文章は自由な表現が可能です。どんな表現も間違いではありません。
でも、分かりやすさにはコツがあると思います。
この記事では、私の考える文章構成方法の個人的なプラクティスを説明します。
テック系・ビジネス系の解説記事やプレゼンテーションを対象にしています。
私は20年以上ライターをやっていて、相手に伝わりやすく効率よく作成するため、この方法をよく使ってきました。
それを把握していると、分かりやすい文章をどんどん作成できます。
この記事の構成も1時間ほどでできあがりました。
結論:文章構成のベストプラクティスを理解しよう
- 方法:基本ルールは3つだけなので簡単
- 理由:基本ルールをつかうと、読み手が理解しやすく書き手は整理しやすい
- 実例:いろいろあります
- 手順:シンプルで真似しやすい
だから、文章構成のベストプラクティスを理解して実際に使おう!
文章構成の基本ルールは、これだけ!
- 結論をまず言う
- 結論を補強するネタを3-4個、箇条書きであらわす
- 箇条書きの各項目を、再帰的に分解していく
基本ルールはこの3つだけなので簡単です!
この文章も3つのルールを使っています。
- 見出しと図のタイトルが結論です
- その下に、結論を補強するネタを過剰書きであらわしています
- 箇条書きの各項目を、以降の見出し・スライドの結論として展開します
ポイントは、結論+箇条書きで主張が完結していることです。そして、この結論+箇条書きを組み合わせて、一番最初の結論を補強していきます。なぜなら、一番最初の結論が一番伝えたいことだからです。
基本ルールを使うのには理由がある
- 読み手が理解しやすい
- 書き手は情報を整理しやすい
- 余分な情報を探さなくていい > 作業効率アップ
一番重要なことは、読み手が理解しやすくなることです。そのために結論を最初に説明することでメッセージを明確にして、過不足なくその理由や効果・具体例などを展開します。
1. 読み手が理解しやすい
- メッセージ(結論)が明確
- 補強ネタの数(3-4個)がちょうどいい。
- 2個以下だと説得力が弱い
- 5個以上だと多すぎて頭に入らない。
- 型があると読みやすく予想しやすくなります
2. 書き手は情報を整理しやすい
- メッセージ(結論)を明確にできる
- 個数が決まっているので話が長くならない。メッセージが明確なので話題がそれない
- 説明する分量を調整できる。もっと聞きたいと言われたら、各項目を掘り下げて説明すればいい。時間がないときは結論のところだけ説明すればいい。
3. 作業効率アップ
- 型が決まっているので、作業タスクが明確になる
- メッセージ(結論)を補強するネタだけ見つければいい
- ネタを3-4個見つければいい
実例を見ればなっとく
- このスライドも、基本ルールでできている
- 箇条書きの分け方:理由、効果、実例、手順、ハイブリッド
- PREP法
わかりやすい記事やプレゼンを見たら、どんな構成になっているかチェックしてみましょう。
このスライドも基本ルールでできている
箇条書きの分け方
理由・効果
具体例
手順
ハイブリッド
PREP法
今回紹介している方法は、このPREP法の応用です。
PREP法では、結論(Point)・理由(Reason)・具体例(Example)・もう一度結論(Point)の順で記述していきます。
PREP法の実例
結論(Point):
私はイチゴが好きです
理由(Reason):
なぜなら、甘酸っぱくておいしいからです。
具体例(Example):
図を参照
もう一度結論(Point):
だから私はイチゴが好きです。
このセクションだけでメッセージと理由が明確になっているので、説得力がありますよね。
手順もかんたん
- 対象読者と目的を確認にする
- まず材料を集める
- ネットや書籍・論文を読む
- いろいろな話を聞く
- ディスカッションしてみる
- 構成を組み立てる
- メッセージの結論(1番理解してほしいこと)を明確にする
- 結論を補強するネタを3-4個整理する
- 各ネタを結論に見立てて、それを補強するネタを3-4個整理する
- 構成に合わせて、文章・スライドを作成する
簡単ですね。
材料から構成を組み立てるときには、KJ法とか役立つと思います。
構成ができたら、文章・スライドを作成していきます。
先に構成を決めることでメッセージが明確になっているので、実際に文章を書くときスライドを作るとき、どう表現するかに集中できます。
文章を書いているときスライドを作っているときに、「あれ?構成がおかしいかな」「箇条書きのネタに過不足があるぞ」「もっと掘り下げられそう」という場合もよくあります。そんなときはいったん構成作業で組み立てなおしてから、文章作成に戻ります。2つの作業を同時にやるのはけっこ難しいので、きちんと分けてやるといいと思います。
だから、文章構成のベストプラクティスを理解して実際に使おう!!
