なにこれ?
IT技術を俯瞰しお金持ちになる方法の提示。ここ10年間の技術トレンドとそれにまつわるお金のデータをまとめてどうすればお金持ちになれたのかを探り、今後10年先までにどのようにお金持ちになる方法を占う。
IT技術が既存の産業構造を大きく変えてきており、またこれからも変え続けるであろうことを考えると、IT技術に対する先見の明を持つことはお金持ちになる最短の道であろう。
本稿で定義するお金持ちとは、一介のITエンジニアが純金融資産1億円程度を持つことを指す。金融リテラシが適切にあれば仕事はもうしなくてもよい/ 給与を気にせず好きな仕事でくらせる状態だ。
#01. 2008年とはどのような年であったか?
まずは、今から10年前がどのような年であったのかを見ていこう。
ハード、OS
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iPhone: 生誕2年. 日本で発売されたのはこの年. 参考: Wikipediaの年表
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Android: 生誕0年.
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CPU: Atom, Core i7(HT, 64bit, Nehalem)
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OS: Vista, Windows Server 2008, RHEL 5
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ディスク: SSD 普及前夜, 東芝がSSD発売開始
ソフト、サービス
- Google: 生誕10年. Youtube買収後2年, Gmail 生誕4年.
- Amazon: AWS生誕2年. S3とEC2とEBSしかなかった時代. 参考: AWSの年表
- Facebook: 生誕2年. MySpaceを抜いた年でもある
- mixi: 生誕4年. 上場した年でもある, greeも生誕4年.
- NetFlix: VOD開始後 1年. 参考: Wikipediaの記事
プログラミング、フレームワーク、ミドルウェア
- 存在してた言語: C++, Java, PHP, Perl, Ruby, Python
- 存在してない言語: Go, Swift,
- Java SE6. サンマイクロシステムズ時代. 成熟も SE7がなかなかでずにいた
- RoR 3年目
- jQuery 2年目, prototype.js 3年目 AJAXという概念の浸透
- Silverlight 2年. AIR 1年.
- PostgreSQL 8.3, Oracle 11g, MySQL 5.1 & サンがMySQL買収
- memcached 5年. redis -1年. MongoDB -1年. Hadoop 2年.
- ML Kernelメソッドが使えるように。深層学習はまだ
自分なりの2008の捉え方
PCは一般層に浸透。EmailやOfficeソフトを使った業務効率化は当たり前。ECサイトでのショッピングも一般化しつつある。SNSはもはや流行ではない。実名を使ってネットと現実の区別はなくなりつつあった。ネットの利便性が喧伝されi-modeなどが全盛期を迎えていた。それを支えるゲームコンテンツだった。ジョブスが iPhone を発表したがそのインパクトを正当に評価できていたのは数少なかった。
企業システムにおいては RHEL + J2EE でWeb三層システムを作ることが鉄板とされていた。Java 1強時代。(現在もこの潮流は大企業のシステムでは脈々と受け継がれている。)Ruby on Rails や AJAX などの新技術が Web の新たな可能性がインパクトを与えていた時代でもある。64bit化やマルチコアもひと段落ついていたが、SSD が一般的ではなかったため、I/Oバウンドな処理をどうするかが大きな課題感であった(例: memcached をどうつかうか?)。
クラウド(AWS)は出たばかりの技術であったが、当初から注目度は高かった。レンタルサーバや仮想化技術(VMWare)などは枯れた技術であったためだろうか。プログラマブルにインフラが構築できるという点、従量課金という点が受けていたように思う。思い出したが、このあたりの時代は仮想化技術が格段に進歩した時代でもあった。仮想化によって共通基盤を作ってコスト削減、といった題目があったようにも思う。
#02. この10年間で何が起きたのか?
モバイルの爆発的普及
PCよりもモバイル端末が主流になった。ビジネスにおいてはまだPCが主体だがそう遠くない時期にタブレットが主体になる(もちろん非プログラマの話)。モバイルファーストという標語は当たり前すぎて、意味をなさない。また、モバイルとはアプリ主体ということも意味している。これまでは、Webブラウザを通じてサービスを提供する形態が主体であったが、今後はアプリが主体になってくるだろう。
X as a Service
全てがサービスになりつつある。音楽や動画や書籍などのメディアはその最先鋒である(Netflix, Google Music...)。固定資産であるサーバ等はクラウドの形をかりてサービスになった(AWS, GCP, Firebase, ...)。少し遅れ気味ではあるが、アプリケーションもサブスクリプション化が急激に進行中だ(Office365, Dropbox, Salesforce, zendesk, サイボウズ, coupa, ...)
