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確率
- 物事のおこりやすさを定量的に表す指標
- 絶対に起こらない0から絶対に起こる1までの間にある
- Pを用いて表される
- Probabilityの頭文字
3つの約束事「公理」
どのような事象についての確率も0以上1以下となる
確率は、負の数になったり、1を超えることは絶対にない
「全事象」を「Ω」と表すと、全事象の起こる確率はP(Ω)は1となる
例えば、サイコロを1回投げる時の全事象は「出る目が1, 2, 3, 4, 5, 6となる」事象である。これらの事象のうち、いずれかの目が出る確率は1となる
互いに排反な事象の和集合の確率は、それぞれの事象の確率の和となる
例えば、1つのサイコロを1回投げるとき、1の目と2の目が同時に出ることはないため、これは排反事象である。したがって、その和事象である「1または2の目が出る」確率は、1の目が出る確率と2の目が出る確率の和となる
確率の計算
事象の確率を求めるときは、「根元事象は同様に確からしいという前提が置かれる。
- これは、どの事象が起こる確率も等しいことを表す
- サイコロを例に挙げると、それぞれの目が出る確率は同様に確からしいので、以下の関係が成り立つ
P(1の目が出る) = P(2の目が出る) = P(3の目が出る) = P(4の目が出る) = P(5の目が出る) = P(6の目が出る) = \frac{1}{6}
数え上げ
ある試行において、根元事象がn個存在する。そのうち事象A(例:サイコロの偶数の目が出る)に含まれる根元事象(例:2, 4, 6の3つの目が出る事象)が全部でk個ある時、事象Aが起こる確率P(A)を次のように定義する。
P(A) = \frac{k}{n}
これをラプラスの定義(古典的定義)という
順列・組み合わせ
確率の計算を行う場合、場合の数で学んだ組み合わせや順列、集合の考え方を用いることで効率よく計算できる
例:白いボール3個と赤いボール7個がある。この中から無作為にボールを3つ取り出す時、次のような事象が起こる確率はいくらか。
- 全て赤いボールが取り出される
\displaylines{
・全部で10個ある中から3つ取り出す:{}_10 C_3 = 120通り \\
・全部で7つある赤いボールから3つ取り出される:{}_7 C_3 = 35通り \\
したがって、求める確率は、 \\
P(A) = \frac{{}_7 C_3}{{}_10 C_3} = \frac{35}{120} = \frac{7}{24}
}
- 白いボールが1つ、赤いボールが2つ取り出される
\displaylines{
・全部で10個ある中から3つ取り出す:{}_10 C_3 = 120通り \\
・全部で7つある赤いボールから3つ取り出される:{}_7 C_2 = 21通り \\
・全部で3つある白いボールから1つ取り出される:{}_3 C_1 = 3通り \\
したがって、求める確率は、 \\
P(A) = \frac{{}_3 C_1 \times {}_7 C_2}{{}_10 C_3} = \frac{63}{120} = \frac{21}{40}
}
余事象
「少なくともn個〜」等と表される場合、余事象を考えると計算が簡単になることがある。
例:白いボール3個と赤いボール7個がある。この中から無作為にボールを3つ取り出す時、赤いボールが少なくとも1つ取り出される確率はいくらか。
「赤いボールが少なくとも1つ取り出される」事象の余事象は、「赤いボールが1つも取り出されない」=「白いボールが3つ取り出される」である。これは1通りしかない。
\displaylines{
事象と余事象の関係から、ある事象をA、その余事象をA^c、全事象を\Omegaとすると、\\
A + A^c = \Omega \\
が成り立つので、赤いボールが少なくとも1つ取り出される事象は、\\
120 - 1 = 119通り \\
したがって、求める確率は、 \\
\frac{119}{{}_10 C_3} = \frac{119}{120} \\
となる。余事象の確率P(A^c)は、ある事象Aの確率P(A)を用いて次のように表される \\
P(A) + P(A^c) = 1 \leftrightarrow P(A^c) = 1 - P(A)
}
通常であれば、以下のように場合分けを行い、それぞれ何通りあるか求める
- 白いボールが2個取り出され、赤いボールが1つ取り出される
- 白いボールが1個取り出され、赤いボールが2つ取り出される
- 赤いボールが3つ取り出される
まとめた結果、赤いボールが少なくとも1つ取り出される事象が119通りあることがわかる。
確率と独立
- お互いの結果が影響しあうことがないとき、2つの事象は独立であると言える
- 例えば、コイン1枚とサイコロ1つがあるとする。
- コイン投げで表が出た時に、サイコロの1の目が出やすくなったり、出にくくなったりすることはない
- コイン投げの結果に関わらず、サイコロのどの目が出る確率は変わらない
- 2つの事象が独立である場合、2つの積事象の確率は事象同士の確率の積で算出することができ、以下のような関係が成り立つ
P(A \cap B) = P(A) \times P(B)
- 事象同士が独立でない場合、単純に掛け算による計算はできない
例:コインの裏表とサイコロの出る目が独立であるとき、両方を同時に投げて、コインが表でサイコロの目が1となる確率はいくらか。
- 数え上げる方法
コイン投げには表と裏の2通りがあり、サイコロの出る目は6通りである。したがって、合計で2×6=12通りの事象があることになる。このうち、コインが表でサイコロの目が1である事象は1通りしかないので、\frac{1}{12}となる
