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Bash on Ubuntu on Windows で Rails/PostgreSQL の開発環境を構築する [Creators Update 編]

Last updated at Posted at 2017-04-09

2016 年末に Bash on Ubuntu on Windows で Rails/PostgreSQL の開発環境を構築して以来、Mac から Windows に回帰してストレスなく開発を続けています。

この開発環境に Windows 10 Creators Update が自動で降ってくる前に、まずは仮想マシンに Creators Update をクリーンインストールし、Bash on Ubuntu on Windows (以下、BoW) で Rails/PostgreSQL の開発環境を構築してみたので、その手順を Step by Step で紹介します。

はじめに

対象

  • Windows マシンのローカル上に Rails/PostgreSQL の開発環境を構築したい
  • CUI (PowerShell, BoW) のみで構築したい
  • Mac から Windows に回帰したい

動作環境

  • Windows マシンの構成 (試行錯誤用)
  • VMware Fusion 8.5 の仮想マシン (Core i5-5257U、メモリ 4GB)
  • Windows 10 Pro x64, build 15063.13
  • Ruby/Rails のバージョン
  • Ruby 2.3.0 / Rails 4.2.3
  • Ruby 2.4.1 / Rails 5.0.2

BoW のシステム要件

参考までに、BoW の Installation Guide では、以下が BoW のシステム要件となっています。(Windows 10 Home でも可)

  1. Your PC must be running a 64-bit version of Windows 10 Anniversary Update build 14393 or later

PostgreSQL の構成

Anniversary Update の BoW では、PostgreSQL のインストールに失敗する問題があったため、BoW では PostgreSQL クライアントのみをインストールし、PostgreSQL サーバーとして PostgreSQL for Windows を直接 Windows にインストールしていました。

今回の Creators Update で PostgreSQL のインストールに失敗する問題はめでたく改善したので、PostgreSQL サーバーも BoW に構成しようとしたところ…、PostgreSQL 固有ではない BoW の別の問題として、普通の Linux 的なやり方 (sysv-rc-conf <service> on) ではサービスの自動起動が設定できず、色々と面倒 (sshd の例) であることがわかりました。

これに対し、PostgreSQL for Windows では、特別な考慮は必要なく、Windows のサービスとして PostgreSQL が自動起動します。また、ここ数ヶ月、BoW の PostgreSQL クライアントから PostgreSQL for Windows に接続する構成で開発を続けていましたが、特に気になるデメリットもなく、データベースとそれ以外が分離されている方が何かと都合も良いので、Creators Update でもこの構成を踏襲します。

実行内容の凡例

PowerShell の実行内容

> command

BoW の実行内容

$ command

BoW のインストール

BoW のインストール

[Windows] キー + [X] キー > [Windows PowerShell (管理者)] を開き、以下の 2 つのコマンドでレジストリを追加することにより、開発者モードを有効にします。

> New-ItemProperty -Path HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModelUnlock -Name AllowAllTrustedApps -PropertyType DWord -Value 1 -Force
> New-ItemProperty -Path HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows\CurrentVersion\AppModelUnlock -Name AllowDevelopmentWithoutDevLicense -PropertyType DWord -Value 1 -Force

Windows Subsystem for Linux (beta) を有効化し、Y で OS を再起動します。

> Enable-WindowsOptionalFeature -Online -FeatureName Microsoft-Windows-Subsystem-Linux
この操作を完了するために、今すぐコンピューターを再起動しますか?
[Y] Yes  [N] No  [?] ヘルプ (既定値は "Y"): Y

OS の再起動後、[Windows] キー + [X] キー > [Windows PowerShell] を開き、BoW のインストールを開始します。

> bash

y で続行します。

-- ベータ機能 --
これにより Windows に Ubuntu がインストールされます。Ubuntu は Canonical によって配布される製品であり、
次のサイトに示される条件に基づいてライセンスされています。
https://aka.ms/uowterms

続行するには、"y" を入力してください: y

処理の完了まで数分待ちます。

Windows ストアからダウンロードしています... 100%
ファイル システムを展開しています。この処理には数分かかります...

y で続行し、ロケールを ja-JP に設定します。

Ubuntu のロケールを Windows のロケール (ja-JP) と一致するように設定しますか?
既定のロケールは en_US です。
続行するには、"y" を入力してください: y