シェアリングエコノミ
モバイルやECの成熟に伴い、C2Cの市場が爆発的に伸びた(eBay, Etsy, メルカリ, ヤフオク, ...)。またモノをシェアするサービスが伸びている(AirBnB, カーシェア, Uber, レンタサイクル)。これも 「モノ as a Service」としてくくれるかもしれない。所有から利用の流れは止まらない。
X as a Code
全てがプログラマブルになりつつある。ドキュメントや構成管理やテスト、バグ管理などシステム構築の多くの工程でツールの補助により大幅に生産性が増した(github, ansible, docker, Jenkins, redmine, slack, ...)。また、外部のAPIを叩くことでシステムの拡張が非常に容易になった(loggly, treasure data, twilio...)。そして何よりクラウドだ。今まで煩雑だったあれこれをAPI一つでやれるようになった(ELB, CloudFront, Route52)。全てがプログラマブルな世界では、一人の優秀な人材が文字通り100人力を発揮できる。
ITによる新たな価値創出
IT技術は単なる業務効率化の枠を超え、それ自体が新たなビジネス領域を生むようになった。各種マッチング(kickstarter, e-sports, tinder...)。ビッグデータ&機械学習(データマイニング、深層学習、スマートスピーカー, Deepblue, Ponanza)。金融のあり方(マイクロレンディング、ソーシャルレンディング、仮想通貨)、IoT、自動運転(はまだ道半ば)。
プラットフォーマによる寡占
全てがサービスになるにつれ、少数の大きなプラットフォーマの周りにエコシステムが出来上がるという構図になった。悪く言えば囲い込みだが、一般消費者にとっては利便性の向上につながっている。AppStore, GooglePlayはモバイルアプリと決済を一手に担い、SteamやXBOXなどはゲーム、WeChatやAlipayはSNS+EC+決済を担う。AWSとGCP、Azureはクラウド、およびML周りの基盤やサービスを提供し、その周りに巨大なSaaS市場が広がる。Kindle, Google Play Mushic, NetFlix はいうに及ばず。eBasy, etsy, メルカリなどもプラットフォームといえるだろう。
#03. どのようにすればお金持ちになれたのか?
株式投資、仮想通貨、ストックオプションくらいしか思いつかないかな。モバイルアプリ製造やAdsenseとかは難しそうだし。
#03-1. 株式投資
2008年から2018年でアメリカ株式は約2倍になっている。Investing.com のデータを利用。なお、2008年はリーマンショックの1.5年くらい前。
Amazon: 株価 約20倍 77ドルから1624ドルにまでなっている。当時のAmazonは万年赤字体質でいつつぶれるか?が問われ続けていた。AWSの先進性に気づいて300万円投資していたら6000万円になる
NVDIA: 株価 約25倍 20ドルから250ドルにまでなっている。当時ビデオボードといえばゲーム専用と考えられていた。しかしGPUを並列計算に利用しようという試みはすでに始まっており(例: CUDA)、機械学習への応用は十分技術者には知れ渡っていた。300万円投資していたら7500万円になる。
Neflix: 株価 約90倍 4.6ドルから353ドルにまでなっている。Netflix がVODを始めた際は著作権的にグレーだとか色々言われていた気がする。今やUSのケーブルテレビ文化を破壊しただけでなく、全世界のメディアを牛耳る勢いだ。先日ディズニーを時価総額で抜いた。100万円投資していたら、9000万円になっていた。300万円投資していたら2億7000万円になっていた。
マイクロン 株価約8倍 7.7ドルから63ドルになっている。当時SSDはまさに期待の星で、RDBMSの遅さを解決する期待の星でもあった。一方プチフリーズや製品寿命の問題などが取りざたされておりSSD自体どうなるかは未知数であった。また、2000年前後のITバブルの株価高騰からの急直下があり株式を購入するのは勇気が必要だったと思う。
Apple: 株価約8倍 ジョブスのカリスマ性はiMac等で十分知れ渡っていた。AppStoreを目にして、i-modeを駆逐するポテンシャルがあると見抜ければ、十分投資はできたのではないだろうか?
