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OpenSSLをソースからビルドしてNginxで使用する

Last updated at Posted at 2017-02-17

はじめに

今まではパッケージマネージャのアップデートでOpenSSLのバージョンをアップデートしていましたが、先日はじめてソースからビルドして使用してみたので、そのやり方をまとめます。

TL;DR

:warning: 読むのがめんどくさい、急いでいる人向けです。記事を最後まで読む人はTL;DRは読み飛ばしてください

$ wget https://www.openssl.org/source/openssl-x.x.x.tar.gz
$ tar xzvf openssl-x.x.x.tar.gz
$ cd openssl-x.x.x
$ ./config shared zlib
$ make
$ sudo make install
$ /usr/local/ssl/bin/openssl version
~/.bashrc
+ PATH="/usr/local/ssl/bin:$PATH"
$ source ~/.bashrc
$ openssl version
$ wget http://nginx.org/download/nginx-x.xx.x.tar.gz
$ tar xzvf nginx-x.xx.x.tar.gz
$ cd nginx-x.xx.x
$ ./configure --with-http_ssl_module --with-http_v2_module --with-openssl=展開したOpenSSLのディレクトリのパス
$ make
$ sudo make install
~/.bashrc
+ PATH="/usr/local/nginx/sbin:$PATH"
$ source ~/.bashrc
$ nginx -V

サーバを再起動する

$ sudo nginx

うまくいかない場合は以下に続く記事をお読みください。

ソースからビルドする理由

個人的には以下の3つが挙げられます

  • どのバージョンを使用しているか確認しづらい
  • Nginxで最新バージョンのOpenSSLを使用しているか不安
  • 使用するバージョンを選べない

CentOSではOpenSSLの本当のバージョンを簡単に調べることができません。
以下のコマンドを実行すればバージョンを確認できますが、これは本当のバージョンではない可能性があります。yumでインストールされたパッケージは、アップデートを行っても、バージョンの表示が更新されないものがあります。OpenSSLがその例です。

$ openssl version
OpenSSL 1.0.1e-fips 11 Feb 2013  # <= これは本当のバージョンではない

また、本当のバージョンを確認する方法として、rpmを使用するという記事が紹介されていましたが、ぼくが確認した限りでは、上記と同じく更新されていないバージョンが表示されてしまいました。

$ rpm -q openssl
OpenSSL 1.0.1e-fips 11 Feb 2013  # <= これも本当のバージョンではない

また、これだと、最新バージョンのOpenSSLをインストールしていても、Nginxがその最新バージョンのOpenSSLを使用しているかどうか不安という点も挙げられます。

$ nginx -V
nginx version: nginx/x.xx.x
built by gcc x.x.x xxxxxxxx (Red Hat x.x.x) (GCC)
built with OpenSSL 1.0.1e-fips 11 Feb 2013  # <= バージョンが違う
TLS SNI support enabled
configure arguments: ...

さらに、OpenSSLのバージョンは、1.0.2系、1.1.0系など複数ありますが、どのバージョンにアップデートされるかわからないので、自分のインストールしたいバージョンを選べません。

常に最新版をインストールしておきたいのですが、一昨日(2017年2月16日)に更新された1.1.0eを、ぼくが昨日インストールしてみたら、ライブラリがインストールされなかったり、コンパイルエラーになったりしたので、そういう状況のときに柔軟に対応したいという思いがあります。

前置きが長くなってしまいましたが、つまりはソースからビルドしたほうが何かと融通が効くのでソースからビルドすることにしました。

環境

  • CentOS 7

OpenSSLのインストール

ダウンロード

まずは公式のダウンロードページからOpenSSLをインストールします。インストール可能な最新版(安定版)のダウンロードリンクが表でまとまっているので、そこからインストールしたいバージョンを選んでダウンロードします。リンクをクリックして直接ダウンロードしてもいいのですが、今回はリモートからダウンロードすることを想定して、wgetを使用します。.tar.gzのリンク先をコピーして以下のコマンドを実行します。

$ wget https://www.openssl.org/source/openssl-x.x.x.tar.gz

x.x.xにはバージョンが入ります。必ずこの形式とは限らないので、公式サイトのリンクをコピペしてください。なお、実行するとカレントディレクトリにファイルがダウンロードされますが、カレントディレクトリはどこでも良いです。邪魔にならないところでダウンロードしてください。

