はじめに
この記事は、Nutanix Advent Calendar 2015 12月23日の分として作成しました。
本記事の内容はこの日付の情報に基づいています。
またこの記事はNutanixが提供するデータ保護機能 (ローカルバップアップ編)の続編となります。
前回の記事はローカルのNutanixクラスター内で、ストレージスナップショットベースのバックアップを取得する方法、そのスナップショットからリストアする方法をご紹介しました。
今回の記事では、複数の拠点間で仮想マシンをマイグレーションする災害対策機能をご紹介します。
Nutanixの災害対策機能概要
Nutanixでは幾つかの災害対策の機能を提供しています。
- Async DR: スナップショットを異なるNutanixクラスターに転送する非同期レプリケーション機能。転送されたスナップショットは、リモート側で仮想マシンとして復元可能
- Cloud Connect: リモートのNutanixクラスターを、物理的なコンピュータではなく、AWS/Azureといったパブリッククラウド上に構築する機能
- Metro Availability: 遠隔地の2セットのNutanixクラスターが同期的にストレージIOをレプリケーションし、サイト被災が発生した際には、HyperVisorのHA機能を使用して対向側のNutanixクラスターから仮想マシンが再起動する機能 (vSphereのみでのサポート)
それぞれの機能のRTO、RPOは下表のようになります。要件に応じて最適な方式を選択ください。
RRO | PTO | Nutanixの機能 |
---|---|---|
数時間〜 | 数時間 | Cloud Connect |
1時間〜 | 数分 | Async DR |
ゼロ | 数分 | Metro Availability |
Nutanix Community Editionではce-2015.11.05-stableのバージョンより、Async DRとCloud Connectが利用できるようになっています。
今回は2台のNutanix CEを用意して、Async DRの設定方法、およびリモートサイトへのマイグレーションの方法をご紹介します。
設定してみよう
今回の構成
Nutanix-CEとCE_Beeという2つのNutanix CEの1ノードクラスターを使用します。
Nutanix-CEが仮想マシンが動作しているプライマリサイト、CE_BeeをDRサイトに見立てています。
両クラスター共にce-2015.11.05-stable版で稼働しています。
リモートサイトの設定
Nutanix-CE → CE_Bee
Nutanix-CEクラスターにスナップショットの転送先(NutanixではRemote Siteと呼んでいます)としてCE_Beeを登録します。
- Data Protectionのメニューを選択します
- 右上にある"+Remote Site"をクリックします。Physical ClusterとCloudの2つの選択肢が出てくるので、Physical Clusterを選択します。(Cloudを選択するとCloud Connectの設定となり、AWSやAzure上にRemote Siteを作成することができます。こちらは次回ご紹介します)
- 特にストレージのマッピングは設定を忘れがちなので注意しましょう。今回はNutanix-CEのVMsというコンテナをCE_BeeのBee_CTRというコンテナにマッピングしています。
- Saveボタンを押すと設定完了です。
CE_Bee → Nutanix-CE
CE_Bee側でも同様にNutanix-CEをリモートサイトとして登録します。
設定の確認
設定が完了したら**"Data Protection"** → Table → Remote Siteを選択しましょう。対向のクラスターが登録されているはずです。一覧表の下部に操作メニューがありますが、こちらのTest Connectionをクリックすると対向のクラスターとの疎通が取れているかを確認できます。
引き続き、バックアップの設定を行います。
バックアップの設定
Data Protectionの設定
バックアップはローカルバックアップの時と同様Data Protectionの設定にて行います。
詳しくは前回の記事をご参照ください。
リモートにスナップショットを転送するためには、Scheduleの設定画面で、リモートサイトを選択し、スナップショットの保管世代数を入力するだけです。
動作確認
Data Protectionの設定が完了したら、設定した開始時間からスナップショットのリモート転送が開始されます。
"Data Protection" → Table → Async DR → 設定したData Protection名を選択すると、様々な情報にアクセスできます。こちらで設定したバックアップポリシーが正しく実行されているか確認することができます。
以下のスクリーンショットは、リモートサイト側のCE_Beeからデータの転送状況、取得されたスナップショットを表示したものです。
- データ転送状況
終わりに
Nutanixの災害対策機能の概要と2つのNutanixクラスターを使用したのリモートレプリケーション設定手順をご紹介しました。
次回は、リモートレプリケーションからのリストア方法を解説します。