- 独立の性質を用いる方法
\displaylines{
コインが表となる事象を事象A、サイコロの出る目が1となる事象を事象Bとする。求める確率はP(A \cap B)である。それぞれの事象が次の通りである。\\
・P(コインが表) = P(A) = \frac{1}{2} \\
・P(サイコロの出る目が1) = P(B) = \frac{1}{6} \\
したがって、求める確率は \\
P(A \cap B) = P(A) \times P(B) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{6}
}
加法定理
\displaylines{
・2つの事象が互いに排反ではない場合、次の式が成り立つ \\
・以下の式が加法定理の一般的な形である \\
P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B) \\
・2つの事象が互いに排反である場合、次の式が成り立つ \\
- 以下の式は、P(A \cap B)=0の時のみ成り立つ\\
P(A \cup B) = P(A) + P(B) \\
}
例1:サイコロを1回投げる。この時「1」もしくは「2」が出る確率はいくらか。
\displaylines{
サイコロを投げて「1」が出る確率をP(A)、「2」が出る確率をP(B)とする \\
「1」が出る確率は、P(A) = \frac{1}{6}、「2」が出る確率もP(B) = \frac{1}{6}である。\\
これらの2つの事象は同時に起こらないので、求める確率は加法定理により、2つの和事象の確率になる。したがって、\\
P(A \cup B) = P(A) + P(B) = \frac{1}{6} + \frac{1}{6} = \frac{1}{3}
}
例2:1から30までの自然数の中からランダムに1つ数字を選んだ時、その数字が2もしくは3で割りきれる確率はいくらか。
\displaylines{
・2で割り切れるものは15個 \\
・3で割り切れるものは10個 \\
・6で割り切れるものは5個 \\
事象Aを「2で割り切れる」、事象Bを「3で割り切れる」とすると、求める確率は、 \\
P(A \cup B) = P(A) + P(B) - P(A \cap B) = \frac{15}{30} + \frac{10}{30} - \frac{5}{30} = \frac{20}{30} = \frac{2}{3}
期待値
- 1回の試行で得られる値の平均値のこと
- 得られうる全ての値とそれが起こる確率の積を足し合わせたもの
\displaylines{
例えば、n通りの結果x_k(k=1, 2,・・・n)があり、それぞれの起こる確率がp_k(k=1,2,・・・,n)であるとする。\\
この時、期待値は次の式から計算できる。\\
\sum_{k=1}^np_kx_k = p_1 \times x_1 + p_2 \times x_2 +・・・+ p_k \times x_k +・・・+ p_{n-1} \times x_{n-1} + p_n \times x_n
}
例1:さいころを1回投げるとき、出る目の期待値はいくらか。
\displaylines{
p_1 \times x_1 + p_2 \times x_2 + p_3 \times x_3 + p_4 \times x_4 + p_5 \times x_5 + p_6 \times x_6 \\
= 1 \times \frac{1}{6} + 2 \times \frac{1}{6} + 3 \times \frac{1}{6} + 4 \times \frac{1}{6} + 5 \times \frac{1}{6} + 6 \times \frac{1}{6} \\
= 3.5 \\
したがって、サイコロを何回か投げると1回あたりの出る目の平均は3.5になると期待できる。
}
例2:さいころを投げて、出た目の数×100円貰えるゲームをする。このゲームを1回やるとき、いくら貰えると考えられるか。
\displaylines{
どの目が出る確率も\frac{1}{6}で、金額は100円から600円まで変わる。このゲームで貰える金額の期待値は次のように計算できる。 \\
p_1 \times x_1 + p_2 \times x_2 + p_3 \times x_3 + p_4 \times x_4 + p_5 \times x_5 + p_6 \times x_6 \\
= 100 \times \frac{1}{6} + 200 \times \frac{1}{6} + 300 \times \frac{1}{6} + 400 \times \frac{1}{6} + 500 \times \frac{1}{6} + 600 \times \frac{1}{6} \\
= 350 \\
この結果から、「このゲームを1回行うごとに350円くらいもらえると見込んでよい(期待できる)」ということがわかった。\\
しかしこれは「1回やれば確実に350円もらえる」という意味ではないことに注意が必要である
}
例3:コインを1枚投げたときに、表が出たら100円がもらえるが、裏が出たら100円を支払わなくてはならないゲームをする。このゲームを1回やるとき、いくら貰えると考えられるか。
\displaylines{
この期待値は、\\
p_1 \times x_1 + p_2 \times x_2 \\
= 100 \times \frac{1}{2} + (-100) \times \frac{1}{2} \\
= 0 \\
となり、このゲームでは何ももらえない(=儲けがなさそう)ということが期待できる
}