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36キーで事足りますか(その後)

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キーボード #1 Advent Calendar 2023の24日目の記事になります。

23日はBiacco42さんの「つくってるキーボードのはなし」でした。

私は2022年末のアドベントカレンダーにて、36キーで事足りますかという記事を書きました。

それから1年間の私のキーボード遍歴を雑多にお伝えします。

年初は、cool536azcoreが自分の中の最強キーボードでした。

cool536azcoreは、パレットシステムさんのAZ-COREを利用することで、簡単にBluetooth接続の自作キーボードを作ることができます。さらに、AZ1UBALLというトラックボールも両側に装着して、文句のつけどころがないところまでできていました。


無線でトラックボールが使えるなんて、最高ですよね。この時点で、それができるのは、AZ-COREを使ったAZ-TOOLでした。そんな最高のcool536azcoreでしたが使っていくうちに、持ち歩くにはやや嵩張るサイズが気になり始めました。出かける時にカバンに入れる自作キーボードケースに入らなかったのです。

そこでcool536azcore2を作り、ケースに収納できるよう仕様にしたcool536azcore2を作りましたが、それでも何となく、サイズが気になりました。

せっかく完成したcool536azcore2ですが、持ち運びに若干、難を感じて、満足して使う頻度が減りました。cool536azcoreによって初めて体験した、Bluetooth接続によるケーブルレスは快適でした。そのため、次に作るキーボードには、何らかの方法でBluetoothによる無線接続を入れたいと思うようになっていました。

自作キーボードでBluetoothと言えば、BLE Microが有名ですよね。持っているのですが、昔、cool836Aのver.D(黄色基板のもの)で実装しようとして、よくわからず失敗したことがあります。


それ以来、苦手意識をもって、BLE Microを遠ざけていました。
でもBLE Microの苦手意識を克服しようと思い、実験的に、以前完成させた名刺サイズのキーボードmeishi001の基板の一部を調整して、Ble Microと電池基板を装着できるようにしました。サイズが小さいので、失敗しても、お財布に優しいと思い、挑戦しました。以前の失敗から時間が経って、少しだけ自分の知識がついたのか、成功しました。


このBluetoothの名刺キーボードはmeishi002として、遊舎工房フリマで3Dプリントのケース付きで頒布したり、boothで私の自作キーボードを購入して下さった方におまけで配ったりしています。


BLE Microでの成功例ができると、もう少し大きめのキーボードで無線接続できるといいなと思いました。私はアリス配列のキーボードが好きで、2022年秋ぐらいから、構想しながらも放置していた、C-13Xのために、基板を設計しました。

C-13Xはネットで見かけた時から、形を気に入っていました。しかし、ただ一つ、その一つが大きな問題ですが、キーレイアウト(Lキーの位置)がちょっと気に入りませんでした。
そこで、覚え始めた3D CADソフトで色々と試してみました。ケースの大きさの関係上、2行目右端に1Uキーを2つ置くことができないとわかりました。
そして、ハンドワイヤーで作られたキーボードだったC-13Xは、最初SU120で作り直しました。
ただ、ここ数年、SU120で作るよりも、基板を設計した方が楽になっていたので、C-13Xのために新しく基板部分を設計しました。
それに合わせて、ケースのデータも修正しました。特にボトムケースは開口部があり、ハンドワイヤーを魅せる仕様でしたが、塞いでしまいました。
完成はしたのですが、キーレイアウトの使い勝手はやはり、Lキーの押し間違いが大きく、そのために、これまで運指を変えなくてはならないのは面倒でした。bluetooth化することを諦めて、お蔵入りしました。


次に気になったのは、C-13Xと似た30%アリスレイアウトのQALおよQALBLEです。C-13Xより少し横幅のあるキーボードの外形が気に入りました。QALはハンドワイヤーに対して、QALBLEは基板から作られていて、詳細が載っていました。
ただ、国内に流通しているMCUボードではないものを使用していて、そのままの基板は再現できないと思いました。また、QALBLEで使っているBluetooth周りの部品は多分、技適でダメかなと思いました。他に、内蔵されているバッテリ周りについて、専門家でない私には難解でした。だから、形状だけを真似しようと考えました。
QALにはKeyboard Layout Editorのデータがあったので、それをもとにして、新しくcool836qalのキーレイアウトを構築しました。そして基板を新しく設計しました。またケースも新しく、3D CADソフトのFusion360でデザインしました。思想的に受け継いだだけで、全くの新設計となりました。親指周りのキーの大きさに施策を重ねて、現在の形になりました。

完成した後、サムクラスタの一部のキーの大きさが気に入らなかったので、そこを修正しました。その頃には、3Dプリンタにも慣れてきたので、微調整を加えながら、何度もケースを印刷しました。
最終的には傾斜を加えて、やや低め(薄く)にすることができました。家庭向けプリンタの品質よりよいものが欲しいと考えて、JLCPCBにブラックレジンで印刷を発注しました。

