ソフトウェア開発の現場では、迅速で信頼性の高いプロセスが求められています。そこで重要な役割を果たすのが、CI/CDツールです。CI/CDツールは、コードのビルド、テスト、デプロイを自動化します。
本記事では、おすすめのCI/CDツールを7つご紹介し、それぞれの特徴や導入のメリットを詳しく解説します。これからソフトウェア開発の効率を向上させたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
なお、今回紹介するCI/CDは、Qiitaが公開している「エンジニア白書2024」の「CI/CD開発でよく活用している技術・ツール」で上位7位にランクインしたツールです。
CI/CDツールとは
CI/CDツールとは、ソフトウェア開発における「継続的デリバリー」(CD)と「継続的インテグレーション」(CI)を実現するためのツール群です。これらのツールを使用すると、ソフトウェア開発プロセスを自動化し、テストやデプロイを円滑に行うことができるため、多くのエンジニアに利用されています。
継続的統合(CI)は、開発者が変更したコードを頻繁にリポジトリに統合する手法です。コードがプッシュされるたびに自動でビルドとテストを実行し、問題がないことを確認します。これにより、エラーやバグを早期に発見し、修正することができ、全体的なソフトウェアの品質を向上させます。
継続的デリバリー(CD)はCIのプロセスを拡張し、常にデプロイ可能な状態を整えてくれます。デリバリーが自動化されることで、開発からリリースまでの時間が短縮されるため、迅速に新しい機能や改善を利用できるようになります。
CI/CDツールを利用することで、開発プロセスがスムーズになり、チームの生産性が向上します。そうすることで、競争の激しい市場において迅速に対応できる体制が整えられ、利用する企業にとっては大きなアドバンテージとなります。
CI/CDツールの選び方
1. プロジェクトのニーズを明確にする
CI/CDツールを選ぶ際には、まず自分のプロジェクトが持つ特定のニーズを理解することが不可欠です。プロジェクトの規模やチームの構成、開発フロー、使用するプログラミング言語など、様々な要因がツール選択に影響を与えます。
例えば、小規模なプロジェクトであれば、シンプルで導入が容易なツールを選ぶことが合理的かもしれません。一方で大規模なプロジェクトであれば、複雑なワークフローをサポートするツールが求められるでしょう。
また、アジャイル開発を行っているチームは、迅速なフィードバックやデプロイが可能なツールを選ぶと良いです。まずはプロジェクトにおける具体的な要件をリストアップし、その要件を満たすツールを探すことが、選び方の第一歩です。
2. 統合機能とコミュニティの活用
多くのCI/CDツールは、GitHubやGitLabなどのバージョン管理システムとの統合が可能ですが、統合の深さや使いやすさはツールによって異なります。自分が既に使用しているツールやサービスとの連携を確認し、スムーズな運用が実現できるかを検討することが重要です。
また、各ツールのユーザーコミュニティやリソースも考慮に入れると良いでしょう。活発なコミュニティがあるツールでは、問題解決や新たな導入のヒントを得やすく、学習リソースも豊富に存在します。フォーラムやドキュメンテーションが充実しているツールを選ぶことで、導入したあとスムーズに活用できるでしょう。
3. コストとサポート体制の確認
多くのCI/CDツールは、無料プランやトライアル期間を提供していますが、それらの機能がプロジェクトにとって十分かどうかを見極めることが必要です。有料プランへのアップグレードの際にかかる費用や、追加機能で発生するコストも考慮しなければなりません。
さらに、公式のサポート体制の有無も重要なポイントです。特に企業で使用する場合、トラブルが発生した際に迅速に対応してもらえるかどうかは、業務への影響を考えると大きな要因となります。ドキュメンテーションの質やサポートチームの評判を事前に調べることで、安心してツールを選ぶことができるでしょう。
これらの3つのポイントを考慮することで、CI/CDツールを最適に選定し、プロジェクトに最も合ったソリューションを見つけることができるでしょう。
CI/CDツール 人気の7つ
1. GitHub Actions
GitHub Actionsは、GitHub上でリポジトリ管理を行う開発者にとって、非常に便利なCI/CDツールです。コードのコミットやプルリクエストに基づいて自動的にビルドやテストを実行できます。ユーザーはYAMLファイルを用いてワークフローを定義できるため、カスタマイズ性が高く、様々なプロジェクトに対応できます。
また、GitHub内で全てが完結するためスムーズな開発が可能です。豊富なアクションも利用できるため、再利用性も高く、開発の効率を向上させることができます。
料金
詳細は公式サイトでご確認ください。
2. Jenkins
出典:Jenkins
Jenkinsは、オープンソースの自動化サーバーであり、CI/CDプロセスのデファクトスタンダードとして広く認知されています。2,000以上ある強力なプラグインシステムにより、様々な開発環境やツールとの連携が可能です。
また、自由度の高いジョブ設定ができ、複雑なビルドやデプロイメントプロセスも容易に構築できます。大規模なシステムでも安定して動作するため、多くの企業で採用されています。また、フォーラムやイベントなどコミュニティ活動が活発で、ドキュメントやサポートも豊富に存在しますが、初期設定や維持管理には技術的な知識が必要です。