よくある質問
箇条書きのネタが1-2個しか見つかりません。
伝えたいメッセージについて、理由や効果・具体例を十分に掘り下げできていますか。
読み手・聞き手に対して説得力を増すには、3-4個のネタがあると効果的です。
箇条書きのネタがひとつもありません
メッセージについて理由や効果・具体例がわかっていないとすると、伝えたいメッセージが一人よがりになっていませんか。
それでは、読み手・聞き手にとって何も理解できません。
箇条書きのネタがたくさんありすぎます
理由や効果・具体例など箇条書きのネタが多いのは、メッセージについて具体的によくわかっているからだと思います。
しかし、読み手・聞き手は1度にたくさんの情報を処理できません。マーケティングや認知心理学で、一度に理解できるのはせいぜい3-4個だと言われています。
箇条書きのネタが多いときは、次の方法を取るといいでしょう。
まずは「理由や効果はたくさんありますが、ここでは代表的なものを3つだけ紹介します」とネタを絞る方法です。数の多さをアピールしつつ、大事なネタだけ紹介しましょう。
-
マジカルナンバーは7ではなくて4!マーケティングで使う短期記憶の数字 - Web活用術。
https://swingroot.com/magical-number/ -
選択の心理学「選択肢が多ければ多いほど選択できない」事実 後悔しない選択をするために - CreativeIdeaNote
https://ideanotes.jp/psy7/
もうひとつは、たくさんのネタを3-4個のグループに分けて、そのグループ名を紹介する方法です。
本記事では理由を3つのグループ(読み手向け、書き手向け、作業について)に分けて、それをさらに掘り下げています。
さらに、ひとつ下の階層を丸ごと上の階層に移動してもいいでしょう。
でも説明したいネタがいっぱいあるんです。
書籍(2万字以上)や半日くらいのセミナーであれば、そのくらいの情報量がありそうです。その場合は、3-4個ではおさまらないかもしれません。そういう場合は、3-4個にこだわる必要はありません。
本記事はテック系・ビジネス系の解説記事やプレゼンテーションを対象にしているので、報告書・レポートでは違ってくると思います。報告書やレポートに用いるロジカルシンキングでは「漏れなくダブりなく」(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)グループ分けすることが求められるので、状況に合わせて使い分けるといいでしょう。
- ロジカルシンキング - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0
とはいえ、大量の情報を提供されると読み手・聞き手は一度に処理ができません。具体例や練習問題・ディスカッションなどを追加するといいと思います。
この方法でやったら、私の主張の正しさが伝わりますか?
この方法ではメッセージのまともさは保証できません。この文章構成法の目的は、読み手・聞き手が理解しやすい文章を作成することです。正しさは追及していません。
荒唐無稽な考えであっても主張はできます。でも、個々の箇条書きのネタがでたらめならまともな主張にはならないでしょう。
まともなメッセージにするには、
- 対象読者に当たる人に説明してフィードバックをもらう
- SNSなどに投稿して反応をうかがう
などの方法をとるといいでしょう。気軽にどんどん聞いてみるといいと思います。
この方法で、文章やプレゼンが面白くなりますか?
この方法では面白くなりません。この文章構成法の目的は、読み手・聞き手が理解しやすい文章を作成することです。面白さは追及していません。
面白くする・印象に残すための工夫は、文章構成ができてからやると良いと思います。
読み手・聞き手にとって理解しやすくなっていない段階で面白さを追求しても、肝心なメッセージが結局は伝わらないからです。
メッセージが明確になっていなければ中身のない文章・プレゼンになりがちです。
まずは、何を伝えたいのか結論を明確にすることが重要です。
そして次のステージとして、文章の面白さや表現のインパクトを追求するといいと思います。
次の本が参考になるでしょう。