ビジネスホテルはたまに利用するのですが、結構居心地が良いんですよね。仕事が捗ったこともありました。
ふと「一人開発合宿できるんじゃね?」と思い立ち、試してみたところ好評でしたので、今回まとめてみました。
対象読者
- 開発に専念したい(けど現状できてない)と考えている方
- 例1: 「最近だらけてるなー、開発アイデアはあるんだけど腰が上がらないんだよな……」
- 例2: 「思う存分、誰にも邪魔されずに開発しまくってみたいなぁ」
- 多人数参加型の開発合宿が合わずにモヤモヤしている方
- 一人開発合宿について興味を持った方
一人開発合宿とは
まずは一般的な意味での「開発合宿」と、そこから派生した「一人開発合宿」について概要を話します。
開発合宿とは
開発合宿とは、開発を行うための合宿です。一般的には以下のニュアンスがあります。
- 複数人で行う
- 旅館に泊まる
- 開発は大会議室を借りて、そこに機材とか持ち込んで行う
- その性質上、宿泊先へのアポや荷物運びなど準備が大変
- 食事はお楽しみの一つ
- アルコール駆動開発
- 合宿の目的ははっきりと決め、最後には何作ったかプレゼンする
Qiita や Wikipedia に記事がありますのでリンクを張っておきます。
- 開発合宿 - Wikipedia
- 開発合宿のススメ - Qiita
- freee初の開発合宿(60人規模)を行いました - Qiita
- 22名で開発合宿いったけど土善旅館さん、なんだこれまじで最高か? - Qiita
- アプリケーション開発サークルが行った開発合宿の話 - Qiita
一人開発合宿とは
一人開発合宿とは 一人で開発合宿を行うこと です。といっても多人数ではないので、意味合いはだいぶ異なってきます。
- ビジネスホテル を使う(利便性が高いから)
- 一人なのでいつ、どこで、何をしようが自由
- 一人なので準備は楽チン
- ホテルの場所次第では周辺をお散歩してプチ観光も可能
要するに「ビジネスホテルに泊まりに行く旅行」「部屋に篭って開発するのがメイン」というイメージです。
なぜ一人で合宿するの?
それは 本当に開発に集中したい から、あるいは 自分がやりたい開発に集中したい からです。
開発合宿は、たとえるなら勉強会みたいな側面があります。勉強会が、勉強と言いつつ交流や出会いがメインになっているように、開発合宿も開発と言いつつ交流や気分転換がメインになっているところがあります。また、会社やコミュニティとして開発合宿する場合、当然ですが関連する開発を行わざるを得なくなります。
一人開発合宿なら、一人なので自由です。自分のやりたい開発に好きなだけ集中できます。
わざわざビジネスホテルで合宿する理由
続いて、一人開発合宿としてなぜビジネスホテルなのか、という点について書いていきます。
理由1: 自宅だと集中できないから
常に自宅で集中できるなら良いのですが、そうもいかなかったりします。
- 誘惑が多い(例:ゲーム、本、自転車、コレクション)
- 家族の存在
- 自宅では基本的にオフにする方針なので、いまいちスイッチが入らない
合宿では自宅から完全に離れたホテルで過ごすので、このような阻害に呑まれることもありません。
理由2: 自宅だと飽きるから
自宅で過ごすことは日常の一部であり、既に何年何十年と繰り返していることなので、単純に飽きます。たとえ自宅が常に問題なく開発できる環境だったとしても、たまには環境を変えてみたいと思うものです(私は思います)。
合宿ならガラリと変えることができます。
理由3: 長時間過ごせるから
環境を変えるだけならお店(カフェやレストランやフードコート)に出かけるのがベターですが、お店は短時間集中にしか向いていません。一日以上丸々費やす(くらいのつもりでガッツリ開発する)のは無理があります。
合宿の場合、自分が自由に過ごせるホテルの部屋で過ごすので、お金と時間とやる気が許す限り、何時間でも何日でも篭もれます。
理由4: 開発に集中できるから
ビジネスホテルは何かと便利です。
- アメニティが充実している
- 家事や清掃の必要がない
- 食事についてもルームサービスや外食で手早く済ませることができる
- 周辺施設も整っており、たとえばコンビニでちょこっと買い物できる
日常生活の手間を小さく抑えられます。その分、開発に専念できます。
理由5: 作業環境が快適だから
ビジネスホテルは作業環境として中々優秀です。
- 有線LAN がある
- 机が広い
- 静か
- 人目がない
- ソファやベッドがあって休憩しやすい
- 景色が良かったり(高い場所から見下ろせる)、シャワーもすぐ浴びれたりして気分転換しやすい
一日中、いや何日でも篭っていられるほど快適です。
理由6: 何気に観光もできるから
合宿先として地元から離れた場所を選べば、合宿の合間に観光ができます。
