弊社、ITプロパートナーズではQiia:Organizationを活用して、会社名義を出しつつ、社内の技術共有も含めた技術記事をQiitaに投稿しています。
ITプロパートナーズ | Qiita Organization
社内向けの技術共有ではどちらかというとQiita:Teamを使うのが主流なところで、
Organizationで全て一般公開! というのはかなり実験的な取り組みではあると思うのですが、2週間1ほど取り組んでみたところ、予想以上に面白い感じだったので、Organizationを運用してみてわかった点などを共有したいと思います。
2週間での主な成果
- Organization名義での投稿記事数およそ15記事程度
- Qiita Organization一覧の「1週間の活動量」ソートで掲載順1位を獲得
- ちなみに、1位をとったタイミングでは次項目のバズ記事はまだ投稿していなかったので、純粋に期間内の投稿数による評価になります。
- 投稿記事の1つが突如としてバズり、はてブで400users越え+総合人気記事入り。PVは24時間で10000PV超
正直、初めて2週間とかそんなもんで、ランキング的なものそこまでは意識してなかったので、
「媒体を効果的に利用して短期間で結果を出しました!ドヤァ....」
というよりは
「なんかちょっとやってみたらあっさりと結果が出てしまった」
という感じです。逆に言えば、現在のQiita:Organizatonの参入ハードルが低いことのの証左でもあると思います。
以下、前提条件などの導入部分がかなり長くなってしまったので、本筋だけ知りたい!という方は 自社ブログやQiita:Teamと比較したOrganizationのメリット くらいから読み進めて頂ければと思います。
そして全般的に長くなってしまっため、一部項目に関しては別記事として切り出しています。
前提情報
(前提1)こんな会社です
- 会社全体
- 事業内容とかは企業のサイトを見てください。
- 2017年2月時点で社員数20名程度、うちエンジニア3名+インターン1名
- エンジニアチーム
- 「自社サービス開発」と「受託開発」を並行して稼働する少人数チーム
- 社員数の少ない会社なので、事業計画も営業も宣伝も採用活動もエンジニアチームが自前でやるよ!
- Web系中心。PHP中心で、最近はRubyやScalaにも手を出しています。
- 事業拡大に伴うエンジニアチームの増員・採用が喫緊の課題
(前提2)Qiita:Ogranizationとは
Ogranizationに関しての説明は多くないのですが、Qiitaが公式に言及しているページは以下の二つです。
Qiita Organizationの提供を開始しました
Qiita:TeamとQiita Organizationについて
Organization自体に関しての利用方針はあまり明確に書かれていないのですが、
Qiitaに技術情報を共有することで…
・メンバー同士の情報共有としての利用
・会社の技術ブログとしての利用
・採用活動の一環としての利用
などなど幅広い活用が可能になります :)
(Qiita Organizationの提供を開始しましたより引用)
とあるように、企業が「採用活動」「技術ブログ」といった広報活動を視野に入れて利用することもある程度は容認されているという認識でそこまで間違いないと考えています。ただ一方で、Qiita自体の規約として
ユーザーは、本サービスを利用するに際し、以下のような本サービス利用上不適切な行為を行ってはなりません。
(1)宣伝や商用を目的とした広告・勧誘その他の行為。ただし、当社が本サービス上で別途定める場合はその限りではありません。
(Qiitaのサービス規約 より引用)
という項目もあるため、Organizatioの記事の中で、企業やサービスの宣伝文章や流入目的のリンクがどこまで許されるのかはグレーゾーン2 と言っていいでしょう。
Organizationを始めた経緯と運用方針
前提として、「Qiita:Team入れたい!」という希望はあったのですがに、予算的な関係で、Qiita:Teamは導入できておりませんでした3。
ところが、最近の社内の採用拡大の動きの中で、「エンジニア・デザイナー採用に向けた施策の一つとして、テック系のブログを立ち上げて欲しい」と社長から直々に依頼があり、それならQiita:Organizationでやってみよう!となったのが経緯となります。
そんな感じで手探りで始めたのですが、まずは定期的に記事が書かれないことには始まらないので、以下のような方針で記事を書いていくことにしました。
