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Unityのアニメーター・コントローラーを使ってモーションの状態遷移をプログラムから独立させようぜ

Last updated at Posted at 2017-06-08

Qiitaには画像のアップロード容量上限があるようなので、古い記事を全て再構成して圧縮を計っている。


こんな便利なやつがある

これは ジャンプキック したときの動きだ。
201701210647gif31b.gif
ジャンプした、キックした、といった流れが リアルタイムに見れる。開発中に動きがおかしくなったときの調査で役に立つ。

それは何なの?

201701210653a49b.png
この グラフみたいなやつが アニメーター。 別に、アニメ以外のことにでも使える。

どこにあるの?

20170607k1b.png
アニメーション・クリップを作るときに、アニメーターが オマケに1個 作られる。


Unityのアニメーター・コントローラーを使ってモーションの状態遷移をC#スクリプトで組もうぜ

201701220440gif34.gif
空中で歩いてしまっているときがある。
手作業で モーションとモーションをつなげていると、ミスというのはある。

じゃあ直そう。こういうとき、Unityのアニメーター・コントローラーが使える。
公式の記事はこれ。

「AnimatorController」unity DOCUMENT
https://docs.unity3d.com/ja/current/ScriptReference/Animations.AnimatorController.html

まず各部名称

ここは読み飛ばして、あとで読み返してもいい。

ユニティー・エディターと、ユニティー・エンジン

201701221033a26b.png
普段、これ(上図、黄色の円)で開発していると思うが、これが ユニティ・エディター(UnityEditor)

ゲーム・ビュー(上図、赤色の円)でゲームを動かしているのが ユニティー・エンジン(UnityEngine) だ。

C#スクリプトを書くとき、

using UnityEditor;
using UnityEngine;

と冒頭に書くことがあるだろう。
ゲームとしてリリースするときは、 using UnityEditor; を使っているコードは製品に含めないだろう。

using UnityEditor; を使うときは、特別ルールが1つあって、あとで説明する。

##アニメーター
201701221033a52c.png
これ、アニメーター(Animator)。

##レイヤー
201701221033a52e.png
これ、レイヤーの一覧。 上図では [Base Layer] の1つしか使っていない。

##ステートマシン
201701221033a52f.png
これ、ステートマシン。線が引っ張ったりしているやつだ。
日本語で言うと 状態遷移図。

201701230746a2.png
この六角形には、さらに ステートマシン が入っている。
ステートマシンというのは 親子の入れ子構造にできる。

##ステート
201701230746a3b.png
この四角いのが ステート。

###ステートのプロパティ
微妙に GUIで表示されているものと、C#スクリプトでのプロパティー名は異なる
201701281119a91c.png

##トランジション
201701230746a4b.png
ステート と ステート をつないでいるのが、トランジション(白い矢印)だ。
ステートマシン(六角形)のやつ ともくっつく。

###トランジションのプロパティ
微妙に GUIで表示されているものと、C#スクリプトでのプロパティー名は異なる
201701281119a89b.png

##コンディション
201701230746a5b.png
トランジションは、コンディションを持っている。[Inspector]で見れるやつだ。

ツリー構造になっている

なんとか図にしようとすると こんな感じ。
201701272149a84.png

主要なのが6つ。
(1) Layer
(2) StateMachine
(3) State ※ステートマシンの入れ子の葉っぱに当たる
(4) Transition ※StateとStateを結んでいる線。 StateMachineともつながる。
(5) Condition
(6) Position

実装を見ると チャイルドなんとか という入れ物にラッピングされるように ステートマシンが入っているが、基本的にステートマシン上の位置(座標とか)を入れているラッパーで包んでいるだけだ。ツリー構造に変わりはない。

アニメーターは C#スクリプトで作ろう

今はまだ プログラムの書き方を説明していないが、これらの部品は C#スクリプトから作ることができる。

多くの部品は読み取り専用だが、新規作成/追加/削除 を利用して 取っ換えることができる。
部品によっては 全部廃棄して新規から同じものを作り直す 全取っ替え をしなければいけないものもある。

GUIを使って手で線を引っ張っていると 数が多くて つらいので、C#スクリプトから作れるようになっていこう。

じゃあ、このアニメーターは何のためのGUIかというと、リアルタイムに状態遷移を確認、不具合調査をするための監視ウィンドウぐらいに思っておこう。

using UnityEditor; の使い方

using UnityEditor; を使うときは、特別ルールが1つある。
Assestフォルダーの下にどこでもいいので Editor フォルダーを作って、その下に using UnityEditor; を使う C#スクリプトを入れることだ。

201701221033a25b.png
(上図は、Editor フォルダーを作った例)

Editor フォルダーは何個作ってもいい。

他に関連する特別なフォルダー名としては Editor Default Resources も使うことがあるかもしれない。

「特殊なフォルダー名」unity DOCUMENTATION
https://docs.unity3d.com/jp/current/Manual/SpecialFolders.html

使ってみる

201701221033a27b.png
Editor フォルダーを右クリックして、[Create] - [C# Script] を選び、いいかげんな名前 Banana1 というスクリプトをとりあえず作るとする。