Intel 2.5倍, Microsoft 3.5倍, Google N/A (Alphabetになってからのチャートしかない/2倍以上), VMWare 2倍
#03-2. ストックオプション
HEROZが最近上場したけど、社員によっては一時期10億近いストックオプションがあったらしい。スタートアップやベンチャーに入るのもよいのではないか。サイバーエージェントなんかもストックオプション配ったので有名。知らんけど。
#03-3. 仮想通貨
ビットコインやモナコインなどは早いうちから技術者に知られていたように思う。
#04. 2028年を予測しよう
これまでは、過去および現在の話をしてきたがこれからは未来の話をしよう。2028年におけるITシステム、IT技術はどのようなものだろうか?
オフィス業務は完全クラウド化
すべてクラウド上のSaaSを利用するようになる(人事、給与、総務、、、、)。リアルタイムでKPIが見える化され、AIにより意思決定の補助がなされる。端末はPC、タブレットに限らず色々なもので使えるようにアプリがSaaSベンダから提供される。通常業務もPCににらめっこということはなくなりそう。
プログラミングはより抽象化
リソースを利用するのは、サーバ、モバイル、IoT端末、ボットなど多岐にわたるためリソースを利用する方法は単純化されたAPIで提供され、バックエンドは薄く、かつ、ブラックボックスに近い形で提供される。フロントエンドもマルチプラットホームに対応するソリューションがあり、プログラマはそれを利用する形になるのではないか。
超国家的経済圏の発生
もう起こり始めているが、そのプラットホームで使える独自通貨やその人となりを表すID技術(芝麻信用とか)が解放されると、そのエコシステムは立派なコミュニティになりうる。C2Cで通貨を送金しあったり互いに評価・交流をするという流れが、多くのプラットホームで行われるだろう。WeChatなんかは一番それに近い気がするが、多くのプラットフォーマがその方向で動くことは想像できる
ITが生み出す新たな価値
自動運転はどうなのだろう?スマートグリッドは?深層学習で何かを得ることが当たり前になる?IoTで画期的なソリューションができる?VR/MRは一般的になる?全く新しい技術が生み出される?
#05. 2028年にお金持ちになろう
次の Netflix を探そう
オフィスをもっとIT化
家庭ではすっかりモバイルが主体なのにオフィスは全然そうなってない。もちろん色んな原因はあるだろうが、明らかに方向が決まっているのに現実の動きが遅い。ここに投資するのはアリなんじゃないかと思う。具体的にはSalesforceやcoupaなどのSaaS企業。日本ならサイボウズとかOBCとか?実に山ほどSaaS企業があるのは微妙なところだが。
プラットフォーマに全ツッパ
囲い込まれたらもう居心地がよすぎて抜けることが出来ないわけで。私は一生Amazon PrimeとNetflixとAppStoreを使い続けるだろうなという感じがする。大きなエコシステムを形成しそうなプラットフォーマに投資するのは有効ではないか?IDと決済を押さえられるところが有力であると思っていて、Paypal, Tencent, Alibabaあたりは有力なのではないか。Amazonより先に、Paypal(やクレジットカード会社)が ID as a Serviceのデファクトスタンダートとったら最強のプラットホームになる気がする。
クロスプラットホームに注力
あるサービスを提供するのに、Webブラウザ、モバイルアプリ、IoT端末...などなど様々な利用者がいるのがこれからの時代。サービスの提供方法は多岐にわたりクロスプラットフォーム対応が重くのしかかる。ここをうまく抽象化することはビジネス上クリティカルであり、かつ、スタンダードな方法がないので、そのあたりを提供できるような企業やソリューションは伸びると思う。AWSのAPI Gateway みたいなのをより上位のレイヤーで実現するような。まあ標準化が先なのか
次のビットコインを探せ
どの時代にも大きなお金が動くムーブメントがある。この10年では、ケータイゲー(ドリランド等)、アフィ、アフィサイト、まとめ、MNP(一括ゼロ円)、ガチャ課金(ルートボックス)、ニコ生、Amazonでのせどり、ビットコイン、ICO、VALU、Youtuber、スパチャ... などがあるだろうか?後から見れば狂乱でしかないが、うまく立ち回ればひと財産を形成できる機会は山ほどあった。
まとめ
近々Salesforce(CRM)、Zendesk(ZEN)、Coupa(COUP)の株を 1万$ずつ買って5年くらい気絶するわ。免責:投資勧誘、投資判断の助言等を目的とするものではないよ。念のため。