- Organization担当の筆者に関しては、2日に1回ぐらいのペースで記事を書く
- 普通ならQiita:Teamに書くような社内向けの内容でも、気にせずOrganizationに投稿する
- 具体的に例を挙げると、
- 新人向けの「これ覚えておくといいよ」「こんなツールを入れればいいよ」リスト
- 新人が環境構築する際に、「ここまだ手順化されてないからQiitaに上げておいて!」的な案件 など。
- ただし、参考元URLや前提条件などを記載することで、第三者から見て、正確で有益な記事になるように常に配慮する
- 具体的に例を挙げると、
- 採用活動的な部分は意識しつつも、反感を買うような露骨な宣伝記事にならないように配慮する。
- 基本として、投稿記事の中では、自社のOrganizationページ以外への自社リンクは貼らないようにする
#自社ブログやQiita:Teamと比較したOrganizationのメリット
(1)「社内向け情報共有」と「社外向け情報発信」を1つのツール、1つのアクションで実現できる
時代は大SEO時代です。
IT系のベンチャービジネス全般に言えることですが、「良いサービスを提供する」だけではなく、「各媒体を生かして、より検索順位の高い場所に情報を掲載する」ことが求められる、世知辛い時代になっています。エンジニアも例外ではなく、採用活動や、社外的な広報として、「ただブログに記事を書いただけ」はなく「掲載順位やPV数、シェア数」といった目に見える結果が求められています。
特にエンジニアの採用活動に関してはものすごい売り手市場です。(人材サービスがメイン事業の弊社がエンジニア採用に苦労しているだから多分間違いないです )。特に知名度の低いベンチャーが優秀な人材を獲得しようと思うと、Wantedlyの採用ページなどを見ればわかるように、かなり工夫と労力が必要になります。
その一方で、開発実務が本業であるエンジニアが大々的な社外広報もやる、というのはリソース的に厳しいのも確かです。(個人的にはずっとソースコードを書いていたいのですが、どうもそうはいかないみたいです )
そうした状況において、多くの会社が導入しているQiita:Teamのような「Markdown形式での社内向けの技術共有」が、ほぼ同じ体裁と内容で、「社外向けの広報」としてそのまま活用できる、というのは、非常に大きな利点であるようになっているように思います。
社外向け広報、というとQiitaにガンガン宣伝文章を乗せるような,
いわゆるDo Evilなイメージを持つ方もいるかと思いますが、
- 転職希望者がうちの会社の情報を調べた際に、投稿記事を見て、社内の雰囲気や技術レベルを感じ取ってもらう
- 背伸びした技術力アピールだけではなく、技術的負債や、最新技術にキャッチアップできていないような面についても、ミスマッチを防ぐ上では伝える意義があると思います。
- 「あ、この会社の記事Qiitaで見たことある!」という感じでの、会社の認知度アップ
というだけでも、知名度の低い近い会社にとって大きなメリットになるのではないでしょうか。
繰り返しにはなりますが、「Markdown形式での技術共有資料作成」という慣れ親しんだ実務が、そのまま「"Qiita"というSEOに強い媒体を使ったメディア運営」になるというのは、純粋にメリットであると言っていいではないでしょうか。
(2)記事を書くモチベーションが上がりやすい
前述のように、Organizationは週間の活動量ランキングが存在するのですが、こちらはこのような特徴を持っています。
- ランキング計算が頻繁で、およそ1時間に1回程度で更新される。
- 現状Organization名義での記事投稿がそれほど頻繁ではなく、1投稿がランキングに与える影響が大きい。
- だいたい1投稿で3〜5くらい週間の掲載順位があがります。
- そして1週間で10記事もあげれば、間違いなく掲載順位で1ページ目には来るはずです
正直、OrganizationでQiita記事を見ているユーザーはさほど多くないと想像されるので、これ自体が会社の知名度アップに大きく貢献する!というほどではないのですが
- あと1記事あげればあの日本オラクルさんよりも上に行ける・・・!
- 週間1位を維持するために、今日明日くらいでもう1記事上げておこう・・・
- またあの企業さんに抜かされた
という感じで、ゲーム感覚で投稿へのモチベーションが保てるのが非常に大きいとおもっています。いわゆるGamificationってやつですね。また、
- 週間1位を取れたぜ!他部署にも自慢&&社長にシェアしてもらおう!!!