BoW の任意のユーザー名とパスワードを入力します。

既定の UNIX ユーザー アカウントを作成してください。ユーザー名は、Windows のユーザー名と一致する必要はありません。
詳細: https://aka.ms/wslusers を参照してください
新しい UNIX ユーザー名を入力してください: bowuser
新しい UNIX パスワードを入力してください: (パスワードを入力)
新しい UNIX パスワードを再入力してください: (パスワードを再入力)

インストールが完了し、Bash が起動すると、プロンプトが $ になります。

passwd: password updated successfully
インストールが正常に終了しました
環境が間もなく開始されます...
ドキュメントを参照できる場所: https://aka.ms/wsldocs
To run a command as administrator (user "root"), use "sudo <command>".
See "man sudo_root" for details.

bowuser@win10cu:/mnt/c/Users/winuser$

BoW の初期設定

Ubuntu 日本語 Remix っぽく、リポジトリの URL を jp に変更します。(お好みで他でも可)

$ sudo sed -i -e 's/archive/jp.archive/g' /etc/apt/sources.list

デフォルトでは umask0000 なので、0022 に変更します。

$ echo 'umask 022' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

Creators Update では、BoW から Windows 側のアプリケーションを起動できるようになりましたが、Windows 側の PATH (/mnt/c/...) が BoW に渡されることによる弊害があるため、BoW 側で /mnt/c/... の PATH を除外します。

$ echo 'export PATH="/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/games"' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

Visual Studio Code の統合ターミナルを使用する場合、後述のトラブルシューティングのように、日本語の出力がずれてカオスな状態になるため、ロケールを英語に変更します。(PowerShell や BoW のコンソールなら日本語でも問題ないはず。)

$ sudo update-locale LANG=en_US.UTF-8
$ source /etc/default/locale

作業用のディレクトリの作成

Microsoft の中の人が警告しているように、BoW のファイルシステム (%localappdata%\lxss) 配下のファイルを Windows 側から作成/編集すると、ファイルが破損する可能性があります。

そのため、Windows 側のファイルシステム配下に作業用のディレクトリ (C:\workspace) を作成し、BoW から扱いやすいようにシンボリックリンクを作成します。

$ mkdir /mnt/c/workspace
$ ln -s /mnt/c/workspace ~/workspace

Ruby のインストール

パッケージを更新します。

$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get upgrade

必要なパッケージをインストールします。

$ sudo apt-get install git nodejs build-essential zlib1g-dev libssl-dev libreadline-dev libyaml-dev libxslt-dev libcurl4-openssl-dev libffi-dev sqlite3 libsqlite3-dev

rbenv をインストールします。

$ git clone https://github.com/rbenv/rbenv.git ~/.rbenv
$ echo 'export PATH="$HOME/.rbenv/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
$ echo 'eval "$(rbenv init -)"' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

ruby-build をインストールします。

$ git clone https://github.com/rbenv/ruby-build.git ~/.rbenv/plugins/ruby-build
$ echo 'export PATH="$HOME/.rbenv/plugins/ruby-build/bin:$PATH"' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

Ruby をインストールします。rbenv install の完了まで 15 分程度待ちます。(ruby 2.3.0 の例)

$ rbenv install 2.3.0
$ rbenv global 2.3.0
$ ruby -v
ruby 2.3.0p0 (2015-12-25 revision 53290) [x86_64-linux]

ドキュメントを除外し、Bundler をインストールします。

$ echo 'gem: --no-document' >> ~/.gemrc
$ gem install bundler

PostgreSQL のインストール

BoW では PostgreSQL クライアントのみをインストールし、PostgreSQL サーバーとして、PostgreSQL for Windows を直接 Windows のローカルにインストールします。

PostgreSQL クライアントのインストール

PostgreSQL クライアントをインストールします。(postgresql-client-9.5 の例)

$ sudo sh -c 'echo "deb http://apt.postgresql.org/pub/repos/apt/ $(lsb_release -cs)-pgdg main" > /etc/apt/sources.list.d/pgdg.list'
$ wget --quiet -O - https://www.postgresql.org/media/keys/ACCC4CF8.asc | sudo apt-key add -
$ sudo apt-get update
$ sudo apt-get install postgresql-client-9.5 libpq-dev

PostgreSQL for Windows のインストール

BoW を終了して PowerShell に戻り、PostgreSQL for Windows をダウンロードします。(postgresql-9.5.6-2 の例)