圧縮ファイルを展開

ダウンロードされたファイルは圧縮ファイルなので、以下のコマンドで展開します。

$ tar xzvf openssl-x.x.x.tar.gz

ファイルは先ほどダウンロードしたファイル名を指定してください。

展開されたら、そのディレクトリに移動します。ちなみに圧縮ファイルのほうはもう必要ないので削除してOKです。

$ cd openssl-x.x.x

ビルド

展開したディレクトリに移動したら設定を行い、ビルドします。

$ ./config shared zlib
$ make
$ sudo make install

configを実行するときのオプションについては、このディレクトリ内にあるINSTALLファイルを参照してください。通常はsharedzlibで問題ないかと思います。

ビルドには時間がかかりますが、エラーが出なければ成功です。

確認

インストールされていることを確認するには以下のコマンドを実行します。

$ /usr/local/ssl/bin/openssl version
OpenSSL x.x.x  xx xxx xxxx

自分がインストールしたバージョンが表示されていればOKです。

パスを通す

しかし、元々プリインストールされているOpenSSLがある場合は、opensslコマンドがそちらを参照してしまうので、今回ソースからビルドしたほうのOpenSSLを使用するためには、パスを通す必要があります。.bashrcに以下の一行を追加します。

~/.bashrc
+ PATH="/usr/local/ssl/bin:$PATH"

:warning: +は入力しません。

追加したら、.bashrcを再読込します。

$ source ~/.bashrc

再読込したら、opensslコマンドでバージョンを確認します。

$ openssl version
OpenSSL x.x.x  xx xxx xxxx

このときに表示されたバージョンがソースからビルドしたバージョンになっていればOKです。

Nginxでの使用

おそらくこのままでは、NginxはプリインストールされたOpenSSLを参照してしまいます。NginxでもソースからビルドしたOpenSSLを使用したい場合は、Nginxをソースからビルドする必要があります。インストールする際に、使用するOpenSSLを、ソースからビルドしたほうのパスに指定しておけばOKです。

ここでは最低限のインストールコマンドだけを載せておきます。Nginxをソースからビルドする方法の詳細は以下の記事を参照してください。
Nginxでレスポンスヘッダの一部を隠蔽する方法

$ wget https://nginx.org/download/nginx-x.xx.x.tar.gz
$ tar xzvf nginx-x.xx.x.tar.gz
$ cd nginx-x.xx.x
$ ./configure --with-http_ssl_module --with-http_v2_module --with-openssl=展開したOpenSSLのディレクトリのパス
$ make
$ sudo make install

x.xx.xにはNginxのバージョンを指定します。バージョンは公式サイトのダウンロードページで確認してください。ダウンロードリンクをコピペするのが確実です。

展開したOpenSSLのディレクトリのパスには、OpenSSLのインストール手順で展開した後のOpenSSLのディレクトリのあるパスを指定してください。

ビルドに成功したら、パスを通します。OpenSSLのときと同様に.bashrcに以下の一行を追加します。

~/.bashrc
+ PATH="/usr/local/nginx/sbin:$PATH"

.bashrcを反映させます。

$ source ~/.bashrc

パスを通したら、以下のコマンドを実行して、NginxがソースからビルドしたOpenSSLを使用しているか確認します。

$ nginx -V
nginx version: nginx/x.xx.x
built by gcc x.x.x xxxxxxxx (Red Hat x.x.x) (GCC)
built with OpenSSL x.x.x xx xxx xxxx
TLS SNI support enabled
configure arguments: ...

built with OpenSSL の箇所のバージョンがソースからビルドしたOpenSSLのバージョンになっていれば成功です!

再起動

せっかくアップデートしても、再起動しなければ意味がありません。nginxコマンドには再起動するコマンドがあるので問題ないですが、opensslコマンドで再起動する方法はわからないので、ぼくはサーバ自体を再起動しました。

サーバを再起動したら、Nginxを起動します。

$ sudo nginx

これで、Nginxでも最新バージョンのOpenSSLを使用することができるようになりました!

参考

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