- 「じつは・・・その・・・最近Qiitaランキング1位とってしまいましてね・・・・(ドヤァ」
という感じで、エンジニア以外の社員との交流や、社外発信におけるいい話題作りにもなっていると思います。
(3)エンジニアのスキルが「見える化」され、また個人の技術資産になる
社外の人からどんどんフィードバックをもらえる
これはQiitaそのもののメリットですが、対外的に技術記事を書き、その反応を見ることで、直接的にフィードバックをもらったり、会社や自分自身の客観的な技術力やスキル感を知ることができます。具体的には
- 自分の提供した情報に関して、アドバイスや、追加の情報共有をしてくれる人がいる
- 自分が書こうとしている内容が、外のエンジニアから見てどう評価されるかがはっきりと分かる。
- 社内で使用している技術や運用が、どれくらい最新技術にキャッチアップしているのがわかる。
などでしょうか。
はてなブックマークでバズったりするとこの辺りは顕著で、会社や個人に対するdisも含めた容赦ないコメントがどんどん来ます(私は飛び交う手斧コメントを見て、近いうちにプロジェクトにCIを導入することを固く決意しました )。 こうした「外からの目線」に触れることは、技術の世界に閉じこもりがちなエンジニアにとっては非常によい刺激になると思っています。
Qiita記事はエンジニアの技術資産になる
また、少し目線を変えると、Githubと同様に、採用やフリーランス市場においては、Qiitaへの投稿もポートフォリオとして評価されます。そんなエンジニアの世界では、Qiita:Teamに書くことは、若干の機会損失かもしれません。
たとえば筆者の前職ではQiita:Teamを採用しており、2年近く在籍したなかで、おそらく20記事程度を書いたのですが、転職した際にその記事はすべて自分の所有を外れて、他人に見せることも、自分で見直すこともできなくなってしまいました。(実際に、今回Organizationを始めるまで、自分のアカウントの投稿記事は0でした)
一方で、Organization記事は構造上では個人アカウントの記事へのタグ付けにすぎないので、会社名義を持ちつつも、「その人の実績」として半永久に残す事ができます。会社の業務としてQiita記事を書くことが、所属するエンジニア個人としての技術的な実績・評価や、転職力アップにつながる、というのは、所属するエンジニアにとってもポジティブな要素になるのではないでしょうか。
(4)無料である
こちらに記載のある通り、Qiita:Teamは有料で、チームの人数によっては結構な金額になります。(概ねチームメンバー1名につき、年間8000円くらい)
会社によっては予算が立たなかったり、月額課金に対する社内決済の手続きが煩雑でなかなか導入ができないことも多いと思うので、そういった場合は思い切ってOrganizationでチーム内の共有をする、というのも手だと思います。
以上、Qiita:Organizationを活用する利点についてまとめましたが、「社外秘情報が書けない」など、デメリットも当然あります。こちらに関しては、近日中に別記事にまとめますので、いましばらくお待ちください。
おわりに
内容としては以上になりますが、いかがだったでしょうか。Organizationの他の企業さまの投稿を見るのもすごく楽しいので、この記事を読んで、Qiita:Organizationを活用してみたい!という企業の方が増えていただけると幸いです。
そして、Qiitaを企業の宣伝媒体として利用することに関しては、当然ながら賛否両論だと思いますし、技術ブログの中に、会社の宣伝的な要素が混ざり込むことにネガティブなイメージを持つ方がいることも理解しております。実際、弊社としてもQiita:Ogranizationを初めて2週間程度で、まだまだ手探りな面も強いので、この記事を見てのご意見・ご批判がある方は、遠慮なくコメントいただけますと幸いです。
以上、ITプロパートナーズの五藤がお送りしました。
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2週間という数字は、Organizationの申請が通ってからの起算です。厳密には、メンバーのQiita記事が5記事を越えていないと申請ができなかったため、5記事になるまで個人投稿を地道に書きためる準備期間があり、そちらは2016年1月ごろから始めています。 ↩
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この辺りに関して、実際にQiitaのサポートに具体的なガイドラインがないかを問い合わせしましたが、「現状ではOrganizationに関する具体的なガイドラインはありません。明らかな宣伝行為に関しては、こちらの判断で対応させていただきます」というご回答をいただきました。 ↩
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1人あたり700円が払えないとか*お察し案件・・・*と思われる方もいるでしょうが、年間ベースで20〜25万円、というのは、うちくらいの規模のベンチャーでは決して安い出費ではありません。逆に、Slackなど、明らかに導入メリットが大きいものに関しては、社内協議を経て、有料版を導入しています。ちなみにLodgeも導入しましたが、サーバーの運用の手間的なコストもあり、イマイチ活用できませんでした・・・。 ↩