about「CEATEC」
CEATEC2019 公式サイトより引用
あらゆる産業・業種による「CPS/IoT」と「共創」をテーマとしたビジネス創出のための、人と技術・情報が一堂に会する場とし、経済発展と社会的課題の解決を両立する「超スマート社会(Society 5.0)」の実現を目指す。
ざっくり言うと、国内外の企業が「CPS/IoT」を活用して超スマート社会(Society 5.0)を実現することを目的とした展示会。
-
CPSとIoTの違い
IoT(Internet of Things):インターネットを介した様々なモノ同士が繋がりを作る仕組み
CPS(Cyber-Phsical System):センシング技術等によってITと物理デバイスが繋がれた仕組みのこと。IoTと異なり、あくまで物理的な存在とITが連携することにフォーカスを置いている -
Society 5.0
Society 5.0とは内閣府が定義する社会の一つ。
サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
Society 4.0(情報社会)で分野や業界をまたいだ「知識や情報の共有」が不十分であったこと、データや情報は人がインターネット経由で能動的にアクションを起こすことで入手、分析できるものであった。
Society 5.0では、現実世界の様々なセンサーから膨大な情報をサイバー空間(仮想空間)に集積され、そのデータを人工知能が解析し、現実空間にフィードバックするという循環が起こるとしている。
企業ブースレポート
2018年までIoT TOWNと呼ばれていた企画が「2030年の社会」をイメージしたSociety 5.0 TOWNに名称変更し、多様なサービスや商品を見ることができた。
Society 5.0 TOWNは、サービス産業を中心とした複数企業による共創型の参画により、2030年の未来の「まち」で実現が見込まれるエネルギーや交通・インフラ・防災などの都市機能サービス、物流・販売・金融などの商業サービス、医療・娯楽・生涯学習などの生活サービスなど、多様なサービスを各業界のフロントランナーの参画を得て初めて展開するもので、昨年まで主催者企画として展開していた「IoTタウン」を進化・発展させて開催する企画です。
CEATEC初参加となるモビリティ、運輸、建設、電気・ガス業界からの参画企業を迎え、モノとサービスが一体化したソリューション・サービス(B2B2C)を提案します。また、複数の業種・産業が技術とノウハウを共創することで生み出されるモノやサービスを紹介する「共創ゾーン」も併せて展開します。
- 自動運転等、ICTを活用して交通をクラウド化し、複数の交通手段による移動を1つのサービスとして捉えるMaaS(Mobility as a Service)も今回のCEATEC 2019で無人運転による公道走行体験が企画として登場。その他DeNA展示の「働き方改革タクシー」では運転手の状態を設置されたカメラ等で分析し居眠り防止や運転改善につなげることができる。
カンファレンスレポート
###AI Summit ~DXを実現するAI技術の利活用とその課題~
#####講演企業
- 株式会社フィリップス・ジャパン 堤 浩幸 氏
- アマゾンジャパン合同会社 渡部 一文 氏
- 株式会社 東芝 島田 太郎 氏
講演内容
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいくことによる社会がどのように変化していくのか、各企業が講演を行った。
- いかにセキュアなデータでいかに価値創造できるか。そのためにインフラが重要となっており、「閉じられたインフラ、データ」が優れている時代から、プラットフォームの共有やシナジが可能な形態が望ましい。AIを活用していく際も部分的な最適解でなく、全体的な視点での最適化が行えているかどうか。
- 企業にとっての顧客を常に考え抜き、顧客が抱えている問題に焦点を当て続けること。短期的な利益を求めるのではなく、長期的な視点で投資が行えているかどうか。
- 大量のデータをシェアする上でデータ同士をつなげる「API」の重要性を再認識する。データ量と価値が比例しているのではなく、余計な情報は予め削ぎ落とすこと。
講演所感
ビッグデータというワードが散々持て囃されている中、不必要なデータは取り除いた方が価値が上がるという新しい視点であったり、データを持たないことによる価値、つまりゼロベースでAIが分析可能なデータを作っていくという考え方が非常に新鮮であった。
Amazonが年率30%で成長し続ける理由、それは利益第一ではなく「顧客第一」であること。自社にとって本当の顧客は誰か、その顧客が困っていること、必要としているものを提供できているのか、それらをいつも考え抜くことで1つ次元の高い視点でビジネスを捉えることが出来る。
IoT時代の攻撃と防御、PSIRTの重要性が問われるいま! IoT時代のゼロディ攻撃と防御 受け入れ必至 “Zero Trust” とは
#####講演企業
- 株式会社ラック 仲上 竜太 氏
#####講演内容
過去実際に起きた事例を踏まえながら、情報システム業界にも存在する「サプライチェーン」のリスクについて講演。
-
製造業に存在していたサプライチェーンのマネジメントは近年の情報システムにおいても必要不可欠となっている。例えば、windows用端末管理ソフトで、メーカーが正式に出している自動更新機能を通じて利用者の環境にマルウェアに汚染された更新ソフトが配布される事例。このようにソフトウェアにおいても製造から顧客へのサプライチェーンの弱い部分に漬け込み、正規ルートを乗っ取ることや不正を行うサイバー攻撃のことを「サプライチェーン攻撃」と呼ぶ。
-
システム開発現場においてもサプライチェーン攻撃の事例が存在する。統合開発環境プログラムの「Eclipse」のプラグイン「Eclipse Class Decompiler」はランキングの上位に入るほど人気のプラグインであったが、そのプラグインを利用することで、利用者のPCB内の情報が不正に取得される機能が意図的に混入されていた。公式の開発環境パッケージにも含まれていたこと、Github上にあげられていたコードと実際のコードが異なっていたことから幅広いユーザーに影響を及ぼした。
-
今までのセキュリティモデルは「信用する、しかし検証する」という考え方が全体としてあったが、ゼロトラストモデルでは「検証し、決して信用しない」を前提とし、情報資産にアクセスするものはすべて信用せずに検証することで脅威を防ぐ考え方が必要であること。
講演所感
システムが巨大化する現代でサプライチェーンの概念はソフトウェア開発にも進出する。6次受け、7次受け開発など、最終的なプロダクトが出来上がるまでに多くの人が介在し、セキュリティ面のリスクを今以上に考慮すべき時代が到来している。今まで続いてきた日本独自のIT業態の進歩には、日本独自の方法を模索していく必要があるのかもしれない。