近年、様々なローコード・ノーコードツールが開発され、業務改善に活用できたり、エンジニア以外の職種の人たちも使えるなどという理由で、急速に普及しています。全世界におけるローコードプラットフォームの市場は、2027年までに650億ドルにのぼると予想されており(参照:Statista)、今後も伸びていくと考えられます。
この記事では、2025年の今、特に注目すべきローコード・ノーコードツールを7つ厳選し、それぞれの特徴や選び方について詳しく解説します。これからのアプリ開発に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。
ローコード・ノーコードとは
ローコード・ノーコードは、最小限のコーディングでアプリケーションやウェブサイトを開発できることです。
ノーコードツールではプログラミングを一切必要とせず、ビジュアルエディタやドラッグ&ドロップの機能を使ってアプリをデザインします。これにより、非技術者でも自分たちのアイデアを形にすることが容易になります。
一方でローコードツールではコーディング知識がある程度必要になりますが、コーディングの量を減らしながらも、より複雑な開発やカスタマイズに対応できます。開発者が迅速にアプリを構築できるうえ、柔軟性も兼ね備えているため、企業のニーズに応じた高機能なアプリケーションを作成するのに向いています。
どちらも、業務プロセスの自動化やアプリ開発のスピード向上を実現する手段として、大企業からスタートアップまで幅広く利用されています。また、プロジェクトの進行に応じたアジャイルな開発方法を支持する要素ともなっています。
ローコード・ノーコードツールの選び方
1. プラットフォームの使いやすさを重視する
ローコードやノーコードツールを選ぶ際には、プラットフォームの使いやすさが重要です。ビジュアルデザインやドラッグ&ドロップ機能が充実しているかを確認してください。直感的なインターフェースを持つツールは、エンジニア以外でもアプリ開発をスムーズに行えるため、チーム全体の生産性向上につながります。
また、ステップバイステップのガイドや豊富なテンプレートが用意されているかもチェックすると良いでしょう。初心者でも短期間で学習し、実際のプロジェクトに役立てることができます。
2. 機能の充実度を確認する
各プラットフォームで提供される機能の充実度も重要です。例えば、データベースとのインテグレーション、API連携、スケーラビリティなど、ビジネスニーズに合わせたアプリ開発を支援する機能が揃っているかどうかを比較しましょう。
また、アプリケーションのパフォーマンスやセキュリティ機能についても確認が必要です。長期的に使うことを考慮して、アプリの運用やメンテナンスが安心して行えるかどうか、確認しましょう。
3. コストとライセンスモデルを比較する
最後に、各プラットフォームのコストとライセンスモデルを比較することも大切です。初期投資や維持費、ユーザー数や機能に基づく価格設定を理解することで、予算に合った選択が可能になります。
また、無料のトライアルプランがある場合は試してみることで、自分のニーズに合うかを実際に確かめられる良い機会となります。特にチームで利用する場合には、ボリュームディスカウントが適用されるかどうかも確認し、将来的な拡張性を考慮したプランを選ぶことが重要です。
ローコード・ノーコードツール 7選
1. Mendix
出典:Mendix
Mendixは、企業向けのローコードプラットフォームで、大規模アプリケーションの開発に適しています。チームでのコラボレーションを促進する機能が充実しており、開発者とビジネスユーザーが同時にプロジェクトに参加できます。
Mendixプロジェクト開始時にチームメンバーを招待し、プラットフォーム内で役割と責任を割り当てます。すると、役割に応じてコンポーネントへのアクセスが制限され、例えばエンドユーザはユーザストーリーボードにのみアクセスし、スクラムマスターはすべてにアクセスして開発変更やデプロイが可能になります。
また、厳格なセキュリティテストを受けていて、業界標準の認定を取得。強力なデータ保護機能やリアルタイム監視、監査機能も用意されています。また、スケーラビリティにも優れています。さらに、アジャイル開発の手法を取り入れた開発環境が提供されているため、迅速な対応が求められるプロジェクトに最適です。