料金
- 無料(オープンソース)
ただし、AWSなどの有料サービスを利用する場合は、そのサービス料が発生します。
3. AWS CodeBuild
AWS CodeBuildは、AWSが提供するフルマネージドのビルドサービスです。クラウド上で動作するため、スケーラブルであり、必要なリソースを随時追加・削除できます。GitHubなどの外部ソースコードリポジトリと連携して、自動化されたビルドプロセスを実現します。
Dockerを使ったビルドや、様々な言語に対応した環境を設定することも簡単です。AWSの他のサービスとの連携もスムーズで、例えばAWS LambdaやS3にデプロイする際のフロー構築が容易です。リソース使用料に基づく課金モデルのため、利用した分だけのコストが発生します。
料金
- 従量制料金
詳細は公式ページでご確認ください。
https://aws.amazon.com/jp/codebuild/pricing/
4. GitLab CI/CD
出典:GitLab CI/CD
GitLab CI/CDは、GitLabの機能の一部として提供されるCI/CDツールです。GitLabの他の昨日とシームレスに統合されているため、開発者は一つのプラットフォーム上で全てのプロセスを管理できます。YAML形式の設定ファイルを使ってパイプラインを定義できるため、ビルドやデプロイのフローを柔軟に設定できます。
また、GitLabはプロジェクト管理機能も持ち、チーム全体のコラボレーションを促進します。GitLab Runnerを使用することで、様々な環境でのビルドが可能です。
5. CircleCI
出典:CircleCI
CircleCIは、クラウドベースのCI/CDプラットフォームで、簡単にビルドやデプロイを自動化できます。CircleCIは、YAML形式の設定ファイルを用いて、ビルドプロセスを簡単に定義できます。また、Dockerコンテナを活用し、異なる環境でのテストやビルドを効率よく行うことができます。
また、CircleCIはGitHubやBitbucketなどのバージョン管理システムともシームレスに統合されており、スムーズなワークフローを提供します。さらに、CircleCIには強力なパラレル実行機能があり、テストを同時に実行することで、全体のビルド時間を短縮することが可能です。開発チームは迅速にソフトウェアをリリースし、顧客のニーズにタイムリーに応えることができるようになります。
料金
- Free:$0
- Performance:$15/月
- Scale:$2000/月
詳細は公式ページでご確認ください。
https://circleci.com/ja/pricing/
6. Azure DevOps Services
Azure DevOps Servicesは、Microsoftが提供するクラウドベースのDevOpsプラットフォームで、ソフトウェア開発プロジェクトの管理、ビルド、テスト、デリバイに必要なすべてのツールを統合しています。
CI/CD機能では、Azure Pipelinesを使用して、コードのビルド、テスト、デプロイを自動化可能です。ソフトウェアの品質を向上させ、リリースサイクルを短縮できます。また、Azure Boardsを使用すれば、タスクを管理し、進捗状況を視覚化することで、チームのメンバー間との連携強化や、アジャイル開発プロセスを効率化できます。
料金
公式ページでご確認ください。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/pricing/details/devops/azure-devops-services/
7. Cloud Build
出典:Cloud Build
Cloud Buildは、Cloud Buildは、Google Cloudが提供するフルマネージドのビルドサービスで、ソフトウェアのビルド、テスト、デプロイを自動化するためのツールです。開発者は、Dockerコンテナや仮想マシンを使って、特定の環境でアプリケーションをビルドし、実行できます。
スケーラビリティが高く、需要に応じて自動的にリソースを調整できるため、大規模なプロジェクトでもスムーズに運用できます。Cloud Buildは、迅速に高品質なソフトウェアを提供するための強力なソリューションです。
料金
詳細は公式ページでご確認ください。
https://cloud.google.com/build?hl=ja
まとめ
CI/CDツールは、ソフトウェア開発のプロセスを自動化し、効率よく運用するために不可欠です。本記事では、2025年におすすめのCI/CDツールを7つ厳選し、それぞれの特徴を解説しました。選ぶ際には各ツールの詳細を比較し、最適な選択を行ってください。
よくある質問
Q. CI/CDツールは何のために使うのですか?
CI/CDツールは、継続的デリバリー(CD)や継続的統合(CI)を実現するために使用されます。これにより、ソフトウェア開発プロセスが自動化され、ビルド、テスト、デプロイが迅速に行えるようになります。エラーの早期発見やフィードバックの迅速化を実現し、開発効率を向上させることが目的です。
Q. CI/CDツールの選び方は?
ツールを選ぶ際は、まずプロジェクトのニーズを把握することが大切です。次に、使用する技術や既存のツールとの統合機能を確認します。また、コストやサポート体制も考慮し、自分のチームに合った最適なツールを選びましょう。