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GameMaker StudioAdvent Calendar 2020

Day 1

今年(2020年)のGameMaker Studio2 の気になったニュース

Last updated at Posted at 2020-11-30

2020年の GameMaker Studio2 周りの動きで、個人的に気になったニュースをまとめてみました。

■1. GameMaker Studio v2.3 リリース開始

001_Blog.png

やはりこれが今年一番の大きなニュースですね。

  • GAMEMAKER STUDIO 2.3: NEW IDE FEATURES:IDEまわりの変更点
    • アセットブラウザの改善:リソースのお気に入りやタグ付け、色分け、自由配置できるようになったなど
    • アニメーションカーブ:曲線を使ったアニメーションの制御が可能に
    • シーケンサー:シートやトラックの概念でアニメーションを制御
  • GAMEMAKER STUDIO 2.3: NEW GML FEATURES:GMLの記述力を向上
    • 配列を扱う記述を改善
    • データ構造へのアクセスをチェイン可能に
    • function 定義のサポート。ラムダ式的に関数をオブジェクト化することも可能
    • 構造体 (contructor)のサポート。function と組み合わせることでクラス的な記述が可能
    • 例外処理が書けるようになった

v2.3 にアップデートされたとき、色々と変わりすぎて(バグが多くて)大変な思いをしているユーザーも多かったのですが、個人的には大きな問題なく移行できました。もちろん多少のバグがあったり苦労しなかったわけではないですが、トータルで見れば色々パワーアップしていて全然使いやすくなっている印象です。

その中でも……、個人的には GML の強化 がかなり嬉しいポイントでした。構造体や function をサポートしたことで、コードの使い回しがとてもやりやすくなるのですよね。
例えば、テキスト(ゲーム内で表示するメッセージ)を扱う場合、「表示するテキストを登録する処理」「登録したテキストを描画する処理」という2つの処理はたいてい別のタイミングで行われるのですが、テキスト管理オブジェクトを contructor / function で実装することで、処理の使い回しがとても楽になりました。
例えば、最近作った脱出ゲームでは、

  1. 会話テキストの表示
  2. 選択肢てテキストの表示
  3. バックログでのテキスト表示

とおおまかに3つの場面で同じようなテキスト処理を行うのですが、今回の contructor / function を使うと簡単に共通化できました。
ノベルゲーム的な記述をできるようにしたので、結構テキスト内に特殊な文字が含まれるので、テキスト処理が複雑になってしまうのですよね……

例えば、以下のようなテキストを、

"[$hero:305]それと右側についている"
"国語=<color.red>■<color>、数学=<color.blue>■<color>、英語=<color.yellow>■<color>……/"

実際のゲーム中には以下のように表示します。

image.png

このようにテキストの色付けなどすると、少し複雑な文字列操作を行う必要があるので、構造体 / function で処理をまとめることができました。

v2.3 のGMLの強化は、GameMakerユーザーが長年求めていた念願の機能だったので、今年はGameMaker史上最大のアップデート(やや大げさ)だったのではないかと思います。

それとシーケンサーが素晴らしいです……!
まだ使いこなせていないのですが、シーケンサーを使うと GameMaker上でそれなりのアニメーションが簡単に作れるようになりました。

個人的に使った印象では、基本的なアニメーションであればこれで充分ではないかな……と思っています。GameMaker上で動かせるので、プレビューや連携も簡単にできるのが良いですね。
もう少し高度なアニメーションを作りたいなら Spine を使う……という棲み分けもできていると思います。

■2. GameMaker Studio 2 日本語化プロジェクト開始

Overview_-_ParaTranz.png

今年は「GameMaker Studio 2 日本語化プロジェクト」にも少しだけ参加しました。英語だととっつきにくいので、これで GMS2 ユーザーが増えればいいなあ……と思っています。

■3. 最高のゲームエンジンはどれか?:GameMakerはあなたに向いているのか

ゲーム産業のビジネス寄りのサイト、gamesindustry.biz での GameMaker Studioの紹介記事。
実際にインディー開発者として活躍している方からのヒアリングやインタビューで、メリット・デメリットがよくまとまっています。
これから GameMaker Studio を使ってみたい人が読んでみると参考になるかもしれません。