料金
- Free:€0/月
- Basic:€52,50/月
- Standard:€9000/月
- Premium:お問い合わせ
詳細は公式ページでご確認ください。
https://www.mendix.com/ja/pricing/
2. OutSystems
出典:OutSystems
OutSystemsは、ハイパフォーマンスなアプリケーションを迅速に構築できるローコードプラットフォームです。高度なUIやビジュアルデザインツールが備わっており、優れたユーザー体験を提供します。OutSystems UIというデザインフレームワークを提供しており、豊富なUI部品やスタイル定義が揃っている点が強みです。
アプリケーション全体を単一の統合開発環境で、ローコードアプローチを用いて構築します。また、カスタムコードの統合が可能で高い柔軟性のあるビジュアルモデルを使って開発することで、拡張性や効率性、開発スピードを高められます。特に、デジタルトランスフォーメーションを進める企業にとって、非常に有用なツールです。
料金
- $36,300〜/年
10日間無料で試せるEdition(評価版)もあります。 詳細は公式ページでご確認ください。
https://www.outsystems.com/pricing-and-editions/
3. Retool
出典:Retool
Retoolは、内臓のコンポーネントを利用して迅速にカスタム業務アプリケーションを構築するためのローコードプラットフォームです。サンフランシスコに本社があるRetool社が開発しています。2018年のサービスローンチし、2023年には南北アメリカやヨーロッパ、アジアを中心に、世界中に8,000以上の顧客を抱えています。
Retoolでは、データベース(PostgreSQL、MySQL、Snowflakeなど)やAPIと直接接続することが容易で、開発者にとって非常に便利な環境が整っています。インターフェースは直感的で、アプリケーション開発のスピードを大幅に向上させられます。カスタマイズや拡張性も高く、特定のビジネスニーズに応じた機能追加が容易です。
料金
- Enterprise:要お問い合わせ
その他、Free、Team、Businessプランが用意されています。 詳細は公式ページでご確認ください。 https://retool.com/pricing
日本国内ではグロースエクスパートナーズ株式会社が取り扱っており、同社ではEnterpriseプランのみ提供しています。 https://gxpretool.gxp.jp/
4. Kintone
出典:Kintone
Kintoneは、日本発のローコードプラットフォームで、業務アプリの構築に特化しています。業務プロセス管理に特化した機能が充実しており、特にチームコラボレーションを意識した設計がされています。煩雑になったExelファイルやメール、紙の資料など、業務を非効率にしている課題を解決できます。
Kintoneではカスタムアプリを手軽に作成でき、企業の特定のニーズに合わせた機能を追加できます。プラグインによる機能拡張や、APIを利用して他社のシステムと連携することも可能です。Kintoneと連携できるサービスは200種類以上あり、自社で必要な機能の追加が柔軟にできるため、業務効率化に役立ちます。導入担当者の93%が非IT部門というデータがあり、専門知識がなくても利用できると分かります。
料金
- ライトコース:¥1,000円/月
- スタンダードコース:¥1,800円/月
- ワイドコース:¥3,000円/月
上記はすべて1ユーザーあたり。 1ユーザー単位で契約可能(最低10ユーザーから)。
詳細は公式ページでご確認ください。
https://kintone.cybozu.co.jp/price/
5. Airtable
出典:Airtable
Airtableは、データベースとスプレッドシートの機能を融合したプラットフォームです。ユーザーはシンプルなインターフェースを通じて、チームメンバーやプロジェクトの情報を整理できます。特にプロジェクト管理やタスク追跡に強みを発揮します。
