向けの社内ヘルプデスクGPTを作りたいです。」
- 「人事に関するよくある質問に答えるのが主な役割です。例えば、有給休暇の取得方法や、福利厚生についてです。」
- 「応答は常に丁寧な言葉遣いで、分かりやすく説明してください。」
- 「情報源としては、別途アップロードする社内規定ドキュメントを参照してほしいです。」
- 「もし情報が見つからない場合は、人事部に問い合わせるよう促してください。」
この対話を通じて、GPT Builderは自動的にGPTsの名前や説明、そして後述する「Instructions」の基本的な部分を生成してくれます。また、アイコンの提案なども行ってくれます。プログラミングが苦手な方でも直感的にGPTsの骨格を形成できる、非常に便利な機能です。
3.3.2. Configureタブ:細部にこだわり、「手動で」設定を調整する
「Configure」タブは、Createタブで設定された内容を確認し、さらに詳細な調整を行うための場所です。ここを使いこなすことで、GPTsの品質を飛躍的に向上させることができます。
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Name (名前):
- GPTsの名称を設定します。シンプルかつ機能が想像しやすい名前にしましょう。
- 例:「社内人事ヘルプGPT」「Pythonコードレビューアシスタント」「旅のコンシェルジュAI」
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Description (説明):
- GPTsが何ができるのか、どのような課題を解決するのかを簡潔に記述します。GPT Storeなどで公開する場合、ここがユーザーの目に留まる重要な部分となります。
- 例:「新入社員の人事関連の疑問に24時間365日対応。有給、福利厚生、経費精算など、社内規定に基づき迅速に回答します。」
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Instructions (指示):
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GPTsの振る舞いを決定する「最も重要な」部分です。ここに記述された指示に従って、GPTsは応答を生成します。具体的かつ網羅的に記述しましょう。
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記述のポイント:
- 役割・ペルソナ: 「あなたは当社の新入社員向け人事ヘルプデスクAIです。」
- 目的・目標: 「ユーザー(新入社員)の人事関連の疑問を、社内規定に基づき正確かつ迅速に解決することを使命とします。」
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制約・ガイドライン:
- 「憶測や不正確な情報を提供してはなりません。」
- 「個人的な意見や感想を述べてはなりません。」
- 「ユーザーが質問する前に、個人情報を尋ねてはなりません。」
- 「提供された知識ファイルの情報が、一般的なインターネット情報よりも常に優先されます。」
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出力フォーマット:
- 「回答は簡潔に箇条書きでまとめ、必要に応じて参照した社内規定のセクション名を提示してください。」
- 「経費精算の手順を尋ねられた際は、ステップバイステップで説明し、必要な書類のリストも提示してください。」
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エラーハンドリング・不明点への対応:
- 「知識ファイル内に適切な情報が見つからない場合、その旨を正直に伝え、『人事部の[担当部署名]へお問い合わせください』と案内してください。」
- 「質問の意図が不明確な場合は、具体的に何を知りたいのかを尋ね返してください。」
- 口調・トーン: 「常に丁寧語で、親しみやすく、かつプロフェッショナルな口調を維持してください。」
- 利用規約・免責事項: 必要に応じて、利用規約や免責事項への言及を促す指示を含めます。(例:「免責事項をご確認の上、ご利用ください。」)
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Instructionsの質が、GPTsの性能に直結します。時間をかけて推敲し、様々なシナリオを想定して具体的な指示を盛り込みましょう。
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Conversation starters (会話開始のプロンプト):
- ユーザーがGPTsとの会話を始める際に表示される、推奨される質問例です。ユーザーが何を質問すれば良いか迷わないように、具体的な質問を設定しましょう。
- 例:「有給休暇の取得方法について教えてください」「福利厚生にはどんなものがありますか?」「経費精算のルールを教えてください」
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Knowledge (知識ファイル):
- 「Upload files」ボタンをクリックして、事前に準備した知識ファイルをアップロードします。PDF、TXT、CSV、JSONなどの形式がサポートされています。
