はじめに
この記事は、Nutanix Advent Calendar 2016 12月12日の分として作成しました。本記事の内容はこの日付の情報に基づいています。
またこの記事はNutanixが提供するデータ保護機能(サイト間での移行・復旧編) その1の続編となります。前回の記事はNutanixのAsyncDRの機能が提供するサイト間での復旧・移行の概要や処理の流れを解説しました。
今回の記事では、実機のスクリーンショットを用いて、操作の手順をご紹介します。
本記事での検証環境
今回の記事では、2つのNutanixクラスターにて検証を行います。プライマリサイトはESXi、DRサイトはAHVにて構成しています。
繰り返しとなりますが、AOS4.6よりサポートされた異種ハイパーバイザー間DRの機能により、異機種ハイパーバイザー間でもシームレスに仮想マシンを移行することが可能になりました。異種ハイパーバイザー間DRの詳細についてはブログ「インフラ屋とアプリ屋のあいだ: Nutanixのクロスハイパーバイザーを試してみる」をご一読ください。
それぞれのクラスターでは以下のデータ保護の設定を行っています。
ESXiクラスター
プライマリサイトのESXiクラスターでは以下の設定を行っています。
- Windows10とUbuntuの2台の仮想マシンを作成
- AHVクラスターをリモートサイトに登録
- X-HVという名称のプロテクションドメイン(以降は「PD」と表記します)を作成し、Windows10とUbuntuの仮想マシンを登録
リモートサイトやPDの設定の流れや画面はNutanixが提供するデータ保護機能 (リモートレプリケーション編)をご参照ください。
AHVクラスター
DRサイトのAHVクラスターでは以下の設定を行っています。
- ESXiクラスターをリモートサイトに登録
DRサイト側でプライマリサイトをDRとして登録する設定は忘れがちなのですが、この設定がないと正しく動作しませんので、忘れずに設定する必要があります。1
設定後の状態
2つのクラスターの設定状態を図示すると下図のようになります。
この段階ではAHVクラスター側にはPDが設定されておりませんが、初回のスナップショットのレプリケーションが実行される際に、AHVクラスター側にも同様にX-HVという名称のPDが作成されます。それぞれのPDの状態はPD名称の左側のインジケーターの色によって示されます。緑色がアクティブ、灰色がインアクティブです。
- PDがアクティブな状態(ESXiクラスター)
- PDがインアクティブな状態(AHVクラスター)
計画的な移行
実際の移行を行ってみます。まずはESXi、AHVの両方のサイトが正常に稼動していう状態での移行作業です。ESXiクラスターにて操作を行います。
- 「Data Protection」メニューの「Table」より、「X-HV」を選択し、「Migrate」をクリックする
- 移行のポップ画面が表示されるので、移行対象として「AHV」を選択し、「Migrate」をクリックする
MigrateをクリックするとPDの移行が開始されます。PDに所属する仮想マシンの自動シャットダウン、スナップショットの取得、リモートサイトであるAHVクラスターへのレプリケーション、プライマリサイトのESXiクラスターでの仮想マシンの削除といった一連の処理が自動的に実行されます。
- AHVクラスターで、仮想マシンが登録されていること、「X-HV」PDがアクティブになっていることを確認する
仮想マシン無事に移行されているはずです。問題なく起動できることを確認しましょう。
- vCenter上のインベントリのクリーンアップ
ESXiクラスターを管理するvCenter Serverのインベントリには、AHVクラスターに移行した仮想マシンが実体のない「親なし」の状態で残ってしまっています。こちらはインベントリから削除しておきましょう。
災害による移行
災害などの要因によりプライマリサイト(ESXiクラスター)が全断している状態で、DRサイト(AHVクラスター)に仮想マシンを復旧・移行します。ESXiクラスターは操作不可能なので、AHVクラスターから操作を行います。
- 「Data Protection」メニューの「Table」より、「X-HV」を選択し、「Migrate」をクリックする
- AHVクラスターで、仮想マシンが登録されていること、「X-HV」PDがアクティブになっていることを確認する
この手順は「計画的な移行」と同様です。
上記の手順に沿ってAHVクラスターをアクティブに変更した状態で、ESXiクラスターが復旧した場合は、両方のクラスターがアクティブとなり、また保護対象の仮想マシンも両方のサイトに存在することになります。
このときは、ESXiクラスターの「X-HV」PDを手動でインアクティブに変更し、また仮想マシンも手動で削除します。
必要に応じて、AHVクラスターからESXiクラスターへ仮想マシンを再度移行(フェイルバック)しましょう。「計画的な移行」と同様の手順でフェイルバックを行うことができます。
特定の仮想マシン、特定のスナップショットを対向サイトで復旧する
「計画的な移行」「災害による移行」はプロテクションドメイン全体をプライマリサイトからDRサイトに切り替えます。また、その際には最新のスナップショットが使用されます。
古い世代のスナップショットを用いて、特定の仮想マシンだけを復旧させることもできます。
AHVクラスター側で操作を行います。
- 「Data Protection」メニューの「Table」より、「X-HV」を選択し、「Local Snapshots」タブを選択する
ESXiクラスターからレプリケーションされたスナップショットの一覧が表示されます。
- 任意のスナップショットを選択し、「Restore」より復旧する
復旧の手順はローカルスナップショットからの復旧の手順と同様です。詳細についてはNutanixが提供するデータ保護機能 (ローカルバップアップ編)の「リストア方法」のセクションをご参照ください。
終わりに
Nutanixの災害対策機能の移行・復旧の実際の操作の手順や設定・操作の画面をご紹介しました。非常にシンプルな操作で強力なDRの機能がご利用いただけることがお伝えできれば幸いです。
次回はリモートサイトにAWS、Azureといったパブリッククラウドを利用するCloud Connectをご紹介します。
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AOSの最近のバージョンでは、DRサイト側でもRemote Siteの設定が必要出ることが、プライマリサイトの設定登録時に明示されるようになりました。 ↩