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SoftLayerの時間課金ベアメタルサーバーでvSphere Data Protection(VDP)を試す

Last updated at Posted at 2016-05-03

※2019年11月現在、IBM CloudにおけるVMwareは月額課金となっており、時間課金のVMwareは選択できませんが、参考に記事は残しています。ESXiの自動インストールはされませんが、時間課金ベアメタルを「OSなし」でオーダーし、VMwareのイメージを自分で持ち込む事で、類似の構成を作る事は可能です。

今回は、データ保護の観点で、前回のvSphere Replicationと並んで語られる事が多いvSphere Data Protectionを試します。

今回の構成

今回は、下図の構成とします。
vdp60.jpg

VDPアプライアンスをダウンロード

2016年4月27日から、VMware関連の製品イメージ(NSXやSRM)がSoftLayerのプライベートネットワーク上のファイルサーバーからダウンロード可能になりました。VDPアプライアンスのバイナリはこのファイルサーバーからダウンロードできます。VDPは、vSphere Enterprise Plusのライセンスを持っていれば追加費用なく利用可能です。

vdp01b.jpg

なお、同じファイルサーバー上にNSXやSRMのバイナリも置いてありますが、これらを使う際はライセンスの購入が必要です。ライセンスは、管理ポータル画面の、Devices > Manage > VMware Licenses から月額課金で購入できます。詳細は下記を参照ください。

SoftLayerで月額課金のVMware NSXやSRMをオーダーする方法
http://qiita.com/y_tama/items/24f9877e23bbdab31600

SSL VPNで接続してローカルPCにダウンロードすることもできますが、結構時間がかかるので、SoftLayer上のvCenterサーバーのブラウザからダウンロードすると早いでしょう。

SoftLayer上のvCenterサーバーにVDPアプライアンスのovaファイルをダウンロード。さすがに早く、5.5GBのVDPのバイナリが1分半程度でダウンロードできました。
vdp02.jpg

ゲストOSのISOをダウンロード

今回は、バックアップ&リストアを行うテスト用のサーバーとして、Windowsの評価版を使用します。
下記から、必要な情報を入力し、ISOファイルをダウンロードします。

vdp03.jpg

これも、ローカルPCにダウンロードして、またSoftLayerにアップロードするのは結構時間がかかるので、SoftLayer上のvCenterサーバーのブラウザからダウンロードすると良いと思います。

オーダー

今回は、下記の3台のサーバーが必要になります。
・ESXiサーバー
・vCenter
・DNSサーバー

vdp04.jpg

また、ゲストOSとVDPアプライアンスに付与するIPはPortable Private IPを使いますので、サーバーと同じVLANに紐づいたPortable Private Subnetをオーダーしておきます。

vdp05.jpg

DNSサーバー構築

前回のvSphere Replicationでは、名前解決をhostsファイルで行えたので、今回もその方法で行こうと考えていましたが、VDPアプライアンスの初期セットアップのウィザードの中で、DNSで名前解決できる事が必須のようでしたので、DNSを構築しました。

DNSで名前解決できないとエラーになります。
vdp03.jpg

DNSサーバーを構築します。下記などが参考になりました。
http://www.server-world.info/query?os=CentOS_6&p=dns
http://www.server-world.info/query?os=CentOS_6&p=dns&f=2
http://www.server-world.info/query?os=CentOS_6&p=dns&f=3

今回の環境では、関連する設定ファイルの内容は下記のようにしました。

/etc/named.conf
//
// named.conf
//
// Provided by Red Hat bind package to configure the ISC BIND named(8) DNS
// server as a caching only nameserver (as a localhost DNS resolver only).
//
// See /usr/share/doc/bind*/sample/ for example named configuration files.
//

options {
#       listen-on port 53 { 127.0.0.1; };
        listen-on-v6 port 53 { none; };
        directory       "/var/named";
        dump-file       "/var/named/data/cache_dump.db";
        statistics-file "/var/named/data/named_stats.txt";
        memstatistics-file "/var/named/data/named_mem_stats.txt";
        allow-query     { localhost; 10.0.0.0/8; };
        recursion yes;

        dnssec-enable yes;
        dnssec-validation yes;
        dnssec-lookaside auto;

