1.この記事について
1-1.対象
- 今後の職種を選択する機会に直面している方(これから社会人となる就活生・新卒内定者/転職や部署移動を考えている方)
- 将来的に自分でITサービスを立ち上げたいが、具体的な構想が持てていない方
1-2.読了時間
5分
1-3.まとめ
以下の力が新規事業の立ち上げ・グロースには必要であり、QA業務を通して養うことができる
- 課題発見&解決力
- プロジェクトマネジメント力
- サービスのシステム構造の理解
- サービス開発体制の理解
- アライアンス力
2.はじめに
皆さま、はじめまして。
この記事では、社会人1年目(現在QA歴5ヶ月弱)の私自身が、日々業務を行いながら「将来こういったことをやりたいが、現在の業務はそれとどう繋がっているのか」を内省した結果をまとめます。
以下が私の経歴です。
①新規のファンコミュニティサービス開発に、QAテスターとして参画
②Vtuberのリアルイベント代行サービスの責任者として、事業のグロースに従事
③長期運用ゲームのQA体制管理
①②を通して、将来的には「エンタメ領域のプラットフォームサービスを自分自身の手で立ち上げ、事業化したい」と考えるようになりました。
そのために必要な力が、現在従事しているQA業務(③)を通して養われていくのではないかと思い、日々業務に取り組んでおります。
3.新規事業を成功させるために必要な力
ここでは、新規サービスの開発チームにいた経験や、事業のグロースを担ってみた経験から、私自身がサービスを作る上で必要だと感じた力について書きます。
※もちろんこれさえ出来ていれば事業を成功させられるという主張ではありませんので「新卒1年目だとそんなふうに捉えているのか」程度に読んでください。
3-1.サービスの立ち上げに必要な力
3-1-1.企画段階
サービスの企画段階では、ユーザーの求めている価値(抱えている課題)を特定し、その解決策としてサービスの提供価値を設計する必要があります。
そのため『課題発見&解決力』が求められます。
私がテスターとしてリリースに携わらせていただいた新規ファンコミュニティサービスの責任者の方も、成熟したモバイルゲーム市場でのマーケティング課題の解決を出発点に、事業着想を得たと仰っていました。
3-1-2.開発段階
サービスの開発段階では、与えられた予算・期限内にサービスをリリースできるように、開発チームのハンドリングを行い、開発の推進を行う必要があります。
そのために、リリースまでに必要なタスクを洗い出し、開発メンバーに役割と納期を割り振り、合意形成を図りながら、進捗を管理するといった汎用的な『プロジェクトマネジメント力』が求められます。
また、ITサービス開発において、上記のプロジェクトマネジメントを解像度高く行うためには、他の類似サービスがどんな作りになっていて、どういったプロセスで作られるのかを理解する必要があります。
すなわち『サービスのシステム構造の理解』と『サービス開発体制の理解』をしておくことも重要になってくると思います。
3-2.サービスのグロースに必要な力
サービスのリリース後、収益を上げていくためには、いいモノを作るだけではなく、その価値を伝え、サービス使っていただく必要があります。
そのためには、他社やクライアントとのパートナーシップを結び、ビジネスチャンスを広げていく『アライアンス力』が不可欠になってきます。
4.QA業務を通して養われる力
ここでは 3. で挙げた力が、現在行なっているQA業務のどういった部分で養われるのかについて書きます。
※「実際に身につきましたよ」といった主張ではなく「業務を行なっていく中で身についている(いく)のではないかと感じています」といったスタンスですので、こちらもあくまで1つの参考として読んでください。
4-1.身についてきていると実感している力
4-1-1.課題発見&解決力
課題発見&解決力は障害削減と費用削減を通して養われていっていると感じています。
障害削減では、発生した障害(市場環境での不具合)1件1件に対して、開発のどの工程に問題があったのか・QAで検知できなかった要因は何か特定し、対策を講じます。
また、費用削減に関しても、現状検証工数が膨らんでいる理由や、検証の削減余地のある部分を特定し、TC項目削減やデータ検証への置換などでの対応を図ります。
障害削減と費用削減共に、現状分析→要因特定→解決策考案を繰り返し行うので、思考回数を重ねる機会を与えられていると感じます。
4-1-2.プロジェクトマネジメント力
QAの業務は、様々な方(開発・業務委託・テスター・他のQA社員)と連携をとって、障害削減やQA効率化などの改善プロジェクトを進める機会が多いです。
その中で感じるのは、以下3つの重要性です。
- 握る:関係者と早い段階で合意形成をした上で、動き出す
- 振る:「何を」「誰に」「いつまでに」やってもらうのかを割り振る
- 決める:「こういった方向で進めるべき」という解を自分の中に持つ
すなわち、ステークホルダーを巻き込みながら、自分で判断し、物事を前に進めるプロジェクトマネジメント力が求められると感じています。
4-1-3.アライアンス力
QAの業務は、自分のチーム外の人(開発・業務委託)との交渉・折衝・調整を行う機会が多いです。
業務委託先からのご提案を受ける機会や、プロダクトのプロデューサーへQA予算承認をいただく際などがそうですし、障害削減を行う際にも関係性構築力がかなり重要になってくると感じます。
例えば、障害の原因の多くが開発側の仕様書にある場合があります。
その際には、ただ現状を報告して是正を求めるだけではなかなか改善されないことが多く、「どう伝えたら動いてもらえるか」といった伝え方の部分や、開発側の体制・状況のことまで考えて歩み寄っていく必要があります。
4-2.今後身につきそうだと期待している力
4-2-1.サービスのシステム構造の理解
サービスのシステム構造の理解するためには、必ずしも開発エンジニアを経験しなければいけないといった訳ではなく、テストケースの作成・データ検証ツールの作成・ホワイトボックステストの実行を行なっていくことでも十分身に付いていくのではないかと思っています。
4-2-1.開発体制の理解
開発体制の理解に関しては、QA体制だけを見ていては難しいと思います。
しかし、検証部分だけではなく、開発工程全体の効率化を図るなど、役割範囲を広げていくことで、開発者よりも開発全体を考える機会を儲けることができるのではないかと感じています。
5.今後の展望
QA業務に携わってまだ半年も経っていませんが、QAには「テスト管理力(体制構築・費用管理力)」と「テスト技術力(設計・実行力)」が必要だと感じています。
現在は前者のみを担っているため、今後は後者にも着手していきたい(サービスのシステム構造の理解・開発体制の理解も進めていきたい)と思っております。
この記事が、これから社会人となる方がキャリアの選択肢としてQAを考えるキッカケや、現在QAに携わっている方の今後のキャリアの参考になれば幸いです。