簡単にまとめると、以下のようになります。

  • GameMakerを使うメリット
    • 2Dのゲームならどんなジャンルのゲームも作ることができる
    • GameMakerのワークフローは非常に高速。例えば、スプライトを描画するのはわずか1行のコードを足すだけ
    • 3Dも作れるゲームエンジンと違って、基本的に2Dの情報のみ扱うので非常にシンプル
    • 独自言語のGMLはシンプルで覚えやすい
    • マルチプラットフォームで動作する
    • 実行ファイルのサイズや実行時の使用メモリが最適化(軽量化)されている
    • デバッグしやすい。デバッガーが優れている
    • レンダリングがシンプルなので独自ツール・フレームワークを上に乗せやすい
  • デメリット
    • 無料ではない。試用期間は1ヶ月のみ
    • 3Dゲームを作るのは難しい
    • GMLは名前空間がなく、ほぼグローバルになってしまう
    • GameMaker(GML)の経験者の求人を出すのは難しい
    • GMLが柔軟すぎて大規模なゲーム制作には向いていない
    • 再利用するモジュールを作りづらい
    • 自動デプロイメント(コマンドラインビルド)ができない
    • UnityやUnreal Engineと比べると機能が見劣りする

私もだいたい同じような感想を持っています。
あと「GameMakerは簡単にゲームを作れるのか?」という点について、個人的には「ある程度ゲーム作りに慣れていれば簡単に作れる」と考えています。
というのも、 GameMaker は「ゲームシステムを作る」ところから始める必要があるからです。GameMakerは2Dゲームなら何でも作れるので、それが逆に何をしていいかわからないという問題に直面します。
そこで、すでにゲームシステムがある環境での開発経験があれば、ゲームを作るためにどんなシステムが必要なのかがおおよそわかっているので、すんなり開発に入りやすいです。

個人的には、ゲーム制作がまったくの初心者であれば、「RPGツクール」「ティラノビルダー」「アクションゲームツクールMV」あたりの『ゲームシステムがすでに構築されているツール』でゲーム作りを学んでからの方が良いかもしれません。

実際にGameMakerを使いこなせている人の傾向として、

  • Clickteam Fusion2.5 (CF2.5) でアクションゲームを作っていた
  • Shooting Game Builder(シューティングビルダー) でシューティングを作っていた

といったように別のツールでの開発とゲームを完成させた経験を持っている印象があります。
または、プログラム(数学)の素養があれば、GameMakerの内部の仕組みを理解しやすいので、そういった知識がある方もしっかり使いこなせている印象です。

ツール系も難しいのであれば、好きなゲームの「Mod」から作り始めるのが良いかもしれませんね。Mod作りなら、すでにゲームが動いているので、ゲームデザインの勉強にもなりますし、作りたいゲームのシステムを理解するのに役立ちそうです。

■4. メトロイドヴァニアゲームを手がける職人チームの裏側

日本でも有数のクオリティのメトロイドヴァニアを作る team ladybug (クロボンさん) のインタビュー記事です(本人は登場していませんが……)。

知っている方はすでに知っていたみたいですが、「こんな高いクオリティのメトロイドヴァニアを GameMakerで作る人がいたのか……!」と驚いたので今年のニュースに含めました。

もともとは Clickteam Fusion 2.5 を使っていたのですが家庭用ゲーム機への移植が難しい……ということで、現在は GameMaker Studio2 に移行したようです。
GameMaker Studio2 で作られたゲームとしては、

の2つで、どちらも「え? GameMakerでここまで作れるの?」という超絶技巧の完成度となっています。
いやはや、今後も期待大ですね……。

日本のGameMakerユーザーにより作られたゲーム

GameMakerは日本語情報が少ない……、ながらもきっちりゲームを完成させている方も何人かいらっしゃるので紹介です。(一部開発中のゲームも含んでいます)