        /* Path to ISC DLV key */
        bindkeys-file "/etc/named.iscdlv.key";

        managed-keys-directory "/var/named/dynamic";
};

logging {
        channel default_debug {
                file "data/named.run";
                severity dynamic;
        };
};

view "internal" {
        match-clients {
                localhost;
                10.0.0.0/8;
        };
        zone "." IN {
                type hint;
                file "named.ca";
        };
        zone "softlayer.com" IN {
                type master;
                file "softlayer.com.lan";
                allow-update { none; };
        };
        zone "222.132.10.in-addr.arpa" IN {
                type master;
                file "222.132.10.db";
                allow-update { none; };
        };
        zone "77.133.10.in-addr.arpa" IN {
                type master;
                file "77.133.10.db";
                allow-update { none; };
        };
include "/etc/named.rfc1912.zones";
include "/etc/named.root.key";
};
/var/named/softlayer.com.lan
$TTL 86400
@   IN  SOA     dns01.softlayer.com. root.softlayer.com. (
        2016050201  ;Serial
        3600        ;Refresh
        1800        ;Retry
        604800      ;Expire
        86400       ;Minimum TTL
)

        IN  NS      dns01.softlayer.com.

        IN  A       10.132.222.77

        IN  MX 10   dns01.softlayer.com.

dns01     IN  A       10.132.222.77
vdp01     IN  A       10.133.77.70
vcenter01 IN  A       10.132.222.89
ubuntu01  IN  A       10.133.77.68
win01     IN  A       10.133.77.71
/var/named/222.132.10.db
$TTL 86400
@   IN  SOA     dns01.softlayer.com. root.softlayer.com. (
        2016050201  ;Serial
        3600        ;Refresh
        1800        ;Retry
        604800      ;Expire
        86400       ;Minimum TTL
)

        IN  NS      dns01.softlayer.com.

77    IN  PTR     dns01.softlayer.com.
89    IN  PTR     vcenter01.softlayer.com.
/var/named/77.133.10.db
$TTL 86400
@   IN  SOA     dns01.softlayer.com. root.softlayer.com. (
        2016050201  ;Serial
        3600        ;Refresh
        1800        ;Retry
        604800      ;Expire
        86400       ;Minimum TTL
)

        IN  NS      dns01.softlayer.com.

70   86400    IN  PTR     vdp01.softlayer.com.
68   86400    IN  PTR     ubuntu01.softlayer.com.
71   86400    IN  PTR     win01.softlayer.com.

vCenter初期セットアップ

vCenterサーバーのプロビジョニングが完了したら、vCenterサーバー配下にデータセンターを作成し、ESXiホストを追加します。
詳細はこちらに書きました。

VDPアプライアンスのインストール

SoftLayer内のファイルサーバーからダウンロードしたVDPアプライアンスのovaファイルをESXiにデプロイします。
この作業は、SoftLayer上のvCenterサーバーのブラウザから実施しています。(ローカルPCとの間で、VDPアプライアンスの巨大なファイルを転送したくないため。)
ESXiホストを右クリックし、Deploy OVF Templateを選択します。

vdp06.jpg

vCenterサーバーにダウンロードしておいたovaファイルを選択します。
vdp07.jpg

基本的に「次へ」で進めていきます。ネットワーク関連の設定のみ、今回の環境に合わせて設定します。

DNSは、今回構築したDNSのIPアドレスです。VDPアプライアンス自身のIPは、Portable Private Subnetから払い出し、デフォルトゲートウェイとネットマスクはPortable Private Subnetに合わせて入力します。
vdp11.jpg

設定値のサマリーです。
vdp12.jpg

上記でFinishを押下すると、デプロイが開始されます。
vdp13.jpg

VDPアプライアンスの初期セットアップ

ovaファイルの展開が終わった後、ブラウザで下記のURLにアクセスし、初期設定を行います。
https://<VDPアプライアンスのIPアドレス>:8543/vdp-configure/

初期設定の手順は、下記が参考になりました。
http://blogs.vmware.com/jp-cim/2014/06/vsphere-vdp55-setup.html

初期パスワードは、"changeme"です。
vdp15.jpg

DNSが正しく設定されていれば、必要な情報はセット済みになっています。
vdp16.jpg

vCenterの情報を入力します。
vdp17.jpg

念のためvCenterへの接続テストで確認します。
vdp18.jpg

今回のサーバーはディスク容量が1TBですが、Thickプロビジョニングだと容量不足のエラーが出たため、Thinプロビジョニングに変更しました。
vdp19.jpg

vdp20.jpg

vdp21.jpg

ゲストOSのインストール

上記のVDP初期構成は数十分かかるため、その間に、先ほどダウンロードしておいたWindows Server 2012の評価版のISOを使って、バックアップのテストに使うゲストOSを作っておきます。

