はじめに
最近「フリーランスになりたいんだけど、どうすれば良いですか?」という相談に乗る事が多かったので、フリーランスで働く場合に必要な事をまとめておきます。
この文書は正式なものではないので、実際に手続きを行う場合などはちゃんと調べてから行ってください。
(僕は専門家ではないです。)
また、IT系のフリーランスに関する事を記載してます。
技術者向けに技術者がフリーランスになる前に知っておくと良い事と言う記事をブログに書きました。
必要な手続き
会社員からフリーランスになるためには以下の手続きが必要になります。
厚生年金から国民年金へ
会社に所属している方のほとんどが厚生年金に入っていると思います。
個人事業主では厚生年金に加入できないので、国民年金に切り替える必要があります。
社会保険から国民健康保険へ
保険も同様です。
国民健康保険に切り替える必要があります。
社会保険を継続する方法もあるとか・・??
個人事業の開業届け
税務署に個人事業の開業届けます。
また、その際に青色申告の届けも出しておきましょう。
IT系で300万以下の売り上げになる事は殆どないはずです。
白色申告はやめておきましょう。
なお、青色申告の帳簿は「freee」や「マネーフォワード」などのクラウドサービスで付けるのがオススメです。
パッケージされている商品は年が経つと使えなくなったり、使いにくかったりします。(Macでは使えなかったりもします。)
僕はマネーフォワード(MFクラウド)でやってます。
(データ保持が無料なので、年間の一部の期間だけ有料会員になっておけば良さそう。)
確定申告
確定申告は2月中旬〜3月中旬になります。
郵送の場合
やe-tax
を使う場合はもう少し早めに提出する事もできますが、初めて出す場合は税務署に足を運ぶ事をおすすめします。
税務署では色々教えてくれるのと、あの雰囲気を味わっておくチャンスでもあります。(かなり混んでるので、平日に行く事をお勧めします。)
基本契約書などの雛形準備
受託開発を行う場合は、基本契約書などお客様と契約する書類の雛形を用意しておきましょう。
IT系の会社と契約を結ぶ場合以外では、契約書はこちらが用意するケースが殆どです。
また、出される契約書より自分で出す契約書の方が交渉が有利に運ぶので事前に用意しましょう!
(一度自分で作っておけば、契約書を先方が用意しても理解しやすいのです。)
税金に関して
税金は稼いだ額に対して支払う必要があります。
また、1000万以上の売り上げがある場合は消費税の納税義務が発生します。
(納税義務が発生するだけで、実際に払うのは2年後の確定申告からです。)
売り上げ - 経費 = 所得
に対して税金がかかります。(当たり前ですが・・・)
消費税に関して
原則課税方式
と簡易課税方式
があります。
結論から言うと、ITで仕事をしている方は簡易課税方式
を選択しましょう。
そして、その場合は簡易課税制度選択届出書
を出しましょう。
(簡易課税方式
は2年間やめれないというの縛りがあります。)
簡易課税方式
は売り上げの50%(サービス業の場合)を消費税として支払うというものです。
例えば、1000万稼いだ場合は500万に対して消費税がかかります。
500万 * 0.08 = 40万
が納税額となります。(書くまでもない事ですね・・・。)
一方で原則課税方式
を取った場合は売り上げから経費を引いた額に消費税がかかります。
(1000万 - 経費) * 0.08 = ???万
個人でIT業界にいる場合に経費が500万もかかる事はまずあり得ません。
なので迷わず簡易課税方式
を選択しましょう。
いや、俺は500万以上の経費が発生する!
という人。
要注意です。
税務署が入っても説明できる経費で500万以上かかっているなら良いのですが、架空の領収書などで水増ししていると大変なことになります。
ただでさえ個人事業主で1000万以上稼いでいる場合は税務署に狙われやすいので、経費が多いと水増ししていると狙われるかもしれません。ご注意を。
経費に関して
IT業界で経費にできるものは結構少ないです。
- パソコン
- 書籍
- ソフトウェア代金
- 交通費
- セミナー参加費
- 資格試験受講料
- etc...