配信日時 ゲームタイトル ジャンル 開発
2020.1.8 脱出学園 脱出ゲーム !KSM_pasta/諸星墨山
2020.2.21 わたしと(わたしの)ねこのしろ プラットフォーマー かじのゆ
2020.2.21 わたしと(わたしの)ねこのしろX プラットフォーマー かじのゆ
2020.4.27 Code Tracer 爆弾解体×パズルゲーム せきつとむ
2020.4.30 マジックポーション・ミリオネア 経営&ハンティングアクション @ARTIFACTS_DEV
2020.5.5 Graze Counter GM Edition ver.C98 ※ステージ3まで 縦スクロールSTG びっくりソフトウェア
2020.5.11 大正ゾンビろまん ~地獄のプロレタリアン式バックブリーカー~ 大正伝奇ホラー?アクション @black_mdk
2020.6.6 Super Glitter Rush ※デモ版 弾幕打ち返しSTG はちのす氏 @HACHINOS_
2020.6.25 ミサイルダンサー (Switch版) ロックオン縦STG てらりん氏 @GhostDog254
2020.10.12 DANMAKAI: Red Forbidden Fruit 可愛い弾幕STG 稲塚春氏 @inatsuka
2020.11.2 Mirry Bullet ちょっと不思議な感じのブロック崩し Lumi氏 @Kabocha_renga
2020.11.8 レイジングブラスターズ ※ストアページのみ。配信は来年1月 高速スクロールと破壊の爽快感が特徴の縦スクロールSTG てらりん氏 @GhostDog254
2020.11.24 アビスマリン シューティングRPG メタルアジ氏 @metaruazi_666

脱出学園

freem.ne.jp.jpg

わたしと(わたしの)ねこのしろ

image.png

わたしと(わたしの)ねこのしろX

image.png

Code Tracer

image.png

マジックポーション・ミリオネア

マジックポーション・ミリオネア

Graze Counter GM Edition ver.C98

大正ゾンビろまん ~地獄のプロレタリアン式バックブリーカー~

大正ゾンビろまん ~地獄のプロレタリアン式バックブリーカー~

Super Glitter Rush

image.png

ミサイルダンサー (Switch版)

ミサイルダンサー

DANMAKAI: Red Forbidden Fruit

image.png

Mirry Bullet

Mirry Bullet

レイジングブラスターズ

image.png

アビスマリン

image.png

-------------

やはり、「シューティング(STG)」と「プラットフォーマー(ジャンプアクション)」が圧倒的に人気ですね。実際、この2ジャンルがとても作りやすい! というのが GameMakerの特徴だと思います。

ちなみに Twitter での GameMaker関連のタグは「#GameMaker」「#GameMakerStudio2」「#GMS2」あたりが使われているので、このあたりのタグを使うと、GameMakerで作っている方に見つけてもらいやすくなるかもしれません。

ただ、"#GameMaker" タグは汎用的すぎて (単にゲーム開発者、ゲーム会社、スポーツの試合の中心となる人物など) 別の意味で使っている方も多いので、できればそれ以外のタグを使ったほうが良いかもしれません。

その他個人的な話

個人的な話として、実は今年に入るまではGameMakerから離れていたのですが、今年の1月にSteam版を購入して再びGameMakerに戻ってきました。
ひさびさに使ってみた印象としては、やっぱりすぐにやりたいことができる環境ですね……。アイデアが思い浮かんで形にするまでの時間が短く、素早く形にできるので、ゲームを作っていて楽しいと思える環境です。
とはいえ、GMLの記述力が相変わらずだなぁ……と思っていたのですが、v2.3 で GMLが神アップデートして、「いやっほーい!」と歓喜しましたね。いやはや素晴らしい……!

そんな感じで唐突に宣伝となりますが、GameMaker Studo v2.3 になって上がったテンションの勢いで作成した脱出ゲーム「廃屋からの脱出」を Google Play で配信しております


廃屋からの脱出 - Google Playのアプリ

映画研究会に所属する3人は、映画の撮影で訪れた廃屋に閉じ込められてしまい……? という話で、少しだけサスペンス的な要素もあります。
手応えのある謎をたくさん用意したので、脱出ゲーム好きの方に楽しんでもらえると良いですね。

来年以降の GameMaker Studio の動向について

最後に、来年以降の GameMaker Studio の動向についてです。
公式のロードマップのページを見ると、以下のようになっています。

確か、少し前までは、v2.3.3 と v2.3.4 があったような気が……。
単にバッファとして空けているのかもしれないですが、ひょっとしたら v3.0 の可能性も……!?

前バージョンの "GameMaker Studio1" のリリースが「2012年10月」で、現行の "GameMaker Studio2" が「2017年3月」で約4年半だったことから、**メジャーバージョンアップの周期が「4年半」**と仮定すると、その可能性もなくない (2021年8月あたりに v3.0?) ような気がします。


ということで、2020年の GameMaker Studio2 ニュースでした。
来年も引き続き、 GameMaker でゲームを作っていこうと思っています。

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