仮想マシンを作成し、データストアにアップしたISOをマウントして、Windowsを導入します。
vdp22.jpg

vdp23.jpg

vdp24.jpg

初期導入が終わったら、Portable PrivateのIPを付けると、外部からもアクセスできるようになります。
vdp25.jpg

VMware Toolsを導入します。
vdp26.jpg

インストーラがWindowsからマウントされるので、OS上でインストーラを実行します。
vdp27.jpg

vdp28.jpg

vdp29.jpg

バックアップジョブの作成

ようやく本題のVDPによるバックアップ&リストアを試したいと思います。

まず、バックアップ対象として、テスト用のファイルを用意しました。
vdp30.jpg

testdirの中にも同様にファイルを入れました。
vdp31.jpg

VDPの導入が終わると、Web Client上にVDPのアイコンができているので、クリックします。
vdp32.jpg

バックアップジョブを作成します。
vdp34.jpg

先ほどのゲストOSをバックアップ対象にします。
vdp35.jpg

日次・週次・月次でスケジュールが設定できます。
vdp36.jpg

保存期間を設定できます。
vdp37.jpg

設定のサマリーです。
vdp38.jpg

バックアップ実行の確認

設定した時刻になるとバックアップが開始されます。VDPの管理画面から、バックアップの実行状況を確認できます。
vdp39.jpg

リストア(仮想マシン単位) 元のマシンに上書きリストア

リストアタブから取得したバックアップのリストアを行います。
vdp40.jpg

「元の場所にリストアします」にチェックが入っていると、元々の仮想マシンに上書きでリストアが行われます。形態としては、OSのフルリストアに近いと思います。これを行うためには、元々の仮想マシンを停止しておく必要があります。
vdp41.jpg

vdp42.jpg

右側のタスク一覧で、リストアの状況を確認可能です。
vdp43.jpg

この方式でリストアを行うと、仮想マシン全体が、バックアップ取得時点の状態に戻ります。

リストア(仮想マシン単位) 別マシンとしてリストア

リストア設定時に、「元の場所にリストアします」のチェックを外すと別の仮想マシンとしてリストア可能です。Selectボタンを押下し、リストア先を選びます。
vdp55.jpg

リストア先となるESXiホストを選びます。
vdp54.jpg

新規仮想マシンの名前をつけます。
vdp53.jpg

仮想マシンを新たに作成しつつ、リストアが行われます。
vdp56.jpg

新しい仮想サーバーとしてリストアが行われました。
vdp57.jpg

元の仮想マシンがそのままリストアされIPアドレスも元の値を保持しているので、別IPに設定変更します。
vdp58.jpg

リストア(ファイル単位)

VDPのFile Level Restore(FLR)と呼ばれる機能を使い、ファイル単位でのリストアも可能です。
FLRを行うためには、バックアップを取得したゲストOS自身のブラウザから、VDPのFLR用画面にアクセスしてリストア操作を行います。
FLR用画面のURLは下記です。
https://<VDPアプライアンスのIPアドレス>:8543/flr/

なお、ここで入力するユーザーIDとパスワードは、ゲストOSのユーザーIDとパスワードです。VDPにアクセスするのでVDPのユーザーID・パスワードと思いがちですが、それではログインできませんのでご注意ください。
vdp45.jpg

ちなみに、元々のゲストOS以外からFLR画面にログインしようとすると、エラーになり入れませんでした。外部からユーザーのファイルが見られないように、という設計なのでしょう。
vdp48.jpg

ログインすると、取得したバックアップをマウントするメニューが出ます。
vdp46.jpg

マウントすると、ファイル単位でリストアが可能となります。
vdp50.jpg

リストア先のディレクトリを指定してリストアを行います。
vdp51.jpg

FLR画面のMonitor Restoresタブで、リストア状況を確認可能です。また、OSのエクスプローラー等で確認すると、ファイル単位でリストアされていくのが分かります。
vdp52.jpg

参考:ubuntuでFLRしようとしてエラーになった際の画面キャプチャ

ファイル単位リストア(File Level Restore(FLR))は、VDPがサポートするファイルシステムタイプでないと実行できません。下記の画像は、ubuntuで取得したバックアップに対しFLRを行おうとした時の画像ですが、この時のubuntuで使用していたファイルシステムはVDPでサポートされておらず、"Failed to get disks"のエラーが出てFLRができませんでした。(その場合でも、OS丸ごとのリストアは行うことができました)

vdp59.jpg

まとめ

今回はVDPを試しました。1台のVDPで取得できる容量の上限が8TBという上限があるものの、スケジュールによる取得・保存期間の設定・変更箇所のみのバックアップ取得など、便利な機能を有していますし、無償のアドオンとして使えるためバックアップソフトのライセンスが不要となりますので、システム規模にマッチすれば便利なツールだと思います。

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