201701221033a28b.png

上図左下を見てほしい。
いつもは Assembly-CSharp プロジェクトの下に C# スクリプトを書いていたと思うんだが、ユニティー・エディター用の C#スクリプトは Assembly-CSharp-Editor プロジェクトの下に自動的に分別される。

Banana1.cs には次のように書く。

using System.Collections;
using System.Collections.Generic;
using UnityEngine;
using UnityEditor; // 追加

public class Banana1 : MonoBehaviour {

    [MenuItem("Bye bye Earth!/Rocket1/Space2/Moon3")]
    static void GoToTheMoon()
    {
        Debug.Log("Moon is great!");
    }

}

201701221033a29b.png
このように メニューは追加できる。

201701221033a30b.png
ばっちり 効いているようだ。このテスト手法はよく使う。

Unityで知っておきたい基本操作は別記事にまとめた:http://qiita.com/muzudho1/items/8fa08d0d2b4c205df49c

#じゃあ、UNITY公式のサンプル・プログラムを実行してみよう。

(再掲)
https://docs.unity3d.com/ja/current/ScriptReference/Animations.AnimatorController.html

###Mecanim フォルダーを作る。
201701221033a31b.png
まず、Assets フォルダーの下に Mecanim というフォルダーを作る。
Mecanim という名前のフォルダーに意味はない。サンプルでの練習が終わったら消してもいい。

###コードをいじろう
一度に実行すると 変化についていけないので、コメントアウトしながら 少しずつ実行していく。
201701221033a32.png
サンプル・プログラムは 変数名や コメント等を 改造してしまった。

        // (1)サンプルのコントローラー(ファイル)を見に行く☆
        var controller = UnityEditor.Animations.AnimatorController.CreateAnimatorControllerAtPath("Assets/Mecanim/StateMachineTransitions.controller");

        // (2)アニメーター・ビューの[parameters] に C#スクリプトから 4つ追加する。
        controller.AddParameter("TransitionNow", AnimatorControllerParameterType.Trigger);
        controller.AddParameter("Reset", AnimatorControllerParameterType.Trigger);
        controller.AddParameter("GotoB1", AnimatorControllerParameterType.Trigger);
        controller.AddParameter("GotoC", AnimatorControllerParameterType.Trigger);

        // (3)ステートマシン(六角形のやつ)を3つ追加する。
        var rootStateMachine = controller.layers[0].stateMachine;
        var smA = rootStateMachine.AddStateMachine("smA"); // stateMachineA
        var smB = rootStateMachine.AddStateMachine("smB"); // stateMachineB
        var smC = smB.AddStateMachine("smC"); // stateMachineC

この C#スクリプトを さっきのように Editor フォルダーの下に入れ、[MyMenu] - [Create Controller] から実行すると、

201701221033a33c.png

Assets/Mecanim フォルダーの下に StateMachineTransitions.controller (アニメーター・コントローラー)ファイルが作られ ……(1)

画面左端の方には TransitionNow、Reset、といったトリガーが並び、……(2)

そのとなりの方眼紙のところには smA、smB といった六角形の箱(これをステートマシンと呼ぶ)ができている。なお、smC は smB の中に入っている。……(3)

201701221033a34b.png
ほらね。

[Entry] [Any State] [Exit] は どこにでも入っている。
[(Up) Base Layer] は、上に戻るぐらいの意味だ。

##ステートを追加しよう
201701221033a35b.png

        // (4)ステート(長方形のやつ)を5つ追加する。
        var stateA1 = smA.AddState("stateA1"); // (5)(6)
        var stateB1 = smB.AddState("stateB1"); // (7)
        var stateB2 = smB.AddState("stateB2"); // (7)
        smC.AddState("stateC1"); // (8)
        var stateC2 = smC.AddState("stateC2"); // (8) don’t add an entry transition, should entry to state by default

ステート(長方形)を追加する。あとで線を引っ張るものは、var を使って 変数に取り置きしている。

(5)
201701221033a36b.png
最初に作ったのが stateA1 なので、smA の方に 暗いオレンジ色の矢印が伸びているようだ。

(6)
201701221033a37b.png
左上のパンくずリストに書いてあるとおり、smA の中に stateA1 ができている。また、1つ上の階層の Base Layer の Entry から伸びてきた線が、Entry から入ってきて stateA1 につながっている。

オレンジ色の線は、最初に実行されるステートにつながっている。明示的に設定していないときは暗い色の線になっている。

(7)
201701221033a38b.png
smB の中もにぎやかだ。 stateB1、stateB2 が新しく作られている。 smC は その前の(3)で作ったものだ。

ここでは Entry から stateB1 につながっている。

(8)
201701221033a39b.png
smC の中には stateC1 と stateC2 が作られている。

#白い矢印の線(トランジション)を付けよう
201701221033a40b.png
よく分からないコードもある。

        // 以下、トランジション(白い矢印の線)を追加する。

        // (5)stateA1 から Exit へのトランジション
        var exitTransition = stateA1.AddExitTransition(); // stateA1 は Exit につなげる。
        
        exitTransition.AddCondition(UnityEditor.Animations.AnimatorConditionMode.If, 0, "TransitionNow"); // 条件にトリガーを追加する
        exitTransition.duration = 0; // duration は 0 に。

        // (6)(これは分からない) stateA1 と Any State がつながっていないようだが?
        var resetTransition = smA.AddAnyStateTransition(stateA1);
        resetTransition.AddCondition(UnityEditor.Animations.AnimatorConditionMode.If, 0, "Reset");
        resetTransition.duration = 0;

201701221033a41b.png
stageA1 が Exit につながったのは分かるんだが ……(5)
別に smA の Any State も、上の階層の Any State も、stateA1 にはつながっていない。……(6)?

