近年、電子契約サービスの導入は、官公庁だけでなく民間企業にも広がりを見せています。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の「JIPDEC IT-Report 2023 Spring」によると、電子契約の利用状況が2023年は73.9%に達したとされています。50人以上の事業者では8割近くが使用しており、「利用に向けて準備中・検討中」を含めると、近い将来、9割が電子契約を活用することになります。
出典:一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)「JIPDEC IT-Report 2023 Spring」
しかし、電子契約サービスには様々な種類があり、それぞれの特徴や機能が異なります。どのサービスが自社に最適なのか、どのようなポイントを重視して選ぶべきなのか、迷っている方も多いでしょう。
この記事では、2025年におすすめの電子契約サービスを厳選し、それぞれの特徴や選び方を紹介します。あなたのビジネスにぴったりなサービスを見つけるために、ぜひ参考にしてください。
電子契約サービスの選び方:3つのポイント
1. 目的と業務内容に合わせた機能の充実度
電子契約サービスを選ぶ際、まず最初に考慮すべきは自社の業務内容や契約の目的です。例えば契約書の種類や頻度が多い場合、複数の契約書のテンプレート機能が充実しているサービスが便利でしょう。また社外との契約締結が多い場合は、複数の署名方法や電子認証機能が搭載されているサービスを選びましょう。
機能面では、契約書管理機能、進捗管理、文書の自動更新機能、クラウド保存などが必要かどうかを検討します。しかし、機能が多ければ良いわけではないため、実際に使用する機能を絞り込んで選定しましょう。無駄な機能にコストをかけないことも大事です。
また将来的に契約業務が増加することを見越して、スケーラビリティも考慮に入れると良いでしょう。例えばAPI連携が可能なサービスであれば、将来、他の業務システムとの統合や拡張も視野に入れられます。
2. 運用体制と操作性
電子契約サービスを選ぶ際は、自社の運用体制や社員のスキルレベルも考慮しましょう。例えば、契約書を作成・締結する担当者が複数名いる場合、シンプルで直感的に操作できるインターフェースを持つサービスが便利です。さらに複数のユーザーが同時に操作できる権限設定機能が充実しているサービスを選ぶと、業務がスムーズに進行します。
また、例えば法務部門や営業部門など、契約業務を担当するメンバーが専門的なITスキルを持たない場合、使いやすさを重視したサービス選定が求められます。操作が簡単であれば、社内の教育コストも削減できます。さらに、モバイル対応機能があるサービスを選べば、外出先からでも契約締結が可能です。
3. セキュリティとサポート体制
電子契約は機密性の高い情報を取り扱うため、セキュリティ対策が重要です。そのため、データの暗号化、SSL対応、二段階認証など、重要なセキュリティ機能を提供しているかどうかをチェックすることが必要です。また、契約書のバックアップ機能や不正アクセスの検出・防止策もポイントです。
サポート体制については、技術サポートの範囲や対応時間、サポートチャネル(電話、メール、チャットなど)を確認しましょう。問題が発生した場合に迅速に対応してもらえるかどうかは、運用を円滑に進めるために欠かせません。
特にクラウド型の電子契約サービスを選ぶ場合、サービス提供者の信頼性や、サポート体制がしっかりしているかどうかも重要です。サポートの品質を確認し、困ったときにすぐに助けが得られる体制が整っているかを調査しましょう。
おすすめ電子契約サービス7選
1. クラウドサイン(弁護士ドットコム株式会社)
出典:クラウドサイン
クラウドサインは弁護士ドットコム株式会社が提供する電子契約サービスで、日本国内で特に広く利用されています。弁護士監修のもとで設計されており、安心して契約を結ぶことができます。
クラウドサインは直感的なインターフェースが特徴で、法務部門や営業担当者など、専門的なIT知識がなくても簡単に利用できます。さらに契約書の管理機能や複数人での同時署名、進捗管理などが充実しており、大企業から中小企業まで幅広い業務に対応しています。データの安全性にも配慮されており、SSL暗号化、バックアップ、2段階認証などが備わっています。
出典:クラウドサイン料金プラン
2. 電子印鑑GMOサイン
出典:電子印鑑GMOサイン
電子印鑑GMOサインはGMOインターネット株式会社が提供する電子契約サービスで、これまで350万社以上の事業者に選ばれています。お試しフリープランがあるため気軽に試すことができます。GMOサインはシンプルなUIと操作性の高さが特徴で、契約書をPDFでアップロードし、電子印鑑を押すだけで契約を完結できます。さらに署名を依頼する際には署名者の順番を指定できるため、まず自社側で署名や押印を行い、その後で相手側に送信するなど、効率的に契約手続きを進めることが可能。セキュリティ面では堅牢な暗号化技術が使用されており、法的効力を確保するための電子署名機能も提供されています。
3. freeeサイン
出典:freeeサイン
freeeサインは、クラウド会計ソフト「freee」を提供するfreee株式会社が開発した電子契約サービスです。特に、中小企業や個人事業主にとって使いやすいインターフェースが特徴で、契約書の作成から署名、保存まで一貫してオンラインで行うことができます。2025年3月には、フリーランスや個人事業主の方が手間をかけずに契約書を交わすことができるように、個人事業主向けプランが新設されました。
