Python でMaxPlus代数の計算法則を実装してみる

はじめに

MaxPlus代数とは，我々が普段扱う世界とは別の線形な世界です．筆者の勉強不足により詳細についてはここで述べませんが，基本的な演算自体は簡単なのでそれを実装してみることにします．

MaxPlus代数の演算

極めて単純で，以下の二つのみです．

1. 加法: $a\oplus b=\mathrm{max}(a,b)$
2. 乗法: $a\otimes b = a+b$

この世界でも線形代数でおなじみの固有値，固有ベクトルを議論できるのですが，そこまでは踏み込まず，一旦実装をメインに扱います．

クラスによる実装

MaxPlus代数の数を扱えるクラス MaxPlus を実装します．

class MaxPlus():
    def __init__(self, x):
        self.x = x

    def __str__(self):
        return f"{self.x}"

    def __add__(self, other):
        return MaxPlus(max(self.x, other.x))

    def __mul__(self, other):
        return MaxPlus(self.x + other.x)

可視化用の __str__ の他，足し算と掛け算を実装しています．

数値実験

MaxPlusの世界では，次の演算が成り立ちます．

$$
\begin{align}
5\oplus 2 &= \mathrm{max}(5,2) = 5 \\
5\otimes 2 &= 5+2 = 7
\end{align}
$$

この演算が成立しているか確認します．

a = MaxPlus(5)
b = MaxPlus(2)

print(a+b)
# >>> 5

print(a*b)
# >>> 7

たしかにMaxPlusの演算ができています！！

最近まで筆者はMaxPlus代数を知らなかったのですが，別の世界の線形代数を学ぶことで，線形代数の基礎的な枠組みの理解が深まりました．

参考文献

• Max-Plus 線形代数とその応用 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsiamt/31/3/31_172/_pdf/-char/ja