$ exit
> Start-BitsTransfer -Source http://get.enterprisedb.com/postgresql/postgresql-9.5.6-2-windows-x64.exe -Destination C:\workspace\postgresql-9.5.6-2-windows-x64.exe

postgres ユーザーの任意のパスワードと Locale を指定し、PostgreSQL をインストールします。

> C:\workspace\postgresql-9.5.6-2-windows-x64.exe --mode unattended --superpassword <postgres ユーザーのパスワード> --locale C

Setup のプログレスバーが終了したら、BoW に戻ります。

> bash

PostgreSQL の初期設定

postgres ユーザーで接続テスト後、問題なければ ¥q で抜けます。

$ psql -h localhost -U postgres
Password for user postgres: (postgres ユーザーのパスワードを入力)
psql (9.5.6)
Type "help" for help.

postgres=# \q

デフォルトで接続するホスト名を localhost に設定します。

$ echo 'export PGHOST=localhost' >> ~/.bashrc
$ source ~/.bashrc

BoW と同名のユーザーをスーパーユーザーで作成します。

$ createuser $(whoami) -s -U postgres
Password: (postgres ユーザーのパスワードを入力)

認証方法を md5 から trust に変更します。

$ sed -i -e '/^host/s/md5/trust/g' /mnt/c/Program\ Files/PostgreSQL/9.5/data/pg_hba.conf

Rails のインストール

本題の Rails をインストールし、アプリケーションを作成します。

Rails のインストール

Rails をインストールします。インストールの完了まで数分待ちます。(rails 4.2.3 の例)

$ cd ~/workspace
$ gem install rails -v 4.2.3

アプリケーションの作成

データベースに PostgreSQL を指定し、アプリケーションを作成します。(アプリケーション名が bowapp の例)

$ rails _4.2.3_ new bowapp -d postgresql

作成したアプリケーションのディレクトリに移動します。

$ cd bowapp

以降は、scaffold を使用した例です。

$ rails generate scaffold surfboard model:string shaper:string company:string
$ rake db:create db:migrate

動作確認

テーブルの作成後、URI を確認し、rails server を起動します。

$ rake routes
        Prefix Verb   URI Pattern                    Controller#Action
    surfboards GET    /surfboards(.:format)          surfboards#index
               POST   /surfboards(.:format)          surfboards#create
 new_surfboard GET    /surfboards/new(.:format)      surfboards#new
edit_surfboard GET    /surfboards/:id/edit(.:format) surfboards#edit
     surfboard GET    /surfboards/:id(.:format)      surfboards#show
               PATCH  /surfboards/:id(.:format)      surfboards#update
               PUT    /surfboards/:id(.:format)      surfboards#update
               DELETE /surfboards/:id(.:format)      surfboards#destroy
$ rails s
=> Booting WEBrick
=> Rails 4.2.3 application starting in development on http://localhost:3000
=> Run `rails server -h` for more startup options
=> Ctrl-C to shutdown server
[2017-04-09 22:08:17] INFO  WEBrick 1.3.1
[2017-04-09 22:08:17] INFO  ruby 2.3.0 (2015-12-25) [x86_64-linux]
[2017-04-09 22:08:17] INFO  WEBrick::HTTPServer#start: pid=1022 port=3000

Windows 上のブラウザからアクセスして動作確認します。

access_index.jpg

適当にデータを追加します。

create_record.jpg

rails server[Ctrl] キー + [C] キーで終了し、rails console からテーブルのデータを確認します。

$ rails c
Running via Spring preloader in process 330
Loading development environment (Rails 4.2.3)
irb(main):001:0> Surfboard.all
  Surfboard Load (1.2ms)  SELECT "surfboards".* FROM "surfboards"
=> #<ActiveRecord::Relation [#<Surfboard id: 1, model: "Sci-Fi", shaper: "ダニエル・トムソン", company: "Firewire Surfboards", created_at: "2017-04-09 13:24:41", updated_at: "2017-04-09 13:24:41">]>