ブラックレジンのケースはとても質感がよく、家庭用の3Dプリンタで印刷したケースでは到達できない、満足さを感じさせてくれました。

5月ゴールデンウィークに、遊舎工房のフリマがあり、出展しました。その時は、家庭用の3Dプリンタで出力したケースと基板のセットを頒布しました。頒布は好評でしたが、来場者の一人が、「ワイヤレス版があったらいいな」と次の展開について提案してくれました。


cool836qalはRP2040-Zeroを使用しています。そこから、Bluetoothを使えるようにするには、私の知識では、BLE Microを使用するのが最適と思いました。事前にmeishi002でBLE Microを使用していた経験がここで生きました。


cool836qalは基板の小ささから、pro microよりも小さいRP2040-Zeroを使っています。そのため、pro microと同じ大きさのBle Microの置き場所を変更する必要がありました。置き場所をどうしようかなと悩みましたが、結局、それは過去にcool844を作ったことにより、スイッチソケットに揃えて横置きで置く方法を取ることができました。

そして、電池基板はBLE Microと同じよう横向きで反対側に付けました。ケース内で干渉する部分はボトムケースの底面を少し削れば問題ないことがわかりました。家庭用の3Dプリンタ考えたことがすぐに試せるという点で、とても有用ですね。また、Bluetooth接続にすることで、ケーブルレスとなり、ケースの端子挿入口を塞ぐことや、Bluetoothのオンオフのスイッチをつけることがケースデザイン上の変更がありました。

出来上がると気が付くもので、私がよく使う「自作キーボードとiPad」の組み合わせでケーブルを繋ぐ必要がなくなりました。
これが結構、いいんですよね。ケースからさっと、cool836qalbleを出して、スイッチを入れれば、iPadに文字が入力できる環境に気持ちよくなりました。


そこで、cool836qalの次に作ったcool838axやcool536lcも最初、RP2040-Zeroで設計したのですが、追加でBLE Micro版を作ろうと考え始めました。

cool838axは、キーレイアウトはイメージとしてcool836qalをALL1Uキーにしたレイアウトです。そのため、内部構造はcool836qalと同じで、Bluetooth化は容易でした。


7月に家族と東京へ遊びに行った折、東京駅のスタバで、cool836qalbleを使おうとしたら、店内のお客さんのスマホからの電波が多くて、cool836qalbleとiPadがBluetoothでうまくつながらなかったことがありました。
この経験から、cool838axbleでは、完全なケーブルレスを目指さず、いざとなったら、有線接続できる構造に変更することとしました。BLE Microの設置場所を見直して、ケーブルの抜き差しもできるようケースの修正をしました。
cool836qalbleは一度ケースを開けないと有線接続できず、remapでのキーマップ編集が面倒でした。でも、cool838axbleはケースを開けずにPCとケーブルで繋いで、remapなどでキーマップ編集しやすくなりました。


また、cool838axbleでは、電池部品周りも、大きく変更しました。

初心者である私が設計するキーボードは、初心者が作れる程度の部品数が良いと思っています。なるべく少ない部品数でまとまるようにしています。
完成したcool838axbleやcool536lcble、そして、cool838axbleのサイズアップ版として設計したcool846bleは、天キーで公開しました。

36キーで大体のことをやってきた私ですが、何となく年度途中から、38キーのcool838axbleを使う機会が増えてきました。しかし、38キーあっても、増えた2キーは使っていない感じがします。2キーにはTabとShiftを当てています。
cool838axの両側に1列ずつ増やす形で設計した、cool846bleは、46キーあります。これは自宅の3Dプリンターで印刷できないサイズのキーボードを作ってみたいという欲望の産物です(笑)。 cool838axが末尾にaxとあります。これはAlix40のデザインにインスパイアされた意味を持たせて付けました。その拡大版である、cool846bleは実際、Alix40と似た感じのキーレイアウトになりました。 Alix40はアクリルのケースが美しいキーボードです。ただ終売してしまい、R2はいつ来るのかなと思っています。

Alix40に似た感じで、さらにBluetoothのキーボードである、cool846bleはboothに頒布サイトを作りましたが、宣伝不足で、誰も買っていません。
もし気になりましたら、よろしくお願いします。

今年の後半、自宅や外出先では、iPadとcool838axbleの組み合わせで済ませてきました。
ちょっと長い文章が書きたい時、iPadをのフリップを開けて、cool838axbleを出して、スイッチを入れれば、さっとものが書ける環境がとても心地よいです。

ここまで読んでくださり、ありがとうございす。
30%キーボードで何とかなるの?と思う方もいらっしゃいますよね。
今年は36キーというか、厳密には38キーになっていますが、十分、事足りています。


実際、これを読んだ皆さんがいきなり30%キーボードの世界に来ることに躊躇されるのであれば、一度、40%キーボードの世界に寄ってみては如何と思います。
そんな方のために、cool846bleがあります。最後は上手に宣伝になったかな。

明日は最終日、R0w9hさんのお話です。

この文章は主にcool838axbleとiPadで仕上げました。

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