- ここにアップロードされた情報が、GPTsの「専門知識」となります。GPTsは、ユーザーの質問に対して、これらのファイルから関連情報を抽出し、応答を生成します。ファイルが多い場合は、情報を整理して格納し、GPTsが効率的に情報を取得できるように工夫しましょう。
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Capabilities (機能):
- GPTsに持たせたい追加機能をチェックボックスで有効にします。
- Web Browse: インターネットにアクセスし、リアルタイムな情報を検索・取得する機能です。最新のニュースや、特定のウェブサイトの内容を参照させたい場合に有効です。
- DALL-E 3: テキストから画像を生成する機能です。物語作成GPTsで挿絵を作ったり、デザインアイデアの視覚化に役立ちます。
- Code Interpreter: コードの実行、データ分析、数学計算、ファイル操作などを行う機能です。データ分析GPTsや、複雑な計算を必要とするGPTsに活用できます。
- GPTsに持たせたい追加機能をチェックボックスで有効にします。
-
Actions (アクション):
- GPTsを外部ツールやAPIと連携させるための設定です。ここを設定することで、GPTsはChatGPTの枠を超えた実世界でのアクションを実行できるようになります。
- 「Create new action」をクリックし、OpenAPIスキーマ(YAMLまたはJSON形式)でAPIの定義を記述します。
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設定項目:
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Schema: 連携するAPIのOpenAPI仕様(
openapi.yaml
やopenapi.json
)を貼り付けます。 - Privacy policy URL: ユーザーがAPI連携に関するプライバシーポリシーを確認できるURLを設定します。
- Authentication: APIへの認証方法(APIキー、OAuthなど)を設定します。セキュリティ上、APIキーを直接ここに記述するのではなく、APIキーを安全に管理する仕組み(例:環境変数など)を利用することをおすすめします。
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Schema: 連携するAPIのOpenAPI仕様(
- 例:天気予報APIを呼び出して特定の地域の天気情報を取得する、タスク管理ツールに新しいタスクを追加するなど。
4. 作成後の「試練」:徹底的なテストとデバッグ
GPTsの設定が完了したら、いよいよ動作確認です。公開する前に、様々なシナリオで徹底的にテストし、問題点がないかを確認しましょう。
4.1. プレビュー画面でのテストドライブ
GPT Builderの右側に表示されるプレビュー画面は、実際のユーザーになったつもりでGPTsと会話できるテスト環境です。
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多様な質問パターンを試す:
- 基本的な質問: 想定通りの応答が返ってくるか。
- 曖昧な質問: 意図を正しく解釈し、適切な回答を試みるか、あるいは明確化を促すか。
- 知識ファイルからの質問: アップロードした知識ファイルの内容について、正確に情報を引き出せるか。
- Capabilitiesのテスト: Web BrowseやDALL-E 3、Code Interpreterを有効にした場合、それらが正しく機能するか(例:最新情報を検索できるか、画像を生成できるか、コードを実行できるか)。
- Actionsのテスト: 外部API連携が正しく行われるか、エラーが発生しないか。
- Instructionsに反する質問: わざとGPTsの指示に反するような質問(例:社内ヘルプデスクGPTに個人のプライベートな情報を尋ねる)をして、設定した制約が機能するかを確認します。
- 意地悪な質問: 意図的に不適切な言葉遣いをしたり、ハルシネーションを誘発するような質問をしたりして、GPTsがどのように対応するかを確認します。
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応答の評価ポイント:
- 正確性: 情報が正しいか、ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成すること)が発生していないか。
- 網羅性: 質問に対して十分な情報を提供しているか。
- 関連性: 質問と回答が適切に関連しているか。
- フォーマット: 指定した出力形式(箇条書き、表形式など)で応答しているか。
- 口調・トーン: 設定したペルソナや口調で応答しているか。
- エラーハンドリング: エラーが発生した場合や情報が見つからない場合に、適切にユーザーに伝えているか。
4.2. Instructionsの「磨き上げ」:デバッグと改善
テストで見つかった問題点のほとんどは、Instructionsの調整で解決できます。
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より具体的な指示を追加する:
- 特定のケースで曖昧な応答があった場合、「〇〇のような質問が来た場合は、△△と具体的に答えること」のように、詳細な指示を追記します。
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制約を強化する:
