今回は、ファイル転送サービスについて、選び方やおすすめのサービスを紹介します。
ファイル転送サービスとは
ファイル転送サービスは、特定の人にのみ正確に情報を届けたり、サーバーに永続的に保存したくないデータを一時的に共有するために使用されます。個人情報やクレデンシャルなどのセンシティブな情報を扱う際には、安全で簡単なファイル転送サービスが非常に役立ちます。エンジニアは日々の業務において、これらの機能を必要とする場面があるでしょう。
ファイル転送サービスと、ファイルアップローダーの違い
ファイル転送サービスとファイルアップローダーは、ファイルを共有するという点で似たような機能を持ちますが、目的や使用方法においていくつかの違いがあります。
似ている点
両者とも、ユーザーが自分のデバイスからファイルを選択し、他の人と共有できるようにします。ファイルをアップロードすると、受取人がダウンロードしたり、アクセスしたりできるリンクを生成します。このプロセス自体は共通しています。
相違点
ファイル転送サービスは、一時的なファイルの送信が主な目的です。大容量のファイルを迅速に共有し、特定の期間内に受取人がダウンロード可能という特徴を持っています。対してファイルアップローダーは、ファイルをオンラインにアップロードし、長期的に保存・管理するためのサービスです。クラウドストレージサービスの機能としてのファイルアップローダーは、ファイルの整理やコラボレーションにも利用できます。Googleドライブ、OneDrive、Boxなどが挙げられます。
メリット・デメリット
ファイル転送サービスのメリットは「扱いやすさと即時性」です。短期間でファイルを迅速に共有できるため、急なデータ送信が必要な場面で重宝します。ただし、保存期間が限定されていることや、アクセス権限の管理が難しい場合があります。
一方、ファイルアップローダーのメリットは、「ファイルを永続的に保存でき、管理しやすい」点です。特にチームでのコラボレーションにおいて、ファイルの共有や編集が簡単に行えます。用途に応じてファイル転送サービスとファイルアップローダーを使い分けることが重要です。
ファイル転送サービスの選び方
1. ファイルサイズの制限
業務においては、大きなデータセットやメディアファイルを扱う場合も多く、利用内容に合わせたサービスを選ぶ必要があります。最大120GBまでのファイルを転送できるサービスを選ぶと、大規模なプロジェクトにも対応しやすくなります。同時に、利用可能なプランに無料オプションがあるかどうかもチェックしましょう。多くのサービスでは、無料プランでも一定のサイズまでのファイルを転送できるため、初期投資が最小限で済む場合があります。
2. セキュリティ
ファイルのやりとりをするため、セキュリティも見逃せません。業務上のファイルには機密情報が含まれることがあり、安全な環境でデータを転送できる必要があります。暗号化が施された転送が行われているサービスを選べば、データの漏洩リスクを軽減できます。また、ファイルの保存期間や、受取人がアクセスできる権限の設定についても注視しましょう。特に官公庁や企業向けのプロジェクトでは、データセキュリティへの配慮が一層重視されます。
3. 使いやすさ
直感的なインターフェースが用意されているか、ファイルのアップロードやダウンロードが簡単に行えるかなどを確認しましょう。また、モバイルアプリの有無やブラウザによるアクセスの容易さも、選択基準として考慮すると良いでしょう。
ファイル転送サービスの比較
1. Dropbox Transfer
Dropbox Transferは、シンプルで使いやすいファイル転送サービスです。最大250MBまでのファイルを、Dropboxのアカウントを持っていない相手にも転送可能です。アップロード後にメールを送信、もしくは生成されるダウンロード用のリンクを受取人に共有すると、受取人はファイルのダウンロードができます。
ユーザーはファイルの有効期限を設定したり、パスワードでファイルを保護したりする機能があるため、セキュリティ面でも安心です。また、ダウンロードされた際に通知が来るため、相手が受け取ったかを知ることができます。
料金
- Plus(個人用):¥1,200/月
- Professional(プロフェッショナル向け):¥2,000/月
- Standard(チーム向け):1ユーザーあたり¥1,500/月
- Advanced(企業向け):1ユーザーあたり¥2,400/月
上記は年払いの場合。無料トライアルもあり。
詳細は公式ページでご確認ください。
2. HENNGE Secure Transfer
HENNGE Secure Transferは、特にセキュリティに配慮されたファイル転送サービスです。一度に20ファイルまで、合計2GBもしくは5GBまでアップロード可能。教育機関や大手企業でも多くの利用実績があります。
ユーザーは受取人に対してパスワード設定ができるため、機密情報の管理がしやすくなっています。受取人へリンクを共有した後でも、ストレージへのアクセスを手動で無効にできるため、もしも誤送信をしてしまった場合でも対処できます。
料金
- Suite:¥800〜/月
- Identity:¥300〜/月
- DLP:¥350〜/月
- Cybersecurity:¥200〜/月
利用できる機能によってプランが変わります。
詳細は公式ページでご確認ください。
3. Filemail
出典:Filemail
Filemailは、ノルウェーに拠点を置く企業が提供する、ファイル転送サービスです。世界中で190以上の国で提供されています。画像やドキュメントなど基本的な形式のファイルのほか、RAWファイルやソフトウェアに固有の形式などにも対応しています。受信者は登録などの対応は不要で、容易にファイルをダウンロードできます。