freeeサインはfreeeの会計ソフトとAPI連携させられるため、契約書に基づく取引をそのまま会計に反映でき、業務効率化が図れます。また電子契約を始めるために必要最低限の機能が備わったシンプルな「Starter」プランがあるため、契約書の電子化に取り組みやすい点も魅力です。セキュリティや法的効力も強化されており、安心して利用できるでしょう。
4. マネーフォワード クラウド契約
マネーフォワード クラウド契約は、会計・経理サービスを提供するマネーフォワードが開発した電子契約サービスです。クラウド上で契約書を簡単に作成、署名、保存できるため、業務負担が軽減されます。電子契約のみならず、紙の契約書もマネーフォワード クラウド契約の画面でまとめて管理できます。
他のマネーフォワードのクラウドサービスとの統合性が高いため、会計処理や税務処理との連携をスムーズに行えます。セキュリティ対策も強化されており、安心して利用可能。
5. BtoBプラットフォーム 契約書
BtoBプラットフォーム 契約書は企業間取引を円滑に進めるための電子契約サービスで、特に法人向けに多く利用されています。取引先と簡単に契約を締結できるオンラインプラットフォームで、契約書の管理や締結を効率的に行えます。
ユーザーは契約書のテンプレートから簡単に契約書を作成し、相手に署名を依頼します。契約書は電子的に保存されるため、後から契約内容を簡単に確認することも可能です。複数の企業間での契約締結を支援する機能が充実しており、大規模な企業向けの運用にも対応しています。これまで110万社の導入実績があります。
6. DocuSign
出典:DocuSign
DocuSignは、世界180カ国以上で利用されている電子契約サービスで、多国籍企業や海外取引が多い企業に適しています。多言語対応(44言語)や国際的な電子署名規格に対応しており、グローバルな取引にも強みを持っています。DocuSignでは、契約書の署名プロセスを自動化でき、法的効力のある電子署名を簡単に行えます。
さらに他の業務システムとの連携機能が豊富で、ERPやCRMとの統合も可能。高度なセキュリティ対策が施されており、データ保護についても非常に信頼性の高いサービスです。
7. Adobe Acrobat Sign
Adobe Acrobat Signは、PDF編集ソフト「Adobe Acrobat」で知られるAdobeが提供する電子契約サービスです。PDFファイルとの高い互換性を持ち、どのようなデバイスでも、文書の作成から署名、管理まで一貫してAdobeのプラットフォーム内で行えます。
契約書をPDFとして送信し、相手方が署名する形式で簡単に契約を締結できます。特にPDF形式で契約書を扱うことが多い企業にとっては、非常に便利でスムーズなプロセスが提供されるでしょう。またAdobeのブランド力と信頼性が強みです。セキュリティに関しても、HIPAA、FERPA、GLBA、⽶国FDA(アメリカ⾷品医薬品局)の21 CFR part 11など、世界中の業界特有の規制にも対応しています。
まとめ
この記事では、2025年におすすめの電子契約サービスについて紹介しました。電子契約サービスは従来の紙の契約書をオンラインで処理できるため、業務のスピード向上やコスト削減に寄与します。導入を検討する際には今回ご紹介した通り、業務内容や目的に適した機能を持つサービスを選ぶことが大切です。
電子契約は機密性の高い情報を取り扱うため、セキュリティ面やサポート体制も選び方の重要な要素です。データの暗号化や不正アクセス防止策が備わっているかどうか、確認しましょう。さらに、契約業務の増加を見越してスケーラビリティが高いサービスを選ぶと、将来的な拡張にも対応しやすいです。選び方のポイントを押さえて、自社に最適なサービスを見つけましょう。
よくある質問
Q1. 電子契約サービスはどのような企業に向いていますか?
A1. 電子契約サービスは、契約締結の頻度が高い企業や、リモートワークや全国・海外の取引先との契約が多い企業に向いています。紙の契約書に比べて、署名・捺印・郵送の手間を省くことができ、契約の進行がスムーズになるため、業務の効率化を図りたい企業に適しています。
Q2. 無料で使える電子契約サービスはありますか?
A2. いくつかの電子契約サービスは無料プランを提供しています。例えば、「クラウドサイン」や「GMOサイン」などは、基本的な機能を無料で利用できるプランがあります。利用する契約数や機能によっては、有料プランへのアップグレードが必要になることもあります。
Q3. 電子契約にはどのようなセキュリティが施されていますか?
A3. 電子契約サービスでは、高いセキュリティ対策が施されています。具体的には、データの暗号化、SSL対応、二段階認証などの機能があり、契約書の保護に十分配慮されています。また、不正アクセス防止やバックアップ機能も備えているため、情報の安全性は確保されています。
Q4. 法的効力はありますか?
A4. 電子契約には、法的効力があります。日本の「電子署名法」に基づき、電子署名を行った契約書は、紙の契約書と同じ効力を持ちます。したがって、電子契約は法的に有効であり、安心して利用できます。
Q5. サポートはどうなっていますか?
A5. 多くの電子契約サービスは、電話・メール・チャットなど、複数のサポートチャネルを提供しています。トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえるサポート体制が整っているサービスを選ぶと安心です。