テンプレートに関しては、プロジェクト管理、セールスCRM、マーケティング業務に役立つカレンダー、プロダクトのロードマップなどが豊富に用意されており、ユーザーは必要に応じて容易にカスタマイズできます。また、データベースとのインテグレーションも行えるため、他のツールと連携しやすい点も魅力です。連携するツールとしては、Google Drive、Salesforce、Zendesk、GitHubなど様々です。ノーコードでアプリを作成したくて、データの整理も同時に行いたい方には最適な選択肢となります。
料金
- Free:$0
- Team:$20/月
- Business:$45/月
- Enterprise Scale:問い合わせ
上記は1ユーザーあたり。 詳細は公式ページでご確認ください。
6. AppSheet
出典:AppSheet
Googleが提供するAppSheetは、ノーコードで開発できるプラットフォームです。既存のデータを用いてモバイルアプリやデスクトップアプリを素早く構築できます。特に、Google スプレッドシートやExcelと簡単に統合できるため、既存のデータをそのまま活用できます。
ビジュアルエディタを使用することで、直感的にアプリの構築が可能です。また、条件に応じたアクションを設定することができます。APIとの統合も含め、多様なデータソースから情報を取得し、リアルタイムで更新されるアプリケーションを作成したい方に向いています。テンプレートについては、シンプルな調査やカンバンボード、プロジェクト追跡など、豊富に用意されています。
料金
- Starter:$5/月
- Core:$10/月
- Enterprise Plus:$20/月
上記は1ユーザーあたり。 詳細は公式ページでご確認ください。
https://about.appsheet.com/pricing/
7. Bubble
出典:Bubble
Bubbleは、ウェブアプリケーションをノーコードで構築するための強力なプラットフォームです。フルカスタマイズが可能で、複雑な機能を備えたアプリを作成できるのが特徴です。6,500の連携やプラグインが用意されており、これまでにマーケットプレイスやAIを活用したツール、CRMプラットフォームなど、470万のアプリがBubbleで構築されてきました。
ユーザーはドラッグ&ドロップでコンポーネントを配置し、ビジュアルデザインを行うことができます。デザインから構築、十分に機能するウェブアプリケーションやモバイルアプリケーションのローンチまでを行うことができます。また、Bubbleはサービス側で、サーバーやセキュリティなどの技術的な部分を担います。
料金
- Free:$0
- Starter:$29/月
- Growth:$119/月
- Team:$349/月
- Enterprise:問い合わせ
上記は年間払いの場合。 詳細は公式ページでご確認ください。
まとめ
ローコード・ノーコードツールは、ユーザーが迅速にアプリケーションを構築できる環境を提供します。特に、ノーコードツールでは、プログラミング知識を持たない人々でもビジュアルデザインやドラッグ&ドロップ機能を使い、自分のアイデアを形にできることが特徴です。コーディングに関する知識がある場合は、よりカスタマイズ性の高いローコードツールを使用するのも良いでしょう。
この記事では、ローコード・ノーコードの選び方について、プラットフォームの使いやすさや機能の充実度、コストとライセンスモデルの比較を挙げました。今回紹介したツールを利用することで、業務プロセスの自動化やアプリ開発のスピード向上を図ることができるため、自分のニーズに合わせた選択をすることが重要です。アプリ開発を考えている方は、ぜひ今回の情報を参考にしてください。
よくある質問
Q. ローコードとノーコードの違いは何ですか?
ローコードは、コーディングの量を減らしつつ開発者がカスタマイズを行えるプラットフォームです。これに対し、ノーコードはプログラミングを必要とせず、ビジュアルエディタを用いてアプリを作成します。どちらもアプリ開発を迅速化しますが、分けるとすればローコードは技術者向け、ノーコードは非技術者向けです。
Q. ローコード・ノーコードを使うメリットは?
これらのツールを使用することで短期間でアプリを開発できるだけでなく、業務プロセスの自動化が可能です。開発チームの負担が軽減され、コスト削減にもつながるケースが多いです。また、各種データベースやAPIとの統合が容易で、ビジネスニーズに応じた柔軟な対応が可能です。