アップロードされたファイルすべてに、マルウェアなどの脅威がないかをスキャンします。アップロードとダウンロードの両方において、暗号化されたファイル転送が行われます。ロゴやブランドカラーや画像を使ってダウンロードページをカスタマイズできるため、ブランドイメージを崩さずに利用することもできます。
料金
- Personal:$4/月
- Pro:$10/月
- Business:$15/月
- Enterprise MFT:カスタム
7日間の無料体験プランも提供されています。
詳細は公式ページでご確認ください。
4. firestorage
出典:firestorage
firestorageには、個人向けと法人向けのプランがあります。法人向けのfirestorageは、ビジネスニーズに特化した機能やサービスがあり、企業がデータを安全に取り扱うための便利なソリューションを提供しています。法人向けには独自サブドメインやロゴの挿入、アクセスログなどの機能があります。
またSSL通信や、ダウンロードURLへの不正アクセスブロック、パスワード設定など、安全にファイル転送ができるような機能もあり、セキュリティ面でも安心です。
料金
ユーザー数や利用できる機能によって、4つのプランに分かれています。
詳細は公式ページでご確認ください。
5. EASY FILE EXPRESS
EASY FILE EXPRESSは、初期費用0円で月額3,000円という低価格から利用できる、ファイル転送サービスです。総ユーザー数は8,000人を突破しており、地方自治体にも多く利用されています。
一度に5つのファイルをまとめて送受信でき、数GBの大容量ファイルにも対応しています。また、通信経路の暗号化や、操作ログの期間無制限保存、脆弱性診断の実施など、セキュリティ対策もされています。
料金
ブラウザ対応の4プラン、for Outlook(アドイン)対応の2プランが用意されています。
詳細は公式ページでご確認ください。
6. クリプト便
出典:クリプト便
クリプト便は、野村総合研究所グループの情報セキュリティ専門企業であるNRIセキュアテクノロジーズ株式会社が提供する、ファイル転送・共有サービスです。20年以上の実績があり、金融機関の高セキュリティが求められる企業でも採用されています。
利用するシチュエーションに応じて、「ファイル転送」と「ファイル共有」を柔軟に使い分けられます。ファイル転送は、メールの誤送信防止や大容量ファイルを安全に送付したい場合などに推奨されています。未登録のユーザーと自由に送受信を行う「オープン送信」と、登録ユーザーのみで送受信する「クローズド送信」があります。シンプルなUIで、操作しやすい点も魅力です。
料金
- エントリー:¥1,000/月
- ライト:¥1,000/月
- スタンダード:¥900/月
- 個別見積もり
上記は1ユーザーあたり。詳細は公式ページでご確認ください。
7. tenpu
出典:tenpu
tenpuでは、100GBのストレージを完備しており、最大20GBのファイル転送が可能です。また背景画像を自由に変更できるため、ブランドイメージやロゴを背景にするなどカスタマイズをして、ブランディングにも活用できます。
シンプルなUIで、アップロードから送信まで、直感的に行うことができます。アップロードされたファイルはすべて暗号化され、データ通信もSSLによる暗号化で守られています。累計300社に導入されており、利用者総数はおよそ100,000人です。
料金
- Free:¥0
- Pro:¥980/月
- Business:¥1,200/月
- Enterprise:お問い合わせ
上記は1ユーザーあたり。詳細は公式ページでご確認ください。
まとめ
ファイル転送サービスは、デジタル時代において迅速かつ効率的なデータ共有を実現するための重要なツールです。ソフトウェアエンジニアにとっては、新機能のデモやプロジェクトファイルの共有、修正パッチの送信など様々なシーンで活用できます。選択肢が多い中で、最大ファイルサイズやセキュリティ機能、使いやすさを考慮して自分に合ったサービスを選ぶことが求められます。用途やニーズに応じて最適なサービスを見つけ、快適なデータ共有環境を整える手助けとなるでしょう。
よくある質問
Q. どのくらいのファイルサイズまで転送できますか?
ファイルサイズの制限はサービスによって異なりますが、一般的には数百MBから数GB、さらに大きなファイルを扱えるサービスもあります。大きなファイルを扱う場合は、これらの制限を考慮しましょう。
Q. ここで紹介されているサービスは安全にファイルを送信できますか?
はい、多くのファイル転送サービスは、データの安全性を考慮して暗号化された転送を行っています。HENNGE Secure Transferやクリプト便は特にセキュリティに配慮されたサービスとして知られ、機密情報の送信に適しています。利用する際は、セキュリティ機能についても確認しましょう。
Q. どのようにファイルを転送するのですか?
基本的な手順は、まずファイルをアップロードし、生成されたリンクを受取人に送信します。各サービスごとにインターフェースは異なりますが、直感的に操作できるものが多いです。アップロード後の手順はサービスの説明を参考にすると良いでしょう。
Q. 転送後のファイルはどれくらい保存されますか?
ファイルの保存期間はサービスによって異なります。一時的なファイル転送サービスでは、数日から数週間の間にアクセスすることができ、それを過ぎると削除されることが一般的です。具体的な保存期間は各サービスの利用規約などで確認することが重要です。