常駐開発で働いている人は多くてもこれくらいしか経費にできません。
あとは現場の付き合いで飲みに行ったり、メンバーを鼓舞するために酒を振る舞ったとか・・・は多分許されます。(あからさまに私的な場合は経費にしない方が良いです。)
あとは、受託開発や研究開発をしている場合は以下のようなケースも経費になります。
(グレーゾーンになる部分もあるので、実際に行う場合はしっかり自分で調べてから行ってください。)
事務所の家賃
事務所が家の場合は事務所の面積に応じて経費が認められます。
例えば2LDKの家の一室を事務所にして、そこでプログラムを書いている場合は家賃の2〜4割くらいが経費になるでしょう。(面積で割れば良いのですが、多少アバウトでも問題ないでしょう。)
電話代
お客様との打ち合わせでかかった電話代は全て経費になります。
会社専用の電話を持っている場合はそれを全て経費に。プライベートと兼用にしているばあいは上記同様で割合で計算すると良いです。
電気代
こちらも上記同様ですが、あまり多くしない方が良いでしょう。
もちろん事務所を別に借りている場合は100%経費となります。
インターネット代
仕事でインターネットを使っている場合はそれも割合で経費にして問題ないです。
サーバー代
通常の家庭にはサーバーなど無いはずです。
ですので、AWSやさくらレンタルサーバー等を借りている場合は全て経費になります。
自分の仕事に関わる過程で取ったドメイン代も経費になります。
その他
研究開発をしていて、税務署に説明できるものなら経費になります。
例えばトリップアドバイザーのようなサービスをリリースするために、海外視察をした場合は経費にできます。(ただし、現地でバカンスを楽しんだりした場合は別です。)
ゲーム開発をしていてゲームを購入する場合も経費にできます。
度を過ぎなければ技術者同士の交流による飲み会なども経費にできます。
医療費控除、小規模共済、確定拠出年金に関して
これらも節税に使用できます。
わかる範囲で軽く説明します。
なお、これらは青色申告ではなく確定申告に記載します。
医療費控除は限度額が決まってますが、使用した医療費を経費(のように)使えます。
小規模共済は早い話が貯金です。
貯金に入れるからそれは税金の対象外にさせてね。という感じです。
確定拠出年金も同様で、このお金は年金に回すから税金の対象外にさせてね。という感じで使えます。
どちらもすぐに使うことはできないので、あまり多くのお金を回すと大変なことになるので注意してください。(どちらも上限があります。)
売り上げ - 経費 - 預入金額 - 医療費控除 = 所得
のようなイメージになります。
(あくまでイメージです。)
常駐開発の相場
最後になりますが、僕が感じる常駐開発の相場を載せておきます。
エージェントの広告で「140万/月 以上」とか書いてエンジニアを募集している場合がありますが、エージェントを通して100万/月 以上の案件を見つけれる事は殆どありません。
(企業と直接契約する場合は100万以上の契約もあります。)
現場に入って認められた上で、エージェントに交渉してもらえれば100万の道も見えてきますが普通に仕事をしていて「140万」なんてまずありえません。
僕がエージェントと契約した際に感じた大体の相場は以下のような感じです。
スキル | 相場 | 案件の数 | 補足 |
---|---|---|---|
Java | 60〜75万 | 多 | 金融系などの硬い現場に多いイメージ。S2Strutsを改良したフレームワークや自社独自のフレームワークを使う仕事が多い気がします。 |
PHP | 50〜65万 | 多 | ゲーム開発がとても多いです。Javaと比べると安いイメージがあります。 |
Ruby | 65〜75万 | 中 | スタートアップ系の案件が多い気がします。一緒に運用も求められるところもあります。 |
Objective-c | 65〜80万 | 小 | 上記に比べると案件は少ない気がしますが、技術者も少ないのでいつも人手不足の感じがします。 |
Swift | ???万 | 極小 | まだ募集要項を見た事がありません。 |
※月の契約金額です。 |
業務スキルによっても変動します。
金融系や特殊な業務であると単価も上がりやすいです。
あと、契約はSES契約
と呼ばれる準委任契約
で行われる事が殆どです。
なので請負契約
とは違い成果物にたいする責任が生まれません。
代わりに時間に関する責任が生まれます。
大抵は140〜180時間/月
で契約が行われるので、その時間は企業に束縛されます。
140〜180時間/月
は目安です。これよりも多い場合も多々ありますので、契約時に確認しましょう。
ただ、160時間以上で契約すると2月などの稼働日が少ない月は残業をしないと時間が足りない事があるので注意して契約しましょう。(特に2月は確定申告もあるので160時間で契約していると厳しいです。)
コメントに関する僕の例
クレジットカードについて
コメントで事前に作ったほうが良い書かれてますが、僕自身はクレジットカードを作成するのに苦労したことはない。
新生銀行や楽天銀行では作ったことがあるが、審査などで困ったことはないです。
とはいえ、そういう事例もあるかもしれないので事前に作っていたほうが良いかもしれません。
家について
賃貸や家の購入に関してもコメントで頂いているので追記します。
こちらに関しても僕自身が苦労したことはありません。
保証人さえ立てれば家を借りることで苦労することは無いと思います。
(保証人を立てれなくても、保証人代理会社に月々お金を支払えば借りれます。割高になりますが。)
また、家の購入に関してもほとんど問題ありません。
フラット35などの審査ならばある程度の収入が見込めれば問題ありません。
ただ、クレジットカードも家に関してもフリーランス2年目以降に行ったことなので1年目で行うと苦労するかもしれません。
2年目以降であれば確定申告の書類が給与証明書の代わりになるので、ほとんど問題なく借り入れはできるでしょう。
(ただし、都市銀行などの審査はなかなか通りません。僕は地方銀行やフラット35などを使って家の購入を行いました。※ローンの途中の借り換えは敷居が低いので、借りにくい場合は初めは変動金利で借りて途中で借り換えをするのも手の一つです。)
常駐業務で働きたいフリーランスの方へ
技術者がフリーランスになる前に知っておくと良い事と言う記事をブログに書きました。
もしよければ見てください。
請負業務を行うにあたって
請負業務を行う前に瑕疵担保責任の法律を調べてみました。
瑕疵担保責任に関する民法を調べてみた
瑕疵担保責任に関する商法を調べてみた
この辺りは揉める可能性があるので、知っておくと良いと思います。
最後に
初めに書いてますが、僕は専門家ではありません。
そして、僕が行っていない事も書いてますので実際に行う場合は上記に出ているキーワードをもとにgoogle先生に聞いてから実施してください。
では、良いフリーランスライフを!!!
追記
初めてフリーランスになる時の指標を追記しました。
よければ見てください。