- 不適切な応答やハルシネーションが発生した場合、「絶対に〇〇な情報は提供しないこと」「〇〇のような内容は推測しないこと」といった禁止事項や制約をさらに厳しく記述します。
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優先順位を明確にする:
- 複数の情報源がある場合(例:知識ファイルとWeb Browse)、どちらを優先すべきかを明記します。「まず知識ファイルから情報を検索し、見つからない場合にのみWeb Browseを利用すること」など。
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出力フォーマットの微調整:
- ユーザーにとってさらに分かりやすい出力になるよう、箇条書きの深さ、表の列名、コードスニペットのインデントなどを細かく指定します。
4.3. 知識ファイルとActionsの調整
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知識ファイル:
- 情報が不足している場合は、関連する新しいファイルを追加します。
- 情報が古くなっている場合は、ファイルを更新します。
- 誤った情報が含まれている場合は、修正します。
- 情報量が多すぎる場合は、関連性の高い情報に絞り込んだり、分割したりすることも検討します。
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Actions:
- APIの呼び出しがうまくいかない場合は、OpenAPIスキーマの記述に誤りがないか、認証情報が正しいかなどを確認し、修正します。
- APIのレスポンスをGPTsが正しく解釈できない場合は、Instructionsでそのレスポンスの処理方法を具体的に指示するなどの工夫が必要になることがあります。
テストとデバッグは反復的な作業です。問題がなくなるまで、根気強く調整を続けましょう。
5. GPTsの公開と共有:世界へ、あるいは仲間へ
十分にテストし、自信を持って公開できる状態になったら、いよいよGPTsを世に送り出します。
5.1. 公開設定の選択
GPT Builderの右上にある「Save」ボタンをクリックすると、公開範囲を選択するオプションが表示されます。
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Only me (自分のみ):
- 作成者であるあなただけがGPTsを利用できます。開発中のプライベートなテストや、個人的な利用に最適です。
- まずはこの設定で保存し、完全に動作することを確認してから次のステップに進むのがおすすめです。
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Anyone with a link (リンクを知っている全員):
- GPTsのURLが生成され、そのURLを知っている人なら誰でもGPTsにアクセスして利用できます。
- 特定のチームメンバー、社内の関係者、あるいは少人数のテストグループなど、クローズドな環境で共有したい場合に最適です。
- この設定でURLを共有すれば、GPT Storeでの公開を待つ必要がありません。
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Public (公開):
- あなたのGPTsがChatGPTのGPT Storeで公開され、すべてのChatGPT Plusユーザーが検索・利用できるようになります。
- 広く一般にGPTsを提供したい場合に選択します。
- 注意点: Publicを選択した場合、OpenAIによる審査プロセスがあります。審査ガイドラインに準拠しているか、不適切なコンテンツが含まれていないかなどがチェックされます。
5.2. GPT Storeへの提出 (Publicを選択した場合)
Publicを選択した場合、以下の準備をして提出に備えましょう。
- 審査ガイドラインの確認: OpenAIの「Usage Policies」や「Brand Guidelines」を確認し、あなたのGPTsがこれらの方針に沿っていることを確認してください。特に、ヘイトスピーチ、差別、暴力、個人情報の不正利用など、禁止されている内容がないことを徹底的にチェックします。
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アイコンと説明の充実: GPT StoreでユーザーがあなたのGPTsを見つける際に、アイコンと説明が非常に重要になります。
- アイコン: GPTsの目的や機能を表す、視覚的に魅力的で分かりやすいアイコンを作成しましょう。
- 説明: 「Description」欄に、GPTsが何をするものなのか、どのような価値を提供するのかを簡潔かつ魅力的に記述します。
- プライバシーポリシーの準備: Actions(外部API連携)を設定している場合、プライバシーポリシーのURLの提出が必須になる場合があります。ユーザーデータの取り扱いについて明確に記述したプライバシーポリシーを準備し、アクセス可能なURLを提示できるようにしておきましょう。
審査には数日かかる場合があります。審査に通過すると、あなたのGPTsはGPT Storeにリストされ、世界中のChatGPTユーザーがあなたのGPTsを発見し、利用できるようになります。
6. 公開後の「真価」:運用と改善のサイクル
GPTsは一度公開したら終わりではありません。むしろ、公開してからが本当の「AIエンジニア」としての腕の見せ所です。ユーザーからのフィードバックを元に、継続的にGPTsを改善していくことが、その価値を最大化する鍵です。
