働き方の多様化に伴い、フリーランスやリモートワーカーの数は増加傾向にあります。2023年に統計局から出された資料によると、有業者のうち本業がフリーランスの人数は209万人となっています。(参照:基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方)
フリーランスとして働いている人のほかにも、エンジニアの中にはリモートなどで作業をする人も多いと思いますが、気分転換をしたい場合もあるでしょう。そのようなときに、コワーキングスペースは良い選択肢となります。
この記事では、そうした疑問や悩みを解決するために、コワーキングスペースの基本的な概念から、フリーランスやリモートワーカーが快適に働ける場所を選ぶためのポイントを解説します。さらに、東京都内に焦点を当て、ドロップイン利用が可能な施設や個室を備えたおすすめのコワーキングスペースを6つ厳選して紹介します。
これからコワーキングスペースの利用を検討している方は、ぜひこの記事を参考に、自分に最適なワークスペースを見つけてください。
コワーキングスペースと、レンタルオフィスやレンタルスペースとの違い
コワーキングスペースとは
コワーキングスペースとは、個人事業主、フリーランス、リモートワーカーなどが、特定の場所に縛られず、様々な企業や個人と共有しながら仕事ができる共用オフィスです。
特徴
- 作業場所を提供するだけでなく、電源、Wi-Fi、プリンターなどのオフィス設備が完備されており、ドリンクサービスなどが付いている場合が多い
- 月額制の会員プランから、時間単位で利用できるドロップイン形式まで、柔軟な料金体系が用意されている
レンタルオフィス・レンタルスペースとの違い
コワーキングスペースは多くの場合、他者との共有スペースで仕事をします。そのため、利用者はオープンな空間で他者と交流しながら作業することが前提です。
レンタルオフィスの特徴:鍵付きの個室を借りて利用する形式が一般的です。秘書サービスや電話応対など、オフィスとしての機能がより充実しており、自社だけの専用空間を確保したい企業や個人に適しています。
レンタルスペースの特徴:特定の時間だけ部屋を借りるサービスです。会議やイベント、セミナーなど、一時的な目的で利用されることが多く、普段の作業場所として利用されることは稀です。
このように、コワーキングスペースは「共用スペースでの作業」と「コミュニティ」が特徴であり、レンタルオフィスは「専用個室」、レンタルスペースは「時間貸し」が主な違いとなります。
コワーキングスペースの選び方
1. 料金と利用形態を確認する
コワーキングスペースの料金体系は、大きく「月額制」と「ドロップイン」の2つに分けられます。
月額制
- 毎週決まった曜日や毎日利用する予定がある人に向いている
- 契約プランによっては、24時間利用できるところや、複数の拠点を利用できるところもある
ドロップイン
- 必要な時だけ時間単位で利用する形態
- 月に数回だけ利用する人や、出張先で一時的に作業場所を確保したい人に向いている
2. 利用したい設備やサービスを確認する
フリーランスや個人事業主の場合、クライアントとの打ち合わせに使える会議室や個室の有無は重要なポイントとなります。セキュリティを確保しながら話したい場合や、集中して作業したいときに、個室が利用できると便利です。
また、長時間作業をするのであれば、安定した電源やWi-Fi環境は必須です。加えて、プリンターやスキャナーなどの複合機が備わっているか、フリードリンクや飲食が可能なのかも確認しておくと良いでしょう。郵便物の受け取りや法人登記の住所として利用したい場合は、そのようなサービスがあるかどうかも確認しましょう。
3. 場所と環境を考慮する
場所と環境も、作業のモチベーションを左右するため重要な選択肢です。自宅や取引先からアクセスしやすい「駅近」の立地を選べば、移動の負担を減らせます。
また、どのような雰囲気が自分に合うか事前に確認することも大切です。例えば、活発な交流を求めているなら、オープンなスペースが広い場所が良いでしょう。