また、PostgreSQL for Windows の管理コンソールから、テーブルのデータを確認することもできます。

[Windows] キー > pgadmin を検索して [pgAdmin III] を起動します。

launch_pgadmin.jpg

[PostgreSQL 9.5 (localhost:5432)] を右クリック > [接続] を開き、postgres ユーザーのパスワードを入力して [OK] で接続します。

connect_postgresql.jpg

[PostgreSQL 9.5 (localhost:5432)] > [データベース] > [<アプリケーション名>_development] > [スキーマ] > [public] > [テーブル] > [<テーブル名>] の順に開きます。

view_table.jpg

[<テーブル名>] を右クリック > [データビュー] > [先頭 100 行の表示] を開くと、保存されたデータの確認や編集ができます。

view_record.jpg

トラブルシューティング

gem や rails の実行時に警告が出力される

gemrails の実行時に、warning: Insecure world writable dir /mnt/c in PATH, mode 040777 のような警告が出力されます。

$ gem install bundler
Fetching: bundler-1.14.6.gem (100%)
/home/bowuser/.rbenv/rbenv.d/exec/gem-rehash/rubygems_plugin.rb:6: warning: Insecure world writable dir /mnt/c in PATH, mode 040777
Successfully installed bundler-1.14.6
1 gem installed

Anniversary Update でも同じような警告が出力されましたが、/home/<ユーザー名>/.rbenv/versions のパス (BoW 内) の権限に関する警告となっていたため、chmod でこのパスの権限を変更することにより対応できていました。

しかし今回は、/mnt/c のパス (BoW 外) の権限に関する警告となっており、BoW の制約上、BoW 外のパスの権限は変更できないようでした。

さらに調べたところ、/mnt/c の権限に関する警告が出力されるようになったのは、Creators Update の BoW では、Windows 側の PATH (/mnt/c/...) が BoW に渡されるようになったことに起因していました。そこで、BoW から Windows アプリケーションを使いまくる要件がなければ、BoW 側の PATH から /mnt/c/... を除外することで対応します。

$ vi ~/.bashrc

...

umask 022
export PATH="/usr/local/sbin:/usr/local/bin:/usr/sbin:/usr/bin:/sbin:/bin:/usr/games:/usr/local/games"   <<< rbenv の設定の上に追記
export PATH="$HOME/.rbenv/bin:$PATH"
eval "$(rbenv init -)"
export PATH="$HOME/.rbenv/plugins/ruby-build/bin:$PATH"
export PGHOST=localhost

[未解決] Visual Studio Code の統合ターミナルで日本語の出力がずれる

Creators Update の BoW では日本語の扱いが改善したはずなのですが、Visual Studio Code の統合ターミナルを使用する場合、日本語の出力がむしろ悪化しています…。

以下は、ロケールが日本語の場合の ls -la の出力例ですが、行ごとにどんどんずれてしまっています。

ls_ja.jpg

Anniversary Update の BoW ではこのような問題はなかったのですが、ロケールを英語に設定していたことを思い出し、今回もロケールを英語に変更してみました。

$ sudo update-locale LANG=en_US.UTF-8
$ source /etc/default/locale

ロケールを変更後、同様に ls -la の出力結果を確認すると、今度は問題なく表示されました。

ls_en.jpg

これで解決と思いきや、ロケールとは直接的な関係はなく、出力結果に日本語が含まれる場合にずれることがわかりました。ロケールが英語の状態で、echo あ を実行してみると、当初の問題と同じように、行ごとにどんどんずれてしまいました…。

ls_en_echo.jpg

Anniversary Update では、Visual Studio Code の統合ターミナルの使い勝手やパフォーマンスが気に入り、Atom から移行してきたのですが、回避策が見つからなければ、ターミナルを別ウィンドウ (PowerShell や BoW のコンソールなど) にするか、日本語の出力でずれた都度 clear を実行するか…。こちらも一旦様子見とします…。というか構築の最終段階でこの問題が発覚して力尽きました。

試行錯誤しすぎたので環境を初期化したい

PowerShell、BoW、PostgreSQL のコンソールなどを事前に終了させた上で、BoW と PostgreSQL for Windows をアンインストールし、作業用のディレクトリも不要であれば削除します。

[Windows] キー + [X] キー > [Windows PowerShell (管理者)] を開き、BoW をアンインストールします。

> lxrun /uninstall /full /y

続いて、PostgreSQL for Windows をアンインストールします。ポップアップが表示されたら [Yes][OK] で続行します。

> C:\Program` Files\PostgreSQL\9.5\uninstall-postgresql.exe

アンインストールの終了後、C:\Program Files\PostgreSQL を削除します。

> Remove-Item -Path 'C:\Program Files\PostgreSQL' -Recurse -Force

作業用のディレクトリも不要であれば削除します。

> Remove-Item -Path C:\workspace -Recurse -Force

参考

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