「え?開発に集中するんじゃないの?観光?」と思われるかもしれませんが、ぶっちゃけずっと開発していられるほど専念できることは稀です。それに「プチ観光も何気に楽しみ」にしておくと、一人合宿のハードルも下がります。むしろ定期的にやりたくなるほどです。
とはいえ、遠くの観光名所を巡るようなガチ観光ではもはや合宿ではないので、そこは我慢します。じゃあどうするのかというと、 ホテル周辺を散策します。これだけでも刺激的でそこそこ楽しいです。
あとはご飯ですね。地元の名物を扱った店で舌鼓を打つのが何気に楽しみです。
ホテルの選定
一人合宿用に使いやすいのはどんなビジネスホテルでしょうか。特に外せないのが以下だと思います。
- 高級(8K-16Kくらい)なビジネスホテルである
- ネットで平均評価が ★★★★☆(4.0) 以上である
- 大きな駅から近い
- 有線 LAN が使える
- 「ツインルームの一人利用プラン」など、広い部屋が使える
- 防音がある程度優れている
順に見ていきましょう。
条件1: 高級なビジネスホテルである
「高級」という言葉の定義はテキトーですが、値段で言うと シングルが 8000 円から 16000 円 くらいのホテルを指します。これくらいの値段になると、部屋も設備もサービスも全体的に無難な仕上がりになっており、ハズレが少ないです。
これより安いと不満や不便が出てきます。
これより高いのはお財布的に苦しいです。余裕があるなら泊まってみてもよいですが、部屋の広さと高さと小物がグレードアップするだけで正直大差はないと思います。
条件2: ネットで平均評価が 4.0 以上
高級であっても、たまーに居心地の悪いホテルがありますので、ネットで評価を調べておきます。
とはいえレビューを一件一件読んでも混乱するだけなので、平均評価を見ます。 平均が 4.0 以上 なら無難だと思います。私もこれまで 7,8 のホテルに泊まってきましたがハズレはありませんでした。
以下は個人的な目安です。
合宿先の平均評価 | 評価 |
---|---|
4.0~ | 推奨 |
3.6~3.9 | ちょっと不満があるかも |
3.1~3.5 | 非推奨。ちらほら不満があるかも |
~3.0 | 合宿中止にすべき |
条件3: 大きな駅から近い
新幹線が停車する駅とか、主要な JR 駅とか、そういう「大きな駅」から近いホテルだと何かと便利です。できれば駅から 徒歩数分圏内 が望ましいです。3分とか5分とか7分とか。
最悪コンビニさえあれば何とかなりますが、駅周辺なら更に以下の利便性があります。
- そもそも行き帰りが楽
- 飲食店に困らない
- 本や薬も調達できる
- ゲーセンで気分転換できる(これは私の趣味ですが)
条件4: 有線 LAN が使える
ビジネスホテル最大のメリットはこれでしょう。有線 LAN が使えます。Wi-Fi なんかより圧倒的に速いです。ネットサーフィンも、でっかいバイナリを落とすのも、何なら作業用 BGM で動画を開いておくのも余裕です。通信制限もありません。
上述したホテルなら有線 LAN はデフォで備わっています。
問題は回線品質ですが、メジャーなホテルチェーン(全国に系列店があってウェブサイトも無難)であれば問題無いと思います。私はこれまで計何十回と泊まりましたが、「どしたん?繋がらへんよ??」「え?通信制限があんの?ありえへんやろ??」と苛立った記憶は無いですね(もちろん回線はベストエフォートなので時間帯やタイミングにより一時的に遅くなる時はあります)。
ちなみに LAN ケーブルはホテル側で用意されてます(引き出しに入れてあるパターンとフロントで借りるパターンがある)が、ケーブルが短いので、不満なら持参した方が良いでしょう。
条件5: 広い部屋が使える
高級なビジネスホテルでもシングルルームだと結構狭く、「こんな空間じゃのびのび開発できないよ」と窮屈さを感じてしまうかもしれません。
オススメは 「ツインルームの一人利用」のような広い部屋が使えるプラン です。料金が二倍になるかと思いきや、数千円しか変わらなかったりします。
ただ、プラン自体が数少なく、予約を取りづらいのが難点でしょうか。それでもタイミングが早ければ(2週間前とか)取りやすいです。
条件6: 防音がある程度優れている
合宿ではキーボードをカチャカチャ打つので、防音性に優れてないと隣の部屋に迷惑をかけてしまいます。また、隣から聞こえる雑音で集中を削がれることもあります(作業用BGMで回避できますが)。というわけで 防音性は地味に重要です。
が、防音が優れているかどうかを事前リサーチで調べるのは難しいです。まずホテルのウェブサイトには書いてないですし、電話で「仕事で深夜でもキーボード叩くんだけど防音は大丈夫?」と確認しても「周囲の客に迷惑にならないようお願いね」のテンプレが返ってくるだけです。