C#スクリプトで Any State から線を引く方法はあるんだが、ひとまず公式のサンプル通り 先に進もう。

#条件にトリガーも付けよう
201701221033a42b.png
さっき説明し忘れたんだが……。

        // (7)stateB1 は Entry につなげる。
        var transitionB1 = smB.AddEntryTransition(stateB1);
        transitionB1.AddCondition(UnityEditor.Animations.AnimatorConditionMode.If, 0, "GotoB1"); // 条件にトリガーを追加する。
        // (8)stateB2 も Entry につなげる。
        smB.AddEntryTransition(stateB2);
        // (9)stateC2 は Entry につなげる方法ではなく、デフォルトとして設定する。
        smC.defaultState = stateC2;
        // (10)stateC2 は Exit につなげる。
        var exitTransitionC2 = stateC2.AddExitTransition();
        exitTransitionC2.AddCondition(UnityEditor.Animations.AnimatorConditionMode.If, 0, "TransitionNow"); // 条件にトリガーを追加する。
        exitTransitionC2.duration = 0;

線(トランジション)をクリックして Inspector ビューを見ると
201701221033a43b.png
Conditions に GotoB1 トリガーが設定されていることが分かる。……(7)
また、smC に線が伸びているが、これは stateC2 がデフォルト設定になっているので、そこへ伸びていっているものだ。

201701221033a44b.png
上の階層から Entry を経由して stateC2 に線がつながっている。

#ステートマシン(六角形)同士をつなげよう
201701221033a45b.png
ステートを直接つなぐ以外にも、ステートマシンをつなぐ方法がある。

この場合、遷移元のステートマシンの Exit と、遷移先のステートマシンの Enter がつながる。

201701221033a46b.png
smB ではなく、smC へ飛んでいる。

一部 はしょったが、サンプル・プログラムは ここまでだ。
これで 線をつなげるのは C#スクリプトから できることが分かった。


予備知識

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
      ~~~~~~~~~~~~~~~~
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |
        +-- アニメーター

ゲーム画面上に置いてあるものを ゲームオブジェクト と呼ぶ。
画像(≒スプライト)を貼り付けたり、モーション遷移(≒アニメーター)を付けたりする。

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/Sprites
  |
  +-- スプライト
      ~~~~~~~~~

ゲームオブジェクトとは別にスプライトがあるわけだが、このスプライトは単に画像ぐらいと思っておけばいい

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/Sprites ※別にこのフォルダーでなくてもいい
  |
  +-- スプライト
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スプライトは、スプライト・エディターを使って 1枚の画像を タイル状にスライスしたことを覚えておくこともできる。

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |   ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/Sprites ※別にこのフォルダーでなくてもいい
  |
  +-- スプライト
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚

スプライト・レンダラーは、スプライトを描画するものだ。

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |    |
        |    +-- スプライト
        |        ~~~~~~~~~
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/Sprites
  |
  +-- スプライト
      ~~~~~~~~~
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

スプライト・レンダラーに スプライトを指定すれば、
タイル状にスライスした画像を参照できるようになり、
アニメーションの高速描画を担当させることができる。

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/AnimationClips ※別にこのフォルダーでなくてもいい
  |
  +-- アニメーション
      ~~~~~~~~~~~~~

Assets/Resources/Sprites
  |
  +-- スプライト
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚

どのような アニメーションにするかは、アニメーション というファイル に覚えさせる。
ドープシート(≒タイムライン)に スライスした画像を並べてモーション・アニメーションを作ることができる。

Project
  |
  +-- ゲームオブジェクト
        |
        +-- スプライト・レンダラー
        |    |
        |    +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚
        |        ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
        |
        +-- アニメーター

Assets/Resources/AnimationClipsい
  |
  +-- アニメーション
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Assets/Resources/Sprites
  |
  +-- スプライト
        |
        +-- タイル状にスライスした画像の1枚1枚
            ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ここらへん全部、スライスした画像を間にして 依存しあいあっているわけだ。


次の記事に続く。

「Unityのアニメーター・コントローラーはどこまでC#スクリプトで作成できるかやってみた」
http://qiita.com/muzudho1/items/f6d8a10d057307057b7f

「Unityで状態遷移を組むときに使うアニメーター・コントローラーを作成するC#スクリプトのソースコード」
http://qiita.com/muzudho1/items/d2a76d79b8a6b8437897

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