6.1. 利用状況のモニタリングとフィードバックの収集
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ユーザーからのフィードバック:
- GPT Storeで公開した場合、ユーザーからのレビューやコメントを確認します。
- リンク共有や社内利用の場合、実際に利用しているユーザーから直接フィードバックを収集する仕組みを作りましょう。(例:アンケート、フィードバックフォーム、定期的なヒアリング)
- 具体的なフィードバック例:「〇〇の質問に対して誤った情報が返ってきた」「△△のような機能が追加されればもっと便利になる」「応答速度が遅い時がある」
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ログの確認:
- ChatGPTのインターフェース上では詳細な利用ログを見ることはできませんが、GPTsのActionsで外部APIを呼び出している場合、そのAPIのアクセスログやエラーログを確認することで、GPTsの動作状況を間接的に把握できます。
6.2. 定期的な更新と調整:PDCAサイクルを回す
フィードバックや利用状況のモニタリング結果に基づいて、GPTsを定期的に更新・調整します。これは、アジャイル開発における「PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)」に似ています。
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Instructionsの改善:
- ユーザーの意図をより正確に理解し、より質の高い応答を生成できるように、Instructionsの記述を改善します。特に、ユーザーが頻繁に誤解する点や、ハルシネーションが発生しやすいパターンに対して、具体的な指示を追加することが重要です。
- 新しいユースケースや要望に対応するために、GPTsの新しい振る舞いを定義することもあります。
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知識ファイルの更新:
- 情報が古くなった場合、最新の情報に更新します。例えば、社内規定が変更されたり、製品の仕様がアップデートされたりした場合です。
- 新たに収集した、GPTsのパフォーマンス向上に役立つ情報があれば、知識ファイルとして追加します。
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Actionsの追加・修正:
- ユーザーの要望や新しい業務ニーズに応じて、別の外部サービスとの連携が必要になった場合は、新たなActionsを追加します。
- 既存のActionsに問題が見つかった場合(例:APIのバージョンアップ、エラー発生頻度の増加)、スキーマや認証設定を修正し、安定稼働を目指します。
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Conversation startersの最適化:
- ユーザーがGPTsをより効果的に使い始められるように、利用状況に合わせて会話開始のプロンプトを調整します。よくある質問や、新しく追加された機能に関連する質問などを追加すると良いでしょう。
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Capabilitiesの調整:
- Web BrowseやDALL-E 3、Code Interpreterの利用状況を評価し、不要な機能はオフにする、あるいは特定の利用シナリオでのみ有効にするなどの調整を行うことで、パフォーマンスやコストを最適化できる場合があります。
6.3. パフォーマンスの最適化とスケーリング
利用ユーザーが増えるにつれて、GPTsの応答速度や安定性が重要になります。
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知識ファイルの最適化: 非常に大きな知識ファイルを扱っている場合、情報の検索に時間がかかったり、関連性の低い情報が誤って参照されたりする可能性があります。
- 情報の粒度を見直す(細かく分割する、要約する)。
- 関連性の高い情報グループに分ける。
- 古くなった、あるいはほとんど参照されない情報を削除する。
- Actionsの効率化: 外部APIの応答速度がボトルネックになっている場合、APIプロバイダーの選定や、API呼び出しのロジックを最適化することを検討します。
7. おわりに:あなたもAIクリエイターに!
GPTsは、AIを「利用する」だけでなく「創る」という体験を、プログラミングスキルがない方にも開かれたものにしました。これはまさに、AIエンジニアにとっても、そうでない方にとっても、新しい可能性の扉を開くものです。
本記事でご紹介したロードマップが、皆さんが自分だけの、あるいはチームや会社の業務を劇的に変えるGPTsを開発するための確かな道標となれば幸いです。
GPTsの作成と運用は、一度きりの作業ではなく、ユーザーのニーズや技術の進化に合わせて継続的に改善していく「旅」のようなものです。ぜひこの旅を楽しんで、あなたのアイデアを形にし、AIの力を最大限に引き出してください。
もし、GPTs作成の過程で何か困ったことや疑問に思うことがあれば、いつでもご質問ください。私もシニアAIエンジニアとして、皆さんのAIクリエイターとしての挑戦を応援しています!
さあ、あなたも今日から、自分だけのAIアシスタントを作り始めましょう!