強いて挙げるなら、レビューをざっと眺めて「壁が薄い」「防音性が悪い」といった評価が見当たらないかどうか、が一つの目安になるってことくらいです。
しかしながら、上述した評価 4.0 以上のホテルなら「防音性が悪い」ことは無いと思います。
TIPS
開発合宿を快適に、スムーズに、問題なく過ごすために心がけていることを雑多に挙げてみました。
快適に過ごすための装備は惜しまない
私の場合は、
- ラフな半袖半パン(ホテル備え付けの部屋着は動きづらい、着づらい、無駄に大きいで好きじゃないです)
- ノイズキャンセリングワイヤレスヘッドホン
- 延長コード
- 無線ルータ
などですが、快適のための装備は惜しまない方がいいです。不快も積もれば集中を乱します。集中が乱れると「もう開発はええわ、ゆっくりしようっと」などと 開き直り現象が発生しやすくなります。
これ、地味に厄介なんですよね。 一人開発合宿では、通常の開発合宿と違って「みんながいる」という 場の強制力が働いてくれない ので、やる気を削いでしまう要因はしっかり潰しておいた方が良いです。多少過剰なくらいにオレオレ快適装備を固めておく、くらいがちょうど良いかもしれません。
どこをうろつくか、何を食べるか……事前に計画しておくと無駄がない
開発合宿はあくまで開発に集中する合宿。気分転換のプチ観光や、朝昼晩の食事のために何十分も迷っている時間は不毛です。
「観光はこことここだけにしよう」「こっちは遠くて移動時間多そうだからやめとこう」「食事はこの辺でローテーションすればいいか」「食事は全部コンビニとチェーン店でいいや」のように、合宿検討時に事前に計画しておく と無駄がなくてスマートです。
ドヤる
カフェやイベントなど外出先で作業する際、楽しみの一つとなっているのが ドヤリング だと思います。
ドヤリングというと「スタバで MacBook Air をドヤ顔でいじって俺カッケーする」行為を指します 1 が、別にスタバでなくとも、MBA でなくとも、エンジニアさんは多かれ少なかれドヤっているのではないかと思います。そういう生き物だと思っています(そうじゃない方は本節は読み飛ばしてください)。
ですが、言うまでもなく 一人開発合宿ではドヤれません。部屋に居るのは自分だけですからね。
ドヤりたい時はどうすればいいか。できます。出かければドヤれます。
- ホテルのロビーやラウンジ
- 近くのカフェやレストラン
- 近くの観光地(何とか公園とか何とか広場とか何とか城とか何とかロードとか)
などなど、ドヤれる場所は色々あります。
食事をどうするか
食事はお楽しみの一つですが、どこまでこだわるかは悩ましい点です。主な方針として、
- (A) 地元の名物料理が食べられる店
- (B) 駅ナカ、駅チカ、駅周辺の大手飲食店チェーン
- (C) コンビニ
- (D) ルームサービス
があります。
C, D は味気ないですが時間と手間は抑えられます。
A は美味しいですが、時間と手間がかかります。美味しい店に限って人気店だったりして、店や時間帯によっては何十分も待たされることがあります。どうしても食べたいなら、開店直後を狙うなど客が少ない時間帯を狙うと良いです。
B は A や C,D の中間くらいの案です。
私はガッツリ食べたい派なので、大体 B ですね。あと前述したドヤリングを兼ねることもあります。
清掃時間をどうするか
ビジネスホテルは毎日 9:00-14:00 くらいの間で清掃(アメニティの補充、タオルの交換、ゴミ箱のクリアなども含む)を行います。清掃してほしいなら、その間は外出しなければなりません。逆を言うと、その時間帯も居座っていると掃除してもらえません(ただし数日連続で篭っていると衛生上強制的に掃除されます)。
清掃時間帯にどう過ごすか、も地味に悩ましいテーマです。
- 出かける → 掃除してもらえるが、その間は部屋で開発できない
- 出かけない → 掃除してもらえない。また清掃中は清掃員の作業音(足音、袋を運ぶ音、掃除機の音など)がうるさい
こればっかりはケースバイケースでしょう。
私の場合、朝から開発していて、しばらく集中できそうな時はそのまま居座り続けます。逆にいまいち集中できなかったり一区切り付いたりした時は 、PC を持ち歩いて場所を変えたり、あるいは持ち歩かないでプチ観光しつつアイデア検討したりします。
騒音対策
ホテルの部屋はそこそこ防音されていますが、それでもたまーに集中を乱すノイズ(隣の家族連れやカップルの声がうるさい、上の足音がうるさいなど)と遭遇するので、対処策があると安心です。
私は ノイズキャンセリング付きのワイヤレスヘッドホン を使ってます。
おわりに
一人開発合宿について紹介してみました。参考になれば幸いです。
本記事は「ビジネスホテル」をベースとしたやり方ですが、他にも色んなやり方がありそうです。みなさまのオススメがありましたらぜひ教えてください