集中して作業したい場合は、静かな環境や集中ブースがある場所がおすすめです。多くのコワーキングスペースは見学や体験利用ができますので、実際に足を運んでみて、ご自身の働き方に合った空間かどうかを確かめてみてください。
コワーキングスペースの比較
1. Regus(リージャス)
出典:Regus
Regusは、世界120ヶ国に4,000以上の拠点を持つ、グローバルなレンタルオフィス・コワーキングスペースのブランドです。日本国内でも主要都市を中心に、多数の拠点があります。
コワーキングスペースに関しては、国内195拠点以上、世界では4,000拠点以上のワークスペースを利用できます。開放的なワークスペースがあり、来客者がいればコミュニケーションの場として活用できます。Wi-Fiやドリンクサービスも用意されています。
東京都内では、秋葉原や六本木、渋谷、新宿、丸の内、品川などにオフィスがあります。大阪や京都、福岡、千葉、新潟、鹿児島、大分、山形、静岡、福島、石川など、全国様々な場所で利用できるため、出張が多い人におすすめです。
プラン
- コワーキングメンバーシップ:¥13,900〜/月
- オフィスメンバーシップ:¥32,900〜
※上記は24ヶ月契約時の場合。短期契約も可能。
公式サイトで詳細を見る2. THE HUB
出典:THE HUB
国内最大級の1,000拠点をいつでもどこでも利用できるコワーキングスペースです。東京都内のビジネスの中心地である新宿、新橋、渋谷、四ツ谷、日本橋のほか、大阪のなんばや淀屋橋、名古屋、京都にも拠点があります。
THE HUBではオープンなワークラウンジのほか、集中するためのサイレントエリアや、オンライン会議にも最適な個室のブース席も用意されています。
また、来客を迎える際の待合や、会議室などの共用スペース、コピー機やドリンクなどの設備もあります。充実した設備を求める方にとって、選択肢のひとつになるでしょう。
プラン
- スポット利用プラン:¥0/月 + 使った分だけ
- ビジネスプラン:¥6,600〜/月
- 全拠点プラン:¥16,500/月
3. BIZcomfort(ビズコンフォート)
出典:BIZcomfort
全国に177拠点を展開する、業界でも有数のコワーキングスペースです。新宿、四ツ木、品川、渋谷、秋葉原など、東京都内の中心地に複数の拠点があります。また、全国で見ても、千葉県、愛知県、京都府、静岡県、茨城県、神奈川県、熊本県など、幅広く置かれています。
BIZcomfortの最大の強みは、その立地と低価格な料金体系です。全拠点利用可能なプランを選べば、出張先や気分に合わせて、いつでも好きな場所で作業ができます。設備面では、Wi-Fiと電源はもちろんのこと、無料のプリンターやスキャナー、Wi-Fi回線など、仕事に必要な環境が充実しています。
さらに、個室ブースや集中席も多く用意されており、周囲を気にせず作業に没頭できます。法人登記や住所利用ができるプランもあり、フリーランスや個人事業主から、企業の支店利用まで幅広いニーズに対応しています。
プラン
- 固定席プラン・全日プラン・土日祝プラン:拠点により異なる
- 全拠点プラン:¥22,000/月
- ライトプラン:¥2,200〜/月
- 法人プラン:¥22,000〜/月
その他、エリア別(例:関西プラン、北海道プラン)のプランもあり。
公式サイトで詳細を見る4. billage(ビレッジ)
出典:billage
東京・渋谷駅から徒歩圏内に拠点を構える、スタートアップやフリーランスに人気のコワーキングスペースです。Wi-Fiや複合機など、各種設備やサービスも揃っています。東京の渋谷、大阪の本町や梅田、北海道の札幌などに拠点があります。
billageのすべての拠点では、個室の会議室が併設されています。会議や来客対応、Web会議などで活用できます。また、オープンスペースだけではなく、個人や会社で専有して利用できるプランもあります。
プラン
- ライトプラン:¥4,000〜/月
- スタンダードプラン:¥10,000〜/月(エリアによって異なります)
- ドロップイン:¥700〜/時間
