GR-CITRUSは、mrubyが気軽に使える小型ボードです。Chrome Appの「Rubic」を使うことでプログラムの作成から実行までスムーズに行うことができます。
標準のファームウェアでもそれなりに遊べますが、ちょっとしたものを作ろうとするとカスタマイズしてビルドしたくなることがあります。GR-CITRUSの作者の方によるビルドの手順が"GR-CITRUSのmrubyソースをmakeする方法"にも投稿されていますが、ここではWindows版のIDE for GRを使ったもう少し簡単なビルド手順を紹介します。
なお、Ubuntu16.04系でビルドする場合は、がじぇっとるねさすコミュニティに投稿されている手順に従いクロスコンパイル環境を作ることでmakeができることを確認しています。
#必要なもの
この記事ではWindows10を使っています。
#IDE for GRのダウンロード
がじぇっとるねさすのWebサイトからIDE for GR 0.8.0をダウンロードします。
zipファイルの中身を任意のフォルダに解凍します。
この記事ではD:\ide4gr-E0.8.0\
に解凍しました。
#GNU_RX_elf.batの修正
IDE for GRを解凍した後にできるide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx
フォルダにあるGNU_RX_elf.bat
ファイルを自分の環境にあうように書き換えます。書き換えるのは、Set PATH=
です。cd
の行はコメントアウトします。
@Echo Off
Set PATH=D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx\rx-elf\rx-elf\bin;D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx\Other Utilities;D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx\rx-elf\rx-elf\libexec\gcc\rx-elf\4.8-GNURX_v14.03;%PATH%
Set MAKE_MODE=unix
REM cd "C:\Program Files\KPIT\GNURXv14.03-ELF"
Cmd "cd\" /k
GNU_RX_elf.batをダブルクリックして起動します。表示されたコマンドプロンプトで、rx-elf-gcc.exe --version
を実行してエラーが表示されないことを確認してください。
D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx>rx-elf-gcc.exe --version
rx-elf-gcc.exe (GCC_Build_1.01) 4.8-GNURX_v14.03
Copyright (C) 2013 Free Software Foundation, Inc.
This is free software; see the source for copying conditions. There is NO
warranty; not even for MERCHANTABILITY or FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.
D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx>
#GR-CITRUSのソースコードの取得
コマンドプロンプトを起動して、githubのwakayamarb/wrbb-v2lib-firmリポジトリからmasterブランチをクローンします。
D:\work>git clone https://github.com/wakayamarb/wrbb-v2lib-firm
#makefileの修正
cloneしたソースコードのfirmwareフォルダにあるmakefileを自分の環境に合うように書き換えます。書き換えるのはGNU_PATH:=
の一箇所だけです。IDE for GRをインストールしたパスに書き換えます。
GNU_PATH := D:/ide4gr-E0.8.0/hardware/tools/gcc-rx/rx-elf/rx-elf/
GCC_VERSION := 4.8-GNURX_v14.03
#make
上記で修正したGNU_RX_elf.bat
をダブルクリックして起動します。
makeでは表示されたコマンドプロンプトを利用します。
上記で修正したmakefile
があるフォルダに移動し、make
コマンドを実行します。
D:\ide4gr-E0.8.0\hardware\tools\gcc-rx>cd D:\work\wrbb-v2lib-firm\firmware
D:\work\wrbb-v2lib-firm\firmware>make
(中略)
rx-elf-objcopy -O binary ./gr_build/citrus_sketch.x citrus_sketch.bin
rx-elf-objcopy -O srec -I elf32-rx-be-ns ./gr_build/citrus_sketch.x ./gr_build/citrus_sketch.mot
D:\work\wrbb-v2lib-firm\firmware>
正常終了すると、makefile
と同じフォルダにあるcitrus_sketch.bin
ファイルが更新されているはずです。
ビルドしたファームウェアを書き込む場合は、GR-CITRUSのリセットボタンを押してUSBメモリとして認識させた後、citrus_sketch.bin
ファイルをコピーしてください。