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ダイアログ (対話) のやり方

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ダイアログとは?

端的に言うと「お互いの理解を深めるためのコミュニケーション方法」です。組織が学習し、高いパフォーマンスを得るための手法として、近年注目されています。


ディスカッションとの違い

ダイアログ(対話)は、よくディスカッション(議論)と比較されます。以下のような違いがあります。

ディスカッション
ダイアログ

目的
合意を作り出す / 優れたアイディアを選び出す
相互理解を深める

勝者
より優れたアイディアの発案者
全員

ダイアログとディスカッションは、異なる2つの対話方法です。どちらが優れているというわけではなく、場面によって両方の手法を使い分けることが重要です。


ダイアログの効果


  • チームの一体感や信頼感を深める

  • 他者の思考を通じて、自分の思考を観察する


    • →固定観念や偏見に気づく

    • →「推論のはしご」そのものに気づき、思考の癖を直す機会を得られる



  • 関係の質、思考の質の向上


    • →行動の質、結果の質の向上



  • 結果として、組織学習の土台や風土が形成される


どんな時に実施する?


チームの成熟度が低い時

新しいプロジェクトチームが誕生した直後や、組織構成が変わった時など。タックマンモデルでいう「形成期~混乱期」を乗り越え、チームビルディングを進めるために有用です。


ふりかえり時

私はスクラムのふりかえり (レトロスペクティブ) の中で、ブレスト代わりによく使っていました。ふりかえり前半でダイアログを行って不満やムダを発見し、後半でディスカッション行い具体的な改善アクションを決めました。


その他、どんな時でも

定期ミーティングの余った時間や、ランチタイムに。


ダイアログのやり方

漠然と「ダイアログやろうぜ!」と言っても、慣れていないと自然とディスカッションになってしまったり、十分な深い会話に達せないことがあります。うまく進めるために、以下のような基本ルールを定めます。


ファシリテーターを立てる


  • ファシリテーターは喋らない


    • ただし、自分しか知らない情報があるときは話しても良い



  • ファシリテーターは、チームがディスカッションに向かっていたら指摘し、ダイアログに戻す

  • チーム全体がダイアログに習熟したら、ファシリテーターは少しずつ参加者になってもよい


    • 成熟したチームはファシリテーターなしでダイアログが成立する




参加者は自分の前提を保留(吊り下げ)する


  • 自分が出した意見に対し、誰でも質問することを許容する


    • その意見の前提や根拠を聞いてよい



  • 批判や不満を出しても良く、その根拠を尋ねても良い


参加者はお互いを仲間と考える


  • 役職の上下、年齢などの差を意識しない

  • 自分とは反対の意見をもつ相手でも「異なる意見をもつ仲間」と考える

  • 常に相手に好奇心を持つように努める


遊び心と、新しい意見を検証する意欲をもつ


  • 「誰が何を言ったか」を気にしない

  • バカなことを言ってもよい


ダイアログの検査


うまくいっている兆候


  • 「カッカとする話題」「ぶっちゃけ思ってたこと」が議題に上がる

  • チームの仕事にとって不可欠な、最も難しく、最も捉えにくく、最も摩擦のある問題を提起している。また、そうした問題の提起が奨励されている

  • お互いに「聞いてもらっている」という実感が得られる

  • 実施後、新しい行動が生まれる


うまくいっていない兆候


  • 新しい意見や、知らなかった事実が出てこない

  • 感情的になってしまったきり、その理由や根拠を深掘りできない

  • 意見が集約される


    • ディスカッションでは意見が集約されるべきだが、ダイアログでは発散したままで良い



  • 出てきた意見に正しい/正しくないの評価がされたり、答えをあてがおうとする


    • ダイアログでは探求し続けることが重要




TIPS


  • ダイアログ前に、参加者が一言ずつ喋るチェックインを行う


    • これをやるだけで意見が出やすくなる



  • 特定の人だけが詳しくなってしまう小さなテーマではなく、全員が対等になる広めのテーマを選ぶ

  • はじめは上手く行かなくても良い


    • ダイアログ自体、修練によって高度化する

    • 「安全な場」という認識を全員で維持すること



  • 話者が衝突しやすい場合は、「トーキング・オブジェクト」を用意する


    • 例えばボールを持っている人だけが発言できるようにする



  • 誰かを名指しで批判する「あなたが言葉」が出たら、「私は言葉」に直すよう促す


    • 「あなたが言葉」はしばしば攻撃的・感情的になる

    • 例: 「あなたの○○は迷惑だ」 → 「私は○○が迷惑だと感じた。なぜなら、...」




おわりに


「対話では勝利を得ようとするものはいない。もし、誰かが勝てば、誰もが勝つことになる。」 -- 『ダイアローグ』デヴィッド・ボーム著

「対立や選択による痛みを通過して生まれる対話の場には、ほんとうのやさしさがある。」 -- 『ニッポンには対話がない』北川達夫、平田オリザ著


こんな世界観を実現できた組織があれば、それは素敵ですよね。たぶんできるので、やってみましょう。


参考リンク