5. コインスペース
出典:コインスペース
コインスペースは、誰でも気軽に利用することができるワーキングスペースです。Web会議や仕事、勉強、商談や打ち合わせなどに活用できます。サイトで各拠点の空席率が示されている点も便利です。東京都に複数拠点があるほか、神奈川県、千葉県、埼玉県などの首都圏、大阪府、京都府などにも拠点があります。
コインスペースの最大の特徴は、ドロップイン専用であることです。会員登録不要で、必要な時に必要な時間だけ、気軽に利用できます。月額会員になれば、1ヶ月間使い放題です。全席電源とWi-Fi完備。
Wi-Fiや電源、高速充電器、モニターなどの基本的な設備は完備されています。個室の電話ブースも用意されているため、Web会議や電話も周囲を気にせず行うことができます。利用方法は、専用アプリで席を確保し、決済するだけと非常にシンプルです。急な打ち合わせや、外出先での作業場所を探している方におすすめです。
プラン
- ドロップイン:10分間で¥110〜
- 回数券:5枚で¥3,000〜
- 月額プラン:¥5,500〜/月
6. いいオフィス
出典:いいオフィス
いいオフィスは、全国で900拠点のコワーキングスペースを利用できます。関東に378店、東海・近畿に180店舗あるほか、北海道、北陸・甲信越、中国・四国、九州、沖縄と、全国に散らばっているため、外出が多い方にとって役立ちます。
店舗はすべてワークスペース専用で、いずれの店舗でも電源とWi-Fiが完備されています。都心では駅の出口から徒歩1分ほどの店舗も多数あり、急な打ち合わせや天候が悪い日でも安心です。
個室・オープンスペース・会議室・ボックスなど、仕事スタイルに合わせて選ぶことができます。専用アプリがあり、ドロップイン(時間課金)の場合には、予約なしで使いたいときにすぐ使えます。利便性にも優れた、コワーキングスペースです。
プラン
- ドロップイン、予約利用(個室・会議室)、月額プランなどが用意されています。
まとめ
このコワーキングスペースガイドを最後までお読みいただき、ありがとうございます。
コワーキングスペースは、単に作業場所を借りるだけでなく、働く環境やコミュニティ、料金プランなど、様々な要素を考慮して選ぶ場所です。この記事では、まず「コワーキングスペースとは何か」という基礎知識から解説し、レンタルオフィスやレンタルスペースとの違いを明確にしました。
そして、利用形態や料金、必要な設備や環境といった具体的な3つの選び方をご紹介しました。これにより、あなたの利用目的や働き方に合ったスペースがどのようなものか、イメージができたのではないでしょうか。
この記事が、あなたの次の働き方を見つける一助となれば幸いです。最適なワークスペースを見つけて、快適な作業環境を手に入れてください。
よくある質問
Q. 料金が無料のコワーキングスペースはありますか?
A. はい、東京都内にも無料のコワーキングスペースは存在します。主に商業施設や公共施設のフリースペースがこれに該当します。ただし、月額制のコワーキングスペースとは異なり、利用時間や席数、設備に制限があることがほとんどです。また、電源やWi-Fiが不安定な場合もあり、長時間集中して作業する環境としては不向きな場合があります。本格的に利用を検討する場合は、有料のスペースも視野に入れることをお勧めします。
Q. ドロップイン利用とは何ですか?
A. ドロップインとは、会員登録や月額料金を支払うことなく、時間単位や1日単位でコワーキングスペースを利用できる形態です。月に数回だけ利用したい方や、外出先での急な作業場所を探している方に向いています。ただし、月額会員に比べて利用できる時間や設備が限られることがあり、料金も割高になる場合があります。
Q. 個室や会議室はありますか?
A. ほとんどのコワーキングスペースには、個室や会議室が併設されています。個室はWeb会議や集中作業に、会議室はチームでの打ち合わせやクライアントとの商談に利用できます。ただし、利用には別途料金がかかる場合が多く、事前に予約が必要な場合が一般的です。事前に利用規約を確認しましょう。